「作る」と「届ける」。アマナがコンテンツ制作で大事にしていること

国内最大手のコンテンツソリューション・カンパニーであるアマナグループは、近年、コンテンツを「作る」ことにとどまらず、作ったものを「届ける」ことにも力を入れている。読み物から映像まで幅広い形態のコンテンツが乱立する中、「伝える」ではなく「伝わるコンテンツ」を作り続けるアマナグループが、コンテンツ制作において大切にしていることはどんなことなのだろうか。話を伺った。

―アマナグループのコンテンツ制作に対する考え方や取り組みについて教えてください。

まず、アマナを中心とした10数社のグループ会社で構成される「アマナグループ」は、国内においては日本最大級のコンテンツソリューション・カンパニーだと私たちは自負しています。企業のコミュニケーションに必要なあらゆるコンテンツを、ビジュアル1枚から映像、イベントにいたるまで制作するカンパニーです。今年で40周年を迎えましたが、コンテンツという領域においてはいろいろなブランドさんとお取引させていただいています。

40年間の大半においては、コンテンツを作ることが主な生業だったのですが、デジタル情報化社会による情報の大きな洪水ができて、作っただけでは届かなくなった昨今、「どうやって届けていくのか」の視点も求められるようになりました。その結果、様々なコンテンツを届けるプラットフォームを活用して、ディストリビューション領域に対してもさまざまな施策をおこなうようになりました。

作ったコンテンツを最適なユーザーにつなげるのにレコメンデーションは有益

―ディストリビューションを考える上で大切にしていることは?

「CONTENT is KING, DISTRIBUTION is QUEEN.」という北米で生まれた言葉があり、日本でもその概念が少しずつ定着してきていますが、コンテンツとディストリビューションにおける本当の意味での両視点を持つことが重要という考え方です。デジタルコミュニケーションの領域では「DISTRIBUTION is KING」な視点で対話が進み、どうしても数字や効率主導主義に陥りがちです。しかし、本来、人の心を動かすのはコンテンツそのものであり、その視点抜きではパフォーマンスは最大化されません。そしてそれは、中長期的にビジネスインパクトへ大きな影響をもたらします。クライアントさんもそのことを理解されているので、コンテンツを生業にしてきたアマナグループがディストリビューション領域まで手がけることは全体最適の視点においても反応がよく、我々の事業の中でもその領域が伸びてきているという現実があります。

先程、様々なコンテンツを届けるプラットフォームを活用しているとお伝えしましたが、その中でも非常に相性が良いと感じるのが、レコメンデーションプラットフォームです。
当社では、記事コンテンツ制作や企業のオウンドメディア支援案件も多いので、レコメンデーションという届け方はかなり相性がいいんです。ソリューションベンダーさん数社とおつきあいさせていただいています。

―複数社ご利用されている理由を教えてください。

それぞれの特徴が違うので、実際の案件において複数社を活用してみることでパフォーマンスの横比較をし、案件特性と各プラットフォームとの相性を見ているのですが、その結果を見ると、総じてアウトブレインはいい数字を出しています。

これは複数のレコメンデーションを使った某案件の横比較のグラフで、折れ線が読了率、棒グラフが平均滞在時間を表しているのですが、アウトブレインはその両方ともがすぐれていることがわかります。比較をとったのは記事コンテンツで、目的はブランディング。そのブランドに共感してもらうことが目的だったので、記事をしっかり読んでくれることがとても大切になります。滞在時間が長いということは、興味をもってじっくり読んでくれているということ。つまり、エンゲージしているということです。

我々はこのエンゲージメントに非常に注目しています。獲得とリーチは、データとしては非常にわかりやすいですが、益々コモディティ化が進む現代において選ばれ続けるためには、より消費者との深いコミュニケーションで共感や理解を図ることが重要となります。

プラットフォームのフィロソフィに共感できるとおのずと親和性も高くなる

―どんなところに、プラットフォームごとの特徴の差を感じますか。

各社の特徴に差が出てくる要因は3つあると思っています。ひとつめは「メディアのネットワークの質とバラエティ」、2つめは「届けるためのアルゴリズム」、そして3つめは「プラットフォームを運営する方々のフィロソフィ」です。アウトブレインに関して言うと、メディアネットワークの面においてはブランドセーフティが担保される安心・安全なプレミアムメディアが構築されている印象があります。要は、「こういう媒体には出したくないな」というものに掲載されてしまうことがない。アルゴリズムに関しては、検証の結果として、届けたかったユーザーに届いていることが一目瞭然です。

そしてフィロソフィに関しては、アウトブレインがコンテンツの質を重視していることは日々のコミュニケーションの中でも伝わってきます。たとえば、厳しい審査基準を設けて、質の悪いコンテンツやユーザーに誤解を与える情報などに目を光らせていますし、ガイドライン基準に則っていないコンテンツやサムネイル、タイトルは審査に通していません。同様に質を追い求めてきたアマナグループとしても、私たちが作る質にこだわるコンテンツは、質の高い届け方でなければ、正しいコミュニケーションにならない。だからこそ、アウトブレイン自体がコンテンツの質を理解してくれていることに安心感がありますし、この3つの視点において僕らと親和性が高いアウトブレインには高い信頼を寄せています。

とはいえ、訴求内容や届けたい人、目的に応じて、他のソリューションが相性が良い時もあります。ですので、基本的にはアウトブレインを推奨しながらも複数のレコメンドソリューションを使っています。複数のプラットフォームを使ってパフォーマンスの横比較をしながら、結果に応じて予算をアロケーションしていき、ディストリビューション最適化につなげています。

クリエイティブの変数の力を信じたい

―アマナグループがコンテンツを制作する上で大切にしていることを教えてください。

「質」ですね。“安かろう悪かろう”であってはならないと思っています。インターネット上での届け方の手段が溢れ、そのこと自体に注目が集まったため、CPMやCPC、CPAはどうかといった数字や効率主導主義になり、コンテンツの質が脇に置かれた印象があります。ですが、「CONTENT is KING, DISTRIBUTION is QUEEN.」は、コンテンツとディストリビューションの両方が存在して(キングとクイーンがそろって)、初めてひとつの“王国”を繁栄していけるもの。ディストリビューション最適またはコンテンツ最適だけ考えるのではなく、俯瞰で見て全体最適をはかっていくことが本来必要なんです。

もちろん、数字を見ながら最適化していくことも大事ですが、時にはそれを大きく超えるようなことがあります。それはなにかというと、クリエイティブの変数。そのため、ディストリビューション最適化だけではなく、クリエイティブの視点をどんどんいれていくことにより、数字だけを見ていては成し得ない大きなブレイクスルーを追求したい。クリエイティブの変数を活かしていきたいと思っています。

―コンテンツ制作において今後どういうことが大切になってくると思いますか。

やはり「質」ですね。これからさらに消費者の目は肥えてきますし、もっとコモディティ化は進むと思うので、そういった意味でも質は大切。ディストリビューションのプラットフォームの価値を最大化させるのは、コンテンツの質ですし、さらにいうならデジタルマーケティング全体のパフォーマンスも最大化させると思っているので、数字では語れない変数の力を信じてデジタルマーケティングをおこなっていきたいですね。

