アウトブレインイベントレポート「地味に凄い、UI改善のTips」

2019年5月27日、アウトブレインジャパンがパブリッシャーを対象にセミナーを開催。これは、自社内のノウハウだけでなく、さまざまなパブリッシャーから学んだTipsをその他のパブリッシャーと共有し、読者のエンゲージメント向上を図ることを目的としたイベントです。今回のテーマは、「地味に凄い、UI改善のTips」。「ニュース系のコンテンツの場合のベストプラクティスは?」「内部回遊枠と広告枠の黄金比は?」など、意外と知られていないUIのTipsが紹介されました。

アウトブレインが紹介するパフォーマンス向上事例

はじめに、 アウトブレインのエンゲージ部門から3名が登壇。
まずは松井より、「Placement変更によるパフォーマンス向上事例」として、某書評サイトにおける事例が発表されました。
この変更を試みた背景として、松井は、「記事を読み終えた際にレコメンドUIジェットの視認性がない。viewable rateは平均で30%と、それほど悪くなかったが、読者に対してさらにひとスクロールを進めるものが欲しかった」と発言。そこで書評サイトに対し、「SNSシェアボタンの稼働状況が低いため、シェアボタンは移動もしくは削除し、ウイジェットの視認性を向上したらどうか」と提案。そして、シェアボタンの位置に、アウトブレインが提供するコンテンツ ディスカバリーフォーマット「SmartFeed」を置きました。
すると、viewable rateが65 %に向上。松井はこの結果から「 画面の余白部分を縮めて、ウィジェットの視認性を高め、読者に次のアクションを促すことで、パフォーマンスがどの程度向上するかを試してみることをおすすめします」とまとめました。

次に、勝井より、「レイアウト変更によるパフォーマンス向上事例」として、某ニュース系サイトにおける事例が発表されました。背景としては、「もともとテキストオンリーのサイト。だがニュース系サイトはSNSなどでのバズ情報に左右され、PVが大きく変動しやすい。そうした変動を少なくし、安定して収益増を目指したい」といったサイトの要望がありました。
そこで、「テキストのみのデザインをサムネイルとテキストの組み合わせに変更し、A/Bテストを実施。パフォーマンスの良い方で掲載しては?」と提案し、テキスト形式の広告枠8本をサムネイル+テキストに変更しました。また当時、間も無くSmartFeedを提供開始する予定だったため、それを見越して大きめのサムネイルでの掲載を提案しました。
結果は、テキストのみのサイトのPaid CTR指数を100とすると、大型サムネイル+テキストが58。「これにより、テキストのみでもサイトデザイン全体との親和性によって、十分数値が取れる」ということが明らかになりました。

また、某ニュース系サイトにおける事例の二つ目も発表。「リニューアルが決まり、これまでのテキスト形式をサムネイル+テキストにして、CTR+収益上昇を狙いたい」「アウトブレインウイジェット下方に他のモジュールがあるため、下方にあまり長いデザインは困る」との課題がありました。
「SmartFeedを適用する」「広告だけだとパフォーマンスが落ちかねないので、内部回遊を一部入れて、ユーザビリティを確保する」を方策とし、横2列の広告枠について、上部から「広告枠(動画オーバーレイ枠を実装)」「広告枠」「内部回遊枠(カルーセル)」「広告枠」「内部回遊枠(カルーセル)」というページ構成に変更。その結果、Paid CTRの指数を比較すると、テキスト形式を100とすると、SmartFeedは130と、1.3倍もの数値アップがみられたのです。勝井はこの結果から、「サイトの新デザインにウイジェットに新デザインもマッチして、従来のテキスト型よりも大きくパフォーマンスをあげた」「動画の再生回数もある程度の数字を確保し、収益向上に貢献した」とまとめました。

最後に、藤本より「フォント変更によるパフォーマンス向上事例」が発表されました。
一つ目の事例として、某ポータルサイトのケースを紹介。レイアウト変更を行う際、 原稿UIのフォントサイズ「15px」、「太文字15px」、「17px」の3パターンでテストをしたところ、フォントサイズをアップした「17px」のページがオーガニック、paidともにCTRが向上。RPMも向上しました。

また、二つ目の事例として、某スポーツ紙のケースを紹介。 タイトルを3行から2行に変更した結果、情報量が少なくなったため、フォントサイズを小さくして情報量が多いデザインとABテストをしたところ、「テストA:タイトルを2行にしたデザイン」「テストB:テストA+フォントサイズを小さくしたデザイン」では、フォントサイズを小さくした方がオーガニック、ペイド共にCTR・RPMが下がる結果に。「これら二つの結果から、文字のサイズが大きい方がパフォーマンスが上がるのではないか」と結論を述べました。

各パブリッシャーによる事例共有

続いてイベントの第2部は、各テーブルに分かれたワークが行われました。各パブリッシャーがパフォーマンスの向上事例を発表しあい、全員で共有した上で、全体に発表するというものです。
約15分間のワークののち、各テーブルからは、「広告の立場からすると、広告枠は上にあればあるほどよく、その方がビューアビリティが高かったり、CTRやRPMが高くなったりすると思われがち。だが、ユーザーの目線を忘れてはいけない。見出しより上にあると違和感があることも。反対に、画面の下部へ下げたことによってCTRが上がったこともある」「文字で見せるよりも、ビジュアルで見せる方がCTRが上がった」「スマートフィードの数はできるだけ多くするといい。スマートフィードの読み込みのたびに最適化を行うため、結果的にパフォーマンスの向上につながる」「まずはやってみることが大事。文字のサイズや大きさ、数などいろいろ上がったがとにかくやってみることが大切」「流入元と同じフォントサイズにそろえることで、ユーザーの違和感を解消できる。回遊率も上がる」などの意見があがりました。


アウトブレインの新サービス「AdNgin」

最後に藤本から、アウトブレインが提供する新サービス、AdNginについての紹介がありました。
AdNginはユーザーごとのパーソナライゼーションに焦点を当て、個別ユーザーの嗜好に基づきユーザー体験を最適化するツール。個別のユーザーに対して最適なUIを提供出来るように、A/Bテストを自動化して繰り返し、ユーザーごとに異なるUIを提供します。
「UIの改善は、まず、やってみないとわからない。でも、UIの最適化をするにもリソースがなかったり、A/Bテストを行うのに時間がかかったりするケースも少なくありません。そんな時に便利なのがこのツール。自動でUIの改善を行い、継続的に最適化を行うため、パブリッシャー様の負担を大幅に削減します」。
AdNginは、すでに 海外で運用が始まっており、その結果としてドイツの某パブリッシャーでは、23%Paid CTRが向上。また、米国の某パブリッシャーは32%CTR向上(モバイルサイトは21%)、英国の某パブリッシャーはなんと80%もCTRが向上したことが発表されました。
「導入にあたり、最低限必要なトラフィックはデイリーで5万PV。パブリッシャー様の実作業は不要というのも特徴。パフォーマンス向上を目指し、継続的な最適化のためにご活用いただければ」との言葉で、イベントがしめくくられました。