グロースハック事例 – Dropboxを急成長させた7つの方法とは

これまで、グロースハックの基本に関する記事の紹介はしてきました。今回は実際のグロースハックの事例をご紹介します。グロースハックを学ぶ上で、実際に行われた施策を見てみることでより具体的で深い理解が得られるのではないでしょうか。
ドロップボックスは世界的に利用されているオンラインストレージサービスで、ファイルのアップロードや他人とのファイルの共有がとても簡単なところが特徴です。急成長を遂げたこのドロップボックスがこれまでどのようなグロースハックをしてきたのかをご紹介します。- growth hack japan

なお、本記事はウェブマーケティングに関する多くの記事を紹介しているKISSmetricsThe 7 Ways Dropbox Hacked Growth to Become a $4 Billion Companyという記事を参考にしています。

ドロップボックスを成長に導いた7つのグロースハック

ドロップボックスは40億ドルもの価値を生み出していると言われていますが、広告にはほとんど投資をしていないそうです。どのようにしてこのような成功を果たしたのでしょうか。
今回は、ほとんどお金をかけずに自社サービスを成長させたドロップボックスの7つのテクニックを紹介します。
この記事で紹介されていたグロースのためのテクニックは以下の7つです。

1. サインアップを重視したシンプルなホームページ
2. サインアップのハードルを下げる
3. 友人紹介のための仕組みづくり
4. SNSでのフォロワーを増やす
5. 共有を簡単にすることで潜在的なユーザをも囲い込む
6. イベント開催でサービス・企業の露出を高める
7. 多くのデバイスやプラットフォームで利用可能にする

では、それぞれを見て行きましょう。

1. サインアップを重視したシンプルなホームページ

ウェブサイトというと、多くのユーザに自社サービスを知ってもらいたいがために、とにかく多くの情報を載せたい、と思ってしまいがちかもしれません。ですが、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。ウェブサイトでユーザにしてもらいたいことは一体何でしょうか?ドロップボックスのようなサービスを提供するサイトでは、「サインアップ(会員登録)」が大きな目的であるといえますね。

ファーストビューの下からは、シンプルでわかりやすいサービスの説明が続きます。

あれもこれも、と情報を載せすぎなくても、必要な情報がユーザに届いていればサインアップには繋がります。そのよい例といえるのが、このドロップボックスのウェブサイトです。上のキャプチャのようにシンプルなレイアウトにすることで、「ユーザに商品を知ってもらい登録してもらう」という導線を最短距離で用意できるのです。

2. サインアップのハードルを下げる

サインアップが面倒だったり、登録をしても使い方がわからなかったりすればユーザはサービスを利用してくれませんね。ドロップボックスのサインアップはシンプルな上、ウェブブラウザでなくても、デスクトップ上でサインアップできることも特徴のひとつです。

また、インストールをしたらまず、写真フォルダやテキストファイルが用意されています。これらから、ユーザが登録後にどのようにこのサービスを使ったら良いかを示しているのです。サービスに登録したはいいが、使い方がわからなかったので結局全く使っていない、、という経験をお持ちの方も多くいるのではないでしょうか。最近ではアプリのチュートリアルのようなものも含め、登録直後に使い方の案内をする様々な工夫がされていますが、これが登録直後の離脱を防ぐための方法であるといえます。

3. 友人紹介のための仕組みづくり

自社サイトからの集客には限界があります。ユーザが増えてきた段階で、そのユーザにも集客を手伝ってもらえたらよいですよね。ドロップボックスは自社で獲得したユーザが、その友人・知人に紹介してもらうための仕組みを作りました。

例えば、ある人がドロップボックスを他の人に紹介をしたら、その両方に500MB分の容量をプレゼントする、という方法を取ります。インセンティブがあれば、他の人にも紹介したくなりますよね。
CEOのヒューストンによると、ドロップボックスはこの紹介制度によってサインアップの数を60%も向上させたそうです。