佐藤 勇太氏
株式会社アマナ / 執行役員
株式会社アマナデザイン / 取締役
CEO

株式会社アマナに入社後、広告制作プロデューサーとしてグラフィック、映像、WEB、イベントなど、企業のコミュニケーションに必要な幅広い分野でのコンテンツ制作事業に従事。現在は、国内外の様々なデジタルマーケティングプラットフォーマーとの国内連携を推進しながら、アマナグループにおけるデジタルマーケティング事業を担当。

アウトブレインイベントレポート「地味に凄い、UI改善のTips」

2019年5月27日、アウトブレインジャパンがパブリッシャーを対象にセミナーを開催。これは、自社内のノウハウだけでなく、さまざまなパブリッシャーから学んだTipsをその他のパブリッシャーと共有し、読者のエンゲージメント向上を図ることを目的としたイベントです。今回のテーマは、「地味に凄い、UI改善のTips」。「ニュース系のコンテンツの場合のベストプラクティスは?」「内部回遊枠と広告枠の黄金比は?」など、意外と知られていないUIのTipsが紹介されました。

アウトブレインが紹介するパフォーマンス向上事例

はじめに、 アウトブレインのエンゲージ部門から3名が登壇。
まずは松井より、「Placement変更によるパフォーマンス向上事例」として、某書評サイトにおける事例が発表されました。
この変更を試みた背景として、松井は、「記事を読み終えた際にレコメンドUIジェットの視認性がない。viewable rateは平均で30%と、それほど悪くなかったが、読者に対してさらにひとスクロールを進めるものが欲しかった」と発言。そこで書評サイトに対し、「SNSシェアボタンの稼働状況が低いため、シェアボタンは移動もしくは削除し、ウイジェットの視認性を向上したらどうか」と提案。そして、シェアボタンの位置に、アウトブレインが提供するコンテンツ ディスカバリーフォーマット「SmartFeed」を置きました。
すると、viewable rateが65 %に向上。松井はこの結果から「 画面の余白部分を縮めて、ウィジェットの視認性を高め、読者に次のアクションを促すことで、パフォーマンスがどの程度向上するかを試してみることをおすすめします」とまとめました。

次に、勝井より、「レイアウト変更によるパフォーマンス向上事例」として、某ニュース系サイトにおける事例が発表されました。背景としては、「もともとテキストオンリーのサイト。だがニュース系サイトはSNSなどでのバズ情報に左右され、PVが大きく変動しやすい。そうした変動を少なくし、安定して収益増を目指したい」といったサイトの要望がありました。
そこで、「テキストのみのデザインをサムネイルとテキストの組み合わせに変更し、A/Bテストを実施。パフォーマンスの良い方で掲載しては?」と提案し、テキスト形式の広告枠8本をサムネイル+テキストに変更しました。また当時、間も無くSmartFeedを提供開始する予定だったため、それを見越して大きめのサムネイルでの掲載を提案しました。
結果は、テキストのみのサイトのPaid CTR指数を100とすると、大型サムネイル+テキストが58。「これにより、テキストのみでもサイトデザイン全体との親和性によって、十分数値が取れる」ということが明らかになりました。

また、某ニュース系サイトにおける事例の二つ目も発表。「リニューアルが決まり、これまでのテキスト形式をサムネイル+テキストにして、CTR+収益上昇を狙いたい」「アウトブレインウイジェット下方に他のモジュールがあるため、下方にあまり長いデザインは困る」との課題がありました。
「SmartFeedを適用する」「広告だけだとパフォーマンスが落ちかねないので、内部回遊を一部入れて、ユーザビリティを確保する」を方策とし、横2列の広告枠について、上部から「広告枠(動画オーバーレイ枠を実装)」「広告枠」「内部回遊枠(カルーセル)」「広告枠」「内部回遊枠(カルーセル)」というページ構成に変更。その結果、Paid CTRの指数を比較すると、テキスト形式を100とすると、SmartFeedは130と、1.3倍もの数値アップがみられたのです。勝井はこの結果から、「サイトの新デザインにウイジェットに新デザインもマッチして、従来のテキスト型よりも大きくパフォーマンスをあげた」「動画の再生回数もある程度の数字を確保し、収益向上に貢献した」とまとめました。

最後に、藤本より「フォント変更によるパフォーマンス向上事例」が発表されました。
一つ目の事例として、某ポータルサイトのケースを紹介。レイアウト変更を行う際、 原稿UIのフォントサイズ「15px」、「太文字15px」、「17px」の3パターンでテストをしたところ、フォントサイズをアップした「17px」のページがオーガニック、paidともにCTRが向上。RPMも向上しました。

また、二つ目の事例として、某スポーツ紙のケースを紹介。 タイトルを3行から2行に変更した結果、情報量が少なくなったため、フォントサイズを小さくして情報量が多いデザインとABテストをしたところ、「テストA:タイトルを2行にしたデザイン」「テストB:テストA+フォントサイズを小さくしたデザイン」では、フォントサイズを小さくした方がオーガニック、ペイド共にCTR・RPMが下がる結果に。「これら二つの結果から、文字のサイズが大きい方がパフォーマンスが上がるのではないか」と結論を述べました。

各パブリッシャーによる事例共有

続いてイベントの第2部は、各テーブルに分かれたワークが行われました。各パブリッシャーがパフォーマンスの向上事例を発表しあい、全員で共有した上で、全体に発表するというものです。
約15分間のワークののち、各テーブルからは、「広告の立場からすると、広告枠は上にあればあるほどよく、その方がビューアビリティが高かったり、CTRやRPMが高くなったりすると思われがち。だが、ユーザーの目線を忘れてはいけない。見出しより上にあると違和感があることも。反対に、画面の下部へ下げたことによってCTRが上がったこともある」「文字で見せるよりも、ビジュアルで見せる方がCTRが上がった」「スマートフィードの数はできるだけ多くするといい。スマートフィードの読み込みのたびに最適化を行うため、結果的にパフォーマンスの向上につながる」「まずはやってみることが大事。文字のサイズや大きさ、数などいろいろ上がったがとにかくやってみることが大切」「流入元と同じフォントサイズにそろえることで、ユーザーの違和感を解消できる。回遊率も上がる」などの意見があがりました。


アウトブレインの新サービス「AdNgin」

最後に藤本から、アウトブレインが提供する新サービス、AdNginについての紹介がありました。
AdNginはユーザーごとのパーソナライゼーションに焦点を当て、個別ユーザーの嗜好に基づきユーザー体験を最適化するツール。個別のユーザーに対して最適なUIを提供出来るように、A/Bテストを自動化して繰り返し、ユーザーごとに異なるUIを提供します。
「UIの改善は、まず、やってみないとわからない。でも、UIの最適化をするにもリソースがなかったり、A/Bテストを行うのに時間がかかったりするケースも少なくありません。そんな時に便利なのがこのツール。自動でUIの改善を行い、継続的に最適化を行うため、パブリッシャー様の負担を大幅に削減します」。
AdNginは、すでに 海外で運用が始まっており、その結果としてドイツの某パブリッシャーでは、23%Paid CTRが向上。また、米国の某パブリッシャーは32%CTR向上(モバイルサイトは21%)、英国の某パブリッシャーはなんと80%もCTRが向上したことが発表されました。
「導入にあたり、最低限必要なトラフィックはデイリーで5万PV。パブリッシャー様の実作業は不要というのも特徴。パフォーマンス向上を目指し、継続的な最適化のためにご活用いただければ」との言葉で、イベントがしめくくられました。

