デジタル広告が本来、あるべき姿とは?〜広告主とメディアが理想的な関係を築くために 連載1 Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブ 山口 武氏 / アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問/アビームコンサルティング株式会社 顧問 本間 充氏 / アウトブレインジャパン株式会社 代表取締役社長 嶋瀬 宏氏

2019年、デジタル広告業界でキーワードとなるのは、「ブランドセーフティ」「アドフラウド」「ビューアビリティ」だ、とする声が頻繁に聞かれている。だが一体、それらの言葉はどれだけ正しく理解されているだろうか。対策をすでに始めている企業も増えているとはいえ、トラブルが起こった時の火消し役に徹していたり、リスクの計算に追われていたりすることはないだろうか。またデジタル広告の出稿には、広告主とメディアを中心に、多くの登場人物が関わっているにも関わらず、それぞれの立場で閉鎖的に状況を見ているという現状も、概念の実践を難しくしている理由かもしれない。
ここでは3回にわたって、デジタル広告が本来あるべき姿を追求。1回目の今回は「広告主とメディアが理想的な関係を築くために」というテーマのもと、さまざまな立場から議論した。

「ブランドセーフティ」という単語の2面性

嶋瀬 近年、日本でもアドフラウドやビューアビリティ、ブランドセーフティなどの概念が浸透し始めましたが、歴史的にはいつぐらいから起こったのでしょう。

山口 米P&Gの最高ブランド責任者マーク・プリチャード氏が「全ての広告に透明性がなければならない」と発言したのが、2016年4月。これを機に、業界では一気にブランドセーフティへの注目が高まりましたが、それ以前にも、2010年ごろから動きがあったように思います。それが、マーク氏の発言で一気に話題になりました。ただ、日本国内ではまだ、ブランドセーフティの対策をとろうとする企業が少なく、「それは海外の話でしょう」「日本には必要ない」と考える広告主が大半でした。しかし、2017年の終わり頃に東洋経済に記事が載り、また、2018年9月にはNHK番組でも特集された。その辺りから大きく広がり始めたと思います。

本間 そもそも当時、私たちが話題の中心としていたのは、「広告に対する対価はきちんと第三者機関によって評価されているのか」という話だったはず。当時はまだ広告が評価される仕組みが整理されていませんでしたし、広告主もどこか人任せという感じで広告を捉えていました。しかしP&Gのマーク氏が透明性の話を出したとき、世間の関心は「反社会団体にお金が流れる仕組みになっている」という話題に流れ、さらに、「お金が誰の手に入るか」ということよりも、「広告がどの位置に置かれるか」ということに関心が集まるようになった。つまりグローバルに考えたとき、ブランドセーフティという概念には、「広告料がどこへ流れていくのか、適切に使われているのか」ということと、「広告がどこに表示されるのか」という、2つがあるということなんです。

本間 充氏
(アウトブレイン ジャパン株式会社/
アビームコンサルティング株式会社)
嶋瀬 そうした二面性は今も変わっていませんよね。今、日本でブランドセーフティの話をしたとき、「お金がどこへいくのか」ということと「広告がどこに表示されるのか」ということでは、どちらの方が関心が高いのですか。

山口 圧倒的に出面、つまり、どこに表示されるのかということですね。当社としても、株主総会で「ブランドイメージを守っていないのか」と指摘されたり、どこかで炎上したりして、トラブルを鎮火させたいと相談を受けることが多いですね。

本間 しかし嫌な言い方かもしれませんが、本来、アドサーバーは「枠」じゃなくて「人」に対して広告を出していて、cookieをもとにアルゴリズムで画面上に表示している。ということは、その枠は不都合かもしれないけれど、それを見ている人は対象として当たっているということですよね。

山口 課金体系がCPCであれば、結局、クリックさえしてもらえればOKなので、出面はあまり気にされず、ビューアビリティも問題になりませんでした。とにかく広告が表示されれば良いので。しかし、不正インプレッションの話が日本で話題になると、「えっ、ロボットもクリックできるの」という事実が知られるようになり、初めて広告の本質について語られるようになりました。

嶋瀬 でも、「ブランドセーフティの基準は一体どこにあるのか」という問題はありますよね。たとえばテレビ広告でいえば、お昼のワイドショーの広告枠を買ったとき、場合によっては、広告の直前に事件や事故などの話題が流れるかもしれない。それはよしとするのに、ウエブ上でニュースサイトに広告を掲載するとき、事件や事故を報じる記事の隣に広告が掲載されるのは嫌だという。そうなると、日本の大手メディアはブランドセーフティの観点から言うと、ほとんどアウトになってしまいます。

本間 ブランドセーフティと言っても、ブランドの広告担当は広告の出稿や管理が主な役割なのであって、ブランドマネジメントの任務を負っていないことがほとんど。一体、どのような広告が自分たちのブランドを傷つけるか、理解できないはずなんですよね。もし、事件や事故を報じるメディアに広告を出稿する企業がいなくなれば、これはメディア業界にとって一大事です。そういうメディアは社会的な意義を帯びているのに、誰も応援する人がいなくなる。本来、広告主が広告料を出すのは、「頑張ってコンテンツを作ってください」という応援の意識もあったはず。しかし、事件や事故、天災などのニュース記事に誰も広告を出さなくなれば、そうした社会的意義を背負ったメディアは存続できなくなってしまいます。

山口 今、アメリカでも「クリックベイト」という言葉が流行っています。簡単にいえば、ウェブ上の記事に読者の関心を煽るようなタイトルをつけ、閲覧者数を増やす手法なのですが、現在では真面目にコンテンツを作っていたサイトでさえ、ゴシップネタが多くなってしまいました。こうした傾向は、メディアにいいコンテンツを作ろうというモチベーションを失わせますよね。

山口 武氏
(Integral Ad Science Japan株式会社)
本間 本来、アメリカで生まれた「広告の透明性」という概念を考えると、実は、そこではコンテンツの良し悪しは語られていなくて、お金が不適切なところへ流れないよう、アドベリフィケーションのフローでしっかりチェックしましょうということだったはず。でも日本はその本質を履き違え、自分たちのブランド広告が不適切な位置に表示されないよう、それだけを守ろうとしている。
一方、広告主は自分たちが広告を出稿したい場所について、何も意見を表明していない。広告はメディアに対する応援であると考えれば、広告主は自発的に「このメディアに広告を出したい」という場所を見つけ、喜んで出稿するのが本来の姿です。でもそういう意見を言わず、「ここには出したくない」と言って出稿先を削るばかりでは、日本のメディアは体力を失い、広告主も出稿する場所がなくなり、やがて広告業界そのものが疲弊してしまうでしょう。

メディアと広告主の、理想的な関係性とは

本間 今、広告のトランザクションはほとんどスマホを通して行われていますが、スマホのビューアビリティはどうやって計測するのですか。

山口 定義としては、PCでもスマホでも同じです。

本間 スマホとPCのスクロールは意味が違いますよね。そうすると、そもそもスマホのビューアビリティは意味があるのか、という問題が出てきます。当然、ユーザーの態度変容も出てきますし、どこかで目に留まった段階でクリックされればいいのであって、スマホではビューアビリティ自体、もしかしたら不要な概念かもしれない。でもそうした違いを整理せず、「うちはビューアビリティを重要視しています」と、ずっと言い続けているところも多い感じがしますね。

山口 もちろん、ビューアビリティの観点で言うと、ユーザーの閲覧状況やデバイスも考慮しなければなりません。当社もPC用とスマホ用でデータセットを切り分けていて、たとえば1秒、広告が見られたとしても、どのようなデバイスで、どのように閲覧されたのか、データを分析しなければならないと思います。

嶋瀬 ユーザーの行動を促す変数は確かにたくさんありますが、たとえばCTRや総数が変わらないとした時、ビューアブルの時間が2倍になったらエンゲージメントはこう変わる、というデータは出ているんですか。

山口 それはまだですが、ぜひ作りたいですね。

本間 新しい指標を作り、それを制御変数として、メディアに使ってもらいたいですね。でもそれ以上に大切なのは、もっとラフに、広告主にどんな広告を作りたいのか、落ち着いて考えてもらうことじゃないかと思います。「このメディアはスポンサードしたいから、ぜひ、ここに出稿したい」という希望もあるでしょうし、「この広告配信方法にお金を出したい」と言うのもあるかもしれない。広告主は、メディアや広告業を応援する気持ちがないと、お互いwinの関係になれないと思うんです。
私たちは立場上、広告主よりも一歩先に出て、常にバージョンアップしたいと思っているけれど、できれば広告主からの意見も欲しい。それに対して、メディアは「自分たちにはこれくらいの価値がある」と提案する。インターネットができて35年。そろそろこうしたフランクな関係ができてもいい頃だと思うんですよ。

山口 同感です。現在は問題が起こった時、どうチューニングするかということに重点が置かれています。でも、「本当は何がやりたいのか」というところから広告を組み立てていかないと、結果的に同じようなメディアプランばかり、できてしまうことになる。ブランドにとって、どんな広告キャンペーンが必要で、そのための指標として何が必要、など、一つ一つ順を追って考えていくことが大切。その上で、「うちはCPCを重視する」とか「CPMでやる」とかの方針が決まるでしょうし、やり方は各ブランドによって異なるはずです。デジタル広告は決して数字のゲームではありませんから、まずは、本質的なところに戻ってくる必要があると思いますね。

嶋瀬 たとえば、広告のクリエイティブが違っても、広告の効果を測定したエクセルの表ではすべて一律に扱われてしまうという問題もありますよね。

嶋瀬 宏氏
(アウトブレインジャパン株式会社)
本間 アメリカでは、IAB(Interactive Advertising Bureau)が中心となって、広告の測定方法について積極的に議論していますよね。「こういう部分を測定した方がいい」とか「リスク回避のためにここに注目した方がいい」とか。一方、広告主も学びを深めて議論に関わっていますが、こうした議論はアメリカで盛んに行われているんですか。

山口 頻繁に行われています。当社もそうした集まりに呼ばれることがあります。IABはどちらかというとメディアサイドの組織が多く加入しているのですが、当社のようなベンダーが議論に加わることで広告業界自体の風向きが大きく変わったのを感じます。広告の出稿先としての価値が高まり、単価が上がったとか。

本間 メディアの中でも良いメディアが悪いメディアを淘汰するようになり、良いメディアに多くのお金が入る仕組みができてきたということですか。

山口 そうなりつつありますね。同時に、良いメディアに対する評価基準や認識も、標準化してきているように思います。もちろん、良いメディア、悪いメディアの基準は広告主によって変わりますから、主観的にマッチしていればいいのだと思います。

嶋瀬 当社の話をすると、アウトブレインはプレミアム媒体をネットワーク化しているので、たとえば人気のあるYouTuberの動画に出てくる広告と、ユーザーが興味を持って検索しているサイトに出てくる広告では、同じ秒数、表示されたとしても、価値がまったく違ってくると思うんですよ。でもエクセル上の数字にすると、その違いが消えてしまう。分析するマーケッターだって、一消費者として考えてみればその違いはわかるはずなのに、当事者となって数字を前にすると、その意識が欠落してしまうんですね。そういう意識がすべての人に共有されると、真面目に優れたコンテンツを作った人が高く評価される社会になるのではと思うのですが、そうなるにはどうしたらいいのでしょう。

山口 ブランドとユーザーの接点をどこに作るのが適切か。それを考えながら広告を組み立てないと、エクセルに落としてからでは難しいですよね。

本間 なんとなくインターネットのメディアスペースが無限にあり過ぎるから、全部プログラマティックでやらなければいけないと考えている広告主が多いのかもしれないって思うんですよ。だから、「ここには広告を出したくない」というメディアを、まるで砂場の山くずしのような感じで削り取っている。でも本来は、絶対に広告を出したいメディアがあるはずですし、「このライターさんに記事を書いて欲しい」とか、「このYouTuberはスポンサードしてあげたい」とか、そういう希望もあるはず。積極的に出したいところと出したくないところを少なくとも分けなくちゃいけないのに、それすらもやっていないのが現状だと思うんです。

山口 確かにやっていませんね。

本間 旧来のテレビ広告では、当たり前のようにそうしたことを考えていたはずなんです。無限にお金があるわけじゃないですから、必然的に出したい広告枠を選んでいた。でも、インターネットの場合は出したくないものを削る方を優先にしている。こうした不自然なセレクションがよくないと思います。
アメリカではIABのほか、NAB(National Association of Broadcasters)という団体もあって、「こういうメディアに広告を推奨します」と意思表示しています。つまり、メディアは自分で自浄作用を働かせ、また、広告主も自分たちで意思を表明し、対等の関係にあるんです。でも日本はそうじゃない。日本の広告主はメディアに対して意見を表示してはいけないと思っているのか、たとえば2年前、DAZNがJリーグの全試合の放映権を獲得した時、日本の広告主は何も発言しませんでした。広告主はメディアに地殻変動が起きた時に何も言っちゃいけないと思いこみがちです。でも本来、広告主だって意見を言いたいはずですし、メディアも広告主の意見を聞きたいはずなんです。

今、メディアが殺され始めている

山口 言えていないのはなぜなんでしょう?