4. SNSでのフォロワーを増やす

サービスを広めるためには、SNSも有効な手段のひとつです。SNSは多くの企業で、自社の認知度向上やユーザとのコミュニケーションのために使われています。フェイスブックでいいねしてくれた人だけに特別なお知らせをするなど、いいねをした人へのインセンティブをあげる会社もあります。ドロップボックスがしたのは、ツイッターやフェイスブックと連携したら、125MBのインセンティブをあげるということです。

5. 共有を簡単にすることで潜在的なユーザをも囲い込む

ドロップボックスでは、ユーザが非会員に写真やファイルを共有するのも簡単にできます。これはもちろんユーザにとっても便利な機能ですが、ドロップボックスにとっても、潜在的な会員にまで露出ができるチャンスです。


このように、リンクをコピーするだけで共有ができます。

実際に筆者の五木田も、自分が将来ウェブ関係のベンチャーでインターンをするなんて全く想像もしていない普通の高校生だった2008年か2009年頃に、アメリカ人の友人からたまたまドロップボックスでファイルを共有された時にこのサービスを知った、ということを覚えています。
このように簡単に共有できる仕組みを用意しておけば、当時の筆者のような、世の中のサービスに敏感でない層にも幅広く露出ができるのです。潜在層にリーチするのはハードルが高そうに感じますが、このように既存ユーザを上手く利用することでユーザの幅がどんどん広がっていきます。

6. イベント開催でサービス・企業の露出を高める

ドロップボックスは、ドロップクエストというコンテストを開催しています。このようなイベントを開催することで話題性にも繋がりますし、参加者がブログなどで紹介することでより多くの人への露出に繋がります。

7. 多くのデバイスやプラットフォームで利用可能にする

これまでのドロップボックスのグロースハックの方法を見てもわかるように、ユーザがサービスを周りに紹介しやすい(したくなる)ような工夫がされています。ただ、紹介する相手が利用するデバイスやソフトウェアなどが原因でドロップボックスが使えなかったら、せっかく紹介・共有をしてもらっても登録には繋がりませんよね。
そのためにも、ドロップボックスは新たなソフトウェアがリリースされたらすぐに対応するなど、多くのデバイスやプラットフォームでの利用を可能にしています。こうすることで、ユーザの増加をより一層加速させているのでしょう。

まとめ

まずサービス自体やウェブサイト、サインアップをシンプルにすることで多くの人に使い始めてもらい、さらにそのユーザが他の人に紹介しやすくするような仕組みづくりをすることで、ドロップボックスというサービスは多くの人の元に届いていきました。
「グロースハック」と聞いても実際にどのようなことをするのかイメージがしにくかったですが、このような事例を参考に、コストをかけずに多くのことが試せるというグロースハックの特長を活かして様々な施策をテンポよく試していきたいですね。- growth hack japan

グロースハックの第一人者 Sean Ellis氏が考える3つの大原則

グロースハックという言葉を作ったSean Ellis氏のPioneers Festivalでのプレゼンの内容をまとめました。ここでは、グロースハックの基本となる考え方が紹介されています。「グロースハック」という、新しいマーケティングの方法を生み出したEllis氏はどのようなことを考え、多くのスタートアップを成長へと導いたのでしょうか。

プロダクトマーケットフィット

このプレゼンは、Ellis氏が「スタートアップ・マーケティング・ピラミッド」と呼ぶ、グロースハックの考え方の枠組みの紹介から始まります。

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(参考:Startup Marketing Conference – Stacking the Odds for Authentic, Sustainable Growth)

この中でも最も基盤となるものが、「プロダクトマーケットフィット」と呼ばれる考え方です。グロースハックは、まずその商品がプロダクトマーケットフィットに達していなければ始まらないといいます。
プロダクトマーケットフィットとは、顧客を満足させるような良い製品を、適切な市場に狙って出しているという状態をいいます。グロースハックは成長を加速させる仕組み作りですので、この状態に達して初めて、グロースハックのスタートラインであると言えます。

※プロダクトマーケットフィットについての詳細はこちらの記事を参考にしてください。
【Keyword】プロダクト/マーケット フィット
グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方 (グロースハックに関する最も確実な手引書「4/9」)

プロダクトマーケットフィットを考え、ユーザにとってなくてはならないような商品作りをし、そしてそこから、グロースハックによってその価値を届ける仕組み作りをしていくのです。
では、どのようにして「ユーザにとってなくてはならないような商品作り」をしていけば良いのでしょうか?