ユーザーが「自分ゴト化する」共感型コミュニケーション ~サッポロビール・ライオンの事例で学ぶ~ 第3部 <ライオンの事例で学ぶ>「ワン・パーパス」×「マルチ・クリエイティブ」〜自分ゴト化・共感を呼ぶ新たな動画コミュニケーション

2019年2月20日、東京・恵比寿でOutbrain、amana、ALPHABOAT、indaHash、Teadsの5社による共催セミナーが開催されました。セミナーテーマは、『ユーザーが「自分ゴト化する」共感型コミュニケーション』。
第3部のテーマは、ライオンの事例に学ぶ「ワン・パーパス」×「マルチ・クリエイティブ」。従来型の一方通行なコミュニケーションではお客にブランドメッセージが届きにくいソーシャル時代に、タッグを組んだ「クリニカ」とAlphaBoatが、さまざまなインフルエンサーを活用して、マルチ・クリエイティブの動画広告を制作した背景についてのトークが展開されました。

自社の「ブランド・パーパス」を考えるところからスタート

トーク序盤、西谷氏が切り出したテーマは「ブランド・パーパス」。これは、「ブランド理念」「ブランドの大義」「ブランドがサスティナブルに存在する理由」などと解釈される言葉ですが、今回の議題となっているライオンの事例においては、動画制作の前段階に、ブランド内で「ブランド・パーパス」に関する議論が長時間続いたといいます。

その理由を説明したのは横手氏。「機能的にも優れた商品がこれだけ溢れている日本では、日常生活の中で改めて、何が良くて何が悪いかを考える時間はないですよね。そんな中で我々マーケッターが何のために存在しているかというと、ブランドを使う価値体験を高めるため。そこで、『ブランド・パーパス』という考え方をまずは自分たちが取り入れることにしたんです」と明かします。

「クリニカに関していうと、これまでは、『日本を予防歯科の先進国にする』というスローガンをもとに展開していましたが、これはあくまでもライオン、クリニカが主語。しかしこれからは社会やお客さまこそ主体と考えたとき、『わたしたちは社会や顧客と共にどんな価値を生み出していくべきか?』『わたしたちは何のために活動するのか?』という問いにぶち当たりました」。

横手 弘宣氏
(ライオン株式会社)
その背景にあるのは、「価値の多様化」「選択の自由=自己責任」「正解がわかりづらい社会」といった、今の時代ならではの要素。こうした時代背景をもとに多くの生活者たちは将来に不安を抱えており、忙しい毎日の中、自己投資に対して前向きでありつつも、思うように行動できていないことに罪悪感を抱くこともしばしばあります。

これをクリニカという商品に当てはめて考えると、「歯医者さんにほめられる歯に」をコピーとして掲げることにより、「医者から褒められたら満足=罪悪感がぬぐわれる」ということになります。つまり、その一瞬をいかに切り取るかが、ブランドにとって大切なことだというのです。

「人は『誰かに褒められたい』欲求があるものですし、何かを達成したら次もがんばろうと前向きになれます。そのサイクルをつなげられたら、社会に対して新しいメッセージを発信できると考えました」と横手氏は説明する。

「歯磨きして褒められることはなかなかありませんが、きちんと磨いて虫歯を予防していることで、“わたしはちゃんとがんばっている”と自分を認められると、歯も健康になるし、日々の歯磨きにも前向きに取り組めると思うんです」と、さらに続けました。

ブランド・パーパスと消費者のニーズとの接点を考えてコピーやストーリーを制作

これを受けてAlphaBoatは、顧客に直接ヒアリングして、日常でどんな風景を見ているのか、インサイトをあぶりだしてコンテンツの制作に入ることに決定。結果、「大人になるにつれて褒める機会が増える一方、褒められる機会が減る」というユーザーインサイトを抽出しました。そうしたインサイトに基づくクリエイティブコピーの開発を実施し、その結果、「#大人は大変だ。」「#大人だって、ほめられたい。」のコピーが生まれたのです。

「大事なのは共感していただくことなので、メーカーからの押し付けにはしたくないと思っていたんです。生活者が心の中で思っている言葉を表したこの言葉はひとつの答えですし、歯磨きをしている時間にはその日一日のことを思い出すこともあるから、“1日を振り返る歯磨き”を作れることに親和性を感じました」と福井氏もうなずきます。

福井 幸二氏
(ライオン株式会社)
続いて横井氏が、今回のコンセプトやターゲットなどについて説明。まずコンセプトは、「37年間にわたって洗面台から家庭を見守ってきたクリニカが、洗面台の鏡の視点から、仕事や子育てに奮闘する大人を励ます」。ターゲットは、日常生活をがんばっている大人たちで、特に30代以上の女性。ストーリーをうまく説明することで、それを「自分ごと化」してもらいたいと考えたといいます。

そこで、一人ひとりが自分を深く投影できるターゲットを見つけてより深く共感できるよう、ペルソナに応じて3パターンの広告を制作。3つはそれぞれ、「ポストイット編」「よくできました編」「鏡絵日記編」で、お客が主語になって、「褒められる瞬間」を反芻できるような内容に仕上げました。ポイントは、ムービーの主語が「がんばる大人」であって、ブランドではないことです。

これに対してAlphaBoatがおこなったのは、共感を得るためのインフルエンサー施策。ドラマ出演をストーリー化して、人柄や雰囲気を重視したインフルエンサーのキャスティングを実施し、今回のドラマ出演という出来事自体をひとつのストーリーとして展開。さらに、ドラマのテーマやメッセージに共感するインフルエンサーに、同じ熱量を持った仲間を探してつながってもらうことで、コミュニティを形成してもらい、ムービーの熱量を拡散してもらいました。

西谷 大蔵氏
(AlphaBoat合同会社)
また、音楽もフルスクラッチ。フォロワー数などの量的基準、エンゲージメント率などの質的基準を超越して熱量を伝えることに重点を置いたインフルエンサー施策を実行しました。

動画を埋め込んだ記事を作成することによってさらに拡散

コンテンツ拡散のためにさらにさまざまな施策をおこなったのはアウトブレインです。2分半にもおよぶ動画の内容を、パケット代を気にする若年層にも知ってもらうため、動画を埋め込んだ記事の作成を実施。エキサイトニュース、マイナビに、それぞれ違う角度からコンテンツを切り取って紹介してもらうことを決定しました。

さらに、記事内での動画の視聴完了率、滞在率、クリニカのwebサイトへの遷移率もはかり、ちゃんと共感を呼べたかという観点から、コンテンツの拡散というKPIとして精査しました。

「膨大な組み合わせの中から動画の視聴完了率やブランドサイト遷移などのエンゲージ指標に基づいて、動画再生コンテンツへの送客をコントロールしています。リーチや送客数の最大化ではなく、エンゲージの最大化ですね」と秋元氏。

