いよいよ計9回の連載記事も、後半に差し掛かりました。
ここまでお付き合いいただきました読者の皆様、誠にありがとうございます。
この章からは3章続けて如何にトラフィックを獲得していくのかということを重点的に述べていきたいと思います。
本章では、人々を惹き付けていくために必要なプル型グロースハックテクニックを12個ご紹介いたします。
本連載の目次:
Chapter 5:トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック
目次
・ ビジターを獲得するために必要な3つの「P」
・ テク1:ブログの活用
・ テク2:ポッドキャストの配信
・ テク3:ebookや資料のネット上への掲載
・ テク4:インフォグラフィック(画像)の活用
・ テク5:ウェビナー(オンラインセミナー)の開設
・ テク6:会合でのプレゼン
・ テク7:SEO対策の実行
・ テク8:ソーシャルメディアの活用
・ テク9:ハッカソンなどのコンテント開催
・ テク10:App Storeなどのオンラインアプリマーケットへの出品
・ テク11:Grouponのようなクーポンサイトの活用
・ テク12:他のプロダクトユーザーの誘導
・ まとめ
ビジターを獲得するために必要な3つの「P」
新たにトラフィックを獲得する方法は3つあります。それ以上でもそれ以下でもありません。
あなたはネット上の人々を惹き付ける(Pull)、彼らにプロダクトを押し付ける(Push)、あるいはプロダクト自体の特長を活かす(Product)ことができ、これらの頭文字を取ったものが3つの「P」です。
これらの手法の違いは何なのでしょうか?
・惹き付け(Pull)
一つ目の手法として、人々を自社サイトに引き込むことが挙げられます。
そのためにあなたは人々に自社サイトを訪れるインセンティブを与える必要があるのです。うまい話で釣るなどして、注目を惹き付けなければなりません。
この章では誘導の手法例を以下で述べていきます。
growth hack japanをご覧いただいている皆さんも、我々が皆様を見つけたわけではなく、当サイトに魅力を感じさせることによって惹き付けたのです 。
・押しつけ(Push)
項目名から察しが付くと思いますが、惹き付けることよりも積極的な行動を必要とします。
人々を勧誘するのではなく、あなた自身が見込みユーザーをオンライン上に探しに行き、自社サイトに押し込まなければなりません。
この一例として、YouTube上でユーザーが見たいと思っている動画を配信する前に、広告動画を押し付けることが挙げられます。
広告主がオンライン上に見込みユーザーを探しに行き、プロダクトを押し付けているのです。
・プロダクトの特長を活用(Product)
3つ目は、プロダクト自体を活用することでトラフィックを呼び込む手法です。
もしあなたがSNSを利用していて、それを使うことを友人に勧めた経験がおありならば、プロダクト自体がトラフィックを呼び込むことの意味がわかると思います。
プロダクトに良さを感じているユーザーは、自主的にプロダクトを広めてくれるのです。
惹き付けと押しつけの手法は、流通経路の再定義によって可能になったグロースハック手法を顕著に表しています。
オンライン上で人々がどのように行動するかを把握している人は、彼らを効率良く、自社サイトに勧誘、あるいは多少強引に誘導することが可能となるのです。
逆を言えば、オンライン上での行動パターンを把握していなければ、効果的に人々を惹き付けたり、押し付けることができなくなってしまうのです。
3つめの「P」は、流通経路の改変よりも、プロダクトの再定義による影響をもろに受けています。
Chapter 1でも述べたように、インターネットが普及した今、プロダクト自身がトラフィックを呼び込むことが可能となり、歴史的に見てもこれはかなり劇的な変化だと言えるのです。
3つの「P」は、適切な人によって的確なタイミング・場所で実行されることによって非常に大きな効果を発揮します。
それぞれの手法の概要を読んでいて、1つの手法が他の手法よりも優れていそうだ、等と思われたかもしれませんが、3つの手法が威力を発揮する条件はそれぞれ異なるのです。