Ellis氏がこのスピーチで一貫して言っているのが、「ユーザの声を聞く」ということです。ここでも、ユーザにするというある質問が紹介されています。
それは、「もしもこの製品を使えなくなったら、どう感じますか?」という質問です。
この質問をユーザにする上で最も注目すべきは、「とても残念に思う」という回答だそうです。Ellis氏は、ユーザからの回答のうち、この答えが40%くらいだった企業は、プロダクトマーケットフィットはうまくっていると判断するそうです。しかしそれ以下の回答だった場合は、何かしら他の手を打つ必要があります。

このように、まず人に利用してもらう価値のある製品作りが、グロースハックのスタートラインであるといえます。

グロースハックの大原則

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次に、マーケティングにおける重要な項目が3つ紹介されています。今まで行われてきたマーケティング手法とは異なるグロースハックで忘れてはならない、重要なポイントです。

①創造性
成長させるためのアイディアを考えられるような創造性が重要であるといいます。従来のマーケティングの方法とは違うアプローチで、どんどん施策を打っていくというグロースハックにおいて、創造性は重要なものでありそうですね。

②ユーザとの時間を多く設ける
Ellis氏はこのスピーチにおいてユーザの声の重要性を繰り返し述べています。アンケートや実際にユーザから話を聞くなど手段は問いませんが、とにかくユーザとの関わりの時間をできるだけ多く持ち、彼らの声を組み込んでいくことがポイントです。

③テストをする
実際にやってみなければ、何がうまくいくかはわかりません。何度でもやり続けてみることで方向性が見えてきます。このように繰り返し試していくことが、グロースハックの特徴でもあるといえます。

まとめ

今回は、グロースハックの第一人者であるSean Ellis氏のスピーチの内容をまとめました。いい市場を狙い、多くの人が生活の中で必要とするような商品作りをする。そしてどの過程においても、ユーザとの対話をし続けることで、よい製品作りや成長へとつながるのです。

リテンション改善 – 利益に大きくつながるグロースハックとは

グロースハックのAARRRモデルとはユーザー獲得から活性化~収益化などのユーザー行動フローのこと表したものであり、そのなかでのリテンション(Retention)とは既存の顧客の維持・囲い込み・活用など「ユーザーの継続利用」を意味します。今回はAARRRモデル中でも、どのようにユーザーに再訪してもらうか、という「リテンション」の部分に着目をした記事を紹介します。この記事では製品開発やマーケティングをしていく中で、ユーザーのリテンションを高めていくことの重要性が書かれています。- growth hack japan

なお、本記事は多くの企業の成長支援をしているGrowth DevilA Guide To Growth Hacking Retention Strategiesという記事を翻訳しています。

グロースハックで重要視すべき点は?

どんなスタートアップや大手企業であっても、商品やサービスの展開にあたっては、いかにしてユーザーを獲得し事業を成長させていくかということを第一に考えるでしょう。ユーザーがいればいるほど、利益に直接つながっていくからです。「企業を成長させること」だけにフォーカスしたからといって、ユーザーがそのサービスや商品を継続的に利用してくれる(リテンション)とは限りません。

もちろん、とにかく早く新しい顧客を獲得しなければ、ユーザーをどんどん逃してしまうことになります。リテンションをいかに高めていくのか、ということはサービスやプロダクトをグロースハックしていくうえで、特にフォーカスすべき項目です。

