アプリ開発者必見!Tinder風UIがUXを高める4つの行動心理学的理由

【本記事とセットで読みたい「UXを高めるTinder風UIで今後が期待される「非」出会い系アプリ10選」を公開しました!】

edited by Ryutaro Mori

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Tinder

出会い系アプリに革命をもたらしたと言っても過言ではない超人気アプリです。

Tinderの魅力は何と言ってもそのUI。

次々に現れる異性の写真をスワイプしながらハートかバツ印で判定していくシンプルなUIは、今までプロフィール+顔写真の組み合わせが主流だった出会い系サービス内における異性の判定基準を顔写真(+位置情報)のみに限定し、「余計な情報」を省くことで出会い系に新感覚のカジュアルさをもたらしました。

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(Tinderの基本画像の下にはハートとバツ印が設置してあります。)

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(相手に好意があるときは、ハートに向けてスワイプします。次の写真が出てきても、同様の作業を繰り返します。)

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(そうでもない時は、バツ印に向かってスワイプします。)

そして今、TInderを真似したUIは出会い系アプリ以外にも広がりを見せています。

なぜ今これほどまでにTInder風UIが注目を集めるのか。

本記事ではその答えをTinder風UIによって向上するUXに導き出し、「Tinder風UIがUXを高める4つの理由」として紹介致します。

【本記事とセットで読みたい「UXを高めるTinder風UIで今後が期待される「非」出会い系アプリ10選」を公開しました!】

認知的負荷最小化

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グロースハックジャパンでも「もう一つのグロースハック条件「認知的負荷最小化」5つのポイント」としてお伝えしたこのコンセプト。

詳細は是非記事をご覧頂ければと思いますが、要するに、「目的達成までに辿る脳内ステップの数を最小化し、使いやすいアプリを作るためには、UIをシンプルにするだけでは足りないよ」というお話です。

Tinderに話を戻すと、今までの出会い系サービスは、「この人に興味があることを伝えよう」という目的を達成するまでに、①検索、②検索結果に表示されるプロフィールの1部を閲覧、③プロフィール詳細を閲覧、④興味があることを伝えるなどといったステップを踏んできました。

これら実際のステップに加えて、脳内では「どこのボタンを押せば次のステップに進めるのか」、「間違って変なボタンを押して変な操作を行ってしまわないか」などといったより細かなステップが存在し、(特に新規)ユーザーに認知的負荷を与えてきたのです。

その点Tinderは、①シンプルなUIはもちろん、②ナチュラルなウォークスルーや③統一性のあるUI、そして④「カジュアルな出会い」という届けたい体験に基づいたUI設計により、脳内ステップを最小化することに成功しています(詳しくは認知的負荷最小化の記事を参考)

特に、1画面で人間が許容出来る情報量を理解し、1画面あたり1つの情報(1人の顔写真)のみを表示したことが、認知的負荷の最小化に貢献した最たる所以でしょう。

「即断」の効能

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熟考するより即断した方が正しい決断を下せる

そんなリサーチ結果が 社会学や心理学を題材として扱うMalcolm Gladwell氏の著書「Blink」で明らかになっています。

Gladwell氏によると、私たち人間が「自覚している認知」とは、私たちが毎日の生活で体験する物や人に対する認知のほんの一角に過ぎず、その他の認知は全て「無意識に起こる認知」であると言います。

更に、私たちが熟考する際に頼りにするのはこのほんの一角に過ぎない「自覚している認知」であるため、大量に存在する「無意識に起こる認知」を基に下す即断のほうが正確性が高くなる傾向にあるというのです。

*とにかく簡潔に要点をお伝えすることに専念しています。即断の危険性に関してもGladwell氏は言及しています。

話をTinderに戻しますと、Tinder及びTinder風のUIを用いたアプリは、ユーザーに熟考ではなく即断を求めます。

もしGladwell氏の主張が正しいのであれば、ユーザーは異性のプロフィールをじっくり読んでコンタクトを取るよりもより良い決断を下せることになり、Tinderの最終目的である「出会い」もより良い体験になる可能性を秘めているのです。

もちろんTinder風UIが持つ即断の効能は、出会い以外にも様々なサービスに活用出来ること間違いないでしょう。

親指だけで操作が可能

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時代はモバイルです。

何度も言いますが、時代はモバイルです。

「そんなことグロースハックジャパンを読まなくても分かるよ」なんて意見はごもっともですが、実際の問題として、両手を使わないと満足に使えないUIがあまりに多いのが実情ではないでしょうか。

今一度ユーザーの利用シーンを想像してみましょう。

満員電車の中、バッグを抱えて買い物中、肩肘つきながらテレビ鑑賞中などなど。片手しか使えない状況が数多く存在しています。

どこに行ってもスマホと一緒のモバイル時代において、Tinderのように親指1つで操作出来るUIは必須条件になっているのです。

【本記事とセットで読みたい「UXを高めるTinder風UIで今後が期待される「非」出会い系アプリ10選」を公開しました!】

ゲーミフィケーション

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Tinderのユーザーレビューを見てみると、「Tinderは出会い系じゃなく、ゲームとして使っている」といった声が多く見受けられます。

「スワイプを繰り返し、意中の人を見つけ出す」という作業は従来の出会い系アプリには無い新たなゲーム感覚をもたらし、結果としてバズルゲームなどにも見られる中毒症状を生み出す結果に至っているのです。

実際に、Tinderの共同創始者であるJustin Mateen氏は、昨年行われたインタビューにおいて、ユーザーの60%が毎日アプリを利用し、その多くが1日あたり5~6回アプリを開いているとも語っています。

もちろん性欲という最強の欲望あっての上記の数字であることに間違いはありませんが、それでもゲーミフィケーションによるアクティブ率の向上は無視出来ない要素と言えるでしょう。

最後に

本記事を通じてお伝えしたTinder風UIの魅力ですが、他の分野における応用性に関してはまだまだ未知数であるのも事実です。

それでも各業界が続々とTinder風UIを導入している背景には本記事で紹介した心理学的理由が存在し、今後も多くのアプリでTinder風UIを目撃する機会が増えるのではと筆者は予測しています。

【参考:Small Data: Why Tinder-like apps are the way of the future

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Pinterestのグロースを支える4つの分析テクニック

数あるスタートアップの中でも成長著しいPinterest。

本日は、Pinterestのエンジニアブログで語られた、「Pinterestのグロースを支える4つの分析テクニック」を紹介致します。

5/30更新「『好きより価値を追求しろ』ネットの覇者アンドリーセンが語るプロダクト論」

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Pinterestのグロース観

4つのテクニックを紹介する前に、記事の中で言及されていたPinterestのグロースに対する考え方を引用を用いて紹介します。

持続可能なグロースの鍵は、ピンタレストユーザーを最優先に考え、ユーザーがピンタレストから得るバリューを拡大する手段を探求することだと考えています。

つまり、既存ユーザーのプロダクト体験を改善する、新規ユーザーにより効果的な形でピンタレストの価値を伝える、もしくはエンゲージメントの低いピンタレストユーザーのためにコンテンツを充実させるなどの取り組みが、ピンタレストのグロースの根本にあるということです。

しかし、数千万人のユーザーを抱えるピンタレストにおいて、目標を達成出来たのかどうかを理解することは非常に困難であるため、私たちは本記事で紹介する4つのテクニックを用いて成功を測ります。

本記事をご覧頂くことで、Pinterestがどのように異なるメトリックスを理解しているのか、そしてその重要指標を問題の発見やグロースチームの意思決定にどのように活かしているのか、ご理解頂けるでしょう。

3つの状態でユーザーを分類

Pinterestのグロースチームでは、ユーザーを以下の3つの状態で分類するシンプルな分析モデルを採用しています。

・MAU(月間アクティブユーザー)