多くのグロースハッカーは、3つの手法を適宜駆使しながらプロダクトを成長させていきます。
惹き付ける手法の共通事項
人々を惹き付けようとする際、グロースハッカーが行うことには2点共通項があります。
・ 実行する施策のコストは通常費やした時間と人材によって測定されます。ただし、顧客を獲得するために実際に出費をするわけではありません。
・ これらの手法は自社サイトに人々が魅力を感じさせることを軸に行われます。価値を提供することをやめてしまえば、人々を惹き付けることもできなくなってしまいます。
テク1:ブログの活用
自社プロダクトにトラフィックを呼び込む手法に、実際に試され有効であると実証されているものとして、ブログ、あるいはゲストブログの執筆があります。
(growth hack japanでも寄稿記事の募集を行っておりますので、是非ともご応募ください。)
ブログへの出稿は以下の点でトラフィックを呼び込む手法として優れています。
・ ブログの記事はプロダクトに関連したキーワードがふんだんに使われており、それらがGoogleの検索に引っかかることで、有効なSEO対策となるです。
・ 継続的に更新されるブログの利点は、社会への影響が蓄積されていくことにもあります。多くの記事を執筆すればする程、人々を自社プロダクトに惹き付けられる可能性が増していくのです。
・ ブログの内容は通常、ニッチな領域に焦点を置いていることが多いため、ゲストブログを行うことによって、自社プロダクトに興味を持ってくれるニッチな市場に直接売り込みを行うことが可能となります。growth hack japanの場合はグロースハックですね。
・ ブログは、記事の配信をRSSで受け取っている読者によって拡散されることがほとんどです。そのため、自身の考えやプロダクトの特長を人々に届けるためのシステムが内在的に備わっていると言えます。
・ ブログの執筆は人々を自社プロダクトについて教育するのに非常に有効で、プロダクトに関する理解があったときの方が、コンバージョン率を上げやすくなるのです。
・ ブログへの掲載は、人々に執筆者が流行・技術の最先端を走っていると思わせる効果があり、それにより知名度を得ることができれば、全く世に知られていない人のプロダクトよりも自分のプロダクトへのユーザーを獲得しやすくなるのです。
ブログを執筆すること自体のハードルは低く、単純に自分のブログを始めるか、ゲストブログをするかの2択しかありません。
ゲストブログを行う最大の利点は、既に読者が存在するため、記事執筆のみに力を注げば良いということにあります。
一方、自身のブログを一から始める利点は、そのサイトに関して完全に主導権を握れることにあります。
さらに、0から読者を開拓していくことに成功したならば、ブログのコンテンツに幅を持たせることも可能となるのです。
例えば、将来的にブログからプロダクトにトラフィックを誘導するために、より積極的な広報活動を行いたいと思うことがあるかもしれませんが、ゲストブログの場合はこれを実行することができません。
自身のブログを立ち上げるか、ゲストブログを行うかの判断は、戦略に基づいて下される限り、どちらを選択しても正解なのです。
どちらの選択肢をとるにせよ、ブログに掲載する内容がプロダクトに関する露骨な宣伝となってしまっては読者への受けは良くないでしょう。
ブログを通してサイト来てもらうことを懇願するのではなく、軽く勧誘するといったイメージでしょうか。
文面や構成を少し工夫するだけでも、ブログを執筆した記事が読者に記事広告であると感じさせなくすることができます。
記事の最初は自社や執筆者の自己紹介からはじめ、ここにプロダクトのリンクを貼り(これは自己紹介の一貫なので誰も嫌がらないでしょう)、本文中でもプロダクトに関するリンクを貼るようにしましょう。
ただし、リンクを貼るのは直接的にプロダクトに関連している箇所のみに限定し、貼る回数は1回が望ましいでしょう。
