Googleがこの度米国でローンチした新サービス、Google Helpouts(ヘルプアウト)。
日本でも既に大きな注目を集めています。
初めて耳にした方のためにご説明致しますと、Helpoutsはビデオチャットを通じて専門家とノウハウや助けを必要とするユーザーをつなぐサービス。
ソーシャル・アシスタンス・プラットフォームと呼んでもいいでしょう。
Googleの公式発表によると、ヘルプアウトローンチの目的はhelp people help each other(共助関係を促進する)ことらしいのですが、実際はかなりマネタイズを意識したものに思えます。
そこで今回は「Google Helpouts ローンチに隠された5つの企て」と題して、Googleの目論みとHelpoutsに眠るマーケティングの機会を探ってみましょう!
1. P2P授業プラットフォーム
Helpoutsのサービスは基本的に0円。
ニーズさえマッチすれば、専門家もノウハウを必要とするユーザーも無料でサービスを利用できます。
一方、専門家は自身のノウハウをソリューションとして分単位もしくはセッション単位で販売することも可能。
ノウハウの提供がお金になる従来のハウツーサイト同様、HelpoutsもP2P(パーソン・トゥ・パーソン=個人間) 授業プラットフォームとして手数料から収益を得るビジネスモデルになります。
Helpoutsのベータ版ではGoogleが授業料の20%を手数料として差し引いており、本サービスの人気に火が付けば大きな収益源となること間違いないでしょう。
2. 新しいマーケティングメディア
もちろんHangoutsの活用は個人に限ったものではありません。
ノウハウや技術をソリューションとして提供している企業にとって、Helpoutsは新しいマーケティングメディアとしての可能性も秘めているのです。
特に注目したいのは、弁護士や会計士事務所といった所謂「専門家軍団」。
Yahoo!知恵袋やその他ハウツーサイトでは聞けなかった、よりパーソナルな質問や悩みを手軽に解決する手段としてHelpoutsは格好のメディアになると言えるでしょう。
Helpouts上でユーザーの心を掴めば、より大きな案件につながる可能性も大。
Googleによれば個人同様20%の手数料が差し引かれるとのことですが、アクティブユーザーが増えれば手数料を考慮しても魅力的なマーケティングメディアに成長するかもしれませんね。
ローンチ直後でまだまだ実例が少ないため、ヘルプアウトのマーケティングメディアとしての活用例はもう少し時間をおいて紹介できればと思います。
また、忘れてはならないのがSEOに与える影響。
グーグルマップ同様、今後ノウハウ関連のキーワードに対してグーグルがHelpouts参加企業を優先的に上位表示する可能性も考えられるでしょう。
3. 零細企業の獲得
現状でGoogleの収益を支えるのは、広告予算が潤沢な中小や大企業です。
一方で、ピラミッドの底には母数の多い小規模ビジネスが存在し、もちろんGoogleも「ちりも積もれば山となる」ことをしっかりと意識しています。
「アドワーズに広告を出稿する予定はまだ無いけど、Helpoutsを通じて無料相談という形で少しでも弊社のことを知ってもらえるなら…」
そう考える小規模企業も少なくないはずで、GoogleとしてはHelpoutsを通じてウェブの可能性を理解してもらい、後々アドワーズのようなPPC広告への出稿に繋げる企てがあるといっても過言ではないでしょう。
4. 既存ハウツーサイトからのトラフィック奪回
「プロモツイート 出稿方法」
「グーグルアナリティクス 見方」
今までは、このようなノウハウ目的の検索クエリの上位に必ずallabout.co.jpのようなハウツーサイトが表示されて来ました。
当然ハウツーサイトはこのトラフィックを基に広告収益を上げてきたわけですが、今後ノウハウ関連の検索クエリに対してグーグルがHelpouts参加企業を上位表示するようになれば、既存のハウツーサイトは苦戦を強いられるかもしれません。
つまり、Helpoutsの成長は、Googleに手数料収益のみならずSSPとして更なる広告収入をもたらす可能性を秘めているのです。
5. Google+の拡大
HangoutsやYoutube同様、Google HelpoutsのユーザーはGoogle+アカウントを通じて利用登録を進めなくてはなりません。
FacebookやTwitterとくらべてまだまだ日本でSNSとしての地位を確立しきれていない印象のあるグーグルプラスですが、Helpoutsの成長によりGoogle+ユーザーの拡大(≒広告収入の拡大)を見込んでいることは間違いないでしょう。
まとめ
- ・Google Helpouts(ヘルプアウト)はビデオチャットを通じて専門家とノウハウや助けを必要とするユーザーをつなぐサービスです。
- ・共助関係を促進するというヘルプアウトの表面上の目的の裏には、Googleの手数料・広告収益増加への意欲が見て取れます。
- ・①SEOへの影響と②ソリューションビジネスにとっての新しいマーケティングメディアとしての観点から、ウェブ担当者は今後もHelpoutsの動向に要注目です。