・不活発ユーザー(過去28日間の利用無し)

・新規ユーザー(ユーザー登録したばかり)

このモデルの活用例として、以下のグラフが紹介されています。

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注意書きにある通り、Pinterestの実際のメトリックスとは関係の無い上記のグラフですが、5つの色の線を使って毎日ユーザーがどの状態からどの状態へと移行しているかを計測しています。

【青】

MAUから不活発状態への移行を計測。

【赤】

不活発状態(28日間以上利用が無かった)からMAUへの移行を計測。

【黄緑】

新規ユーザー獲得数を計測。

【紫】

登録後、一切利用せずに不活発ユーザーへ(28日間が経過)移行した数を計測。

【水色】

上記4つの数値を総計して出した純MAU増加数を計測。

Pinterestは上記のグラフを通じて、どこにフォーカスすれば純MAU増加数を最大化出来るのかを計測しています。

例えば新規ユーザーが登録後、一切利用せずに不活発ユーザーへ移行する数(紫)が増えれば、登録直後の第1週にPinterestの価値を如何に上手に伝えるか、つまりオンボーディング施策を改善する必要があることが明らかになります。

5/30更新「『好きより価値を追求しろ』ネットの覇者アンドリーセンが語るプロダクト論」

Xd28s

Xd28sは、Pinterestがユーザーのエンゲージメントを測る為の指標です。

ログイン回数を測るのであれば、あるユーザーの数値が4d28sのとき、そのユーザーは過去28日間で4日間Pinterestを利用したということになります。

もちろんログインだけでなく、各機能(Pin、シェアなど)に応用することも可能です。

Pinterestには様々な使い方が存在する為、ユーザーがどれだけPinterestに価値を見出しているのかを測るプロキシとして利用しているようです。

このモデルの活用例を、Pinterestは以下のグラフと共に紹介しています。

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上記のグラフでは、以下の3つの分類を行っています。

【青】

4d28s + = 過去28日間で4日間以上Pinterestを利用したユーザーの割合(カジュアルユーザー)

【赤】

14d28s + = 過去28日間で14日間以上Pinterestを利用したユーザーの割合(コアユーザー)

【黄緑】

<4d28s + = 過去28日間で4日間未満Pinterestを利用したユーザーの割合(マージナルユーザー)

3つの割合を定期的に計測することで、ユーザーがPinterestにどれだけの価値を見出しているのか、そしてその割合がどのように変化しているのかが明らかになります。

万が一(コアユーザーに比べて見出している価値の低い)カジュアルユーザーやマージナルユーザーの割合が増加した場合には、なぜその現象が起こっているのか、対象法として何が出来るのかを考えるきっかけとなります。

コホートヒートマップ

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コホートヒートマップは、ユーザーのアクティブ率を計測する為のメトリックです。

上記のグラフにおいて、赤は高いアクティブ率、青は低いアクティブ率を示しています。

y軸を上がれば上がるほど色が青に近づいていくのは、x軸はユーザーが新規登録を行った日付を、y軸は登録からの日数を表しているからです(登録直後はアクティブでも、日が経つことで多くのユーザーは不活発になっていく)。

上記のグラフはあくまで1例に過ぎませんが、Pinterestは上記のグラフなどを活用して新規ユーザーのリテンションを計測しています。

例えば上記のグラフからは、2013/04/01に利用登録を行ったユーザーのリテンションが急激に下落している(赤色の面積が下がっている)ことが分かりますね。

更に、ユーザーを性別や位置情報を使ってセグメントすることで、どのユーザー層のリテンションに改善余地があるのかを見極められ、コホート・ヒートマップの有用性は大きく高まります。

【5/29最新記事「UXを高めるTinder風UIで今後が期待される「非」出会い系アプリ10選」を公開しました!】

コンバージョンファネル

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コンバージョンファネルは、AARRRやグロースハックに精通している方ならおなじみの分析手法です。

ファネル(じょうご)とは入り口から出口にかけて徐々に空間が狭まっていく円錐状の器具を指し、ファネル分析はそれに喩えてユーザーが入り口から目的達成までの各プロセスのどこでどれだけ離脱しているかを検証する為に使われます。

以下のイメージを見ると分かりやすいでしょう。

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(ホームページ、登録ページ、登録開始、登録終了までに、どこでどれだけユーザーが離脱しているかを示している)

Pinterestでは、ユーザー登録プロセスのみならず、各機能においてもファネル分析を行っています。

例えばあるユーザーがPinした画像やリンクを友人に送りたい時を想定してみましょう。

単純にそのプロセスを1つのものと考えるのではなく、①画像やリンクを送る友人を探す、②メッセージを添える、③実際に届いた画像やリンクを開くというプロセスが考えられますね。

実際にはどうか分かりませんが、もし「①画像やリンクを送る友人を探す」で多くのユーザーが離脱しているのであれば、予測検索機能の性能を高めると言った施策を取る必要が出てくるかもしれません。

他にもPinterestは、招待機能にファネル分析を活用しています。

あるユーザーが未登録ユーザーに招待状を送るとき、受け取り側のユーザーは①リンクを開く、②LPにたどり着く、③サインアップ方法を選ぶ、④登録を開始する、⑤登録完了といったステップを踏むことが想像出来ます。

Pinterestはこのプロセスの内、「②LPにたどり着く」に着目し、この段階で離脱する理由として「Pinterestの価値や使い方が未登録ユーザーに伝わっていない」可能性に着目しました。

その成果は定かではありませんが、現在Pinterestでは、ファネル分析の結果を活かして、サインアップページの背景に使い方に関する文言と関連画像を挿入しています。

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最後に

一見基本的な考え方や手法が多いようですが、基本に忠実だからこそPinterestはこれだけのグロースを達成出来ているという見方も出来るでしょう。

Pinterestの魅力をもっと知りたいという方は、ぜひとも以下の2記事も併せて参考頂ければ幸いです。

ピンタレストのユーザー獲得&定着率UPに隠された5つのグロースハック

時価総額5000億!グロースチャネル・Pinterestに飛びつくべき6つの理由

参考: How Pinterest drives sustainable growth

5/30更新「『好きより価値を追求しろ』ネットの覇者アンドリーセンが語るプロダクト論」

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時価総額5000億!グロースチャネル・Pinterestに飛びつくべき6つの理由

画像共有系SNSのPinterestが、このほど5,000億円の時価総額を記録し、200億円の増資に成功しました。

本日は、なぜPinterestがこれほどまでに高く評価されているのか、6つの理由を紹介致します。

【参考及び画像参照】Here’s Exactly Why Pinterest Is Worth Its $5 Billion Valuation(BusinessIntelligence)

NEW NYTの社外秘レポートが明かすネットメディアの生死を左右する6つの課題

脅威のエンゲージメント

Pinterestが注目を浴びる最大の理由の1つは、驚異的とも言える女性ユーザーの高いエンゲージメントです。

以下のグラフから分かるように、Pinterestを使う女性ユーザーの84%は、利用開始から4年が経過してもアクティブユーザーであり続けているというリサーチ結果が出ています。

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更に、以下のグラフは、利用開始から時間が経つほど女性ユーザーのPin(Facebookにおけるシェア)の数が上昇する傾向にあることを示しています。

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利用開始年には年間42回しかPinしなかった女性ユーザーが、4年目には152回を記録しており、使えば使うほど中毒性が高まる傾向にあるようです。