本間 インターネットの広告担当が、テレビ広告などの買い付けを知らないからじゃないでしょうか。なんとなく、広告はメディア評価で選ぶべきだと思っているんだと思います。でもそもそも、テレビとインターネットでは広告枠の買い方が基本的に違いますし、各メディアの特性を正しく判断できているかというと、そうとも言えない。そろそろ、テレビや新聞など、従来の4大メディアの広告担当と一緒に議論すべきタイミングだろうと思います。テレビや雑誌にもブランドセーフという概念はあるわけですから、互いに学ぶべきことも多いでしょう。

嶋瀬 たとえば、薬物所持で逮捕された芸能人のニュースを報じた番組の後に広告が流れても、ブランドセーフティとして問題があるとはされないのに、これがインターネット広告になると、その記事の隣にあるバナーはブランドセーフじゃないと言われる。メディアが変わると、どうしてブランドセーフの基準も変わってしまうのだろうと、いつも疑問に感じます。

本間 おそらく宣伝部の担当者が、メディアを横断してブランドセーフティを考えていないからじゃないでしょうか。そもそも宣伝部の仕事は、インターネット広告の広告価値を最大化することであって、ブランドを毀損するリスクに対して絆創膏をはるだけじゃないですよね。でも今はすっかり本業が逆転されてしまっている感じがします。

山口 テレビ広告にインターネット広告のようなブラックリストのやり方を当てはめれば、薬物所持した芸能人のニュースが出るかもしれないから、そのチャンネルごとブロックしてしまおうという話になる。でもそれはやり方として正しくないですよね。

本間 もし、薬物所持した芸能人のニュースに広告を載せるなら、たとえば薬物被害を抑止する広告なら価値があると思います。でもそういう議論がされず、一括して広告を載せない、となる。だったら、そうした事件を報じるニュースは世の中にない方がいいのか、という議論になりますよね。
しかしかつて、アメリカのサンノゼで地方新聞が廃止された時、街はどうなったかというと、治安が悪化し、犯罪件数が増えたんです。それは事件や事故を報じる媒体がなくなったから。広告主は、事件や事故など不適切なことが報じられることにも社会的意義があるということを理解すべき。そのニュースや記事を見る人にも、学びや気づきがある以上、そこに掲載される広告は決してブランドを毀損するだけではないと思うんです。

嶋瀬 事実報道かフェイクのニュースか、その本質を見極めないで一律、広告の出稿は不可とするのは非常に違和感がありますし、長期的にみて、広告の将来を閉ざすことになりますね。

本間 今、広告主が理解しなければならないのは、広告主がメディアを殺し始めているということ。これはとても危険で、広告出稿金額がなくなるということはメディアがなくなるということです。それでも広告主は広告を出稿したいのであれば、みずからメディアを育てなければならない。たとえば価値が高いとわかったメディアには相応の広告料を支払うなど、責任の所在を明確にし、「誰が、なんのために広告を作るのか」といった本質に立ち返って、もう一度考えなければならないと思います。

山口 アドベリフィケーションベンダーの立場で言うと、間違ったメッセージを出しているベンダーもあるかもしれないなと思います。つまり、「このツールを使うと広告費を20%削減できますよ」など、誘惑的な言葉で広告主に声をかけるとか……。そうすると、アドベリは警察官のように違反や不正を取り締まるもののように受け止められてしまうんです。でも、私たちが提供しているのはあくまでもツールであって、いわばカーナビのようなもの。どうすれば目的地へ、早く正確にたどり着けるかと考える手段として使ってもらえれば、本来、望ましいメディアにお金が流れるようになります。

本間 いずれにしても、企業ごとに戦略があるでしょうから、横並びの結論が出るものではありません。そろそろ企業ごとに「自分たちにとってのアドフラウドとは何だろう」「ブランドセーフティとは何だろう」と、整理しなければならない時期になったということでしょうね。当然、大手ナショナル広告主のロジックをそのままコピーすることはできませんから、自分たちなりの意思を表明する時代に入ったのだろうと思います。

山口 武氏
Integral Ad Science Japan株式会社
アカウント・エグゼクティブ

ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒。2006年、Oddcast, Inc. 入社。2008年、Experian Marketing Solutions, Inc(ニューヨーク本社)にて大手広告主のマーケティングキャンペーンのサポートや戦略的コンサルティング業務を経験し、2011年に帰国、コムスコアジャパン株式会社にてクライアントサービスマネージャーとしてアドベリフィケーションやネット視聴率など多岐にわたるソリューションの営業サポートから実施までの実務を担当。2015年4月より現職。

本間 充氏
アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問
アビームコンサルティング株式会社 顧問

宣伝会議 デジタルマーケティング実践講座、デジタルソリューション営業基礎講座、データマーケター育成講座、広告効果測定講座、メディアプランニング基礎講座、マーケターのためのKPI設定講座講師。
1992年、花王株式会社に入社。1996年まで、研究員として、スーパー・コンピューターを使って、数値シミュレーションを行う。社内で最初のWebサーバーを立ち上げ、以後本格的に業務としてWebに取り組む。2015年に、アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの事業会社のマーケティングの支援、Webコンテンツ管理システム導入を行う。その他、ビジネス・ブレークスルー大学講師や、東京大学大学院数理科学研究科客員教授(数学)、内閣府政府広報アドバイザー、文部科学省数学イノベーション委員などを務めている。

嶋瀬 宏氏
アウトブレインジャパン株式会社
代表取締役社長

2001年三菱商事株式会社入社。国内外における新規プロジェクト開発などを担当。同社退職後、新規事業のインキュベーション・コンサルティングを行う株式会社ステラ・ホールディングスを設立。2013年11月より世界最大級のディスカバリー・プラットフォームを提供するアウトブレイン ジャパン株式会社の社長に就任。『適切なユーザーに適切なモーメントで』コンテンツを届ける同社のプラットフォームを通して、オンラインパブリッシャーとコンテンツマーケティングを展開するさまざまな企業をサポートしている。

ブランドはどのようにオリンピックのオーディエンスを活かしているか

本日、リオデジャネイロにおいて夏季オリンピック競技大会が開幕しました。イベントはすでに、大きな期待と興奮に包まれています。オリンピックといえば、もっぱら驚くほどの愛国心とスポーツ熱で知られていますが、世界中の何百万人もの消費者がオリンピックに向ける関心を自分たちに引きつけたいと考えるブランドにとってのテントポールイベントでもあります。その膨大な数の熱心なオーディエンスを考えると、オリンピックは間違いなく、最も効果的なマーケティングプラットフォームの1つです。とはいえ、ノイズがきわめて多いため、ここで成果を上げたいと考えるブランドは、考え抜かれた有意義なキャンペーンを企画しなければなりません。差し迫った「マーケティングゲーム」に向けて準備を進めている皆さんのために、ソーシャルメディア主体の考え抜かれたキャンペーンを作り上げた大小のブランドから、いくつかの事例を集めました。これらのヒントが、皆さんがこの夏、そしてその後も、オーディエンスとつながるのに役立つことを願っています。

ヒント1: 範囲を限定したマーケティングプログラムに結びつくキャンペーンハッシュタグを作る

例: まず、競技用アパレルブランドのOiselleを見てみましょう。このブランドは、この数週間にランナーがたどった道のりを追うため、オリンピック陸上競技の選考会に関する新たなハッシュタグを打ち出してきました。同ブランドには多数のハッシュタグがある中、ケイト・グレースがこのビッグショーへのチケットを勝ち取った後には、#flywithkateというハッシュタグが、トップの座に上り詰めました。Oiselleは、ニッチ市場の比較的小規模な企業の成功例です。何かに特化することで、オリンピックマーケティングにおいて自社の存在感を確保しているのです。各オリンピック参加アスリート専用の固有ハッシュタグに加えて、同ブランドには包括的なハッシュタグ戦略もあります。これは#freebird16を利用するもので、マリア・ミクタ=コフィーマリア・エレナ・カジェといったその他のOiselleアンバサダの情報ならびに、オリンピック関連コンテンツの追加が何かあれば、その情報もとらえます。比較的小規模な陸上競技の選考会と連動するハッシュタグと、オリンピックの全開催期間を通して使用できる、より総合的なハッシュタグを併用することで、Oiselleは限定キャンペーンと総合キャンペーンの双方において成功を収める構えです。

 

Track and field runner preparing for olympic games

 

ヒント2: オフラインを含めたあらゆる関連チャネル全体にハッシュタグを分配する

例: ケロッグは最近、これまでのイギリス人オリンピックメダリストを主役にして、ハリウッド映画の象徴的な目覚めのシーンを再現した、#GreatStartsキャンペーンを立ち上げました。このキャンペーンでは、スパイダーマン、フェリス・ビューラー、ブリジット・ジョーンズなどの有名な登場人物という「偉大なスターたち」の一部が紹介されました。このキャンペーンを通じて、同ブランドはユーザ発コンテンツのコンテストを立ち上げることができました。このコンテストは、顧客に#GreatStartsを使用して写真や動画を投稿してもらうもので、優勝すればリオ行きの航空券が贈られます。

 

Kelloggs great starts campaign

 

上に掲載されている投稿作品で分かるとおり、このキャンペーンはすでにおおむね成功を収めています。ケロッグは、自社のウェブサイトやソーシャルメディアチャネルでのプロモーションに加えて、自社製品のパッケージにもハッシュタグを採り入れました。ケロッグは、ハッシュタグがオンラインで機能する一方で、オフライン(特に午前中)でのさらなる後押しがあれば、実に大きな違いを生み出し得ることを示しています。以下は、#GreatStartsのハッシュタグの下で、すでに4,334件も寄せられている投稿のほんの一例です。

Kelloggs great starts campaign Instagram

 

ヒント3: 会話を誘導し、獲得したいコンテンツのタイプについて助言する

例: 頻繁に情報を発信しているギリシャのヨーグルトブランドChobaniは、オリンピックを利用して自社の宣伝をするだけでなく、オリンピックにとどまらず、自社ブランドにとって有用なコンテンツへの行動喚起も行っています。この「悪いものはやめよう」というキャンペーンは、「人は善良さに満ちていてはじめて偉大になれる」という信念によるものです。このブランドは、まさにオリンピックのアスリートのように、その製品、身体、あるいは生活において、有害な成分を決して許さないということを強調しています。そして、消費者も同じ信念に従って生活し、各自の思いつきをソーシャルメディアに投稿するように促しています。Chobaniの使用原料に関するブランドメッセージはそれだけで重要ですが、さらに、オリンピックアスリートが発する関連メッセージとも合わせることができました。そのメッセージとは、健康的であることの重要性です。これがオリンピック期間中、効果的なキャンペーンになることはほぼ間違いないと思われますが、さらにそのメッセージとコンテンツは、この重要なブランドメッセージをChobaniの本拠地まで届け、単なるイベントを超えて生き続ける可能性を秘めています。

 

Alex Morgan Diet

 

ヒント4: 自社の顧客の感動的なストーリーにスポットを当てる

例: 100年近い歴史を持つ保険/金融ガイダンス企業のUSAAは、そのオリンピックキャンペーンにおいて、軍人と家族のストーリーを前面に押し出しています。「リオ2016への道」において、USAAは既存のコンテンツハブを利用して、オーダーメイドのキャンペーンを作り上げました。具体的には、リオで競技する退役軍人および現在のUSAA加入者を紹介するものです。例えば、2012年のロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した、25歳のテコンドーのホープ、ペイジ・マクファーソンには、退役軍人でUSAAに加入している父親のデイヴ・マクファーソン元中佐からの勧めがありました。元中佐は、3年間軍で兵役に服し、13年間州兵を務めました。2004年のオリンピックに出場したコーチのダン・ブラウン少佐は、アメリカの陸上競技男子チームのコーチとしてリオに戻ってきて、次のように述べています。「この(アスリート)兵士たちは…軍の兵士全員が持っている犠牲の心、労働倫理、および任務重視の精神を体現しています。そして、今回はリオです。山はいまだそこにあり、私たちはただ登り続けていくだけです」。感動的なストーリーテリングを通じて、USAAは自社の顧客に語ってもらうとともに、その加入者や家族が直面するあらゆる機会や課題にわたって支援していくという、自社のブランド価値を伝えることもできます。

 

Paige McPhearson Olympics

 

ボーナスヒント: 最も重要な顧客と、双方向の対話で関わり合う

カスタマジャーニーに関する以前の記事で言及したように、各ブランドの消費者は現在、マーケティングについての話を主導しています。どのようにして売り込んでほしいか、どこに働きかけてほしいか、なぜその製品を使用しているのか、というものです。ハッシュタグキャンペーン、さらに言えばいかなるものでも、キャンペーンを実施する場合、自社のファンと関わり合う機会を注意深くうかがうことが必要不可欠です。自社ブランドに対する好意的なコメントと関わり合うことにより、全体としてより望ましいイメージが形成されるだけでなく、ブランドのファンがアンバサダへと変わる道を開くこともできます。というのも、ファンの貢献が認められるからです。さらに、ある顧客との対話を生み出せる時を特定することで、製品に対する洞察を深め、自社のマーケティング戦略を改善するためのアイデアをつかみ、さらには他のファンたちにキャンペーンへの貢献を促すこともできます。なぜならこうした方たちは、1対1での会話が可能であると分かっているからです。

この夏、金メダルを獲得するために、皆さんのブランドではどうされますか。

 

コンテンツマーケティング担当者向けのSEOチェックリスト [FREE DOWNLOAD]


検索エンジン最適化(SEO)はコンテンツマーケティングに欠かせないものになってきているため、ターゲット顧客にリーチする最適化されたコンテンツをどうやって作り出すかを理解することは非常に重要になっています。

なにしろ、オンラインでの体験の93%は検索から始まりウェブトラフィックの51%はオーガニック検索によるものです。誰もが、オーディエンスの検索クエリーに対して、自身のコンテンツが解となる最上位の検索結果となることを望んでいます。さらに音声技術の台頭により、SEOはますます重要になっています。あなたのコンテンツを音声制御型の端末で検索できるようにするためには、コンテンツがGoogleのアンサーボックスにランクインされれる必要があります。

検索エンジンのアルゴリズムは、コンテンツをランク付けする際に多数の要素を考慮しています。とはいうものの、以下の最適化されたコンテンツの7つの属性に、これらの要素を集約することができます。

最適化されたコンテンツの7つの属性

  1. 高品質である:ウェブサイトやブログのコンテンツが高品質で、よく練られていて、独自性を持っていることはこれまで以上に重要です。Searchmetricsの2017年ランキングファクター調査によると、「関連性」は相変わらずSEOのトップ要素です。これは、オーディエンスの興味に合った質の高いコンテンツを作成することこそが最も重要な最適化戦術であることを示しています。
  2. クロール可能である:ウェブサイトのコンテンツは、Googleや他の検索エンジンが見つけて、クロールすることができ、内容を理解してインデックスすることができる必要があります。これは、コンテンツのランクインを妨げる技術的な要因が存在しないことを確認するための基本的なステップです。
  3. 需要に基づいている:キーワード調査と市場調査を行えば、最終的に何を執筆すべきかわかるはずです。このステップを踏むことで、オーディエンスが興味を持っているトピックに、コンテンツの内容を一致させられるようになります。
  4. 意図に基づいている:このステップは、キーワード調査のさらに深奥で、検索者の意図を解釈するものです。自社の顧客にとって関心のあるトピックだけに焦点を当てるべきではありません。コンテンツの視点、フォーマット、アプローチにも気を配り、それらをあなたのサイトにユーザーが期待していること、ユーザーが取ろうとしている行動とマッチさせる必要があります。
  5. 最適化されている:コンテンツは、SEOに適したタグが付けられていますか。ページの読み込みに十分な速度が出ていますか。モバイルフレンドリーで、非常に優れたユーザーエクスペリエンスを提供していますか。サイトはセキュアな状態(HTTPS)ですか。
  6. 信頼できる:あなたは、カバーしているトピックの権威ですか(例えば、保険会社が化粧のヒントに関するコンテンツを作成したとします。保険会社はその話題の信頼できるソースではないため、Googleはどんなに優れたコンテンツであってもそのコンテンツを上位にランクインさせません)。コンテンツは十分な調査とデータに基づいていますか。エンドユーザーにコンテンツならではの価値を提供していますか。
  7. 拡散されている:ソーシャルシェアとバックリンクを増加させるために、ソーシャルメディア、メール、PR、およびその他のマーケティングチャネルを通じてあなたのコンテンツを配信しましたか。