記事を読むと自動的に動画が再生されますが、動画視聴完了率は20%前後で、2分半の動画にしては高い数字を出すことに成功しました。

秋元 陸氏
(アウトブレインジャパン株式会社)
また、次回のステップに関して福井氏は、「この施策でもっとも大切なのはクリニカのパーパスや思いが伝わることなので、ちゃんと伝わっているか、伝わっていないとしたらどこか、共感ポイントはどこかを考えながら次のコンテンツ作りにつなげたい」とコメント。

これを受けて西谷氏は、「ソーシャルエンターテインメントをプロデュースする上では、社会全体へのアンチテーゼを考えるアプローチが重要。これはブランド・パーパスと密接に連携していますが、特にミレニアル世代を考える上では不可欠なこと。これからは、フォロワー数やリーチ数より、生き方や姿勢、発信しているメッセージへの共感や賛同が大事になってくると思う」と締めくくりました。

ユーザーが「自分ゴト化する」共感型コミュニケーション ~サッポロビール・ライオンの事例で学ぶ~ 第2部 <スペシャルセッション> 次世代型動画広告とブランドセーフティ

2019年2月20日、東京・恵比寿でOutbrain、amana、ALPHABOAT、indaHash、Teadsの5社による共催セミナーが開催されました。セミナーテーマは、『ユーザーが「自分ゴト化する」共感型コミュニケーション』。
第2部では、ネスレ日本株式会社 媒体統轄室 村岡 慎太郎氏と、Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブ 山口武氏によるスペシャルセッションが行われました。セッションテーマは「次世代型動画広告とブランドセーフティ」。成長し続ける動画広告市場において、これまで通り、リーチ獲得を目指すだけではなくエンゲージメントを高める次世代型サービスが次々と登場する中、企業としてのブランドセーフティを守りながら、最新サービスを活用する事は可能なのでしょうか。そしてその価値とはいかなるものかについてのトークがスタートしました。

ネガティブな結果を生む配信を避けるため、アドベリフィケーションを意識することが大切

セッション冒頭、山口氏が触れたのは「アドベリフィケーション」について。山口氏は、「デジタル広告は、ポジティブなバリューを得られるものだけでなく、ネガティブな結果を生むものもあります。たとえばブランド毀損につながる恐れのあるメディアに広告が配信されることもそうですし、配信したのに見られていないこともあります。こうした無駄を省いていくことがアドベリフィケーションです」と説明。

これに対して村岡氏は、自社製品を例として挙げながら、「たとえばネスカフェやキットカットの広告が、バイオレンスやアダルトなコンテンツの多いメディアに出ることも、マイナスイメージを植え付けることにつながります。ブランドセーフティを保つために、こうしたネガティブな要素を排除することは大切です」と相槌。ネスレでは、IASやプレビッドを利用することで、そうした事態を防ぎ、意図しないメディアに出る率を大幅に下げたといいます。

「ビューアビリティやプレビッドがビジネスにとってどんなバリューがあるか、可視化することはとても大切。たとえば、KPIに対する取り組みでプレビットをかけた結果、CPCの効率もよくなったことがわかりましたが、一般的にはプレビッドかけると在庫が減るため、CPIが高くなると想像されています。でも、結果としてCPCもよかったですし、数字として可視化できる状態にすることが大事だと再認識しました」と村岡氏。

村岡 慎太郎氏
(ネスレ日本株式会社)
また、オープン、プレビッド、PMPで比較したとき、プレビッドは広告認知効果が高く、ビューアビリティが高くなるため認知度の向上に効果があるとされていますが、さらに、PMPは新聞や雑誌など真剣に読まれるコンテンツに挿入されるバナーであるため、さらにユーザーの理解が高まることがわかりました。

さらに山口氏は、「インプレッションの質と量に関して言えば、今まで通りのCPA、CPCの考え方では、より安くより多く獲るのが目指すところ。リーチを軸にしたビューアビリティだと、見られたことだけが評価されてしまいがちです。でも動画広告が2秒流れても、それがどういう企業のものか認知されることは少なく、広告効果が実現できるのは6秒流れたあたりから。1~2秒だとブランド認知度は1%以下ですが、4~7秒だと認知度があがっていきます」と説明。加えて、コンバージョンと閲覧回数の関係性について調べたところ、キャンペーンの場合、広告を見る回数が8回を超えると認知度が高まることがわかっていると話しました。

それでは、全インプレッションの何パーセントのユーザーが8回以上視聴しているかというと0.3%程度。ビューアビリティの率を上げる取り組みをおこなう中でも、1、2回しか視聴していないユーザーが多く存在していることがわかったといいます。

さらに、ランディングページへの到達をコンバージョンとした場合、広告を見ることによってコンバージョン率が45.3%上昇することが判明。さらに、ビューアブルなインプレッションでの到達率は86.2%でした。これはランディングページだけでのデータですが、そのほかのコンバージョンポイントにおいても広告閲覧時間との関係性をグラフで確認したところ、15~30秒間広告を見ているユーザーがもっとも効果を出していることがわかりました。

閲覧回数や閲覧総時間を明確化して動画広告を可視化

「しかし衝撃的なことに、15~30秒見ている人はたったの13%。では、キャンペーンにとって最も効果的な閲覧時間の蓄積ができているユーザーは圧倒的に少ないのです。リーチ基準でビューアビリティの率だけを追い求め、1回1秒みてくれた人を増やすだけでは意味はなく、一人一人のユーザーに効果的な回数と時間、広告を見てもらうことが必要です。1~15秒しか広告を見ていないユーザーに広告をもっと見てもらい、15~30秒蓄積させることが重要。同時に、閲覧数過多のユーザーをどう減らしていくかも考えた方がいいんです」と山口氏。

さらに、「一番大切なのは、一つひとつのインプレッションじゃなく、蓄積した閲覧時間。実際のコンバージョンは、ランディングページ到達の場合もあれば購入という場合もありますが、それを達成するために必要な閲覧回数や時間の蓄積などを明確化することが大切」と述べました。

山口 武氏
(Integral Ad Science Japan株式会社)
また、「今回は静止画でスタートしましたが、本当にやりたいのは動画広告の可視化。今回の取り組み内容を次回は動画に横展開したい」と明かす村岡氏に対しては、「より効果的な動画を利用する理由付けはたくさん出てきています。海外ではすでにプレミアムパブリッシャーやコンテンツメディアの注目度もあがってきていますし、今後も我々としては、お客さまの各キャンペーンに役立つようなレポートを実現したい」と意気込みを見せました。

デジタル広告が本来、あるべき姿とは?〜広告主とメディアが理想的な関係を築くために 連載1 Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブ 山口 武氏 / アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問/アビームコンサルティング株式会社 顧問 本間 充氏 / アウトブレインジャパン株式会社 代表取締役社長 嶋瀬 宏氏

2019年、デジタル広告業界でキーワードとなるのは、「ブランドセーフティ」「アドフラウド」「ビューアビリティ」だ、とする声が頻繁に聞かれている。だが一体、それらの言葉はどれだけ正しく理解されているだろうか。対策をすでに始めている企業も増えているとはいえ、トラブルが起こった時の火消し役に徹していたり、リスクの計算に追われていたりすることはないだろうか。またデジタル広告の出稿には、広告主とメディアを中心に、多くの登場人物が関わっているにも関わらず、それぞれの立場で閉鎖的に状況を見ているという現状も、概念の実践を難しくしている理由かもしれない。
ここでは3回にわたって、デジタル広告が本来あるべき姿を追求。1回目の今回は「広告主とメディアが理想的な関係を築くために」というテーマのもと、さまざまな立場から議論した。