近年の急成長

以下は、Pinterestの基本統計情報です。

・Pinterestユーザーは世界に約7,000万人存在

・ローンチ以来300億Pin(画像のアップロード)を達成

・ローンチ以来7億5,000万ボードが誕生

注目すべきはPinterest特有かつ最重要機能であるPinの数。

最新の統計が発表されるまでのたった半年間で、50%の成長を記録しています。

高所得女性ユーザーからの支持

Pinterestユーザーの内、41%は世帯年収が500万円を超えているという調査結果が出ています。

若者がユーザーの大半を占めるその他ソーシャルメディアに比べて、マーケターにとってその価値が高いことは歴然です。

NEW NYTの社外秘レポートが明かすネットメディアの生死を左右する6つの課題

サイト外でもアクティブ

Pinterestユーザーは、直接アプリやウェブサイトにログインしていないときでもアクティブ状態にあることが明らかになっています。

例えば、Pinterestに貼られたEコマースサイトへのリンク総数の8%は、手芸品やヴィンテージ商品を扱うコマースサイトのEtsyに設置してあるPinボタンを経由しています。

また、同数の67%は、Pinterest外に存在するコンテンツを手軽に同期出来るブックマーク機能を経由しているとの結果も出ています。

Most Marketer-Friendly

Pinterestは、今最もマーケターフレンドリーなソーシャルメディアであると言われており、その最たる理由としてあげられるのは、ユーザーのPinterestの楽しみ方です。

多くのユーザーは、Pinterestを自身の理想の家、部屋、結婚式、バケーション、ディナーをバーチャルに実現することを1つの目的としてPinterestを利用しています。

つまり、友人知人と触れ合うことを主目的としたFacebookやTwitterよりも商品へのリンクや画像がナチュラルにソーシャルメディア上に存在し、その結果としてユーザーが広告を広告として認識しない風土が醸成されているのです。

実際に、Pinterestとマーケティングとの相性は、以下のデータを見ても明らかです。

・Eコマースサイト全体へのリファラルの23%をPinterestが占めている

・21%のPinterestユーザーは、Pin、Re-Pin、Likeなどのアクションを実行後に実際に商品を購入している

MAUだけを見ればFacebookの1/5とも言われるPinterestですが、Eコマースサイト全体へのリファラルでは僅差につけているとの報告もあり、マーケティングとの相性の良さは明らかです。

同系統のサービスではよくInstagramと比較されますが、コマースサイトへのリンクのしやすさがこの二つの違いを明確にしているようです。

更なるビジュアル化

近頃Pinterestは、画像検索スタートアップ VisualGraphを買収しました。

画像を読み取り、類似性の高い画像を発見することに長けたVisualGraphの買収により、Pinterestは「テキストやタグで検索しなくても、好みの画像や商品をPinterestに貼付ければ貼付けるほど自分の欲しい製品に関する情報が手に入る」未来へ1歩前進したと言えるでしょう。

最後に

2013年の11月に正式に日本語でのサービスが開始したPinterest。

FacebookやTwitterはもちろん、日本ではInstagramと比べてもまだまだ認知度が低いPinterestですが、上記のデータからも分かる通り、Pinterestのグロースチャネルとしての価値を見過ごさない手はありません。

女性ユーザーが圧倒的に多く、扱うプロダクトによってはマーケティング効果がまだまだ未知数であることも事実ですが、未だ「ハック」されていないグロースチャネルの1つとして、早く日本でも活発に活用が盛んになることに期待です。

NEW NYTの社外秘レポートが明かすネットメディアの生死を左右する6つの課題

Airbnbのデータの使い方 ー 時価総額1兆円に達した理由 ー

Airbnbの時価総額1兆円評価は、データサイエンスの賜物と呼べるのかもしれません。

本日は、VentureBeatに掲載された、AirbnbのHead of Data Science Riley Newman氏のインタビューを、翻訳して掲載致します。

参考:How Airbnb used data to propel its growth to a $10B valuation(VentureBeat・英語)

おまけ記事:恋人いるの??いないの?? Facebookが新機能で新たな出会いの形を提供

前書き

データサイエンスがどのようにAirbnbのプロダクトに関する意思決定の優先順位付けと急速なグロースをサポートしたのか。

AirbnbのHead of Data Science Riley Newman氏とのインタビューを通じて、上記の疑問を理解するために必要なフレームワークを学ぶことが出来ました。

Newman氏が明かしてくれたレッスンは、あなたのスタートアップが今後データと意思決定をグロースにつなげる試みの中できっと役に立つことでしょう。

著者について:

Carl Shan

Max Song

Shan氏とSong氏は、世界トップのデータサイエンティストの考察やインタビューを集めた書籍「Data Science Handbook」の共同執筆者です。

データこそユーザーの声

Airbnbにおいて、集合データはユーザーの声として扱われるとNewman氏は語ります。

データサイエンティストは、①ユーザー同士の交流のログから「願望」を抽出し、②プロダクト・マーケティング・CSチームのために抽出した願望を解釈することによって、ユーザーの声を拡大するメガフォンの役割を果たしているのです。

Newman氏は、データについて、以下のようにも語っています。

データはあなたの顧客の声なんだ。データはあなたのコミュニティに存在する誰かが取ったアクションの記録であり、この記録は彼らがプロダクトとの関わり方に関して下した決断を表している。データサイエンティストの仕事は、これらの決断をデータサイエンティスト以外の誰かが理解出来るように、ストーリーへと変換してあげることなんです。

データと検索の改善

ユーザーの声に耳を傾けることの重要性を説く為に、プロダクト改善に向けてAirbnbがどのようにデータを使ったか、具体的な例を見ていきましょう。

マーケットプレイスとして、検索はAirbnbの肝と呼べる機能です。検索エンジンのチューニングは、顧客満足度を高め、Airbnbのグロースを促進する必要不可欠な推進力にあたるのです。

しかし、ローンチ当初のAirbnbはユーザーをどのように誘導すれば良いのか分からず、「検索指定位置から一定の距離に存在する最もクオリティの高い物件を表示する」という単純な解決法から始めるしか方法はありませんでした。

徐々にユーザーが集まるようになって初めてデータの採取が可能になり、この段階でようやく最初の検索モデルからユーザー・ドリブンの検索モデルへとシフトし、結果として顧客満足度と成約率の向上に成功したのです。

Newman氏は、このプロセスを以下のように語っています。

(データが集まった段階で、)私たちはユーザー自身にこの問題を解決してもらおうと決めたんだ。具体的には、ゲストとホストの交流ログが詰まったデータセットを利用して、ユーザーの検索指定位置(例えばサンフランシスコ)を基に、あるロケーション(例えばサンフランシスコ内のミッションディストリクト)で予約を行う条件付き確立を推測するモデルを作りました。これによって、サンフランシスコ周辺の検索結果はサンフランシスコで検索した他のユーザーが実際に予約した物件に偏るようになります。例えばミッションディストリクトとか、ローワーヘイトとかね。

ユーザーがプロダクトを利用する中で生まれたデータを活用することで、Airbnbはより良いプロダクトを届ける方法を発見したのです。

データとオーダーメイド体験

私たちは、数多くのA/Bテストを実践しています。世界中のどこにいても、どんなユーザーに対しても、直感的で満足のいく体験を提供する為に。

—Riley Newman, Airbnb

Airbnbのもう1つの具体例に、データを使って異なるユーザー層にオーダーメイドの体験を提供した例が挙げられます。

2014年初頭、アジア諸国からAirbnbを訪れたユーザーは、ホームページからの直帰率が高いという事実をデータは明らかにしました。

更に、データはユーザーが「Neighborhood(宿泊先周辺のガイド)」リンクに気を取られ、リンク先にある写真を閲覧する中で行き場を見失った結果、二度と予約プロセスへと戻らなかったことも明らかにし、データサイエンティストはすぐさまこの問題の解決に乗り出しました。