一つ一つのコンテンツについて考慮すべき点はたくさんあります。特にSEOがコンテンツマーケティング担当者が考えるべき戦略の一つに過ぎない場合は。

NewsCredのSEO担当としては、プロセスを、やり直し不可能になるほど複雑にせずに、どのように、SEOの戦略とベストプラクティスをコンテンツマーケティングとを統合するがを、クライアントにアドバイスしてきました。

この記事と、ダウンロードして使えるSEOチェックリストを作ったのは、次にコンテンツを制作する際に考慮すべき最も重要なページ上、ページ外のSEO戦術をカバーするためです。このチェックリストに従うと、これらの7つの属性すべてを含み、検索で上位にランクインするコンテンツを作り出すことができます。コンテンツ作成プロセスの中にSEO戦略が溶け込み、各ステップが自分のものになるまでチェックリストを活用してください。



このSEOコンテンツの最適化チェックリストとPDFがあなたのコンテンツマーケティングの取り組みを改善し、あなたが適切なオーディエンスにリーチして、自社にとって意義深いKPIを達成できることを願っています。デジタルマーケティングの景色は絶え間なく進化していますが、あなたのウェブページが高品質のコンテンツで最適化されており、検索上位にランクインされていると、ビジネスが常に優位になるでしょう。

 

最後に、コンテンツを作成したり、オーガニック検索を通じてトラフィックを増やしたりしようとする際に、最も重要な要素に対する理解を深めるのに役立ついくつかの優れたリソースを紹介します(英語)。

 

Matt CoviはNewsCredのSEO担当リーダーです。

コンテンツマーケティング成熟度指数: 先行指標の考え方と活用法

コンテンツマーケティングの状況が変化しつつある今、新たな手段で成功を考えることが求められています。

努力の結果を事業価値として示す必要がありますが、幸いなことに、適切なツール、プロセス、クリエイティブな人材が揃っていれば、難しいことではありません。

しかし、パフォーマンスを重視するコンテンツマーケティングの新しい時代においてさえ、スペースの成熟度とマーケティングチームの目標との間にはズレがあるようです。マーケティング担当者の85%は、依然として成功をトラフィックの増加と捉えています。たしかに、トラフィックはコンテンツマーケティングプログラムで成功を収めるために重要な要素ですが、最終目標ではありません。私たちには新しい技術的能力があるからです。

しかし、ここで疑問がひとつ湧きます。なぜズレが生じるのでしょうか?

質問の答えを明確にするために、私たちは顧客と見込み客の両方に目を向けました。そうすることで、問題が多種多様にわたっていることに気づいたのです。一部のマーケティング担当者は、ROIが測定できると認識しておらず、(コンテンツハブへのトラフィックを増加させるなど)自分たちの目標に沿って行動しているだけでした。他の担当者たちは、最終的な目標がROIを測定することだと認識はしていても、ツールやプロセスを適切に揃えていなかったのです。この傾向は、ほぼすべての業界に及んでいることがわかりました。

こうした結果から、私たちはコンテンツマーケティング担当者が未知なる素晴らしい機会を創出し、プログラムを成熟させ続けるために、もっと良い方法が必要であると考えました。

 

 

コンテンツマーケティング成熟度指数を導入する

NewsCredコンテンツマーケティング成熟度指数を発表することができて非常に光栄です。

これは、マーケティング担当者がコンテンツマーケティングの準備状況を把握するためのツールです。コンテンツマーケティングで成功を収めるうえで現在どの程度準備ができているかを公平に評価することを目的として、本質的な14の質問をまとめました。この指数を使うことで、チームが優れている分野を明らかにしたり、一度(もしくは二度、三度)見ただけでは気づかなかった改善点を特定したりすることができます。

NewsCredが「コンテンツマーケティングのパフォーマンス」に焦点を移すと決めたとき、プログラム改善のアドバイスをしていながら、自分たちの思考が受け身であると気づきました。

ページビューが減少した場合、クライアントにページビューを増やす必要があると伝えていました。そしてエンゲージメントが減少した場合は、エンゲージメントを強化するよう勧めていました。このアプローチは必ずしも間違っているわけではありませんが、先行指標ではなく遅行指標にもとづいてアドバイスをしていたため、全体論的であるとは言えなかったのです。

先行指標と遅行指標の比較

まず、先行指標と遅行指標の説明をしましょう。遅行指標は通常、「アウトプット」または「結果」を指します。コンテンツマーケティングの場合、ページビューや影響を受けた成約件数といった確固たる評価基準のことです。一般的に、遅行指標は簡単に測定できるものですが、結果を促す行動ではないため、ほとんど影響を及ぼしません。なぜなら、結果そのものだからです。

逆に、先行指標は「インプット」にもとづいています。こちらは影響を与えることは簡単ですが測定が困難です。「あなたの配信計画はどの程度優れていますか?」という質問は、必要なページビュー数に到達するためのわかりやすい先行指標となります。しかし、主観的な「優れている」という言葉を測定するのは、実際のページビューのような確固たる評価基準を測定するよりも簡単なものではありません。

遅行指標と先行指標についてさらに詳しく説明するために、体重の減量を例に挙げましょう。ある人の目標は1年に10ポンド(約4.5キロ)痩せることです。「健康的な食事をする」や「ジムに行く」といった行動は、その人が10ポンドのダイエットに成功することを示す先行指標になります。1年の間に痩せたポンド数は、成功の遅行指標、あるいはその人がとった行動の最終結果です。

減少したポンド数には予測能力がありません。それは単に起きたことだからです。昨年10ポンド痩せたからといって、今年も同じくらい痩せることができるとは限りませんよね。つまり、この数字は「健康的な食事をする」や「運動する」という先行指標のインプットから得られたものです。

主に先行指標が成功を左右するため、目標を達成するための最良のチャンスを人々に与えるには、この段階で決定を下さなくてはなりません。

私たちは、すべてのマーケティング担当者が先行指標を肌で感じられるようにするため、コンテンツマーケティング成熟度指数を作成しました。私たちは過去の評価基準のみを調べるのではなく、将来を考慮した評価を行ったうえで重要な結果をもたらす推奨事項を提供しています。あなたはギャップがある箇所を評価し、成功を測定するタイミングが来る前にそのギャップを埋めることができます。

コンテンツマーケティング成熟度指標が機能する方法

コンテンツマーケティング成熟度指標の内容とその重要性を理解したら、それがどのように機能するかを見ていきましょう。

コンテンツマーケティング成熟度指標ツールの中心には、ストラテジー、トラフィック、エンゲージメント、アクション、マネタイゼーションという5つの異なる要素にもとづいたNewsCredの方法論があります。これは、コンテンツマーケティング企業として成功へ導くプログラムを作る方法を学び、それを理解しやすく再現可能なフレームワークへと変換したものです。

まず、NewsCredの方法論をパンケーキのレシピだと考えてください。目の前には小麦粉、ベーキングパウダー、塩、砂糖、卵、バター、ミルクなど、パンケーキを作るための基本的な材料がいくつかあります。チョコレートチップやブルーベリーを加えたり、ミッキーマウスの形にしたりすることもできますが、それがパンケーキであるという事実は変わりません。それらの基本的な材料を正しく組み合わせるための適切なプロセス、原料、ツールが揃っていなければ、テーブルでパンケーキを食べられる可能性は、ほぼないでしょう。

コンテンツマーケティングの場合も同じです。重要な要素のいずれかが欠けていれば、そのギャップが成功の可能性に影響を及ぼします。コンテンツマーケティング成熟度指数は、これらのギャップを特定するために設計されているのです。

 

 

ストラテジー: コンテンツマーケティング成熟度指標のストラテジー部分は、組織がどの程度コンテンツマーケティングをサポートしているか、適切な指標に沿って計画を立てているかに関することです。自分自身に問いかけてみましょう。コンテンツマーケティングを使って達成しようとしている測定可能なビジネス目標はありますか?

トラフィック: トラフィックは、あなたのチームがビジネス目標をサポートするために十分なユーザー数を促進するにはどの程度リソースが必要かを確認するものです。ここには、ターゲットオーディエンスの特定、あらゆる場所のユーザーにコンテンツを届けて貴重なトラフィックを確立する配信計画の準備が含まれます。

エンゲージメント: エンゲージメントの評価には、獲得したトラフィックを把握することが含まれます。あなたのブランドから何かを購入する可能性を持った人々を誘致していますか? 彼らはどのくらいの時間をかけてあなたのコンテンツにエンゲージしていますか? 今後さらに優れたコンテンツを作成するために、調査結果から得られたインサイトを活用できますか?

アクション: 方法論のアクション部分は、プログラムが機能していることを示せる、明確かつ重要な評価基準を確認することです。サイト内でニュースレターのサインアップや価値の高いアクションを推進していますか? どのマイクロコンバージョンを最適化すべきか把握していますか? この段階では、コンテンツマーケティングが組織にとって有意義な成果をあげていると示すことが重要です。

マネタイゼーション: あらゆるコンテンツマーケティングプログラムの黄金律です。コンテンツマーケティングを使って組織の実際の収益や成長を推進していますか? 推進しているならば、防御的かつ確固たる評価基準でその価値を明確に証明することができますか? この段階における先行指標の例は、報告ラインの設定やこれらのコンバージョンを追跡する適切なツールを揃えることです。

これらの各構成要素は、最終的に当社のコンテンツマーケティング成熟度曲線(前述のグラフ)と相関する単一のスコアにまとめることができます。スコアが高くなると、綺麗にカーブを描くようになります。この曲線は、次の成熟度に到達するために必要な主要のマイルストーンを示しながら、成功する可能性を視覚化しているのです。

実際のコンテンツマーケティング成熟度指数

遅行指標ではなく先行指標を使用することは、理論的には素晴らしいことのように思えました。そして、私たちは実際に顧客と仮説をテストする前まで、本当にそれが素晴らしいソリューションだと確信していたのです。

ある顧客は、NewsCredも顧客自身も成功を確信できるようなプログラムを実行していました。エンゲージメントの指標は堅実で、ページビュー数も高く、最終目標はシンプルに「ソートリーダーシップを生み出す」こと。どう見ても、私たちはその目標を上回っていました。

しかし、コンテンツマーケティング成熟度指数を使ってその顧客を測定したところ、戦略にギャップがあることがわかりました。ページビュー数やエンゲージメントを獲得しても、それらはビジネスに価値をもたらしていなかったのです。彼らは、ビジネスでの重要な成果を反映するために、目標を変えました。

指数から特定したギャップにもとづき、主要プログラムを変更して実装しました。そうすることで、ニュースレターデータベースは90%以上、そしてリードコンバージョン率が1,000%以上も向上。最終的に、ニュースレターから来たユーザーがサイトで約3分も長く時間を費やすようになりました。

これは、プログラムのあらゆる面でパフォーマンスが向上したことで、先行指標の力が示された例です。

コンテンツマーケティング成熟度指数は、先入観のないレンズを通してプログラムのすべての要素を見せてくれます。そのため、表面化されていない重要な要素がすぐにわかるようになります。またそれにより、目標に対して実行されるアクションの観点からもパフォーマンスの基準値を設定でき、変更が行われた後でも自分たちの進捗状況を追跡することができました。

あなたのコンテンツマーケティング成熟度を測定する方法

私たちはこの方法論と指数の有用性に自信を持っています。そのため、コンテンツマーケティングのギャップを埋めてROIを証明しようとしている方の手助けをするために、幅広い市場で公開しています。

さらに、私たちは業界のベンチマークを公開する予定ですので、データが集まるにつれて、競合他社と比較した自分たちの立ち位置を知ることができるでしょう。

私たちは、皆さんと新しい進展や発見を共有できることに非常に興奮しています。そして、それらが皆さんのお役に立つことを願っています。

 

それでは、あなたのコンテンツマーケティング成熟度指数スコアを今すぐ調べてみましょう

 

Johnny O’NeilはNewsCredのプロダクトマーケティングマネージャーです。

 

freee流グロースハック。月間30本もの施策を行う秘訣とは。

GHJインタビュアー(以下、GHJ):本日はよろしくお願いします。早速ですが、まずはfreee 社の事業と提供するサービスについて教えてください。

轡田 哲郎氏(以下、轡田):スモールビジネスに関わる方々がクリエイティブな仕事にフォーカスできるようにするということをミッションとして、主にバックオフィス業務のクラウドサービスを提供しており、「クラウド会計ソフト freee」、「クラウド給与計算ソフト freee」、「会社設立 freee」の3つのサービスがあります。他にもオウンドメディアなどいくつかのサイトを保有しています。

※参考:会計ソフト freee
鈴木 幸尚氏(以下、鈴木):加えて、10月から始まるマイナンバーに関するサービスも現在立ちあげているところです。

GHJ:複数サービスがあるんですね。その中でみなさんはどのようなお仕事をされているのですか?

グロースハックを専門で行うスペシャリストチーム

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・左からエンジニア轡田氏、エンジニア大平氏、マーケティング鈴木氏

轡田:freee はセールス、マーケティング、開発、サポート、UX…などのいくつかのチームで運営していて、私たちはその中でグロースハックに特化したグロースチームに所属しています。

GHJ:グロースハックに特化したチームですか。みなさんの職種とチームにおける役割を教えて頂けますか?

轡田:エンジニアでグロースチームのリーダーをしています。もちろんエンジニアリングもやるのですが、企画・プランニングから、作って、リリースしたものを分析して…というところまでやっています。

大平 武志氏(以下、大平):エンジニアの大平です。基本的には企画から実装、あとは分析できるようにデータの出しわけなどをメインで担当しています。

鈴木:マーケ側のグロースを担当している鈴木です。もともとマーケティング担当としてAdWords運用などをやっていたので、そういった知見を活かしたグロースをメインでやっています。エンジニアリングはやりませんが、その前段階の企画や、オンラインマーケティングの実装はやることもあります。

轡田:この3名に加えてもう一人、山田というデザイナーもいれた4名でグロースチームです。あとはチーム外でデータマイニングアナリストがいて、施策に必要なレポート出したりしてくれています。

GHJ:自己紹介ありがとうございます。それでは早速グロースチームについて色々聞かせて頂きたいと思います。

GHJ:グロースチームでは主にどのサービスや領域を担当しているのですか?