「ブランドセーフティ」という単語の2面性

嶋瀬 近年、日本でもアドフラウドやビューアビリティ、ブランドセーフティなどの概念が浸透し始めましたが、歴史的にはいつぐらいから起こったのでしょう。

山口 米P&Gの最高ブランド責任者マーク・プリチャード氏が「全ての広告に透明性がなければならない」と発言したのが、2016年4月。これを機に、業界では一気にブランドセーフティへの注目が高まりましたが、それ以前にも、2010年ごろから動きがあったように思います。それが、マーク氏の発言で一気に話題になりました。ただ、日本国内ではまだ、ブランドセーフティの対策をとろうとする企業が少なく、「それは海外の話でしょう」「日本には必要ない」と考える広告主が大半でした。しかし、2017年の終わり頃に東洋経済に記事が載り、また、2018年9月にはNHK番組でも特集された。その辺りから大きく広がり始めたと思います。

本間 そもそも当時、私たちが話題の中心としていたのは、「広告に対する対価はきちんと第三者機関によって評価されているのか」という話だったはず。当時はまだ広告が評価される仕組みが整理されていませんでしたし、広告主もどこか人任せという感じで広告を捉えていました。しかしP&Gのマーク氏が透明性の話を出したとき、世間の関心は「反社会団体にお金が流れる仕組みになっている」という話題に流れ、さらに、「お金が誰の手に入るか」ということよりも、「広告がどの位置に置かれるか」ということに関心が集まるようになった。つまりグローバルに考えたとき、ブランドセーフティという概念には、「広告料がどこへ流れていくのか、適切に使われているのか」ということと、「広告がどこに表示されるのか」という、2つがあるということなんです。

本間 充氏
(アウトブレイン ジャパン株式会社/
アビームコンサルティング株式会社)
嶋瀬 そうした二面性は今も変わっていませんよね。今、日本でブランドセーフティの話をしたとき、「お金がどこへいくのか」ということと「広告がどこに表示されるのか」ということでは、どちらの方が関心が高いのですか。

山口 圧倒的に出面、つまり、どこに表示されるのかということですね。当社としても、株主総会で「ブランドイメージを守っていないのか」と指摘されたり、どこかで炎上したりして、トラブルを鎮火させたいと相談を受けることが多いですね。

本間 しかし嫌な言い方かもしれませんが、本来、アドサーバーは「枠」じゃなくて「人」に対して広告を出していて、cookieをもとにアルゴリズムで画面上に表示している。ということは、その枠は不都合かもしれないけれど、それを見ている人は対象として当たっているということですよね。

山口 課金体系がCPCであれば、結局、クリックさえしてもらえればOKなので、出面はあまり気にされず、ビューアビリティも問題になりませんでした。とにかく広告が表示されれば良いので。しかし、不正インプレッションの話が日本で話題になると、「えっ、ロボットもクリックできるの」という事実が知られるようになり、初めて広告の本質について語られるようになりました。

嶋瀬 でも、「ブランドセーフティの基準は一体どこにあるのか」という問題はありますよね。たとえばテレビ広告でいえば、お昼のワイドショーの広告枠を買ったとき、場合によっては、広告の直前に事件や事故などの話題が流れるかもしれない。それはよしとするのに、ウエブ上でニュースサイトに広告を掲載するとき、事件や事故を報じる記事の隣に広告が掲載されるのは嫌だという。そうなると、日本の大手メディアはブランドセーフティの観点から言うと、ほとんどアウトになってしまいます。

本間 ブランドセーフティと言っても、ブランドの広告担当は広告の出稿や管理が主な役割なのであって、ブランドマネジメントの任務を負っていないことがほとんど。一体、どのような広告が自分たちのブランドを傷つけるか、理解できないはずなんですよね。もし、事件や事故を報じるメディアに広告を出稿する企業がいなくなれば、これはメディア業界にとって一大事です。そういうメディアは社会的な意義を帯びているのに、誰も応援する人がいなくなる。本来、広告主が広告料を出すのは、「頑張ってコンテンツを作ってください」という応援の意識もあったはず。しかし、事件や事故、天災などのニュース記事に誰も広告を出さなくなれば、そうした社会的意義を背負ったメディアは存続できなくなってしまいます。

山口 今、アメリカでも「クリックベイト」という言葉が流行っています。簡単にいえば、ウェブ上の記事に読者の関心を煽るようなタイトルをつけ、閲覧者数を増やす手法なのですが、現在では真面目にコンテンツを作っていたサイトでさえ、ゴシップネタが多くなってしまいました。こうした傾向は、メディアにいいコンテンツを作ろうというモチベーションを失わせますよね。

山口 武氏
(Integral Ad Science Japan株式会社)
本間 本来、アメリカで生まれた「広告の透明性」という概念を考えると、実は、そこではコンテンツの良し悪しは語られていなくて、お金が不適切なところへ流れないよう、アドベリフィケーションのフローでしっかりチェックしましょうということだったはず。でも日本はその本質を履き違え、自分たちのブランド広告が不適切な位置に表示されないよう、それだけを守ろうとしている。
一方、広告主は自分たちが広告を出稿したい場所について、何も意見を表明していない。広告はメディアに対する応援であると考えれば、広告主は自発的に「このメディアに広告を出したい」という場所を見つけ、喜んで出稿するのが本来の姿です。でもそういう意見を言わず、「ここには出したくない」と言って出稿先を削るばかりでは、日本のメディアは体力を失い、広告主も出稿する場所がなくなり、やがて広告業界そのものが疲弊してしまうでしょう。

メディアと広告主の、理想的な関係性とは

本間 今、広告のトランザクションはほとんどスマホを通して行われていますが、スマホのビューアビリティはどうやって計測するのですか。

山口 定義としては、PCでもスマホでも同じです。

本間 スマホとPCのスクロールは意味が違いますよね。そうすると、そもそもスマホのビューアビリティは意味があるのか、という問題が出てきます。当然、ユーザーの態度変容も出てきますし、どこかで目に留まった段階でクリックされればいいのであって、スマホではビューアビリティ自体、もしかしたら不要な概念かもしれない。でもそうした違いを整理せず、「うちはビューアビリティを重要視しています」と、ずっと言い続けているところも多い感じがしますね。

山口 もちろん、ビューアビリティの観点で言うと、ユーザーの閲覧状況やデバイスも考慮しなければなりません。当社もPC用とスマホ用でデータセットを切り分けていて、たとえば1秒、広告が見られたとしても、どのようなデバイスで、どのように閲覧されたのか、データを分析しなければならないと思います。

嶋瀬 ユーザーの行動を促す変数は確かにたくさんありますが、たとえばCTRや総数が変わらないとした時、ビューアブルの時間が2倍になったらエンゲージメントはこう変わる、というデータは出ているんですか。