データサイエンティストが提出したデータに基づき、エンジニア陣はこの地域のユーザーに対してのみ「Neighborhood」リンクを除去。代わりにに中国、韓国、シンガポール、日本の人気旅行先を表示したところ、この地域のユーザーのコンバージョンが10%も改善したと言います。

最後に

データと真剣に向き合うことで、Airbnbはプロダクトの改善とグロースに成功してきました。

データサイエンティストと起業家としての手腕の融合は、彼らを時価総額1兆円、そして世界中に存在する何百万ものユーザーを誇る企業へと成長させ、私たちにデータとの関わり方を考えさせる貴重なレッスンを提供してくれます。

このインタビューを通じて、データをユーザーの声として扱うこと(つまりデータサイエンティストに粗データの状態である声が何を意味しているのか解析してもらうこと)、そして解析結果に基づいて意思決定を行っていくことが如何に重要か、お分かり頂けたのではないでしょうか。

おまけ記事:恋人いるの??いないの?? Facebookが新機能で新たな出会いの形を提供

恋人いるの??いないの?? Facebookが新機能で新たな出会いの形を提供

Facebookがまたまたユーザーの生活を楽しくしてくれるかもしれない新機能を追加しました。

気になるあの人の交際関係を「質問」

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既にご存知の方も多いように、Facebookはユーザーのプロフィール情報をよりオープンにする為の施策として、プロフィールの各欄に「Ask( 質問する(日本語だとどうなってるか分かりません) )」ボタンを設置してきました。

今までこの施策が適用されてきたのは、学校名、電話番号、email、居住地、出身地などの基本情報に限られてきましたが、今回の試験的なアップデートにより、友人の交際関係にも「Ask」ボタンが設置されるようになったのです。

使い方

使い方はとっても簡単。

①気になるあの人のプロフィールに行って、交際関係をチェック

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画像:Mashable

②未公開を確認したら、ポップアップ内で早速質問

あsk

画像:GIZMODE

上記の例では、「hey girl(ヘイ、彼女〜)」と質問していますが、恐らくこれでは回答を得るどころか、友人関係を解除されても仕方ないでしょう。

③リクエストを受け取ったユーザーは、気分に応じて回答

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画像:Mashable

「恋人いないの?? 今度飲みにいこ♡」のメッセージと共に送られたリクエストに対して、「ウワ、無理ッ…」な気分であれば無視orリクエスト元のユーザーにのみ「シングル」と公開、「気になるあの人が私のこと気になってる♡」であれば返信&リクエスト元のユーザーにのみ交際関係を公開することが出来ます。

最後に

使わねぇ。

大人気アプリSecretが晒す差別だらけのシリコンバレー

Whisperと並んで注目を集める匿名系SNSアプリSecret。

シリコンバレー在住のアーリーアダプターを中心に愛用されるこのアプリが、シリコンバレーの差別問題をあぶり出していると今話題になっています。

併せて読みたい日本人も無視できないシリコンバレーを襲う「年齢差別」

女性差別を浮き彫りにする9つの匿名投稿

以下で紹介する投稿は、BusinessInsiderによってまとめられた、シリコンバレーの女性差別を浮き彫りにする10つの投稿です。

母の日にちなんだ「YouTube・FB・Yahoo!含むテック業界を牽引する11人の超パワフルママ」では海外の特筆すべきワーキングマザーを紹介致しましたが、テック業界における女性の地位向上には、まだまだ大きな壁が立ちはだかっている様子です。

①女性が一人もいないカンファレンス

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テック系のカンファレンスと思われる写真に、「Spot a woman…(女性を見つけてみな…)」というテキストが挿入されています。

完全匿名性のSecretでは、これ自体が女性による投稿か男性による投稿か定かではありませんが、時代の先端を行くシリコンバレーも未だに男性支配が根強いことが分かります。

②ミーティング≠デート

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本当に不愉快。地位も権力もあるベンチャーキャピタリストに誘われて業界についてのディスカッションを目的としたミーティングに参加したら、最後に頬にキスされて、「次はいつ会える?」って聞かれたの。#これはデートじゃない

はじめからデートに誘わずに、「業界についてのディスカッションを目的」として誘いをかけているあたりが、何とも卑しい感じがします。

③女性=3Dプリンター

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女性は人間の3Dプリンターだ

もちろん投稿者本人の真意は分かり兼ねますが、悪意のある投稿と捉えられてもおかしくはありません。

④女性も必要。でも…

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「事実: 男だらけのチームに最初の女性を入れなきゃ行けないときは本当にゾッとする」

確かに男性だらけだから出来たこと(上半身裸で仕事とか(?))が急に出来なくなってしまうことはあるかもしれませんが…

⑤間違った差別是正

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「テック業界で働く女性の力になりたい。そう思って女性のハッカーを雇ってみたけど、別に彼女がベストチョイスだったからではなく、結局彼女が女性だから雇ったんだよね。これって間違ってる?」

間違ってます。

併せて読みたい日本人も無視できないシリコンバレーを襲う「年齢差別」

⑥適切な方法

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「多くの恋愛は職場から始まるけど、地位も権力もある(VC, CEO,etc..)独身男性が仕事のミーティングをきっかけに将来のデートにつなげる適切な方法ってある?」

コメントを見ると、「権力を握っている限り適切な方法なんて無い」や「同じ組織にいるなら絶対やるな」といったもっともな意見が多いようです。

⑦GitHubの女性差別

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「男からジロジロ見られずに職場でフラフープすることも出来ないなんて、なんて世界に私たちは生きているんだろう。こんなの恥さらし。」

実はこれ、アメリカのニュースではなかなか大きな話題となった、GitHubの女性差別問題のきっかけとなった出来事。(詳しくはこちら)

GitHubの共同創業者が辞職を迫られるまでに発展したこの騒動の中心人物、Julie Ann Horvath氏の退職を決意させたのが、フラフープで遊ぶ女性社員を「ストリップクラブのように」ジロジロと見る男性社員だったと、彼女はテッククランチの取材に語っています。(日本人からすれば「そもそも職場でフラフープって…」といった感じですが、シリコンバレーのIT企業となればそんな自由な風景も当たり前です。)

Horvath氏が退職した後も、「自称GitHubの女王が王座を降りて、大衆は大喜びだ」といった発言がSecretに投稿されています。

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⑧高校生…?

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SXSW(テック系のイベント)で、「女性起業家と一発ヤった」って嘘ついてる男を見つけた。自分の格を上げる為に女性の評判を落とすなんて最低。

やってることが高校生です。

⑨ファンドレイジングの壁

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「今、ベンチャーキャピタリストとミーティングしてきたんだけど、ずっと胸をジロジロ見られてた。これって投資の確率が上がったってこと?」

海外のベンチャーキャピタリストはそんなに好色なんでしょうか…

⑩下手に反抗も出来ない

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前に一度だけテック業界の性差別について公に発言したことがあったけど、その直後に一人の男性は私をFacebookの友人から外して、更には私のプロダクトからも除名していたわ

前述のHorvath氏同様に、現状に対する不満を吐き出すことも今のシリコンバレーでは困難であるようです。

最後に

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「Secretが誕生して、有色人種として初めてシリコンバレーで人種についてオープンに議論出来るようになった。」

上記の画像にあるように、Secretを通じて明らかになったのは、女性差別だけではありません。

匿名アプリSecretは良い意味でも悪い意味でもシリコンバレーの裏の顔を暴くメディアとしての存在感を強めており、今後も何か大きな事件や問題が浮き彫りになりそうです。

併せて読みたい日本人も無視できないシリコンバレーを襲う「年齢差別」

成功の秘訣はプロダクトへの情熱と納得する超有名サービス創始者10人の名言

グロースハックジャパンを通じて予てよりお伝えしてきたプロダクト体験の重要性。

もちろん最高のプロダクト体験を演出するにはローンチ前後にかかわらず多大な努力を要するため、プロダクトが提供する価値や体験に対する強い情熱無しに達成することは困難です。