轡田:グロースチームは、先にお話した「会計freee」、「給与計算freee」、「会社設立freee」の3つのサービスすべてを見ています。お客様とのコミュニケーションや、LPの改善施策まで何でもやります。継続して利用してもらうためにどういう要素が必要か、そのために何をすべきか考えて、実装まで行なっています。

GHJ:特定サービスにフォーカスするのではなく、3つのサービスに横断的に関わっているんですね。

「エジソン」とにかくアウトプットし続け、成果に繋げるチームカルチャー

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GHJ:グロースハックを担当する専門のチームがあるというのは珍しいと思うのですが、チームのミッションとして掲げているものはなんでしょうか。

轡田:チームミッションは、ユーザーにサービスを継続して利用してもらうために、価値を提供し続けることです。それを表すキーワードとして「エジソン」というものがあります。エジソンは大発明もしていますが、その発明に至る過程で数多くの失敗もしているのは有名ですよね。彼は失敗を失敗と思っていなくて、「うまくいかなかったことを発明した」と言っているんです。

グロースの中でもうまくいかないこともありますが、たくさんの施策をうって、学習しながら、やれることはスピード感をもってどんどんやっていく。そこから学習したことを活かしてさらに施策をうって、成果につなげていく。とにかくアウトプットしていくチームでありたいという思いから、それを言い表すキャッチーフレーズとして、「エジソン」を掲げています。

GHJ:面白いですね。このフレーズはどうやって決まったんですか?

轡田:チーム作りをするときに、メンバーで半日会議室にこもって、互いを知るために個人的な話もしたりしながら議論しました。そのなかでスピード感や、失敗から学んで改善していく、そういったチームであることを大事にしたいという声が多く出て、そこで鈴木が「それならエジソンですね」と。彼はマーケティングの天才なので、キャッチコピー考えるの得意なんです(笑)。

鈴木:「エジソン」一択でしたね。

GHJ:そうなんですね、さすがです(笑)。

状況に応じてチーム体制を変えていく柔軟性

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GHJ:グロースチームが発足するに至った経緯や、今のメンバー構成の理由などについてお聞きしてもいいでしょうか。

轡田:1 年ちょっと前くらいからグロース専門のチームとしてやっています。もともと数字をみてどれくらいのユーザーが継続利用しているのか、有料ユーザーになっているのかなどを追えていなかったので、そこを追っていくチームを作って仕組みを整えていった方がいいということで立ちあげられました。

最初はセールス担当なども含めた5,6名のチームだったのですが、ちょっとずつ変わってきました。メンバー編成にエンジニア以外のマーケやデザイナーも入ってるのは、作るだけでなくデザイン・マーケティングの部分からもサービスを全体最適していく、というところもありますし、このチームだったら何でも出来る、ということもあります。デザイン、UI/UX、開発、それを広めていく、というところまで一貫してできるチーム編成ですね。

GHJ:チームメンバーや構成が変わっていったきっかけは何だったのですか?

轡田:これといったきっかけというよりは、必要なときに必要なメンバーでやれるようにしていった結果ですね。必要なときに、適宜巻き込んでいく、というかたちでプロジェクト毎にメンバーをアサインしたりもします。

GHJ:そうなんですね。皆さんはグロースチーム専任なんですか?それとも他の業務も行なっているのですか?

轡田:私と大平はグロース専任でやっています。 鈴木と山田は他チームと兼任してますね。

GHJ:チームを兼任するのってバランス保つのとか難しそうですね。マーケチームとグロースチームでの住み分けってどのように線引しているのでしょうか。

轡田:サービスプロダクト内をメインで考えるのがグロースチーム。プロダクト外を担当するのがマーケチームという分け方ですね。ただ、マーケは、プロダクト内にももちろん絡んでくるので、はっきりとした線引きはしてないですね。

GHJ:なるほど、ありがとうございます。

月間30本の施策をまわす高速PDCAとは

GHJ:さて、チームミッションやチーム運営の変遷について聞いてきましたが、実際の業務の進め方について教えて頂けますか?

轡田:毎月1回、施策の案出し会議をします。ブレストみたいな感じで。そのなかでフォーカスしていくエリアを決めて、プロジェクトごとにリーダー(プロジェクトオーナー)を決めて、そのオーナーが施策の優先順位を決めて、進めています。

GHJ:そうなんですね。施策の案だしはどのように行なっているのですか?

轡田:他サービス事例をヒントとすることもありますが、本質は「課題解決」ですね。データをみたり、アンケートをみたり、サポートへの問い合わせ内容をみたり、ユーザーテストを実施したりしてユーザーの抱えている課題を把握して、そこからソリューション(施策)を考えています。

BtoBの会計ソフトって、選ぶときに皆吟味するからハードルが高いんです。だから単にクリック率とかを考えるだけでなく、何が課題で、どうやったらそれを解決できるのかを見つけ出すのがとても大事なんですよね。

GHJ:なるほど。月にどのくらいの施策を行なっているのですか?

轡田:細かいA/Bテストなども含めると月30本くらいの施策を行なっています。

GHJ:30本もですか!すごいですね。では常にいくつもの施策を動かしているのですか?

轡田:エンジニアが2人なので同時に動かしているのは2つくらいですね。

GHJ:並行して施策を行うと2つのKPIがバッティングしてしまうこととかないんですか?

轡田:施策の順番はかなり気をつけてますね。優先順位付けをする段階で同時に比較できないものは外すようにしています。

GHJ:優先順位付けはどうやっているのですか?

轡田:インパクトの大きいそうなところからですね。週次で施策対象を切り替えたりしてます。

GHJ:KPIとしては何を見ているのでしょうか。

轡田:KPIとしてはユーザー数と継続率が大きな2つですね。当社サービスの場合は、ユーザーも法人の方と個人事業主の方ではニーズが違うのでそこでも分けています。その他にも
データ入力率とかそういったところも見ています。

GHJ:施策をみる期間はどのくらいなんですか?

轡田:長くても1週間くらいですね。短いものだと2日くらい。統計的な有意さを求めるとサンプル数は多い方がいいのはもちろんなんですが、それだと短期間で改善できないので、(サンプル数の多さによる)厳密さよりもスピード感を重視していて、6割でもいいから出そうということを大事にしています。

裁量権の大きさがスピードに、そして成果に繋がる

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GHJ:とにかくスピード感をもって取り組むと。施策の進捗管理はどのように行なっているのですか?

轡田: 少人数のチームということもあってフレキシブルにやってます。Googleのスプレッドシートにバーっと施策を出して、優先順位やリリース日などをメモしてやっています。細かい進捗確認は毎日の朝会で確認していますね。実際に作るもので言うと半日から1日でやるものが多いですね。

GHJ:施策を行う決定権はチームにあるんですか?なかには会社の承認が必要なものもあるかと思いますが。

轡田:はい、チームに権限があるので、会社の承認がなくてもどんどん進められます。これくらいしないと普通じゃないスピードで改善していくのは無理ですね(笑)。

鈴木:最初はお伺いを立てていたのですが、それじゃ全然進まなくてダメだと。それこそチームができたばかりの時はサインアップフローの変更に数ヶ月もかかって。面白いのは、綿密に考えた案だったとしても結果が必ずしも良くなるとは限らないということですね。逆に、ラフにやった方が結果が良かったです。このままじゃダメだから、とにかく小さい施策でもいいからスピードもって繰り替えて改善していこう、となっていった感じです。

柔軟なチーム体制による他部署との関わり

GHJ:先ほどグロースチームとマーケチームの住み分けの話がありましたが、実行する施策がチーム外からくることはあるんですか?

轡田:それはありますね。サポートチームから「最近こういう問い合わせ多いんだけど…」とか、セールスチームから「こういう数字が欲しいんだけど」とか。

GHJ:そういう場合どう対応しているのですか? 既に進めている施策との兼ね合いもあると思いますが。

轡田:費用対効果を考えてグロースチームで優先順位を付けて対応します。もともとスケジュールをガチガチに固定していないので、インパクトが大きそうなものが突然入ってきたらそっちを優先して対応することもありますし。そこらへんはかなり柔軟に対応していると思います。

失敗をどう次に活かすのか。諦めないことが成功につながる。

GHJ:なるほど、ありがとうございます。施策について事例を教えて頂けますか?失敗したもの、上手くいったものの両方教えて頂けると。

鈴木:先ほどの数ヶ月に及ぶサインアップフロー変更プロジェクトが1つ。あとは2年間ずっと変わらなかった初期登録画面でのA/Bテストですかね。全然違う20画面くらい試しましたね。やっていく上でいろんな知見が貯まり、改善するまで諦めずにやり続けてようやく改善できました。

上手くいかなかった事例で共通していたことでいうと、「なんかダサいから変えよう」みたいな感じでコンセプトがふわふわしている場合でしょうか。こういうケースはダメだった時も何かダメだったかの学びが少ないですね。逆にコンセプトが明確な場合は、仮に失敗しても次に活かせることが多いです。

轡田:うまくいった事例でいうと、サインアップフローの改善でしょうか。「自動で経理」という機能があり当初はそれを推していたのですが、サービスが成長するにつれて、またユーザーが増えるにつれて、それ以外の機能も充実してきたので、思い切ってその機能を推しすぎないようにしたら離脱率が下がったり、いろんな数字が改善しました。

GHJ:なるほど、強みとして推しだしていたところを思い切って変えるって勇気が要りますね。

※GHJ注)
その他にも色々なグロース事例について話してくれました。それらの事例については別サイトの「継続的なグロースハック「クラウド会計ソフトfreee」のユーザビリティ改善事例 | freee 株式会社」で紹介しております。

最後に

GHJ:色々お話頂きありがとうございます。最後に改めて、freee のグロースチームが大切にしていること、読者の皆さんに伝えたいことについて教えて下さい。

轡田:そうですね…グロースハックを行なっていく上で、というかグロースハックに限ったことでは無いと思いますが、「ユーザーにとってマジで価値あるか」をとことん突き詰めることが大切だと思います。グロースハックというのは本質的にはユーザーの課題解決だと思うので。あとはエジソンのようにあきらめない心と好奇心旺盛であることと。これらをもってやり続ければ伸びていくんじゃないかなと思います。
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まとめ

今回はfreee 社のグロースチームに、グロースハックの考え方やチーム発足の経緯、チーム運営の仕方についてインタビューさせて頂きました。インタビューのなかでいくつも事例が出てきたりと(残念ながらここではご紹介できないものもけっこうありました。)、本当に裁量権とスピード感をもって施策を行なっていることに驚かされました。チーム作りやプロジェクトの進め方など、読者のみなさんがグロースハックを行なっていく上でヒントになるものがあるのではないでしょうか。

シロク福山氏、向山氏インタビュー「最小工数最大成果」でクライアントのグロースハックに取り組む

グロースハックに関連するソリューションを起点にして多角的に事業展開するグロースハックカンパニー

片山:本日は取材のご機会ありがとうございます。それでは最初に御社事業内容のご紹介をいただいてもよろしいでしょうか。

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株式会社シロク 取締役 福山敦士 氏(以下:福山):はい。シロクは「グロースハックカンパニー」としてグロースハック(による事業推進およびそのサポート)を打ち出した会社になっています。企業様のグロースハック課題、例えば(アプリやWEBサービスへの)集客、活性化や継続支援、収益をどう最大化するかといったテーマを主に開発視点からサポートをしていく会社になります。

福山:その中でサポートさせていただく方法は大きく分けて3つあります。1つは最も注力しているグロースハックツールの提供事業です。例えばGrowthPushといった配信ツールや、GrowthAnalyticsといった計測ツールなど多数のグロースハックツールを提供させていただいております。

2つ目は(そのツール等で計測されるサービスの)数字をみながら行うコンサルティング事業です。これは数字を見ながらビックデータ解析などを請負で行い、継続率の向上に効く指標を見つけたり、それをモニタリングして改善策を出し、最終的には施策を開発に落とし込むところまで含めてご提案させていただいております。

3つ目はグロースハックを加味した受託開発サービスを提供させて頂いております。ツール/コンサル/受託開発の3つが弊社の事業になっております。

片山:ありがとうございます。グロースハックに関連するソリューションを起点にして多角的に事業を展開されているということですね。お二方の今の役割はどういったことになるのでしょうか。

福山:私はツール・コンサルティング・受託開発の営業をやらせていただいています。

株式会社シロク 取締役 向山雄登 氏(以下:向山):私はクライアントに実際にツールを持って行ってどのように使っていくのかコンサルティングを行っている担当です。また、そもそも会社としてどういうツールを(ソリューションとして)作っていくのかということも含めて、その責任者をしております。

福山:このように説明させていただいて「グロースハック」というと聞こえはかっこ良いのですが、やることは地道な作業が多いので、ツール1つにとってもどういうデータが取れるのかとか何を導き出すのか日々時間をかけて考えています。

開発体制の見直し・サービスの運用改善で売上を500%改善

片山:私は御社と普段から頻繁に情報交換しておりますので、個人としては正直何回もお伺いしているですが、ぜひこのメディアの読者の皆様にもご紹介可能な案件や、事例/イメージを教えていただいてもよろしいでしょうか。

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福山:そうですね。某コンシューマーゲームのクライアントの話ですが、「スマートフォンアプリで収益をあげていきたいけど、中々スマホゲームというかオンラインゲームのノウハウが無いからうまく売上があげられない。」というご相談をいただいたことがありました。

そのクライアントは割と版権の権利モノの良質なコンテンツが多数あったので売上が伸びるとお考えだったのですがうまくいっていないということで、運用改善でスマートフォン事業の売上をどうあげていくかを弊社が担当させていただきました。

最初は数字を見て分析運用すると考えていたのですが、その前に開発体制のところから見直しさせていただきました。また、開発会社が複数に渡ってアプリとサーバー等で担当を分業して作っている体制だったので、もっとたくさんミーティングを開きましょうという提案をして、プロジェクト全体がちゃんと数字をあげるためにどうするかということを一人一人考えて行けるような数字の可視化のスキーム作りや、ミーティングの仕切りもやらせていただきました。