データに向き合う

グロースハックは、データありきの考え方です。つまり、成長までの「過程」よりも、データで分析できる「結果」の方が重視されます。どんなことも、結果として成功すればよしとされるのです。グロースハックは、手段としては従来のマーケティングのような型にはまったやり方はしませんが、だからこそアナリティクスで測定ができるようなもの(=データ)が基準となります。

Mixpanel

MixpanelというツールはGoogleアナリティクスと同じ機能性を兼ね備えていますが、より細部まで見ることができます。例えば、出稿している広告からどれだけの人があなたのWebサイトに来たか知るためにはこのツールが有効です。

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また、これは見込み客の絞り込み(セールスファネル)をしてくれます。売上の中のどこで顧客を失っているかを確認できるため、その問題のある部分にフォーカスできるのです。

顧客を理解する

リテンションはまず顧客を知ることから始まります。例えばバーで出会った人に名前も番号も聞き忘れてしまったら、よほどのことがない限りその後もずっと付き合い続けられるような関係にはなれませんよね?その人のことを何も知らなければ、その後の付き合いは始まらないからです。これは「リテンション」にも同じことが言えます。つまり、自社の製品を使い続けてもらうためには、顧客のニーズやどこに不満を持っているのかをよく知る必要があるのです。

多くの企業でユーザー獲得の機会を逃してしまっているのは、市場研究をしっかりできていないからではなくマーケティングの応用に関する視野が狭いがために、潜在的な顧客を失っているからです。リテンションのためのグロースハックはプロダクトのコンセプトをしっかり固めることから始まり、会社におけるあらゆる面へとつながっていきます。

リテンションを再優先にする

現代の市場においては、パレートの法則は正しいといえるでしょう。一般的には、収益の80%はリピーターから得られると言われています。どんなビジネスでも、固定客の基盤がなければ持続的な利益を得ることはできません。
最初の三年で利益を出すようなビジネスよりも、その先何年もの間ずっと成長し、利益を出し続けられるようなビジネスのほうがよいでしょう。

製品開発やマーケティングを行う過程でユーザーのリテンションを目指すことこそが、成功への道筋をたてるということなのです。

retention factory

ユーザーのためにデザインする

スタートアップで製品を開発するときには、現在の市場での顧客のニーズやギャップを埋めることを考えるでしょう。これを考えることで、何から始めたらよいのかということは確かにわかりますが、その後も発展できるような道筋までは示してくれません。

最初の製品モデルが完成したらできるだけ早い段階で、次世代製品もリテンションに重きを置いて開発を進めるべきです。改善のための道筋としてユーザーに自社製品を実際に使ってもらい、そのフィードバックをもらってみましょう。製品開発においてとても価値のあるフィードバックを返してもらえるでしょう。これは、玩具業界にグロースハック戦略を取り入れてきた「レゴ」という会社を例にあげてみるとよくわかります。

よりリーズナブルな価格帯の会社に顧客が流れて行ったためレゴの市場シェアが下がってきたので、その下落した市場シェアを取り戻すために早急な対応が必要でした。この解決策として、彼らは顧客に目を向けたのです。自分たちの顧客に、商品開発を進めてもらおうと考えました。

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レゴは、自社製品を使ったユニークで面白いデザインを顧客から集めました。社内のデザイン費の一部分を使って、この参加者のユーザーからデザインを買ったのです。

ソーシャルメディアのプラットフォームを通して、ユーザーが創った商品によりシェアも増え自分たちで市場を作り上げていきました。ユーザーが創ったものが実際の製品になるというサイクルを作ったことで、クラウドソースで集めたアイディアとオーガニックマーケティングから利益を得る、ということを進めていったのです。