そこで本日は、プロダクトに対する情熱の重要性を再認識出来る機会になるであろう、Dropbox、Twitter、Tumblr.、Airbnbを含む超有名サービスの創始者10人による名言(意訳あり)を紹介致します。

Twitter

もし起業家に対して何か1つでもアドバイス出来るなら、「自分が取り組んでいるビジネスに対して、『感情の投資』をしろ」っていつも言っているんだ。なぜかって、そうしなかったことが僕がOdeoで失敗した理由だからね。

—Biz Stone, Twitter

Stone氏は、サービスの理念や価値に対する強い共感を『感情の投資(emotional investment)』という彼なりの言葉で表現しています。

自身の失敗を踏まえたこの発言からは、非常に強い説得力を感じます。

Dropbox

ニューヨーク行きのバスに乗っていると、USBを家に忘れたことに気づいたんだ。この状況にどうやって対処すれば良いんだと考えたら突然非力になって、もう二度とこんな経験をしたくないと思った(のがDropboxの始まりです。)

—Drew Houston, Dropbox

Dropboxは、Houston氏の身近で起きた災難から生まれたプロダクトです。

Google、Facebook、Airbnbに学ぶ「馬鹿げたこと」のすゝめ」でご紹介したWorld Innovation Lab 伊佐山元氏による発言の中にも、「普段の生活をしていて、こういう問題を解決するためにこのベンチャーを始めたんだ」というタイプほどミッションに対するコミットが強く、成功する傾向にあるという発言があり、まさにDropboxもその例と言えるでしょう。

Facebook

Facebookを会社にするつもりなんて元々無かったんだ。Facebookを作った理由は、「オープンで透明性の高い世界を作る」という1つの社会的使命を達成する為だからね。

—Mark Zuckerberg, Facebook

今でこそ株式上場に成功し、マネタイズに余念の無いFacebookも、誕生の理由は営利目的ではなかったとZuckerberg氏は語ります。

実際に実名制のSNSを世界に浸透させた功績は大きく、インターネットがよりオープンな場所に変わるきっかけを作った事実は高い評価に値します。

一方、Secretの買収騒動等、時代の潮流に合わせてこの理念に一見そぐわない動きも見せるFacebook。

Zuckerberg氏が掲げる使命に嘘は無いのか、今後の動向にも注目です。

Pinterest

僕はずっと「人が身の回りに集める物ほどその人について多く語るものはない」という考えに心を奪われていたんだ。だからPinterestは決してビジネスライクな分析から生まれた訳じゃなく、僕が本当に作りたいサービスだったんだよね。

—Ben Silbermann, Pinterest

自身が持つ強い信念をソーシャルメディアという形で実現したPinterest創業者のSilbermann氏。

この信念を貫いた結果、Pinterestは今最もマーケターフレンドリーなネットサービスと評されるまでに成長しています。

Google

「僕たちが成功している理由の1つは、元々ビジネスをやりたくて始めたワケじゃないってことだと思います。」

「もし僕たちがお金をモチベーションにこの仕事をしていたら、とっくのとうに会社を売却して、今頃はビーチの上にいるでしょう。」

「あなたはGoogleってすごいと思うかもしれないけど、僕は未だにどうしようもない会社だと思ってる。」

—Larry Page, Google

上記の発言はそれぞれ異なるタイミングで述べられたものですが、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」という理念がGoogleの成長の原動力となり、その理念を実現する為に飽くなき追求を止めないという覚悟がPage氏の発言から伺えます。

Instagram

僕は昔から、写真を撮ること、そしてPhotoshopを使ってその写真を正方形にトリミングして、フィルターを付けることにとにかく夢中だったんだ。

—Kevin Systrom, Instagram

「夢中」であったと語る趣味がそのままアプリになったInstagram。

自身が楽しみを覚え、情熱を注ぐ趣味を原動力とすることで、その体験を共有したいという思いからより充実したユーザー体験を届けることが出来るのかもしれません。

WhatsApp

WhatsAppのエンジニアは、ユーザーに質と信頼性が高いコミュニケーションサービスを、手頃な価格で世の中に存在する全ての電話に搭載することを目的として、サービスの改善に毎分毎秒を費やしています。

このコミュニケーションこそが私たちにとってのプロダクトであり、情熱です。

広告やパーソナルデータの取得の重要性が増せば、あなた自身がプロダクトに成り下がってしまうことをどうか忘れないでください。

—WhatsApp Blog

広告を見ていると鬱な気分になるんだ。たとえどんなに費用対効果の高い広告システムを作っても、誰の人生を良くすることも出来ないよ。

—Jan Koum, WhatsApp

多くのネットサービスが広告や広告とフリーミアムのミックスでマネタイズを成功させる中、WhatsAppは広告への嫌悪感を露にし、年間99セントの料金設定(初年度のみ無料)に対する強いこだわりを予てより表明してきました。

前述の発言にあるように、「ユーザーに質と信頼性が高いコミュニケーションサービスを、手頃な価格で世の中に存在する全ての電話に搭載すること」というミッションを貫いたことがユーザー体験の最適化に繋がり、結果的にFacebookによる巨額の買収に結びついたと言って過言ではないでしょう。

Airbnb

2010年の6月、僕は自分のアパートを出て、それ以来は断続的にホームレス生活を続けています。今もAirbnbに登録中のアパートに済んでいるし、毎週サンフランシスコにある異なる家を訪れては寝床を貸してもらっているよ。

—Brian Chesky, Airbnb

今や100億ドルとも言われるバリュエーションを誇るAirbnbのCEOが、現在も自身が提供するシェアリングサービスを使って生活している。

これ以上のPRは存在しないことはもちろん、プロダクトに対する情熱無しにこんなことは到底出来ないでしょう。

Oculus

どうすれば利益を最大化出来るかという観点から値決めをしたり、市場調査を行ったりはしません。私たちはいつも、会社として存続出来る最低限の価格で、出来る限り多くのユーザーにOculus Riftを使ってもらうことを目的にマーケティング活動を行っているんです。

—Palmer Luckey, Oculus

Facebookに2億ドルで買収されたOculusですが、この展開もあくまで「出来る限り多くのユーザーにOculus Riftを使ってもらうこと」が目的であると、様々なインタビューでLuckey氏は語っています。

ポケモンや日本のゲーム文化にも強い敬意を表する折り紙付きのゲーマーLuckey氏が抱く「バーチャルリアリティという発展途上の技術を使ったエンターテイメント体験をユーザーに届けたい」という思いには、一点の曇りも感じられません。

Tumblr.

http://www.davidslog.com/

—David Karp, Tumblr.

皆様は、Tumblr.創業者Karp氏によるタンブラーブログ「デビッドの日記」をご存知でしょうか?

David氏がプロダクトに対してどれだけの情熱を持っているかは、彼のブログを見れば説明はいらないでしょう。

最後に

紹介した名言を通じて、急成長サービスの裏にはプロダクトに対する強い情熱が存在することをご理解頂けたでしょうか。

決して平坦な道のりではない起業とサービスのグロースを達成する為には、多少暑苦しいくらいの使命や理念が不可欠であると、本記事で紹介したサービスや起業家が物語っているのではないかと思います。

プロダクトの重要性に関する記事も、併せてチェック頂ければ幸いです!