そうして、全員が「ちゃんと数字を上げていくための開発をしよう」、「~という分析をしよう」という意識を持っていけるような体制にしていきました。

片山:ゲームサービスの直接的な数字を介在するだけでなく、ちゃんと役割を明確にするところ(より上位の組織課題のレイヤー)から入っているということですね。

福山:はい。そしてその後に離脱率の分析などに入らせていただきました。最初は数値を取っているのに(集計だけで)分析をしていないとか、ずっと同じ数値を見ているだけところがありましたので、どこに問題があって、そのためにどういう改善策を考えていくことがパターンとして考えていけるかまでサポートさせていただいていました。

そうするとだんだん参加しているクライアントさんや開発会社のメンバーも勘所がつかめてきて、段々とそのミーティングが盛り上がり、サービスの売上も最終的に500%改善しました。

片山:チームとして盛り上がっていくと数値も大きく伸びるものなのでしょうか。

向山:急激にその成果があがるのではなくて、まずは徐々に成長していく仕組みをいれていくという感じです。

福山:まさに「階段型」と言われていて、1%、2%と改善してそこからまた数字が伸びていくみたいな、階段状に数字が上がっていくようなイメージになっております。

片山:その事例にしていただいたゲーム会社さんは版権持っているということで、大きな会社だと思います。そういう大きなクライアントの中でツールを入れてグロースハックのPDCAを回すと言うのは、割と(コミュニケーションや運用の)負荷が大きいから社内で導入していく時は大変だと思うのですが、営業としてソリューションの導入をしていく工夫があったら教えていただきたいなと思います。

手法と設計をパッケージで提供し、サービスをグロースハックさせる

福山:ありがとうございます。ツール単体で「PUSH通知ができるツールです!」というと割と嗜好品に近く見えるツールが多いのですが、組み込む方法や使う方法等の作っていく部分と、どういう分析や改善手法の設計があるか頭で考える部分の2つ両方の部分を弊社が提供して、そこまでサポートすることで入れやすくしております。

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片山:手法と設計を2つをセットでパッケージ的に提供できると導入のハードルが下がっていくということですね。他のASPやSDKでも言えそうなある種普遍的な示唆ですね。

福山:そうですね。大体ツールの説明をすると「素晴らしいツールだね!でもどう使っていいのかわからない。使いこなせるかわからない。」とおっしゃるクライアントさんも多いので、その課題に関しては、コンサルという形で使い方の部分をサポートさせていただいております。

また、「いいツールだけど、開発リソースが無いなあ」と言われたら、「では組み込む部分までやります。」という形でその2つの部分が我々の強みになっています。

片山:そういった部分は外注ではなく自前主義的にやっていきたいクライアントもいると思うのですが、さっきの事例も一部そうなのかもしれませんが、クライアントチーム自体の教育や啓発も行っていらっしゃるのでしょうか。

向山:はい。これまで色々なチームを見てきたのですが、売上目標1億円というのが例えばあった時に、その売上目標1億円に対して、それ逆算して細かく(収益化までの設計の要素を)分けられているかっていうところが全くできてないところが多いですね。

例えば1ヶ月で1億円売り上げるのであれば、それを1日単位で細かく区切って、それに対してどういう打ち手があるかを考えていくべきですが、それができていなかったりします。ですので、目標設定をして、その過程や数値を可視化していく仕組みをつくって提供していくことをやっておりました。

グロースハックのノウハウをどうキャッチアップしていくのか

片山:そういうところのキャッチアップや学習は、御社は事業ドメインがグロースハックですので、業務をやりながら知見貯まると思うのですが、それ以外でキャッチアップする場所とか書籍とか、今ご自身でやっていらっしゃることを含めてインプットしているものやメディアあれば教えていただきたいです。

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向山:そうですね。打ち手に関しましては、ベンチマークする市場に出ているアプリを決めて、例えば「君は地図系アプリ」等の担当を決めて、それを毎日触っていきます。そして、アップデートがあった場合にどういうアップデートがあったのか、ストアのアップデート情報を見たり、実際に触っているとわかるので、何がどう変わったのかと、なぜそれを変えたのか変えた理由を考えて、それをチームに共有していくと言うことをやっています。

片山:いいですね。まさに実学って感じですね。私も今の業務に携わるようになってから面白いと思ったアプリのキャプチャを貯めています。

福山:私はそのアプリがどうアップデートされたかという本質のストーリーを実際に作った人にヒアリングをして聞いています。(向山さんの挙げたような)定点観測はもちろんやるのですが、なぜその判断に至ったのかという想いとかだったりとかを訪ねています。

例えば、弊社グループの事業であるアメーバのぺこりというサービスに関しては、「そのUI改修を注力して最先端のフラットデザインにしてクールに決めた時に、ユーザー層が割と主婦でそれが受け入れられなかったからUI元に戻したら、結果的にあがりました。」みたいな一連のストーリーをケーススタディとして貯めています。

もちろんグロースハック施策は万人に共通するものが中々ないのですけども、そのケーススタディを元に積み重ねていって、ではこの会社のこのサービスにどう活かせるかというのを、都度都度知恵を振り絞りながら提供しています。

片山:面白いですね!その事例集めてデータ販売したら売れそうですね(笑)

一同:(笑)

福山:継続率上げる施策の発信は弊社も社外にも出しているのですけども、それは「点」でしかないので、もちろんそれを(元に得られた知見を)どう活かすかが重要でかつ難しく、しかも人の手がかかるものなのだということを感じます。

片山:勉強になりますね。(そういう業務や日々のインプットの中で、)最近のグロースハックの潮流として感じていらっしゃることはございますか。ある意味御社のソリューションがその最先端の1つなのでしょうけど。

向山:そうですね。実際世の中の様々な情報源で「これをやったから、これだけあがった」とグロースハックに関する記事や書籍が出ていると思うのですが、一方でそれが割としっかり開発が必要とか、実際に運用する人間からすると、中々すぐできないものが多いなということを感じます。

その中で例えばアプリのアップデート等、改修がかからない打ち手、運用の中でできる打ち手はいいなと思います。例えば、アプリ内のポップアップを出せて、ユーザーをイベントや課金に促す際にABテストが実施できるものだったりとか、一運用の人間として、エンジニアの手なしに手軽に施策を打てるものが印象がいいですね。

片山:いいですね、ここからこう自然に(御社新製品の広告告知を)入れていくわけですね(笑)

一同:(笑)

片山:最新のトレンドの話題から自然な形でセールスにいける流れがいいなと。この記事はちゃんと製品出てから公開するので大丈夫ですよ(笑)

向山:笑ってるから変なこと言っているのかなみたいな(笑)

片山:すいません。
(補足)Growth message
スマートフォンアプリのポップアップ配信ツールです。
*この取材の時はまだシロクさんは開発中でした。

向山:でも本当にそういうプロダクトをすごく僕がやりたいと言ってきていました。日々現場にチームに入って改善しているので、エンジニアを入れると動かすのが大変ですね。彼らが作りたいものが決まっていたりすると動けないので、最小工数で動かせるものがないかっていうので、ポップアップを出せるものあるといいのではないかと思っていますので、速く作ってくれって言っております。(笑)

片山:リリースが楽しみですね。

「最小工数最大成果」でグロースハックに取り組む

福山:今向山の口から出ましたけれども、「最小工数最大成果」が僕らのグロースハックのソリューションの中で大事にしている考え方です。

その大きい改修を入れる、例えばゲームでCVCバトルやリアルタイムバトルを入れるなどは、確かに売上上がるのですが、開発負荷を考えれば、割とトレンドが変わる可能性があるので、そこ(のユーザー満足度の向上)を文言変更で済むのだったらすぐやりたいと思いますし、そういう需要は今後も増えていくのではないでしょうか。

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また、もう1つトレンドといっていいのかわからないですけれども、SDKの統合をやっていきたいと考えております。例えばPUSH通知機能のSDKはこれ、トラッキングのSDKはこれですという風に、まさにSDK合戦じゃないですけど、入れるたびに重くなってしまいますし、開発コストもかかってしまうのが、現場の課題としてありますので、1つのSDKでなんでもできると言うのが、これもトレンドなのかなと考えています。

(補足)Growthbeat
シロクさんの出していたSDKが統合された総合グロースハックツール
1つのSDKでPUSH、メッセージ配信、アクセス解析が可能。

片山:それはとてもニーズがありそうですね。SDK間で干渉して落ちてしまうというのはありますしね。(SDKいくつもアプリに入れる提案して)また検証するっていって、工数や見積もりも増えて、いざ入れて落ちたら私が怒られるみたいなのがなくなってほしいです(笑)

一同:(笑)

向山:他にトレンドというかわからないですけど、Vineがアプリアップデート中もコンテンツ読み込んでいて、アップデートしている途中でも動画を見られるようにするとか、アップデートしていく中でキャッシュを溜めて行って機内モードでもずっと動かせるとか、そういう風にソーシャルゲームや他のアプリも情報がリッチになっていくとダウンロードで、時間がかかったり、電車の中だとあまり電波が悪くなったりしてユーザーの体験価値が下がるので、それを避ける工夫は1つこれからさらに必要になると思います。

それこそ画像を読み込むのに2秒も待っているとすぐに不快に思うユーザーもいるので、ポップアップとかみたいな手前の打ち手でユーザーに情報を出しておくことも大事だなと思っています。

片山:確かにそのVineの設計考えた人はかなりユーザー体験を考えていますね。ありがとうございます。それでは最後に今後の事業方向性やアピールしたいがあれば教えてください。

福山:はい。引き続きグロースハックというドメインの中でAARRRモデルに即した事業モデルというのが事業方針ですので、継続率を上げていくための施策とか、特に今後はマーケティング寄りの獲得とか、いかに使ってくれるユーザーを獲得するかという部分への注力、そしてリファラル(招待)ですね。

本質的に良いサービスを作ることが招待につながるのですけれども、その抜本的な課題があるところもツールで解決できないかということを考えています。

片山:マーケティングと絡めたような新しいソリューション開発はぜひ一緒にやっていきたいです。それで広告の認知からユーザー獲得、AARRRでいう最後の収益化のまでところまで統合的に提供できるのは価値が大きいと思います。

向山:そうですね。弊社は運用しながら課題を見つけてそれをツールに落とし込んで探していて、これはツールで解決した方がいいのではないかという形で社内に持ち帰ってプロダクトにするか考えているということをこれからも続けていきたいと思います。

片山:これからも大変楽しみにしております。ありがとうございました。

●取材を終えて
シロクさんとは役員の皆様含めて、最初に個人ベースでお知り合いになったタイミングでいうともう5年近く前から、そして電通に入社してからも数年前から既にお取引があったのですが、改めて取組を取材という視点で掘りなおしたことで、彼らの思想や考えに触れる有意義な機会にできました。

これからもグロースハックツールの開発も含めて応援しておりますし、グロースハックという言葉は一種のバズワード的な性質を感じますが、IT/WEBサービスが存在する以上、その成長運用改善のリーディングカンパニーの1つとして目が離せない企業だなと個人的に考えています。

FoodTechブームの到来と現在

 これまでgrowth hack japanではグロースハックに関する事例を紹介してきました。今回は少し趣向を変え、現在米国で特に盛り上がりを見せているある市場について調査しました。それは、「食×Technology」のFoodTech分野です。昨年に突如爆発的に市場規模を拡大させたことをきっかけに、これからが注目されている分野です。今回は、去年から現在にかけてのこの市場の動向を多面的にレポートしこれまでの一連の流れを追っていき、これを機にFoodTechとはそもそもどのようなものなのかを知って頂ければと思います。

昨年FoodTech市場は、前年比272%の合計$1.07Bの出資があり急激にホットな市場となりました。この大きなブームの発端となったのが、この分野への投資額が最も大きなファンドであると言われているKhoslaです。2012年から2014年にかけてのFoodTech分野への投資規模はこのKhoslaが圧倒的で、市場成熟に大きく寄与してきました。後に紹介する、今ではユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上のスタートアップ)となったInstacartsやhampton creek foodsなどに投資してきたのもこのKhoslaです。

フードテック1   [参照] The Food Tech Startup Boom in Graphs

そうして誕生した主要企業は主に以下の通りです。主に3つのジャンルに分けることができます。

food delivery分野

Postmates 周辺のお店で売られているランチや生鮮食品、事務用品などをなんでも一時間以内に届けるサービス。ユーザーはアプリで届けてほしい物を注文すると、専属スタッフが代わりに買って家や会社まで配達してくれます。また、デリバリースタッフがいないレストランの配達なども請け負うこともできます。目当ての商品を選ぶと商品代金や配達料の見積もりが表示されます。デリバリー料は最低5ドル~。

フード1

Instacart 昨年得に名を馳せたスーパーマーケットの買い物代行サービス。指定されたエリアで買い物し、その足でユーザーの元に届ける所謂お使いビジネスと言われるモデルです。このビジネスモデルは、後発でGoogleから、オンラインで注文した商品を当日に配達するグーグル・ショッピング・エクスプレスがサンフランシスコのベイエリア限定で登場するなど要注目となっています。

フード4

food replacements分野

Hampton Creek Foods 地球や身体にやさしい植物性のクリーンフード(環境対応人口食品)の開発を進めている会社です。その一環として人口卵「ビヨンドエッグ」を製造。このクリーンフードは現在米国VCで注目を集めており、あのMicrosoft創業者ビルゲイツ氏からも資金援助を受けています。

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Soylent 肉や野菜を摂らなくても生きていけるようになることを目指した完全栄養食「ソイレント」の開発をしている会社です。多忙で時間が無い人たちからの熱烈な支持でクラウドファンディングを成功させ、昨年4月から本格的に出荷を開始しています。一ヵ月間のソイレントだけで食生活を済ませることにも成功しているそうです。

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restaurant tech companies分野

E la Carte レストラン専用タブレット”Presto”の開発をしています。このタブレットがお客のオーダーと決済をすべて処理することで、ウェイターはもっときめ細かい顧客サービスに集中できるようになります。このタブレットを使うようになったレストランは平均で売上が5%増大し、テーブルの回転率(滞留時間)が7~10分短縮されるとのデータもあります。

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現在の動向

最後は現在の動向についてです。何と言っても最近の一番大きな動きは、イタリアのミラノで2015年5月から約5か月間にわたって行われる「EXPO Milano 2015」という、世界から2000万人を超える参加者が見込まれるイベントが行われることでしょう。これは「Feeding the Planet,Energe of Life」をテーマにしており、世界から2000万人の参加者が見込まれる大イベントです。ここで注目したいのが、アメリカ館の食にまつわるスタートアップコミュニティを盛り上げる試みである起業支援プログラム「Feeding the Acceletator」です。