山口 それはまだですが、ぜひ作りたいですね。

本間 新しい指標を作り、それを制御変数として、メディアに使ってもらいたいですね。でもそれ以上に大切なのは、もっとラフに、広告主にどんな広告を作りたいのか、落ち着いて考えてもらうことじゃないかと思います。「このメディアはスポンサードしたいから、ぜひ、ここに出稿したい」という希望もあるでしょうし、「この広告配信方法にお金を出したい」と言うのもあるかもしれない。広告主は、メディアや広告業を応援する気持ちがないと、お互いwinの関係になれないと思うんです。
私たちは立場上、広告主よりも一歩先に出て、常にバージョンアップしたいと思っているけれど、できれば広告主からの意見も欲しい。それに対して、メディアは「自分たちにはこれくらいの価値がある」と提案する。インターネットができて35年。そろそろこうしたフランクな関係ができてもいい頃だと思うんですよ。

山口 同感です。現在は問題が起こった時、どうチューニングするかということに重点が置かれています。でも、「本当は何がやりたいのか」というところから広告を組み立てていかないと、結果的に同じようなメディアプランばかり、できてしまうことになる。ブランドにとって、どんな広告キャンペーンが必要で、そのための指標として何が必要、など、一つ一つ順を追って考えていくことが大切。その上で、「うちはCPCを重視する」とか「CPMでやる」とかの方針が決まるでしょうし、やり方は各ブランドによって異なるはずです。デジタル広告は決して数字のゲームではありませんから、まずは、本質的なところに戻ってくる必要があると思いますね。

嶋瀬 たとえば、広告のクリエイティブが違っても、広告の効果を測定したエクセルの表ではすべて一律に扱われてしまうという問題もありますよね。

嶋瀬 宏氏
(アウトブレインジャパン株式会社)
本間 アメリカでは、IAB(Interactive Advertising Bureau)が中心となって、広告の測定方法について積極的に議論していますよね。「こういう部分を測定した方がいい」とか「リスク回避のためにここに注目した方がいい」とか。一方、広告主も学びを深めて議論に関わっていますが、こうした議論はアメリカで盛んに行われているんですか。

山口 頻繁に行われています。当社もそうした集まりに呼ばれることがあります。IABはどちらかというとメディアサイドの組織が多く加入しているのですが、当社のようなベンダーが議論に加わることで広告業界自体の風向きが大きく変わったのを感じます。広告の出稿先としての価値が高まり、単価が上がったとか。

本間 メディアの中でも良いメディアが悪いメディアを淘汰するようになり、良いメディアに多くのお金が入る仕組みができてきたということですか。

山口 そうなりつつありますね。同時に、良いメディアに対する評価基準や認識も、標準化してきているように思います。もちろん、良いメディア、悪いメディアの基準は広告主によって変わりますから、主観的にマッチしていればいいのだと思います。

嶋瀬 当社の話をすると、アウトブレインはプレミアム媒体をネットワーク化しているので、たとえば人気のあるYouTuberの動画に出てくる広告と、ユーザーが興味を持って検索しているサイトに出てくる広告では、同じ秒数、表示されたとしても、価値がまったく違ってくると思うんですよ。でもエクセル上の数字にすると、その違いが消えてしまう。分析するマーケッターだって、一消費者として考えてみればその違いはわかるはずなのに、当事者となって数字を前にすると、その意識が欠落してしまうんですね。そういう意識がすべての人に共有されると、真面目に優れたコンテンツを作った人が高く評価される社会になるのではと思うのですが、そうなるにはどうしたらいいのでしょう。

山口 ブランドとユーザーの接点をどこに作るのが適切か。それを考えながら広告を組み立てないと、エクセルに落としてからでは難しいですよね。

本間 なんとなくインターネットのメディアスペースが無限にあり過ぎるから、全部プログラマティックでやらなければいけないと考えている広告主が多いのかもしれないって思うんですよ。だから、「ここには広告を出したくない」というメディアを、まるで砂場の山くずしのような感じで削り取っている。でも本来は、絶対に広告を出したいメディアがあるはずですし、「このライターさんに記事を書いて欲しい」とか、「このYouTuberはスポンサードしてあげたい」とか、そういう希望もあるはず。積極的に出したいところと出したくないところを少なくとも分けなくちゃいけないのに、それすらもやっていないのが現状だと思うんです。

山口 確かにやっていませんね。

本間 旧来のテレビ広告では、当たり前のようにそうしたことを考えていたはずなんです。無限にお金があるわけじゃないですから、必然的に出したい広告枠を選んでいた。でも、インターネットの場合は出したくないものを削る方を優先にしている。こうした不自然なセレクションがよくないと思います。
アメリカではIABのほか、NAB(National Association of Broadcasters)という団体もあって、「こういうメディアに広告を推奨します」と意思表示しています。つまり、メディアは自分で自浄作用を働かせ、また、広告主も自分たちで意思を表明し、対等の関係にあるんです。でも日本はそうじゃない。日本の広告主はメディアに対して意見を表示してはいけないと思っているのか、たとえば2年前、DAZNがJリーグの全試合の放映権を獲得した時、日本の広告主は何も発言しませんでした。広告主はメディアに地殻変動が起きた時に何も言っちゃいけないと思いこみがちです。でも本来、広告主だって意見を言いたいはずですし、メディアも広告主の意見を聞きたいはずなんです。

今、メディアが殺され始めている

山口 言えていないのはなぜなんでしょう?

本間 インターネットの広告担当が、テレビ広告などの買い付けを知らないからじゃないでしょうか。なんとなく、広告はメディア評価で選ぶべきだと思っているんだと思います。でもそもそも、テレビとインターネットでは広告枠の買い方が基本的に違いますし、各メディアの特性を正しく判断できているかというと、そうとも言えない。そろそろ、テレビや新聞など、従来の4大メディアの広告担当と一緒に議論すべきタイミングだろうと思います。テレビや雑誌にもブランドセーフという概念はあるわけですから、互いに学ぶべきことも多いでしょう。

嶋瀬 たとえば、薬物所持で逮捕された芸能人のニュースを報じた番組の後に広告が流れても、ブランドセーフティとして問題があるとはされないのに、これがインターネット広告になると、その記事の隣にあるバナーはブランドセーフじゃないと言われる。メディアが変わると、どうしてブランドセーフの基準も変わってしまうのだろうと、いつも疑問に感じます。

本間 おそらく宣伝部の担当者が、メディアを横断してブランドセーフティを考えていないからじゃないでしょうか。そもそも宣伝部の仕事は、インターネット広告の広告価値を最大化することであって、ブランドを毀損するリスクに対して絆創膏をはるだけじゃないですよね。でも今はすっかり本業が逆転されてしまっている感じがします。

山口 テレビ広告にインターネット広告のようなブラックリストのやり方を当てはめれば、薬物所持した芸能人のニュースが出るかもしれないから、そのチャンネルごとブロックしてしまおうという話になる。でもそれはやり方として正しくないですよね。

本間 もし、薬物所持した芸能人のニュースに広告を載せるなら、たとえば薬物被害を抑止する広告なら価値があると思います。でもそういう議論がされず、一括して広告を載せない、となる。だったら、そうした事件を報じるニュースは世の中にない方がいいのか、という議論になりますよね。
しかしかつて、アメリカのサンノゼで地方新聞が廃止された時、街はどうなったかというと、治安が悪化し、犯罪件数が増えたんです。それは事件や事故を報じる媒体がなくなったから。広告主は、事件や事故など不適切なことが報じられることにも社会的意義があるということを理解すべき。そのニュースや記事を見る人にも、学びや気づきがある以上、そこに掲載される広告は決してブランドを毀損するだけではないと思うんです。