「グロースハックとは」 FB、Twitterの成長請負人が語るあなたの考えを覆すグロースの真実

成功するために、グロースハックはマーケティングよりもプロダクト開発に焦点を当てなければいけない

ブックマークアプリPocketのAA(RRR)の悪いとこ7個と良いとこ4個、つまり合計11個

私がかれこれ2~3年愛用しているサービスPocket。

最近では日本語版も登場し、日本でも人気を集めているこのブックマークアプリは、PC向けにGoogle Chrome拡張機能も備えていたり、まさにマルチデバイス時代に欠かせないアプリの1つです。

本日は、そんなPocketのユーザー獲得とアクティベーション施策を、「PocketのAAの悪いとこ7個と良いとこ4個」としてご紹介します。

BAD①いきなり登録

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いくら知名度が高く、その使い勝手の良さが評価されるPocketでも、新規ユーザーにいきなり登録を求めるのはあまり好ましい施策とは言えません。

一番下に「Swipe to learn more >(詳細を見る為にスワイプ>)」の文言が挿入してありますが、意図的に小さく表示してあり、決してユーザーフレンドリーとは言えないでしょう。

質の高いユーザーを増やす為に、ユーザーに大きなアクションを求める際には、必ずサービスの中身をウォークスルーを通じて体験する機会を与えてからが基本です!

GOOD①ログイン方法の選択肢

Screen Shot 2014-05-13 at 17.39.07

こちらは先ほどと全く同じ登録画面のUIです。

ご覧の通り、登録にはG+ログインとEmailログインの2つがあり、Gmailユーザー以外にも対応している点は評価出来ます。

Pocketは本質的にソーシャル系のサービスでないこともありますが、ユーザーの本意ではないリファラルを目的とした不必要なFacebookやTwitterログインを置いていない点も評価出来ます。

GOOD②色彩のコントラスト

Screen Shot 2014-05-13 at 17.39.07

これまた同じ画像になりますが、ここで注目したいのは、2つのログイン方法の色の違いです。

プロセスが楽なだけでなく、ユーザーに関してより多くの情報が手に入るG+ログインの色が目を引く赤で強調されていることが分かります。

これにより、gmailアカウントを持つユーザーが誤って手間のかかるemailログインを選択する確率を多かれ少なかれ抑えられているのではないでしょうか。

GOOD③「ログイン」は小さく

Screen Shot 2014-05-13 at 17.39.07

何らかのタイミングで一度サインアウトしてしまったユーザーのために、ログイン画面へのリンクを設置することは必要不可欠です。

しかし、リンクの設置によって新規ユーザーの気を逸らし、結果として取り逃しが起こっては元も子もありません。

ログイン画面へのリンクは①目立たない配色で、②他の要素と比較して小さく、③画面の中心以外に設置することが基本であり、Pocketもこの基本に概ね忠実と言えるでしょう。

BAD②スワイプの指示が曖昧

Screen Shot 2014-05-13 at 17.39.07

ここからは怒濤のダメ出しです。

一番下に設置してある「Swipe to learn more >(詳細を見る為にスワイプ>)」の文言ですが、本来は左に向かってスワイプし、右側のコンテンツを表示する為の指示にもかかわらず、この文言と矢印の向きでは右側に向かってスワイプしてしまうユーザーがいてもおかしくはありません。

誤解の無いように、「右にスワイプ」、「左にスワイプ」と、しっかり言葉で示してあげましょう。

BAD③肝心なことがアピール出来てない

Screen Shot 2014-05-13 at 18.15.35

こちらの画像は、「Swipe to learn more >(詳細を見る為にスワイプ>)」の文言に従って、実際にスワイプしてみた際のUIです。

「あなたがポケットできるもの」というヘッダーに、3行の説明文は非常に簡潔で分かりやすい一方、「閲覧したい記事、ビデオ、ウェブページを見つけたけど見る時間がないときに、ポケットを使いましょう」という説明文では、「あとで読む」というPocketユーザーにとって最も重要な機能がアピールし切れていません。

以下は更にスワイプした際に現れるUIになりますが、ここへ来て初めて「ポケットアカウントがあれば、タブレット、PCのどこでも閲覧が可能です。インターネット回線だって必要ありません。」という説明が入っています。

付加価値をユーザーに理解させる為には、このページを全面に押し出した方が効果的でしょう。

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BAD④名前を分けて入力

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そもそも実名を入力させる意味がこのアプリにあるかという論点はひとまずおいておきまして、一行で済む名前入力を、わざわざ姓名別にして入力させる意味はありません。

これは、日本語でも英語でも同じことです。

BAD⑤PWの要件が分からない

Screen Shot 2014-05-13 at 18.32.01

一見シンプルで分かりやすいUIですが、このままでは、パスワードが何文字以上なのか、大文字や数字を含まなければいけないのかなどの詳細が分かりません。

いざ4文字のパスワードを入力してみると、以下の通りポップアップが出現し、ようやくパスワードは6文字以上必要であることが分かります。

シンプルさを追求した結果、それが仇になってしまった良い例です。

Screen Shot 2014-05-13 at 18.39.51

BAD⑥不必要なステップ

登録が完了し、更に続くチュートリアルを辿ってみると、以下の「Email me Instructions(使い方をEmailで送る)」というCTAボタンを含んだページが出現します。

Screen Shot 2014-05-13 at 18.45.06

…いる!?

の一言に尽きます。

既にEmailで登録している訳ですから使い方の説明は当然一緒に届けてくれるべきですし、もっと言えば今やっているこのプロセスはなんなの!?という印象さえ受けてしまいます。

BAD⑦アクティベーション中にメールが届きまくる

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チュートリアルをこなしている最中に、Pocketからメールが複数回届きます。

一言、邪魔です。

他のメールまではコントロール出来ませんが、メールに通知を設定しているユーザーの行動を見越せていないが故の過ちであり、今すぐメールを送信するタイミングを変更した方が良いでしょう。

GOOD④Push通知の前に一枚挟む

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ポケットのInstant Sync機能を使うと、アプリが閉じている時でも他のデバイスから取得したコンテンツを自動でポケット内にアップデートしてくれます。

この機能を使うにはPush通知をONにする必要がありますが、いきなり何の前触れもなくPush通知の許可を求めるのではなく、1枚ページを挟むことで、ユーザーに許可を与える意味を示しています。

最後に

良いとこより悪いとこが上回ってしまった本記事ですが、私がPocketのファンである事実に変わりはありません。

より多くの方がPocketを心地よく利用出来るように、AA体験に更に磨きをかけてくれればと思います。

アプリ開発初期にグロース志向のエンジニアが気にするべき3つのこと

edited by Taiyo Kojima ( nanapi Inc., )

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突然ですが、気がついたら「ただ言われたとおりにつくる」「タスクを消化するだけ」そんなエンジニアになっていませんか?

今回は、エンジニアとしてチームにJOINするとき、私が気をつけていることを中心に紹介したいと思います。「より良いプロダクト」「より良いチーム」をつくるきっかけなどになれば幸いです。

目次

1. エンジニア視点を重要視するべき?

2. PDCAサイクルのときに注意していることとは?

3. テスト・自動化を目的にしていないか?

1. エンジニア視点を重用視するべき?

エンジニア視点

・システム化することが仕事ではない

「頑張って実装したものが消される」「細かな仕様変更対応ばかりに追われる」などの経験はありませんか?

グロースハックには「オズの魔法使い」というMVPの種類があります。

(参考: グロースハックの大前提 「MVP」の種類と実例 5選 )

簡単に言えば、「全てをシステム化するのではなくある程度マニュアルで運用できるようにしておく」というものです。

これにより、「システム化」の工数がかからないうえに開発初期の「設計の変更の多さ」にもある程度柔軟に対応することができます。

特にiOSアプリになると「変更」には莫大な時間がかかってしまいますので柔軟に行きたい箇所があれば、始めはマニュアル化しておくことをオススメします。

例えば、nanapiのアンサーでは、通報による「悪質ユーザー認定」の処理を完全なマニュアルで運用していました。「どんな通報がくるのか」「どんな悪質ユーザーがいるのか」「どのように対処すべきか」などを見極めるためです。

システム化せずに柔軟に対応することで「アンサーの世界観構築」を慎重に素早く対応することができました。もちろん今ではほとんどがシステム化されています。

・パフォーマンス最大化のために

近年スマートフォンはどんどんハイスペック化していますが、そうは言っても潤沢なリソースがあるわけではありませんよね?