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このプログラムは、これは食とイノベーションに取り組むスタートアップのためのイベントです。オンラインによるメンタリングやレクチャーを施した後、参加企業をミラノに招きピッチコンテストを行います。そして集められたシェフやデザイナ、アーティストなどと幅広く各分野の一流と会することで、食に対してより深い理解を促すことが目的とされています。今年3月にFeeding the Acceleratorの公募が開始され、第一次審査を兼ねて、ミラノの国際カンファレンス「Seeds & Chips」でピッチ・コンペティションが実施されました。米国、イタリア、イスラエルなど8カ国からスタートアップ企業17社が競い、その中から優秀プロジェクトとして表彰されたのが以下の2社です。

Um.ai “あなたのポケットに栄養士を”をコンセプトに、健康的な食生活をサポートするスマートフォンアプリ。10億以上のレシピの記録、栄養素のデータも保持しています。最先端のテクノロジーの力でユーザーの食習慣を掌握することを目指します。

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MintScraps これまで可視化するのが難しいとされていた食料廃棄量をデータで可視化します。そして、どこに問題があるのかを分析することによりどれだけ無駄があるのかを正確に理解することでレストランの利益最大化を目指します。他の競合レストランがどれだけの無駄を削減しているのかを知ることも可能です。

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まとめ

今回は、Foodtechって盛り上がってるけど情報がまとまってるところ無いよなと思ったのをきっかけに作成しました。現状では意外にも人の手を介する割合が高いプロダクトが高いことがこのFoodTech分野の特徴的だったように思います。食は絶対に無くなることが無い市場であり、比重は違えど我々の生活に必要不可欠なものです。現在adtech、fintech、edtechとさまざまな分野とテクノロジーの融合が進んでいますが、次はこのFoodtechではないでしょうか。これから世界の食料難が囁かれているいま、少しでもテクノロジーの力で世界が良くなることに期待したいです。

調べて欲しいこと、感想、フィードバックなども随時お待ちしております。少し長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

[参考資料] The Food Tech Startup Boom in Graphs / Danielle Gould Explains the Great Food Tech Boom of 2014  

グロースハック事例 – Dropboxを急成長させた7つの方法とは

これまで、グロースハックの基本に関する記事の紹介はしてきました。今回は実際のグロースハックの事例をご紹介します。グロースハックを学ぶ上で、実際に行われた施策を見てみることでより具体的で深い理解が得られるのではないでしょうか。
ドロップボックスは世界的に利用されているオンラインストレージサービスで、ファイルのアップロードや他人とのファイルの共有がとても簡単なところが特徴です。急成長を遂げたこのドロップボックスがこれまでどのようなグロースハックをしてきたのかをご紹介します。- growth hack japan

なお、本記事はウェブマーケティングに関する多くの記事を紹介しているKISSmetricsThe 7 Ways Dropbox Hacked Growth to Become a $4 Billion Companyという記事を参考にしています。

ドロップボックスを成長に導いた7つのグロースハック

ドロップボックスは40億ドルもの価値を生み出していると言われていますが、広告にはほとんど投資をしていないそうです。どのようにしてこのような成功を果たしたのでしょうか。
今回は、ほとんどお金をかけずに自社サービスを成長させたドロップボックスの7つのテクニックを紹介します。
この記事で紹介されていたグロースのためのテクニックは以下の7つです。

1. サインアップを重視したシンプルなホームページ
2. サインアップのハードルを下げる
3. 友人紹介のための仕組みづくり
4. SNSでのフォロワーを増やす
5. 共有を簡単にすることで潜在的なユーザをも囲い込む
6. イベント開催でサービス・企業の露出を高める
7. 多くのデバイスやプラットフォームで利用可能にする

では、それぞれを見て行きましょう。

1. サインアップを重視したシンプルなホームページ

ウェブサイトというと、多くのユーザに自社サービスを知ってもらいたいがために、とにかく多くの情報を載せたい、と思ってしまいがちかもしれません。ですが、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。ウェブサイトでユーザにしてもらいたいことは一体何でしょうか?ドロップボックスのようなサービスを提供するサイトでは、「サインアップ(会員登録)」が大きな目的であるといえますね。

ファーストビューの下からは、シンプルでわかりやすいサービスの説明が続きます。

あれもこれも、と情報を載せすぎなくても、必要な情報がユーザに届いていればサインアップには繋がります。そのよい例といえるのが、このドロップボックスのウェブサイトです。上のキャプチャのようにシンプルなレイアウトにすることで、「ユーザに商品を知ってもらい登録してもらう」という導線を最短距離で用意できるのです。

2. サインアップのハードルを下げる

サインアップが面倒だったり、登録をしても使い方がわからなかったりすればユーザはサービスを利用してくれませんね。ドロップボックスのサインアップはシンプルな上、ウェブブラウザでなくても、デスクトップ上でサインアップできることも特徴のひとつです。

また、インストールをしたらまず、写真フォルダやテキストファイルが用意されています。これらから、ユーザが登録後にどのようにこのサービスを使ったら良いかを示しているのです。サービスに登録したはいいが、使い方がわからなかったので結局全く使っていない、、という経験をお持ちの方も多くいるのではないでしょうか。最近ではアプリのチュートリアルのようなものも含め、登録直後に使い方の案内をする様々な工夫がされていますが、これが登録直後の離脱を防ぐための方法であるといえます。

3. 友人紹介のための仕組みづくり

自社サイトからの集客には限界があります。ユーザが増えてきた段階で、そのユーザにも集客を手伝ってもらえたらよいですよね。ドロップボックスは自社で獲得したユーザが、その友人・知人に紹介してもらうための仕組みを作りました。

例えば、ある人がドロップボックスを他の人に紹介をしたら、その両方に500MB分の容量をプレゼントする、という方法を取ります。インセンティブがあれば、他の人にも紹介したくなりますよね。
CEOのヒューストンによると、ドロップボックスはこの紹介制度によってサインアップの数を60%も向上させたそうです。

4. SNSでのフォロワーを増やす

サービスを広めるためには、SNSも有効な手段のひとつです。SNSは多くの企業で、自社の認知度向上やユーザとのコミュニケーションのために使われています。フェイスブックでいいねしてくれた人だけに特別なお知らせをするなど、いいねをした人へのインセンティブをあげる会社もあります。ドロップボックスがしたのは、ツイッターやフェイスブックと連携したら、125MBのインセンティブをあげるということです。

5. 共有を簡単にすることで潜在的なユーザをも囲い込む

ドロップボックスでは、ユーザが非会員に写真やファイルを共有するのも簡単にできます。これはもちろんユーザにとっても便利な機能ですが、ドロップボックスにとっても、潜在的な会員にまで露出ができるチャンスです。


このように、リンクをコピーするだけで共有ができます。

実際に筆者の五木田も、自分が将来ウェブ関係のベンチャーでインターンをするなんて全く想像もしていない普通の高校生だった2008年か2009年頃に、アメリカ人の友人からたまたまドロップボックスでファイルを共有された時にこのサービスを知った、ということを覚えています。
このように簡単に共有できる仕組みを用意しておけば、当時の筆者のような、世の中のサービスに敏感でない層にも幅広く露出ができるのです。潜在層にリーチするのはハードルが高そうに感じますが、このように既存ユーザを上手く利用することでユーザの幅がどんどん広がっていきます。

6. イベント開催でサービス・企業の露出を高める

ドロップボックスは、ドロップクエストというコンテストを開催しています。このようなイベントを開催することで話題性にも繋がりますし、参加者がブログなどで紹介することでより多くの人への露出に繋がります。

7. 多くのデバイスやプラットフォームで利用可能にする

これまでのドロップボックスのグロースハックの方法を見てもわかるように、ユーザがサービスを周りに紹介しやすい(したくなる)ような工夫がされています。ただ、紹介する相手が利用するデバイスやソフトウェアなどが原因でドロップボックスが使えなかったら、せっかく紹介・共有をしてもらっても登録には繋がりませんよね。
そのためにも、ドロップボックスは新たなソフトウェアがリリースされたらすぐに対応するなど、多くのデバイスやプラットフォームでの利用を可能にしています。こうすることで、ユーザの増加をより一層加速させているのでしょう。

まとめ

まずサービス自体やウェブサイト、サインアップをシンプルにすることで多くの人に使い始めてもらい、さらにそのユーザが他の人に紹介しやすくするような仕組みづくりをすることで、ドロップボックスというサービスは多くの人の元に届いていきました。
「グロースハック」と聞いても実際にどのようなことをするのかイメージがしにくかったですが、このような事例を参考に、コストをかけずに多くのことが試せるというグロースハックの特長を活かして様々な施策をテンポよく試していきたいですね。- growth hack japan

A/Bテストを活用したコンバージョン率の改善方法

今回はA/Bテストをより効率的に実行し、改善に繋げるための手法として”A/Bテストカレンダー”を使ったテストの実施方法をご紹介いたします。「A/Bテストの実施を検討している」もしくは、「既にA/Bテストを行っている」場合は、よりテストの効率化を図るための参考にしてみてください。- growth hack japan

※なお、本記事はLPOツールを提供している unbounceGrow Your Conversion Rates Consistently with an A/B Testing Calendarという記事を翻訳しています。※記事中のリンク先は英語のページです。

プランニングを元に効果的なテスト運用を行う

多くのマーケターにとって、A/Bテストを行うときの最大の障害は時間です。なぜなら、日々積み重なっていくタスクや大きなプロジェクトにも向き合わなければならないからです。しかし、毎月60分のプランニングをするだけで、A/Bテストを実行に移せます。

A/Bテストカレンダーは毎週、毎月のテストで何を行い、改善の目的とするのか、テストの開始と完了時期などを設定するためのものです。テストの目的や期間が明確になればやる気にも繋がり、より効率的にテスト進められ成果にも貢献します。
まず以下のグラフを確認してみてください。このグラフの毎月のテスト回数が示すように、A/Bテストカレンダーを用いることによって月ごとに実施するテスト回数をA/Bテストカレンダーの導入前より増やすことができます。

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緑色の”calendaer”となっている4月からのテスト回数の推移が、倍増しています。テスト回数は、ページ改善のデータを得る上で重要な指標の一つになります。 – growth hack japan

言うまでもないですが、2倍の数のテストから得られる成果大きく、コンバージョン率や自分の意欲も高められます。もし、テストを先延ばしにするような憂鬱な状態から抜け出したいなら先を読み進めてください。A/Bテストカレンダーはテストを成功に導くことができます。

Step1 テスト対象を把握する

最初のステップは何を最適化したいか選ぶことです。
ユーザー獲得のためにランディングページや導線など取り掛かれる場所は多くあります。ポイントはその中から1つを選んでテストを実行することです。

・トップページをOptimizelyやVWOなどのツールでテストする。
・ランディングページをUnbounceでテストする。
・SparkPageやVeroなどのツールを使用して導線をテストする。

テスト対象のページを把握することは最初の重要なステップです。一度大枠の対象を決めてしまえば、始めに設定した仮説について細かく検証することができます。以下は、ConversionXLのスタッフによる仮説検証の優先度づけと明確化についての簡単なサマリーです。

1 課題があるページを見極める : アナリティクを用いてトラフィックは高いが、離脱率も共に高くなっているページがないかを調査します。
2 ユーザーの声を取り入れる : データとユーザーの意見を合わせてより良い仮説を設定する。
3 テストの優先度を設定する ※優先度付けは次の3つの基準で行います。
・いくつかの計測値に影響を与える可能性があるか。
・それぞれの計測値の重要度
・導入コスト
参照:How to Build a Strong A/B Testing Plan That Gets Results

step2 月ごとのCVの計測

次に、過去のテストを確認しどのページで月ごとにいくつのCVが取れたのか計測していく必要があります。例えば、1ヶ月間にトラフィックとCVを最も獲得しそうなページがトップページだとします。大まかな数値を元に始めるとすると、テストで有効な数値を得えるためには、各テストページごとに約250ほどのCVがあると望ましいです。

250CVという数値は、目安としては信頼できますが、Optimizelyのsample size calculatorを使えばもっと正確な数値を割り出せます。CVの1ヶ月間の平均値と目標値があれば、テストできるページパターン数を導き出すことができます。

<月ごとのテストページパターンを計測>

例として、月間 5000PV、コンバージョン率が15%の新刊の電子書籍を扱ったランディングページを持っているとします。つまり、750冊分のダウンロード(コンバージョン)が毎月あります。250CVごとにテストを行うという大まかな目安を適用すると、月に3種類のテストを実行できます。

step3 標準的なテスト期間

※この項目は、この記事の中で最も重要な内容になります。
Step2で紹介している計算方法で、どのページで何種類のテストパターンを検証できるか把握した後は、テスト期間の設定に移りましょう。参考までに、標準的なテスト期間を設定せずにテストをおこなった場合、テスト結果は以下のような結果となってしまいます。

期間が定まっていないテスト

上記では、それぞれのテスト対象で2パターンのバージョンしかテストできていません、またテストの完了時期がずれていまっているため、次のテストに移すことができません。 Home pageとeBook LPのテストはともに1ヶ月以内に完了していますが、テストに1ヶ月かかったサンクスメールと同じ2パターンしかテストできていません。 – growth hack japan

なぜなら、明確なテスト期間を持っていないため、テストの開始と終了が異なる時期になってしまったからです。これではテストをうまく行うことは難しいです。では、テストを正確に1ヶ月間、コンバージョン数から求められる最大限のテストパターンを試してみましょう。

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ここでは、スケジュール通りにテストを実行するのがとても簡単になっており、開始と完了が同じ日数になっています。もし、テスト設計を正確に区切って行うのであれば、月次のミーティングはこんな風に始めるべきです。

・先月行った全てのテストは完了した状態で、結果をチームでの協議と学習に活かせる状態にする。
・当月のテストはすでに実施中の状態である。
・次月のテストのために、ブレインストーミングとプランニングに時間を費やす。

これらのことに気をつければ、それぞれのテストを月末の同じ日に完了させて次のテストに移れます。無駄なことに時間を使わず、効率的なテスト運用を行いA/Bテストのエキスパートになりましょう。

step4 テンプレートを活用しましょう

A/Bテストカレンダーのテンプレートを使ってテストの最適化をしてみましょう。
参照:A/Bテストカレンダー
a/bテストカレンダー

こちらのシートは英語で記載されています。対象ごとにシートを分け、「Details」でテストを行った期間やテスト項目名、仮説を記載し、「Variants」でバージョンの管理、「Results」ではテスト結果の管理を行っています。 – growth hack japan