嶋瀬 事実報道かフェイクのニュースか、その本質を見極めないで一律、広告の出稿は不可とするのは非常に違和感がありますし、長期的にみて、広告の将来を閉ざすことになりますね。

本間 今、広告主が理解しなければならないのは、広告主がメディアを殺し始めているということ。これはとても危険で、広告出稿金額がなくなるということはメディアがなくなるということです。それでも広告主は広告を出稿したいのであれば、みずからメディアを育てなければならない。たとえば価値が高いとわかったメディアには相応の広告料を支払うなど、責任の所在を明確にし、「誰が、なんのために広告を作るのか」といった本質に立ち返って、もう一度考えなければならないと思います。

山口 アドベリフィケーションベンダーの立場で言うと、間違ったメッセージを出しているベンダーもあるかもしれないなと思います。つまり、「このツールを使うと広告費を20%削減できますよ」など、誘惑的な言葉で広告主に声をかけるとか……。そうすると、アドベリは警察官のように違反や不正を取り締まるもののように受け止められてしまうんです。でも、私たちが提供しているのはあくまでもツールであって、いわばカーナビのようなもの。どうすれば目的地へ、早く正確にたどり着けるかと考える手段として使ってもらえれば、本来、望ましいメディアにお金が流れるようになります。

本間 いずれにしても、企業ごとに戦略があるでしょうから、横並びの結論が出るものではありません。そろそろ企業ごとに「自分たちにとってのアドフラウドとは何だろう」「ブランドセーフティとは何だろう」と、整理しなければならない時期になったということでしょうね。当然、大手ナショナル広告主のロジックをそのままコピーすることはできませんから、自分たちなりの意思を表明する時代に入ったのだろうと思います。

山口 武氏
Integral Ad Science Japan株式会社
アカウント・エグゼクティブ

ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒。2006年、Oddcast, Inc. 入社。2008年、Experian Marketing Solutions, Inc(ニューヨーク本社)にて大手広告主のマーケティングキャンペーンのサポートや戦略的コンサルティング業務を経験し、2011年に帰国、コムスコアジャパン株式会社にてクライアントサービスマネージャーとしてアドベリフィケーションやネット視聴率など多岐にわたるソリューションの営業サポートから実施までの実務を担当。2015年4月より現職。

本間 充氏
アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問
アビームコンサルティング株式会社 顧問

宣伝会議 デジタルマーケティング実践講座、デジタルソリューション営業基礎講座、データマーケター育成講座、広告効果測定講座、メディアプランニング基礎講座、マーケターのためのKPI設定講座講師。
1992年、花王株式会社に入社。1996年まで、研究員として、スーパー・コンピューターを使って、数値シミュレーションを行う。社内で最初のWebサーバーを立ち上げ、以後本格的に業務としてWebに取り組む。2015年に、アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの事業会社のマーケティングの支援、Webコンテンツ管理システム導入を行う。その他、ビジネス・ブレークスルー大学講師や、東京大学大学院数理科学研究科客員教授(数学)、内閣府政府広報アドバイザー、文部科学省数学イノベーション委員などを務めている。

嶋瀬 宏氏
アウトブレインジャパン株式会社
代表取締役社長

2001年三菱商事株式会社入社。国内外における新規プロジェクト開発などを担当。同社退職後、新規事業のインキュベーション・コンサルティングを行う株式会社ステラ・ホールディングスを設立。2013年11月より世界最大級のディスカバリー・プラットフォームを提供するアウトブレイン ジャパン株式会社の社長に就任。『適切なユーザーに適切なモーメントで』コンテンツを届ける同社のプラットフォームを通して、オンラインパブリッシャーとコンテンツマーケティングを展開するさまざまな企業をサポートしている。

ユーザーが「自分ゴト化する」共感型コミュニケーション ~サッポロビール・ライオンの事例で学ぶ~ 第1部 <サッポロビールの事例で学ぶ> ユーザー視点での次世代型ブランドコミュニケーションとは

2019年2月20日、東京・恵比寿でOutbrain、amana、ALPHABOAT、indaHash、Teadsの5社による 共催セミナーが開催されました。セミナーテーマは、『ユーザーが「自分ゴト化する」共感型コミュニケーション』。スマートフォンの定着とデジタル・ネイティブ世代の増加に伴い、動画広告の主要プラットフォームが、テレビだけでなくオンラインへと広がっていった今、動画広告はよりターゲティング、パーソナライズしやすくなっています。しかし、ほとんどの企業は、既存のテレビCMをそのまま他のプラットフォームに転用しているのみ。
ターゲットユーザーごとに「適切なフォーマット」「適切なメッセージ」でのコミュニケーションを設計するためには、どのような工夫が必要なのでしょうか?
「マルチ・フォーマット」×「マルチ・メッセージ」をうまく組み合わせることで、ユーザーごとにパーソナライズ化させて、一人ひとりに「自分ごと」だと感じてもらうためにはどうすればいいのでしょうか?
第一部では、サッポロビール株式会社 / ブランド戦略部宣伝室 シニア メディア プランニング マネージャー福吉 敬氏を登壇者に迎え、企業の代わりにインフルエンサーが発信するCGMプラットフォームと最新の動画広告の活用について、事例を交えながら紹介します。

4マスに接触する人が減り、デジタルもアドブロックされる時代に何ができるかを考えた

イベント冒頭、今回のテーマについて口火を切ったのはサッポロビールの福吉氏。
「男は黙ってサッポロビール」などの名コピーを例に挙げながら、「コミュニケーションの主軸にあるものって、“ワン・ビジュアル、ワン・メッセージ”。すごく強いコピーとすごく強いビジュアルを打ち出すことで、ひとつのメッセージを伝えることはずっと続いている」と説明しました。

しかし、世の中は変わってきました。
「(広告として)一番強いのはテレビですが、一般的にテレビを観る時間が減ってデジタルの可処分時間が増えていて、若年層にいけばいくほどその傾向にあるのが現実です。だけど一方で、H8年の情報量が100だとすると、H18年には5,300、つまり530倍にもなっています。なぜなら、当時はパソコンがそこまで普及していなかったし、デジタルサイネージもなかったからです」。

情報が溢れかえっている現在において、多くの人が情報を得るデバイスはスマートフォンをはじめとするモバイル端末。そんな中、自分に不要な広告をカットするアドブロックを活用する人も増えており、せっかく広告を打っても、伝えたい相手に伝わらないという現象も起きています。

福吉 敬氏
(サッポロビール株式会社)
「アドブロックの利用率は、日本=10%、ポーランド=38%、アメリカ=24%と言われています。4マスに接触する人が減っている上に、デジタルはブロックする人が増えているとなると、我々がどれだけよい商品を作っても知ってもらえない、店頭で手に取ってもらえないという現象が起きることになります。だったらどうすれば、今までの方法では届かない人に伝えられるだろう? まずはそれを考えることからスタートしました」。

「今までの方法では届かなかった人に届ける」を目的に広告を打つことを決めたサッポロビールが、そのためのパートナーとして選んだのが、Teads Japan株式会社、indaHash、アウトブレインジャパン株式会社の3社。それぞれ、独自のソリューションに注目が集まっている会社です。