特に1%の改善を積み重ねていくことが重要視されるグロースハックなどでは、マシンスペックを有効活用してパフォーマンスを最大化することもエンジニアのやるべき重要なことであると言えると思います。

例えば、「カッコイイから透過画像を多用したデザイン」「画像alpha値アニメーション」などはやりがちだと思いますが、「本当にユーザーに必要なデザイン」なのかを改めてデザイナーと一緒に考える必要があるかもしれません。

機能にしてもデザインにしても「なんでもできる」という認識ではなく、「どのように表現するか」「どのように実現するか」を考えなくてはいけません。もちろん「本当に必要でないものは表現しない」という選択も時には必要になります。

・できることは沢山あるはず・・・?

エンジニア視点を貫く重要性を説明してみました。

自分が一番貢献できる部分をしっかり理解して行動することで、プロダクトやチームのパフォーマンスは最大化されると思いますし、他のメンバーにもそこを期待されるべきだと思います。

どんどん指摘して最善策を模索していきたいですね。

2. PDCAサイクルのときに注意していることとは?

PDCA

・チームメンバーと一体となること

エンジニアには多い現象だと思うのですが、PDCAサイクルを継続し続けていると「機械的」になってしまうこともあるかと思います。私もつくることに夢中になりすぎると機械的になりがちなので注意している点です。

LeanUXの基本でもありますが、チームパフォーマンスの最大化も重要な要素です。エンジニアが「機械的」になってしまうと、他のメンバーにも必ず影響しますのでプロダクト開発の中心から離れないように注意しましょう。

・1%の改善に気づけるシステムづくり

素晴らしいPDCAサイクルをまわすことができても検証がおろそかになってしまっては元も子もありません。実行するまえに必ず「検証できる基板」があることを確認しましょう。もちろんそれがない場合は構築しなければなりません。

どうしても、大きな数字に目が行きがちですが、グロースさせていくためには小さな改善の積み重ねが大切です。PDCAサイクルがしっかりワークするようにエンジニアは注意すべきだと考えます。

・PDCAサイクルで重要視していることまとめ

・ ひとりではサイクルを最適化できないことを理解してチーム一体である必要がある

・ 1%の改善を見逃さないための基盤づくり。

ROIドリブンで最適なPDCAサイクルを回すためにも基盤づくりはしっかりとやっておきたいですね。

3. テスト・自動化を目的にしていないか?

テスト・自動化

・なんのためにやるのか

カバレッジ100%のテストを達成することが目的ではありませんよね?自動化も「なんでもかんでも自動化すればいい」というわけではないはずです。

そんな思考停止したような目的を持つよりも、「なんのためにテストをするのか、自動化するのか」を一度考えてみてはいかがでしょうか?

そうすると、最低限必要なテストや自動化項目が明確になってくると思います。場合によっては上位のテストだけで良い場合もあるでしょう。

※テストコード不要と言いたい訳ではありません。どのレベルのテストがあればユーザー価値を高められるのかが焦点にするべきであると考えたいだけです。

・ここもROIドリブンで考えてみる

明確になった「テスト項目」や「自動化項目」にもROIで優先度をつけましょう。PDCAサイクルの中にちゃんと取り込んで確実に最小単位でのサイクルを達成することを優先して開発していくべきだと私は考えます。

そのためには、ある程度のマニュアル化は必要だと思いますし。ときには「自動化しない」場合のほうがユーザーにとっては良い場合もあるかと思います。ここも上記で話した「システム化することが仕事ではない」にかかる部分だと思います。

・手段や目的に囚われ過ぎないで・・・!

もちろん、自身や企業のノウハウを得るために「技術的な挑戦や最適化」は必要ではありますが、一番優先すべきは「ユーザー体験を最大化してプロダクトをグロースさせること」にあります。

ワクワクしますし楽しいのはわかりますが、手段や目的にばかり囚われないように注意したいですよね。

さいごに

ユーザー体験を向上させてプロダクトをグロースさせるために、エンジニアにしかできないことは沢山ありますが、それは「実装」だけではない場合もあると私は感じています。

私はいつも独りよがりではなく、チームのパフォーマンス向上に貢献し「最高のプロダクト」をつくるためにエンジニアとしてJOINできたらと考えています。

「チーム」も「プロダクト」もエンジニアリングして「ユーザー体験を最大化」していきたいですね。

あなたは中毒? アプリ利用回数から分かるあなたの「スマホ依存度」

edited by Ryutaro Mori

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あなたは一日に何回スマホアプリを開きますか?

この度モバイルマーケティング・アナリティクスサービスのFlurryは、1日にアプリを開く回数とスマホ依存に関するデータを公表しました。

単純に依存具合が分かるだけでなく、過去1年間でスマホに対する依存度、そしてモバイルの浸透が急速に拡大したことが分かる、非常に興味深い内容です。

スマホ中毒の基準

13億デバイス上に存在する約50万のアプリをモニタリングするFlurryによると、1日のうちにスマホアプリを開く平均回数はおおよそ10回16回以下であれば利用頻度の観点から「通常」レベルであると伝えています。

一方で、一日につき16回~60回スマホアプリを開くユーザーは「やや依存」レベル、そして60回以上開くユーザーを「中毒」レベルにあると見なしています。

Flurryが定義する「中毒」ユーザーは、無理に利用を制限しようとすると振戦せん妄などの禁断症状を覚えるほどだと言います。

(「60回なんて開かないだろ」と感じた皆さん、余裕があれば実際に数えてみてください。本日私はゆうに100回は開いています。)

以下の図を見てみると、中毒レベルにあるユーザーの数はまだまだマイナーである一方、前年の2013年度の7,900万人と比べると123%増の1億7,600万人が中毒レベルに達していることが分かります。

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「通常」と「やや依存」レベルのユーザー数を見ても、それぞれ前年比23%増、55%増と、スマホ依存が急激に加速していることが見て取れます。

参考: Mobile addicts launch their apps 60 times a day (VentureBeat) 

詳細なデータ

データの詳細を見てみると、「中毒」ユーザーの大半を10代、大学生、中年子持ち世代が占めていることがわかります。

10代と大学生が大きなシェアを占めていることは容易に理解出来ますが、中年子持ち世代が高い中毒度を見せている事実に関して、Flurryは「子供とデバイスをシェアしている」ことが大きな理由であるのではと語っています。

また、「通常」ユーザーの52%は男性、48%は女性であるのに対して、「中毒」ユーザーの48%が男性、52%は女性であり、「中毒」ユーザーに関しては女性が1,500万人多いことも分かっています。

更に詳しく見てみると、女性の中毒ユーザーの特徴として、①母親、②ゲーマー、③スポーツファンであるということが挙げられ、男性の中毒ユーザーに関しては、①車好き、②ゲーマー、③カタログ通販愛好者という特徴が挙げられます。

最後に

前述の通り、私が今日一日何回アプリを開いたか、やや不正確ではありますが意識的にカウントしたところ、60はおろかゆうに100回を超えていました。

元々パソコン依存は自覚していましたが、本記事を執筆するにあたってスマホ中毒であることも認識するに至った次第です。(本日は外出時間が多かったこともありますが…)

本記事とは別の筋の情報によると「スマホを使う時間の内、アプリ使用時間が占める割合」は90%に迫るとも伝えられており、モバイルとアプリはますます同義語に近い存在になっています。

スマホ画面最適化よりも多くの場合開発に工数のかかるアプリ制作ですが、ユーザーの属性を定量・定性両方の観点から理解し、その必要性をしっかりと見極めましょう。

Snapchatの世界観がEメールで体験出来る「Pluto Mail」が話題沸騰中

メールの送信ボタンを押して2秒で後悔した経験はありませんか?