このシートではそれぞれのテストを確認し仮説設定を行い、目標を決めることができます。(もし、これらの一連の流れを行ったことがない場合は、こちらをご参照ください。 How to Formulate A Smart A/B Test Hypothesis )

テストページによって異なる設定をされたタブがあり、それぞれの導線を使った月ごとのテストがあります。 もしテストを毎週、隔週で行う十分なリソースとトラフィックがあるならば月ごとではなく週ごとの表に変えましょう。そして、更にA/Bテストの目標設定と内容を深める場合はOptimizelyとKISSmetricsによるこちらの解説をご確認ください。
Optimizely Presents: Analytics in A/B Testing (A/Bテストのプランニングについて32:00ごろにディスカッションしています。)

<15分で実践できるA/Bテストのためのアクション>

これまで紹介したことを行うのに、それほど時間はかかりません。実はA/Bテストカレンダーは15分ほどで作成することができます。

・最初にアクイジション(ユーザーの獲得)を行う過程で重要なページを図で書いてみましょう。例えば、トップページやキャンペーンのランディングページ、ユーザーフロー、サンクスメールなどがあります。
・次にテンプレートをダウンロードし、あなたが認識しているテストパターンごとに新しいタブを作りましょう。時間設定をそれぞれ(月、週、など)テストスケジュールに合うように設定しましょう。
・最近実施したテストや次月の実施を考えているテスト対象をリスト化しましょう。
・今から次月の初めまでの間にそれぞれのテストについて詳細を洗い出しましょう。 テストしたいとページのテストパターンを決めて、広告文や画像などを用意しておきましょう。

まとめ

A/Bテストを効果的に運用させていくためには、綿密な計画が必要です。この記事では、「テスト対象の課題把握」「テストの実施に必要なPV数、コンバージョン数」「テスト期間の設定の仕方」についてそれぞれ解説しています。実際にA/Bテストを運用する際には、まずサイトの流入数やコンバージョン率などの数値を正確に把握した上で、A/Bテストカレンダーをカスタマイズし、効率的なテストの運用を行いましょう。 – growth hack japan

記事情報

unbounce

本記事はLPOツール等のマーケティングツールを提唱してるunbounceGrow Your Conversion Rates Consistently with an A/B Testing Calendarという記事を翻訳しました。Unbounceは、大手のECサイトやビジネスマン向けSNSのサイト改善を行っています。また、こちらのブログではLPO以外にもコンテンツマーケティング、デザインなど、幅広い分野のナレッジを実例を元に紹介しています。

クックパッド加藤氏インタビュー「すでにあるものや仕組みを大きくすることだけが、グロースハックの全てではない」

グロースハックの考え方をクックパッドグループの様々な領域に取り入れる

片山:本日はお忙しい中ありがとうございます。早速、取材の方を始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。まず、加藤さんの現在のお仕事やご担当をお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。

加藤:今は広告領域を担当してるんですよ。新規広告開発部という部署を新設してそこで広告の新しい商品を作ったり、すでにある商品については配信の最適化を進めていけるような技術的基盤を作っています。広告商品の新規開発と、配信基盤の改善をひたすら繰り広げてるという感じですね。
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片山:じゃあグロースハック関連の施策は今はやっていらっしゃらないんですね。

加藤:(クックパッドのサービスそのものや、「有料会員を伸ばしていく」という観点では)ほとんどやっていないですが、広告の領域にその考え方を持ち込めないか、ということは常に模索して進めています。単純なA/Bテストを正しいやり方で高速化させていくことはもちろんですが、広告商品そのものの設計の仕方から改善の流れまでですね。加えて、クックパッドには今、おでかけプランの作成・共有サービス「Holiday」や、親子で楽しめる知育アプリの「なりきり!!ごっこランド」などグループ会社が提供しているサービスもありますので、そういったサービスを伸ばすにはどうしたらよいか?といった話を各チームとディスカッションしたり、アドバイスさせてもらうことはあります。

人に聞くことで知見を蓄える、業界の流れを知る

片山:では本日のインタビューテーマからいうと、その会員を伸ばしていたところの時期の話にフォーカスしてインタビューさせていただけたらと思います。元々加藤さんがグロースハックを実施していくことになった経緯からお伺いしてもいいでしょうか。

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加藤:僕が担当させてもらうことになる前から、会員事業そのものは存在していましたし、会員事業部というものもありました。しかし、当時は部署のほぼ全員がサービス開発に集中していて、マーケティングの担当がいなかったんです。当時僕は経営企画領域の担当だったのですが、ファシリテーションを担当していた経営会議の中でも、役員同士の間で「もうちょっと改善できるんじゃないか?」という議論が出ていて、それなら「事業経験もなければこの領域における知見もないですけど、このまま何もやらないより学びながらやってみたら可能性も広がるかもしれないので僕に兼務させてください。」と言って、少人数のマーケティングチームを作ってリーダーをやらせてもらうことにしました。

そのチームで、例えばUI変更とかABテストといった細かい施策であったり、友人招待やギフト、無料クーポンの導入検討など、いろいろな企画の模索をやり始めたんです。そうした取り組みのほとんどは失敗に終わったのですが、中には当たる施策も出てきて、数字もついてくるようになりました。その流れを受けたのと、ちょうどこのタイミングで役員体制が大きく変わったのもあり、マーケティング領域を切り出した部署を新設して部長に就任させてもらいました。

片山:具体的に部署化してからどういったことをやっていらっしゃったのでしょうか。

加藤:まず、先ほども申し上げたとおり、僕自身が当時はこの領域については素人だったので、その業界で実際に会員を伸ばされている方数十名に、とにかく会いに行ってお話を伺いました。あとは、Facebookさんなどユーザーを大量に伸ばしているようなチームのご担当者に話を聞きました。聞いていく中で、お金を払って広告を出稿して会員を伸ばしていくという方法もあるのだろうけど、我々の今のフェーズでは、まずはお金をかけずに改善レベルで伸ばせることとか、仕組みを変えて伸ばすところをやろうかなということになりました。そこでメンバーを一旦そこへ全部集中させて実施していきました。

片山:最初の聞きにいくのが結構大事なステップだったのですかね。

加藤:そうですね。今期から新しく広告領域を担当しているのですが、新しい領域の担当になったら、まず一通り座学で知識をつけて業界の歴史を学びながらその移ろいを大きく掴み、次にその領域の一番すごい人、現時点で業界を俯瞰してその流れを正しく話せそうな人にとにかく話を聞きに行きまくるというのがやっぱりいいかなと考えています。20人とか会いに行くと大体同じことを言っている部分と、この人だけ特殊なこと、別のこと言っているというのがわかってくる。みんながみんなほぼ同じことを言っていたらこれは流れとして確かなのだろうとか、別のこと言っている領域は1つ1つ自分たちのサービスの場合はどうなのか考える、そういう風に業界の流れを大きく掴んでいく感じです。

片山:それで言えば、私はまさに今聞きにきているのかもしれないのですが(笑)

「利用者が利用者を呼び、サービスそのものが自然と伸びていく仕組みを設計し、それを育てていく」

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片山:最初は有料会員を増やす取り組みだったと思うのですが、(「グロースハッカー」日経BP社 をご監修されているのを含めて、)グロースハックの言葉や概念に着眼し始めたのはいつくらいなのでしょうか。

加藤:やりはじめた当初は、言葉自体に着眼するということはほとんどなかったです。

片山:どちらかっていうと本を書くぞと決まってからになるのですかね。

加藤:そうですね。やっていたことがたまたま合っていたというか、その依頼が来た時に初めてその言葉が生まれた背景や歴史について体系的に調べ直しました。なので、そんなに最初からグロースハックに詳しいわけでもなければ、グロースハッカーと自分を呼称したこともなかったですね。
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片山:加藤さんの中ではグロースハックに対するイメージや特徴をどう捉えていらっしゃいますか?

加藤:「利用者が利用者を呼び、サービスそのものが自然と伸びていく仕組みを設計し、それを育てていく」ということが重要ですので、サービスの開発段階から伸ばすところまで、息の長いプロジェクトを推進していくという観点でプロジェクトマネージメント性が高いなと思います。すでに作ってあるものや仕組みを売ったり大きくすることは、グロースハックの重要な要素ですが全部ではないと思うんですよね。サービスそのものに伸びる仕組みを入れ込んでいき、かつ伸びる仕組みをちゃんと伸ばせるように、色々な方法を使って伸ばすというところまで実際に全て含めているものなので、かなり幅広い概念だなという感覚があります。

片山:もっと(サービス全体を俯瞰して)包括的に設計していくことが大事ということなのでしょうね。

加藤:そうですね。なんとなく(グロースハックという言葉に対して、)一部の側面にしぼって話がなされている、そんな気がします。

A/Bテストはあくまでグロースハックの一側面にすぎない

片山:クックパッドをグロースさせる時にも施策全体を設計してから1つ1つ試していくみたいな手法だったのでしょうか。

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加藤:クックパッドの場合は、そもそも僕がクックパッドそのものやプレミアムサービスのグロースハックのすべての領域を担当していたわけではありません。先ほどの話ともつながりますが、ぼくはすでにあるよい仕組みを伸ばすという、グロースハックのうちのごく一部の領域を担ったにすぎません。クックパッドには「つくれぽ」という仕組みがあります。レシピが投稿されると、その投稿レシピを検索して実際に料理をした人が、写真付きで感想を送るというものです。しかも、その一連の流れが他のユーザーにも見えるようになっているので、閲覧者が「みんなが作って美味しいと言っているレシピは、きっと美味しいだろう」と推測するようになる。ですので、みんなに人気のレシピを見たくなるという構造ができていました。

それで、人気順検索を始め、ほしいレシピが簡単に見つかる様々なサービスを用意して、その提供を有料化しています。この仕組みをどうやって伸ばすかということで、枝葉(的な位置づけの施策)として、売り方を考える領域をやっていったという感じですね。例えば招待の仕組みを入れ込む、その時にその招待機能で新しいユーザーを呼んでもらえるように(招待したユーザーを)7日間無料にする、ユーザーの属性別におすすめする有料機能を最適化する仕組みを導入するとか、そういった細かい施策を色々一通り試して全部やりました。(新規ユーザー向けの)クーポンを作るとかギフトパックを作るとかも含めて。

この上で入れ込んだ仕組みを今度どうやって、改善して伸ばしていくのかということで表層面のABテスト、LPの改善とか文言変えるなどの施策がある。僕はつくれぽや人気順検索といった、グロースさせるためのエンジンのようなものを作るというコアの領域を設計し、それを伸ばす仕組みをサービスに入れ込みながら、日々改善を繰り返していける体制作りをして伸ばしていく一連の継続的活動こそが本当の意味でグロースハックだと考えています。

片山:例えばA/Bテストはあくまで枝葉であって、サービス設計やユーザーを増やす仕組みを作るっていうのが根底にあってということですよね。

加藤:はい。ユーザーがユーザーを呼ぶような雰囲気を作るっていう。それをサービスの設計に入れ込むという点が本質のうちの一つだと考えています。

評価指標はサービスが目指す世界によって変わってもいい

片山:そのグロースハックをやっていくぞという中で、前回の座談会企画ではKPIとかKGIとか数字の設計とか考え方の話題があったのですが、その当時など加藤さんはどうやられていたのかと、そういった指標設計の考え方として大切なことがあるのでしょうか。

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加藤: KPIは大事ですけど、特別こうしなくてはいけないというこだわりは無いですね。ただ、あんまり複雑なものにしていないことでしょうかね。会員事業を担当していた時、僕はプレミアム会員事業を伸ばしながら、第2の有料会員事業として「プロのレシピ」という、雑誌や書籍に載っているような料理家やシェフのレシピが見放題になるサービスを新しく開発していました。プレミアムサービスに関しては、結局登録率をどれだけ挙げられるかというのが有料会員の純増数を増やす上でのポイントだったので、コンバージョンレート、登録率を見ていました。あとはLTV、顧客生涯価値を高める、という観点で退会率ですね。とりわけ登録後3ヶ月以内退会率を重視していました。

プロのレシピの方は日常使いする道具性の高いクックパッドと異なり、雑誌をみるように眺め続けていたいと思えるようなサービスにしたいという思いが強かったため、多くのユーザーが夢中になってたくさん回遊しているサービスということを考えると単純にPVだよねということでPVにしていました。

片山:最終的にどれくらいの成果だったのか伺ってもよろしいでしょうか。

加藤:施策の時期も広告出稿をしていた時期もA/Bテストもあるので、一概には当然言えませんが、最終的にプレミアムサービスの年間会員純増ペースは在任期間中でおよそ2倍になりました。プレミアムサービスは2004年より開始していましたが、担当を開始した2012年1月時点ではおよそ70万人だった会員数は、在任終了時点での2014年末で150万人を超えました。

プロのレシピは在任期間中には目標を達成できませんでしたが、その後のチームの頑張りが功を奏し、リリースしてから半年後には当初設定していた目標PVを達成することができました。(この時はコンバージョンレート、退会率、PVといった指標でしたが、)そういう評価指標はサービスが目指す世界によって変わってもいいし、同じサービスであってもそのフェーズによって変わっていき得るものだと思います。

片山:わかりやすく柔軟にという方針が良いですね。

チームメンバーや社外への成功事例共有

そういった施策実施やKPI策定もそうですけど、意思決定は加藤さんがやっていたのでしょうか。それともチームで話し合っていたのでしょうか。

加藤:領域設定、ビジネルモデル、目標、KPIといった基本的な事業上の設計は、だいたい自分で決めるかプロジェクトリーダーと2人で決めていました。サービスの骨格づくりや内容、どんな課題をどう解決していくか、といったサービスの領域についてはチームメンバーとディスカッションや試行錯誤を重ねながら一緒に考えて動いていく、という感じでしたね。ただこれはその人の得意不得意、自分なりの好みなどによってまちまちなんだと思います。