ユーザーからのフィードバックをもらうことで、自社製品をよりよくするためのアイディアや、次世代製品の企画案、アドオンやアップセルを考えたり、ビジネスを維持していくための方法へとつなげることができます。
自社製品を改善できるようなよい情報をユーザーがせっかく持っているのですから、それらは参考にするべきです。利益だけを考えたような商品を作ろうとしてはいけないのです。ユーザーが安心して快適に使えるようなデザインを第一に考えましょう。こうすることで、多くのお客様に使ってもらえますし、さらにはそれが利益にも繋がっていくため、最終的には会社の成長にも繋がります。

新時代のマーケティング手法

利益を得るために何か商品を作るということは、手段のひとつでしかありません。マーケティングをすることで、自社製品を多くの人に広める事ができます。ここで重要なのは、その製品の情報を、狙ったターゲットに適切に届けることと、それと同時に既存ユーザーにも届けることです。製品開発に重きを置いている時こそ、新しいユーザーの獲得にも集中できるのです。

実際にどのくらいの人たちに自社製品を届けられるか、と考えてみましょう。半年経って振り返ってみると、毎月何千人もの新規ユーザーを獲得しているかもしれません。しかしそれと同時に、繰り返し使ってくれるユーザーはほんの一握りにしかすぎない、ということもありえます。ではどのようにして、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの保持という2つの問題を同時に解決できるのでしょうか?それは、「とにかくテストしてみる」。これに尽きるのです。

スタートアップ企業であったら、マーケティングにかけられる予算は限られているかもしれません。それを最大限に活用するためには、色々と手段を計画・実行したら後は待ってみる、という辛抱強さが必要なのです。予算の中でできることに少しずつ投資をして、その結果がどうであろうとそれを全部活用しましょう。ここでまた、「グロースハックはデータがすべてである」という話に戻ります。少しずつでも、結果として出てきたデータを分析して地道に改善させていくことが重要です。

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予算は限られているので、それをすべて使ってしまう前に、小規模な施策を試しにやってみるとよいでしょう。そうすることで、どこがリテンションに繋がっていないのかということが見えてきます。

メルマガ全部がスパムとは限らない

最近はスパムのようだという理由でメルマガによるマーケティング手法を避けるマーケターが増えています。しかしこれは大きな間違いです。メールを受け取ったユーザーがそれを開くということはつまり、「それを読みたい」というユーザー側の意思の表れであると言えるからです。それなら、少しでも興味を持って開いてくれる人たちに向けて送る価値はあるのではないでしょうか。一ヶ月くらいの時間をかけて、ゆっくりとメールを送り続けてみたら、想像以上の結果が出るかもしれません。

ただし、一度に多くの情報を送りつけて、ユーザーが鬱陶しく思うようなことはしてはいけません。安定的に、少しずつコンタクトを取り続けるということが大事なのです。毎回のメールで、違った側面から商品の魅力を少しずつアピールしていくとよいでしょう。

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こうすることで、大きな投資をしなくても、顧客が必要としている情報を読み手側に徐々に届けることができるでしょう。内容に興味のないユーザーはただ単にそのメルマガを開かなくなるだけです。どちらにとっても損することはありません。

マイナス評価にも目を向ける

リテンションのためのよい戦略を練っていたとしても、当たり前ですが離脱するユーザーもいます。そのようなユーザーを見て見ぬふりをすることももちろんできますが、もし離脱したユーザーがいた時には、その理由を聞いてみるとよいでしょう。

「理由としてでてくるのは自社に対するマイナスな評価だから良い思いはしないのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、案外そうでもないということが多くあります。たしかに自分たちがこれまでやってきたことを指摘されるのは気持ちのよいものではありません。しかし、ユーザーからの声ほど貴重なものはありません。複数のユーザーから同じ意見が上がってきたとしたら、そのタイミングでその問題について考えなおすべきなのです。

もしも、試用期間のあとにユーザーがキャンセルをしてしまうような価格設定にしているなら、「高い」と驚かせないような方法を考えるとよいでしょう。顧客がなぜそれをキャンセルしたのかという理由を知るためには、とにかく聞くしかありません。ユーザーの声が聞けるサービスとしては、UserVoiceというものがあります。ユーザーが離脱してしまった理由を知ることができたら、リテンションにおける改善点も見えてくるのです。

