■はじめに

デザイナーとの正しいおつきあいの方法「初級編」はご覧いただけましたでしょうか。 グロースハックにとって、デザインはその根幹をなすほど重要です。

初級編では全てのデザイナーに共通のコミュニケーションのポイントについてご紹介しました。
しかしデザイナーと言っても、その特徴は様々です。 この「中級編」では、ディレクションを行っている方々に向けて、特徴的な3つのタイプにデザイナーを抽出して、それぞれの持ち味に合わせた仕事の進め方と、コミュニケーション上の注意点を「やるべきこと」「やってはいけないこと」について述べていきます。

もちろん、ひとくちにデザイナーいっても、その意味合いの解釈は多様でカバーする仕事領域も広いため一概に分類できるものではありませんが、今回はあえてシンプルな3つのタイプをご紹介致します。

■特徴的デザイナー3つの分類

1、クラフトマン型 「クラフトマン」とは職人のことです。

クラフトマン型のデザイナーは、自分の技術を磨き、精度の高いデザインを行うことに誇りを持っています。

自分から何かアイディアを出して新しいものを生み出すことは苦手ですが、与えられた仕事は確実にこなします。

クラフトマン型はしっかりとしたディレクションを組み合わせることで、最高のプロダクトを出してくれます。

やるべきこと:ディレクションをしっかりと行い、可能な限り具体的に指示をする。「~~風に」「~~のような感じで」など、既存の事例を提示しながらイメージを伝える。

やってはいけないこと:投げっぱなしの依頼の仕方をする。

ゼロから何かを生み出すことはストレスがかかかる可能性がある。

2、アーティスト型 「アーティスト」はここでは芸術家の意味で用いています。

アーティスト型のデザイナーは、自分のセンスとアイディアに自信を持っています。
新しいものを生み出す力はいちばんですが、その反面、細部を言われた通りに作ることにはモチベーションが高くない場合が多いです。
そういった部分をバックアップすることで、優れたクリエイティビティを最大限に活かした美しいデザインを提出してくれるでしょう。
やるべきこと:作って欲しいデザインにかける熱い想いや、全体的なコンセプトについての情報を多く語る。
やってはいけないこと:細かい部分のリテイクを何度もかける。可能であれば細部はこちらで修正するくらいの気持ちで。

3、ビジネスマン型 「ビジネスマン」は文字通り経済性と数字を重視するデザイナーで、近年増加しつつある比較的新しいタイプです。

グロースハッカーと最も似ているのはこのタイプでしょう。

ビジネスマン型のデザイナーは、デザインを目的達成のための手段ととらえていることが多く、数値的な根拠を元にしたり、論理的な思考展開でデザインに落としこんでいきます。
そのため、コスト計算にも非常に敏感で、工数と効果が釣り合わない場合や論理的ではない提案をした場合は、なかなか飲んでくれない場合もありますし、雰囲気のデザインの美しさはあまり重視しないこともあります。
一緒にデザインを作り上げることで、素晴らしい結果を出してくれます。
やるべきこと:到達すべき指標を、数字や根拠をもとに説明する。コンセプトやターゲットユーザーについて互いに議論する。

やってはいけないこと:「なんかイマイチ」「もっとゴージャスに」など抽象的な指示をすること。

■おわりに

いかがでしたでしょうか。

一概にデザイナーを3つだけに分類できるものではありませんが、「ああ、社内のあの人はこのタイプに当てはまるな」とイメージできた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もし、デザイナーとよく衝突して、うまくプロジェクトを進められていない…という心当りがある方がいたら、もしかしたらそれぞれのパターンでやってはいけないことを、無意識のうちにやってしまっているのかもしれません。

一緒にプロジェクトを進めていくデザイナーの特徴を理解して、伸び伸びと仕事を進めてもらえるようなコミュニケーションの取り方をしていくことで、最高のアウトプットをしてもらうのが、真のグロースハッカーと言えるではないでしょうか。