片山:チームにどういう人が望ましいとかそういったことはございますか。
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加藤:そうですね、自分で目標を設定して、愚直にそこに向かってPDCAを回せるエンジニアはいいですよね。あとはもうちょっと、幅広い視野を持って事例をちゃんと集められる人ですね。どの仕事も一緒でしょうけど、まねることが結構重要だと考えていて、世の中にある色んな会社が例えばグロースハックのブログとか書いている、あれを一通り調べてみると、同じこと言っていると言うのが結構あるので、そういうことを当たり前にやるような人がいいですね。「守・破・離」じゃないですけど、それをまねて、通用するか確認して、合うか合わないかを見極めて、今度はそれを応用させたりくっつけたりしながら、新しい取り組みをするという一連の流れができることは大事だと思います。で、その過程でたどり着いたオリジナルなアイデアをどんどん試していき、成功したものは業界標準化できるように社内外問わずどんどん共有しながら広めていく。

例えばリサーチをして業界の事例を掴むという観点では、1年半前くらいに社内向けにグロースハックというか、A/Bテストの事例集を作って社内に共有したりしていました。成功事例の共有については、slideshareで当時の知見を余すことなく公開しました。(筆者注:リンク先の資料は2013年当時のものです。)

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(筆者注:実際は100ページ!を超える資料で写真はその表紙。中身をざっと拝見しましたがとても興味深かったので是非どこかでみなさんにも公k(ry )

片山:おお!チームでこういうのを作られたんですか!?(感動)

加藤:・・・土日に一人で作りました。(笑)こういうものを作って、「何をしたらどう伸びたか」を全部同じフォーマットでブログをかき集めて、とにかく数集めて全体傾向つかんで、それを一人でため込まないでどんどんチームに共有するということをやりました。

加藤:これをやっていると、「入力フォームはやはりシンプルにした方がいいんだね」とか、「あのボタンの文言ってこうすればいいんだ」とかわかってくるんです。それを繰り返して(さっきのヒアリングの話し同様に)皆が伸びたと言っているものはやっていました。

日本におけるグロースハック事例はまだまだ少ない

片山:事例を調べていることや聞きに行ったことで、これ見ているぞって言うメディアありますか。

加藤:特にこれ、といった決まったものはないですね。検索で一通り上から本当に片っ端からチェックしました。グロースハックは日本ではまだまだ書籍が少ないですし。

片山:そのうち1冊はそもそもご監修ですしね。(笑)

片山:最近のグロースハック事例で気になっていることやお考えになられたことはございますか。

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加藤:作ったものを伸ばす領域でいうと、テレビCMの活用方法とそのタイミングですね。数年前はゲーム以外のウェブサービスはネット広告が主流でテレビCMを打つ事例ってあまりなかったと思うんですが、近年テレビCMも含めてコスト を合わせながら獲得を伸ばす事例が増えてきている。サービス単体で考えるとお金をかけても獲得効率が悪い時期、大きくかけることで効率が上がってくる時期などいろいろある。そこにサービス単体で最適なタイミングだけを考えるわけにはいかない業界動向、主に競合サービスを見据えた上でどこで攻めるべきか、といった変数の大きい領域に対して、テレビCMも含めた全体戦略がある。

各社それに対してどう考え、どのタイミングでどういう手を打っているか、は興味深いです。また、手段という観点でも配信の時期や素材を細かく調整して見るっていうのはネット企業の真骨頂だと思いますし、この観点でも興味があります。

片山:ソーシャルリスニングが中間指標になっているとかもありますね。他に最近注目している企業やサービスはありますか。

加藤:うーん、今後が気になるっていうのはUberさんとかNewsPicksさんとかですね。Uberさんのサービスタイアップのキャンペーンの数字とか割引のやり方は関心がありますね。実際どういう結果で、どういう評価をしているんだろう、とか。ユーザーとして使っていても、いろいろと模索している感じが見受けられて興味深いです。

片山:Uberさんはまさに前回記事にて取材させていただき興味深かったですし、今後の成長に私も関心があります。

組織やプロジェクト課題の本質を捉えて解決することで、目指す世界を実現していく

片山:もう質問は最後なのですが、加藤さんの今後のミッションや個人的な目標ってお伺いしてもいいですか。

加藤:個人としてこうしたい、というのは具体的にはないのですが、常に自分がいる組織やプロジェクトのボトルネックとなっているポイントの本質を捉えて解決することで、目指す世界を実現していくことに貢献することをやり続けていきたいと思っています。

今は、クックパッドグループが目指している世界に共感していますし、実現に向けて自分の部署や立場にあまり捉われすぎることなく、幅広く貢献していきたいと考えています。そのためには、僕も含め30歳前後のメンバーがもっとマネジメント能力や経営力を鍛えていかなければと思っています。マネージャーというのは自分が知らない領域に入った時も、限られた時間、組織、予算の中で素早く状況を整理し、正しい意思決定ができなければいけないですし、それができなければ失格です。

僕の場合はその領域にこだわりはあまりなく、それこそ事業担当ではない、例えば人事や管理といったバックオフィス領域でもいいかもしれません。その時、その組織にとってここが重要で、ここが伸びればグループ全体が飛躍的によくなっていく!と思えるような領域で常に勝負していけたらなと思っています。

片山:ありがとうございます。加藤さんはお話していて非常に謙虚な方でいらっしゃるのですが、このグロースハックという領域の成功者の1人であると思います。このグロースハックジャパンの記事を見ている読者へアドバイスのメッセージをしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
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加藤:やらないといけないことはとてもシンプルだと思います。まずはユーザーを見ること。どういう課題があって、それに対してどういう価値を提供すればよいのか。その中で他の人にも勧めたくなるような設計をどう作ればいいのか、という基本に集中して考える。次に、その仕組みが作れたら、それをどうやって効率よく伸ばせばよいかを考える。その方法としては、月並みですが今世の中にある全ての事例を自分が集められる範囲で一気に集めて分析をして、まずは良いと思うことを愚直にやり続けてみることですかね。進みながら学び、生かすことで自分たちのやり方を確立していく。繰り返しになりますが、「守・破・離」です。

そして、マネージャーは、チームのメンバーがそれに集中できなくなるような障壁をとことん取り除いてあげる。地味・派手関係なく、効果があるかないかだけの軸で判断して、ベーシックな話なのかもしませんが、頭でわかっている話をどれだけ愚直にやれるかということが大事だと思います。

それとそもそもの話として、世の中の大部分のサービスはABテストをやって・・・という段階にないので、そのサービスのコアを固めていくべきです。クックパッドで言えば「つくれぽ」という仕組みがあって、ユーザーが伸びる仕組みの上で、各種施策があります。ありがたいことに、サービスのグロースハックについて相談をいただく機会が増えましたが、テクニック的な話よりもまず価値を磨き込む方が先で、そっちに注力したらいいという話になることが多い。リーンスタートアップに載っているような仮説検証を愚直にやる方が大事です。ですので、大体こういう話になると、僕は最終的にもっと(サービスそのものの)源流に戻ったことを指摘することが多いですね。・・・こんな地味な話でいいのでしょうか。(笑)

片山:とんでもないです。基本に戻ることも勉強になります。

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【著者からインタビューを終えて】
記事としてテキストに落としたときには伝えきれないかもしれませんし、うまく形容できていないかもしれませんが、発想やお考えが柔軟なだけでなく、目的やゴールに対してとてもシンプルな考え方をしている感じを受けたことが特に印象に残りました。インプットに対しても愚直にやっていらっしゃることも勉強になりました。私も「グロースハック」はマーケティングやプロジェクト・マネジメントと併さるような、非常に包括的な意味を含む概念だと考えていたので、改めてそれを再整理していく良い機会にもなりました。

スタートアップ向け3つのマーケティングハックス

スタートアップの成長の鍵
今回は、スタートアップにむけたマーケティングハックの記事を翻訳し、紹介します。世界中で数々のベンチャー企業が登場している中、抜きん出て成長するスタートアップにはどのような秘策があるのでしょうか。

グロースハックは大概、「言うは易し、行うは難し」と実現可能性が低いものとして捉えられがちです。ですが、そんな偏見をも消し去る画期的なマーケティングハックについて近頃言及されているものがあります。苦戦を強いられ、進化のためには多少のリスクも厭わないスタートアップにぴったりなマーケティングハックを紹介します。

今こそブランド・エバンジェリズムを

エバンジェリストとは、ある製品やサービスについて、その人自身の知名度やネットワークを活用しながら、拡散してくれる人をいいます。基本的にはマーケティング用語の中でのWOMM(クチコミマーケテイング)を指します。クチコミは、TwitterやPinterestが世を席巻している中で、依然として一番力のある“メディア”でもあるのです。

企業のエバンジェリズムを育むことは、ブランディングや集客面において中長期的に有効に働きます。そのためには、消費者をエバンジェリストにする取り組みとしてTOMSの例のように「マーケター意識」を植えつけ口コミを生み出すような施策を打ち出すなどが有効です。
TOMSのマーケティング
また、SEOやコンテンツマーケティングの取り組みとして、継続して情報の発信を続けることなどは、その人自身をエバンジェリストにするためにはとても有効な取り組みです。

「ブランドカルト」を生みだす

”カルト”というと聞こえはネガティブなものになりがちですが、ブランドカルトはとても前向きなものです。いい製品やサービスというのは、人々のニーズを満たし、ブランドを通じて関係性を持つようになります。その中で信者のごとく熱狂的なファンを生み出すことを”ブランドカルト”といいます。例えば、バイクでいえば老舗のHarley DavidsonやiPhoneなど革新的なプロダクトを生み出すAppleなどがその成功例です。

ブランドカルトを作り出すには、主に7つの要素があると言われています。

①他にない唯一性をきちんと保つこと
②勇気を示しだすこと
③ライフスタイルにまで及ぶ楽しいものであること
④顧客に耳を向けること。顧客自身に価値を持たせること
⑤コミュニティをつくり上げることに努力を惜しまないこと
⑥オープンであること
⑦自由を謳うこと

これらをどのように達成していくかによって、カルトのように熱狂的な信者を持つことができ、そのブランドは他とは違ったものになるのです。

ネガティブ・バズ(論争)をおこしてみる

ネガティブな評価で世間に露出することは、一見するとその企業にとっては悪いことに感じられます。実は、これが名を売ることにつながり、結果的に企業へ大きな恵みをもたらすことにつながるということがあるのではないかと最近話題になっています。

Uberのネガティブバズ
有名な例が、現在世界で最も企業価値の高いスタートアップUberです。Uberは、かつて世界での利用者が増える一方で数々の訴訟問題を抱えていました。連日報道される訴訟に関するニュースや世間からの反感というネガティブバズによって、Uberは世界的に知名度をあげることにつながりました。その知名度を活かし、ネガティブバズを各国でサービスをローンチするチャンスとして動いたことがUberの成功要因でした。
Uberの成長
このようにUberは年々企業価値を上げ、設立3年にしてFacebookを超える企業となったのです。将来、Uberを超えて世界一となるスタートアップは、今度はどのような形で私たちの目の前に現れるのでしょうか。

まとめ

企業が抜きん出て成功するには、エバンジェリズムやブランド信者の創造、時には世間の怒りの感情を生むこともいい結果をもたらすようです。ですが、日頃から「どのように顧客との関係性を築いていくか」ということが、今回のマーケティングハックに共通して意識されるべきポイントであると感じました。

グロースハックの第一人者 Sean Ellis氏が考える3つの大原則

グロースハックという言葉を作ったSean Ellis氏のPioneers Festivalでのプレゼンの内容をまとめました。ここでは、グロースハックの基本となる考え方が紹介されています。「グロースハック」という、新しいマーケティングの方法を生み出したEllis氏はどのようなことを考え、多くのスタートアップを成長へと導いたのでしょうか。

プロダクトマーケットフィット

このプレゼンは、Ellis氏が「スタートアップ・マーケティング・ピラミッド」と呼ぶ、グロースハックの考え方の枠組みの紹介から始まります。

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(参考:Startup Marketing Conference – Stacking the Odds for Authentic, Sustainable Growth)

この中でも最も基盤となるものが、「プロダクトマーケットフィット」と呼ばれる考え方です。グロースハックは、まずその商品がプロダクトマーケットフィットに達していなければ始まらないといいます。
プロダクトマーケットフィットとは、顧客を満足させるような良い製品を、適切な市場に狙って出しているという状態をいいます。グロースハックは成長を加速させる仕組み作りですので、この状態に達して初めて、グロースハックのスタートラインであると言えます。

※プロダクトマーケットフィットについての詳細はこちらの記事を参考にしてください。
【Keyword】プロダクト/マーケット フィット
グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方 (グロースハックに関する最も確実な手引書「4/9」)

プロダクトマーケットフィットを考え、ユーザにとってなくてはならないような商品作りをし、そしてそこから、グロースハックによってその価値を届ける仕組み作りをしていくのです。
では、どのようにして「ユーザにとってなくてはならないような商品作り」をしていけば良いのでしょうか?

Ellis氏がこのスピーチで一貫して言っているのが、「ユーザの声を聞く」ということです。ここでも、ユーザにするというある質問が紹介されています。
それは、「もしもこの製品を使えなくなったら、どう感じますか?」という質問です。
この質問をユーザにする上で最も注目すべきは、「とても残念に思う」という回答だそうです。Ellis氏は、ユーザからの回答のうち、この答えが40%くらいだった企業は、プロダクトマーケットフィットはうまくっていると判断するそうです。しかしそれ以下の回答だった場合は、何かしら他の手を打つ必要があります。

このように、まず人に利用してもらう価値のある製品作りが、グロースハックのスタートラインであるといえます。

グロースハックの大原則

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次に、マーケティングにおける重要な項目が3つ紹介されています。今まで行われてきたマーケティング手法とは異なるグロースハックで忘れてはならない、重要なポイントです。

①創造性
成長させるためのアイディアを考えられるような創造性が重要であるといいます。従来のマーケティングの方法とは違うアプローチで、どんどん施策を打っていくというグロースハックにおいて、創造性は重要なものでありそうですね。

②ユーザとの時間を多く設ける
Ellis氏はこのスピーチにおいてユーザの声の重要性を繰り返し述べています。アンケートや実際にユーザから話を聞くなど手段は問いませんが、とにかくユーザとの関わりの時間をできるだけ多く持ち、彼らの声を組み込んでいくことがポイントです。

③テストをする
実際にやってみなければ、何がうまくいくかはわかりません。何度でもやり続けてみることで方向性が見えてきます。このように繰り返し試していくことが、グロースハックの特徴でもあるといえます。

まとめ

今回は、グロースハックの第一人者であるSean Ellis氏のスピーチの内容をまとめました。いい市場を狙い、多くの人が生活の中で必要とするような商品作りをする。そしてどの過程においても、ユーザとの対話をし続けることで、よい製品作りや成長へとつながるのです。