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サービスのオプションを拡大・縮小する

付加価値を与えられるようなものを常にいくつか考えておくことも重要です。例えば、会計に関するアプリを作っていたとしたら、一般的に使われているソフトウェアと自動的に同期できたら、ユーザーにとって便利ですよね?ユーザーに付加価値を与えられたら、より長くそのアプリを使い続けてくれるでしょう。そのサービスにいくつかオプションを付けられたら、使い手はそれらを組み合わせたり使い分けたりして、自分のニーズにあったものを個人個人でカスタマイズしていけるのです。

それと同時に、提供しているサービスを思い切ってやめてしまう勇気も必要です。というのも、たくさんのオプションを与えすぎてしまうと、ユーザーにとっては自分が使いやすいようにカスタマイズするのが難しくなるからです。シンプルな商品がユーザーにとっては価値のあるものになるという場合もあります。あまり使われないような機能ばかりがあっても、複雑になって嫌になってしまうだけです。

持続的なグロースハック

グロース「ハック」と聞くと、何か悪いものだと思ってしまう人もいるかもしれません。グロースハックはとにかく結果が全てです。ひとつのことを試してみて、もしそれがうまくいかなかったら次のことを試してみればよいのです。小さなことが大きな結果に繋がるようなことがあります。流入やコンバージョン、リテンションに繋がるようなセールスファネルを作っていくことが、効果的なグロースハックに繋がります。

まとめ

たとえ多くのユーザーを獲得できたとしても、そのユーザーたちに自社製品・サービスを使い続けてもらえなければ、利益には繋がりにくくなります。新規ユーザーを多く獲得することよりも、既存ユーザーに再訪してもらうことの方が価値のあることだと言えるかもしれません。

リテンションの改善策としては主に、「ユーザーのニーズを理解し、それを考えてデザインをすること」「テストを繰り返しそのデータをもとに改善策を考えること」「ユーザーからの評価をしっかりと受け止めること」という点がこの記事で紹介されています。当たり前のように見えて、普段は目を背けてしまうようなポイントなのではないでしょうか。改めてこれらの点を確認していく必要がありそうです。- growth hack japan

記事情報

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本記事は国際的なグロースハックエージェンシーであるGrowth DevilのFacts About Growth Hacking Everyone Thinks Are Trueという記事を翻訳しました。こちらのブログはWall Street JournalやWired Magazineにおいても紹介されています。Growth Devilはテクノロジー系のスタートアップの資金調達や急速な成長のための手助けをしながら、起業家のサクセスストーリーを発信しています。

基本を見直そう。グロースハックに関してよくある4つの勘違い

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みなさんは、「グロースハック」と聞くとどのようなイメージがあるでしょうか?日本国内でも多くのスタートアップが誕生する中で「グロースハッカー」という人たちが注目を浴びています。ただ、この「グロースハック」という言葉は人によって認識が様々で、その中で勘違いも広まりつつあります。ここで改めて、グロースハックとは何かを確認できる記事を紹介します。-growth hack japan

なお、本記事は多くの企業の成長支援をしているGrowth DevilFacts About Growth Hacking Everyone Thinks Are Trueという記事を翻訳しています。

グロースハックについて間違った認識が広まっている?