もうそんな心配はありません。Pluto Mailが全て解決してくれます。

Pluto Mailとは

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Pluto Mailは、Eメールの送信後、任意のタイミングで消滅する、自己破滅型Eメールサービスです。

Pluto Mailを使えば、自己破滅型インスタントメッセンジャーアプリのSnapchat同様、自動消滅するタイミングを送信者自身で設定し、記録に残ることを防ぐことが可能です。

既存のメールアドレスを利用出来るウェブアプリの為、メールアドレスを再取得する必要もなく、その手軽さも大きな魅力です。

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タイミングは、送信後にUnsend(取り消す)ボタンを押すか、「開封未開封にかかわらず、送信後○分(秒、時間、日)後に消滅」、「開封後○秒(分、時間、日)に消滅」などの形式でフレキシブルに調整するか、好みで選ぶことが可能。

他にも、未開封の状態であればメールの内容を送信後に編集することも可能です。

一方で、削除後に本文及び添付ファイルは消滅しますが、送信先のメールクライアントにはタイトルが残ってしまうので注意しましょう。

ウェブアプリではありますが、Snapchat、Secret、Whisperなどなど、プライバシーの懸念やフェイスブック疲れを流れにつけたアプリと同系列にあると言えるでしょう。

勘が良い方ならお気づきのように、名前の由来は、太陽系から突然除名されることとなった冥王星(Pluto)が由来です。

考えられる使い道は様々ですが、セキュリティ対策が主な利用用途になるであろうと創始者のLin氏は語っています。

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β版に行列

スナップチャット同様、スクリーンショットで撮影されたら元も子もないPlutoですが、匿名・自己破滅系アプリの流れに乗って大きな注目を集めているようです。

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現在Pluto Mailはβ版のみのサービス提供を行っており、実際にサインアップを試みるとその人気からウェイトリストへと誘導されてしまいました。

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(最近Wantedlyのリファラルでも話題になった「このURLをシェアすればいち早く体験が可能」施策)

希少性の原理を利用したウェイトリスト、人気を表すカウンターの設置、「待ち時間を減らしたいならSNSでシェア」などの施策を見ると、一発屋としてではなく、グロースをしっかりと考えたサービスであるという印象を受けますが、IMが主流の時代にティーンがお遊びでEメールを利用するとは考えづらいことに加え、メールの自動消滅によってプライバシーを守りたいという需要が大きいかと聞かれれば思わず首をかしげてしまうのも事実。

一発屋で終わる心配ももちろんですが、以前グロースハックジャパンでも「『希少性の原理』を利用したグロースハック成功例・失敗例 8選」の中で紹介した失敗例のように、これらの施策によって批判が出ないかも心配なところです。

Pluto Mailのダウンロードはこちら

オンスクリーンVS.サイドドロワー【アプリのエンゲージメントを半減しうるUIに関する決断】

サービスに全く触れたことの無いユーザーを想定して開発を行う

ユーザーと開発側の知識のギャップを認識し、あくまで不慣れなユーザーの立場に立って開発を進めることは鉄則です。

しかし、ユーザーのことを考えて使いやすいUIを意識すれば、その分デザインに妥協を迫られるのも事実。開発側としては大きなジレンマを抱えているのです。

そして、そんなジレンマの代表的存在とも言えるのが「オンスクリーンVS.ドサイドロワー」。アプリの開発や改善を行う中で必ず議題に上がるとっても過言でないほど重要な選択です。

オンスクリーンメニューVS.ドサイドロワーとは

そもそも、「オンスクリーンナビゲーション」と「サイドドロワーナビゲーション」って何という方のために説明をしておきましょう。

まず「オンスクリーンナビゲーション」とは  、アプリの画面上に主要な機能を常に表示しておくUIの呼称です。

オンスクリーンナビを採用しているサービスは、Facebookが良い例でしょう。

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一方で、YouTubeなどは、アプリの画面上にはほとんどアイコンを設置せず、「画面の裏側」に主要機能からセッティングに至までのリンクを掲載しています。これを「サイドドロワー(引き出し型)ナビゲーション」と呼びます。

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【シンプルなTOP画面にメニューアイコンが1つ】

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 【クリックすると数々の導線が登場】

オンスクリーンとサイドドロワーのジレンマを言い換えれば、それはユーザービリティとデザインのジレンマです。

オンスクリーンの方がアプリに不慣れなユーザーでも分かりやすく、ワンクリックでアクションを起こせるなど使い勝手は良い一方で、デザインは画面に要素が詰まった印象を与えてしまいます。

反対に、サイドドロワーはデザイン面ですっきりとしたクリーンな印象を与える一方で、不慣れなユーザーからすればどこで何が出来るのか、非常に分かりづらいUIになっているのです。

以前にグロースハックジャパンで紹介した「認知的負荷」にも関係する話ですが、実際にオンスクリーンとサイドドロワーかの違いのみで一体どれだけエンゲージメントに差が出るのでしょうか。デザインを犠牲にするほどの価値がオンスクリーンには存在するのでしょうか。

Zeeboxのケース

その答えに関しておおきなヒントを与えてくれるかもしれないのが、テレビ情報を基に繋がりを紡ぐSNS「Zeebox」です。

Zeeboxはもともとユーザービリティを考慮したオンスクリーンナビゲーションを採用していましたが、2013年にフェイスブックがサイドメニューのA/Bテストを開始し、Google Playチームもサイドドロワーナビを推奨し始めたことから、ビジュアル重視のサイドドロワーにUIを変更しました。

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【Before】

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【After】

ユーザーがUI変更に対応出来るようにと、アプリオープン時にはまずナビゲーションを表示するという施策も取り入れました。

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レビューを見るとUI変更後のユーザーの反応は良好かに思えましたが、アナリティクスを見ると驚くべき結果が。なんと滞在時間が半減していたというのです。

これに慌てた開発サイドは、至急アップデートを加え、元のオンスクリーンUIに回帰することに。変更後のサイドドロワーナビが好きだったユーザーのために、ナビの切り替え機能も追加しました。

この失敗に懲りたかと思われたZeeboxでしたが、念のためにA/Bテストを実施。すると(半減ほどまではいきませんでしたが、)やはり日間利用頻度、週間利用頻度、滞在時間全てにおいてオンスクリーンが良好な数値をたたき出し、結果として現在では全てのユーザーに対してオンスクリーンナビ(トップナビ)を表示しています。

【画像・内容参照: UX designers: Side drawer navigation could be costing you half your user engagement 】

Zeeboxから学べること

もちろんZeeboxの例が全てのアプリやスマホサイトに当てはまるわけではありません。

メインユーザー層のITリテラシーや、利用頻度の高いスクリーンの数によって、オンスクリーンとサイドドロワーの違いがエンゲージメントにもたらす影響は大きく変わることが考えられます。

正解は各アプリが改善サイクルを回して初めて分かることですが、何かセオリーがあるとすれば、Zeeboxの開発者が語るように、1画面で(セッティングなど滅多に利用することのない機能をのぞく)全てのアクションが完了出来るプロダクトであればサイドドロワーメニューを、反対に、いくつかの違ったスクリーンを均等に利用する場合には、オンスクリーンを採用し、アクションまでのステップを減らすことが懸命と言えるでしょう。