フォロワーが多いインスタグラマーが必ずしもインプレッションするとは限らない

「私たちが扱っているのは、ベストエンゲージメントビルディングプラットフォームです。大事なのは、リーチではなくエンゲージ。インフルエンサーマーケティングによって“伝えるプラットフォーム”を開発しています」。

野村 肇氏
(indaHash)
そう話すのは、indaHashの野村肇氏。野村氏によると、同社に登録しているインフルエンサーは82か国で約92万人。
量と質の両方を担保できる人材のみをインフルエンサーとして承認した上で、登録者に公募型でキャンペーンごとに通知を行い、「どういう投稿が可能か」をチェックしているため、クライアントはクリエイティブ軸でジャッジすることができるというものです。また、承認されたコンテンツが投稿された後は、すべて二次利用可能なことも大きな強みとなっています。

「これまでだとキャスティング会社がリストを出してきて、『何万人のフォロワーがいますよ』と提案されるのが一般的でしたが、実際の広告成果について、我々は担保されていませんでした。ところがindaHashさんのは違う。ブランドが伝えたいことを意図して伝えることができるのが画期的だと思い、取り組みを開始させてもらいました」と福吉氏も採用を決めた時のことを振り返ります。

静止画動画問わず大切なのは、「瞬時にお客の心をとらえること」

続くTeads Japanの今村氏は、「弊社は広告におけるクリエイティブの制作支援から実際の配信までを提供するプラットフォームです。特徴は、botの排除、ブランドにふさわしくない媒体などを排除することで、広告主のブランドを絶対に傷つけないこと。また、ディスプレイに現れた時点で初めて(課金を)カウントさせていただくということで、観られていない広告に対する請求は一切ありません」と挨拶。

さらに最近では、企業が持っている素材をデバイスに対して最適化する業務にも力を入れていると説明しました。
「テレビCMは15秒で起承転結を作ってメッセージを伝えるものです。でもスマホメディアは一瞬でお客の心をキャッチしないとその先の接触時間はないので、静止画動画関係なく、いかにお客の心を掴むかを主軸に据えて広告を制作しています」。

今村 幸彦氏
(Teads Japan株式会社)
これに対して福吉氏は、「Teads スタジオ独自の、モーメントをとらえて人を惹きつけるなどのジャイロ、スワイプ機能がすばらしいと思っています。動画で配信したいと思っている人は多いけれど、実は静止画にも力があるんだと気づかせてくれたのがTeadsです」とコメントしました。

時間帯ごとに異なるペルソナを設定

続いてはアウトブレイン。
「我々はオンラインメディアの記事の下に『次にあなたへおすすめ』という形でユーザー様に次のレコメンデーションを提供している会社で、広告をクリック単価ベースで出稿いただけます。目指すところは、ひとつの記事を読み終わった後にもう1記事何か読みたいなという読者に対して、ディスカバリーモードといわれるところでの広告主です」と同社嶋瀬氏が説明すると、福吉氏は、「コンテンツを観るモチベーションを持っている人の興味を刺激して連れてくるところ、『次に読みたいものはなんだろう』をアルゴリズムで当てるところがおもしろいですよね」と笑顔を見せました。

さらにこのアルゴリズムに関して嶋瀬氏は、「さまざまなモーメントごとにペルソナを設計しているのですが、朝のペルソナと夜のペルソナは全然違います。朝の媒体と夜の媒体を広くカバーすることで、ユーザーが観たいものを観たいときに表示できるのが我々の強み」と言葉を足しました。

嶋瀬 宏氏
(アウトブレインジャパン株式会社)

Insta投稿の二次利用でエンゲージメント率が数倍にUP

各社のこうしたソリューションをもとに何を展開できるかを考えたサッポロビール。
今回の広告展開にあたり、まずはindaHashに、「黒ラベルで乾杯するシーン自体をリーチにかけてください」とオーダーしました。
「よくあるインフルエンサーマーケティングだとみんなコピペで文章が一緒。でもindaHashだと一人ひとり違うメッセージが出てくるのがよかった。しかも二次利用可能だから、我々のサイトのコンテンツとして埋め込むことができたんです。一つひとつのパネルを押すとメッセージが動く点も魅力的でした」と福吉氏。
 もちろん、結果も上々。
「今回のサッポロさんの件に限らず、過去の投稿で嗜好がマッチしていないインフルエンサーは選ばないようにしています。そのうえで、協力してもらうインフルエンサーにはきちんとブランドへの理解や共感を求めて、ブランドストーリーを伝えてもらっているので、通常はハッシュタグをいれても1~2%のエンゲージメント率なところ、今回は6%を達成できました」と野村氏は明かしました。

佐藤 勇太氏
(株式会社アマナ)

Instaの投稿をクリエイティブに可変することでさらに魅力的に!

続くTeadsは、2パターンのバナー広告で勝負に出ました。
「1つは、既存の動画・静止画素材をもとにクリエイティブを最適化したもので、もう1つは、indaHashさんがリアルタイムで生成してくるインフルエンサーさんの静止画を、スマホをスクロールすることでクリエイティブに可変していくものを作りました」。

今村氏の言葉を受けて福吉氏は、「説明を聞いてすぐ、そんなおもしろいことはすぐにでもやりたい! と即決しました。ビールが一番おいしそうに見える瞬間を切り取ってコピーをのせて、それを動画にして動きをつけるなんてすごく興味深くて」と当時を振り返ります。

もちろん、効果も一目瞭然。「有効トラフィックは99.9%、ベンチマークは94%を上回り、ブランドセーフも98.7%を達成できました。でも、一番特徴的だったのはアベレージインビュータイム(=広告に接触したタイムの平均)。12.8秒も接してくれていたし、ベンチタイムは1.7秒でした」と今村氏も語ります。

ユーザーの能動的な行動を誘発するユニークな施策

また、アウトブレインはクリック再生型動画「FOCUS」を活用。動画の再生ボタンをクリックすることで初めて再生されるスタイルのため、興味を持ったユーザーのみが主体的に視聴できるのがこの広告の大きな特長です。
「クリックするとフル画面表示になって、終わった後に次の動画を選べるということでエンゲージメント性を高めています。また、(今回はアルコール商品のため)未成年は配信を除外して、夕方以降のパフォーマンスが高くなる時間帯を狙いました。さらに、サムネイルにUGCを活用することによって効果を検証することで、新しいユーザーを連れてくることにも成功しています」と嶋瀬氏。

福吉氏も、「60秒の長尺に観たことがないようなUGCが出てきて、終わるとさらに次の動画を選択できることで、能動的な行動を誘発していますよね。エンゲージメントの高い人は『もっと観たい』という気持ちを持っているでしょうし、さらにエンゲージを高めるためには非常におもしろいクリエイティブだと感じました」と納得。

これらのソリューションを活用したことで、「indaHashの、自分の言葉で発信するユーザー目線に近いコミュニケーションとその多様性を知ることができましたし、アウトブレインやTeadsのプレミアムな面での発信では、これまで届かなかった顧客にアプローチできたのもよかった」と福吉氏。
ブランドの可能性が大きく拡大されたことで、これまでとは異なる形でのメディア発信に大きな意義を感じることができたと締めくくりました。