みなさんは「グロースハック」という言葉を耳にすると、なにか小難しいよくわからない専門的なもので、あまり手を出したくないと思いがちかもしれませんが、実はグロースハックの基本的な考えはそれほどとっつきにくいものではないのです。

どんなビジネスにおいても、事業を発展させること(そしてそこから売上を立てること)を最大のゴールとすると思います。そしてグロースハックの目的もまさにこれと同じなのです。しかし、細かい部分にばかり着目してしまうと、これが漠然とした小難しい話に思えてきます。

今回は多くの方がグロースハックについて持っている間違った認識について4ポイントにまとめてご紹介したいと思います。

1. グロースハックは技術的なものである

グロースハックとは、なにも技術的な話ばかりするわけではなく、今あるリソースの中で、いかにクリエイティブで効率的な方法を探しだして、より多くのユーザーを集められるのかという取り組みです。つまり、どんな手段であれ、より多くの顧客に自分のプロダクトを買ってもらうための方法を見つけさえすれば、コードを書いたりしなくとも優秀なグロースハッカーになることだってできるのです。

2. グロースハックはただのバズワードである

マーケティングは顧客基盤を拡大させるためのものとされています。これはグロースハックにおいても同じことが言えます。そのため、グロースハックとはマーケティングで従来言われている概念をただ新しく、聞こえをよくするために言い換えただけのものだと考える人もいます。

たしかにマーケティングはグロースハックと似ているので、よりよいグロースハッカーになるということはマーケティングを基礎から学んでいくこと、とも言えるかもしれません。しかし、印刷広告やテレビCMなどの型にハマったやり方をする従来のマーケターに対して、自社のプロダクトを売るための革新的な方法を見つけ出そうとする点でグロースハッカーとマーケターは異なると言えるでしょう。

3. グロースハックは簡単で即効性のある解決策である

グロースハックを効果的に行っていくためには他にはない独創性が必要になります。仮説を立てたとしても、ほとんどの場合は期待を裏切る結果になってしまいますが、それでも何度も何度も立ち向かっていくことが必要です。あっという間にグロースハックできた!なんていう、そう都合のいいことはありません。

ここで肝心なのは、Twitterアカウントを作ってビデオムービーでも流せば、今までやっていなかったことだからと、それでもう完璧なグロースハックになっていると思い込んでいる人がいるということです。

4. クチコミで流行らせてしまえばよい

バイラル(ユーザーの口コミ効果)でプロダクトの認知を広める…言葉でいうのはとても簡単ですが、いざやろうとなると難しい問題です。仮にうまいこと口コミで拡散していったとしても、それが直接に売上やユーザー数の増加に繋がるとは限りません。

広告やビデオを流行らせることはたしかに事業の成長につながるかもしれませんが、それをしたからといって必ず成長が約束されているとは言えません。バイラリティーはグロースハックのやり方のひとつにしかすぎず、他にも方法はたくさんあることを頭に入れておくべきなのです。

まとめ

こちらのグロースハックに関する最も確実な手引書にも書いているように、グロースハックという言葉はSean Ellis氏から使われ始め、その後多くの優良IT企業が集まるシリコンバレーで広まりました。このことから、グロースハックというとすべてがITに関連しているというイメージが広まりがちです。

しかし、これは多くの人が勘違いをして抱いているイメージで、プログラミングができなくてもよいグロースハッカーにはなることはできます。(実際にSean Ellis氏自身も「プログラマーがグロースハッカーに向いている」とは言っていますが、「最終的には好奇心をもってユーザーと向き合えれば、必ずしもプログラマーである必要はない」としています。参考:プログラマーがGrowth Hacker(グロースハッカー)に最も近い存在なのはなぜ? Dropbox育ての親Sean Ellis氏に聞いた)

グロースハックの基本となる考え方はマーケティングと大きく変わらないですが、違いはそのアプローチ方法にあります。従来のマーケティングのような型にはまったやり方とは違って、自社の強みを生かした独自の方法を探し、仮説を立て何度もテストを繰り返していく中で、プロダクトを成長させていくのがグロースハックなのです。-growth hack japan

記事情報

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本記事は国際的なグロースハックエージェンシーであるGrowth DevilのFacts About Growth Hacking Everyone Thinks Are Trueという記事を翻訳しました。こちらのブログはWall Street JournalやWired Magazineにおいても紹介されています。Growth Devilはテクノロジー系のスタートアップの資金調達や急速な成長のための手助けをしながら、起業家のサクセスストーリーを発信しています。