ブログの内容に関しても、読者に読まれ拡散される記事は人々の感情に訴えかけるもの、流行を先取りしているもの、新着情報や驚きを含んでいるものである傾向があります。
自社のプロダクトと関連のある記事でバズっているものに関する分析を行い、自分の記事を書く際に活かすことが大事なのです。
日本語にも対応しているBuffer(プロダクトサイトは英語のみ)は、現在驚異的に成長しているソーシャルメディアへの投稿を管理するサービスですが、彼らはグロースの原動力としてゲストブログを活用しました。
テク2:ポッドキャストの配信
ポッドキャストもインバウンドの特徴を持っているという点で、素晴らしい手法です。
ブログのようにポッドキャストも拡散される性質を内在的に備えていますが(ポッドキャスト視聴アプリ)、トラフィック獲得という観点から見ると、ポッドキャストはブログと以下の点で異なっています。
・ ポッドキャストはあまり検索エンジンの検索に引っかかりません。
・ ブログの記事上ではリンクをクリックすることが簡単ですが、ポッドキャストで紹介されたサイトに行くことは多少困難を伴います。
・ ポッドキャストの配信数自体が少なく、ブログと比較して聴衆も少ないです。
そのため、何か独創的な施策を講じなければ、ポッドキャストがトラフィックの獲得源にはなりにくいのが現状です。そこで、以下のようなひねりを加えてみるのも面白いかもしれません。
・ とにかくニッチな聴衆に的を絞ってみる。一般的な情報を配信しているポッドキャストに対抗できるだけの経験も予算も持っていないであろうことを鑑みて、非常にニッチな領域を選択して、そこを席巻する方が効率的でしょう。
・ 毎週配信することを目標にしない。毎週定期的に配信しようとするよりも、計10回の連載という形で、あなたが対象としているマーケットにいる人々が知りたいであろう特定の情報を配信することの方が効果的でしょう。
・ いくつかのメジャーなポッドキャストにゲストとして参加する。コンバージョン率を向上させるために、出演の際、オーディオを通して自社プロダクトに関する情報を配信しているメルマガの告知をはさむことも有効でしょう。もちろんこれはブログへの掲載でも行うことが可能です。
もちろん、従来のポッドキャスト同様、毎週定期的に配信するという選択肢もありますが、頭に入れておかなければいけない注意点があります。
ポッドキャストの作成は非常に時間を要する作業であり、クオリティーの低い配信を行っても十分なトラフィック獲得にはつながりません。
そのため、独創性を発揮し、ポッドキャスターのようにではなく、グロースハッカーのように方策を考えましょう。
メディアは活用しても、ポッドキャスターの手法まで真似る必要はないのです。
テク3:ebookや資料のネット掲載
効果的に人々を惹き付ける施策を行う過程で、自社のグロースチームの特徴を把握していることも大切です。
人によっては定期的に小さなことの積み重ね(ブログの執筆やポッドキャストの配信)を行うことを好む人もいる一方で、一つ一つがブログとかよりもう少しインパクトのある施策を間隔をあけて行うことを好む人もいます。
後者も有効な手法で、本連載記事のようにまとまった書類もトラフィックを獲得するために有利な点が複数あります。
・ 電子書籍、手引書や民間作成の白書は、それ自体が注目を惹き付ける力があります。単発で掲載されるブログは容易に無視できますが、読者が興味を持っているニッチな領域に関する体裁の整った書類は無視しづらい傾向にあります。
・ 電子書籍、手引書や白書に読者は高い価値を見出すため、それらをダウンロードする代わりにメールアドレスの登録をお願いすることも可能です。読者にとっては有益な情報を入手できるため、公正な取引であると感じる傾向があり、執筆者側も連絡先を入手できるという点で、その後ファネルの有効活用がしやすくなるのです。
・ 電子書籍、手引書、白書は、上手に告知を行えば、ソーシャルメディア上で拡散されやすい特長があります。
・ 執筆によって、読者はあなたやあなたの企業が書類で取り扱っている分野において指導的立場にあるのだと感じ、あなたのプロダクト使ってみたくなる可能性が増します。
・ 電子書籍、手引書や白書はビジターを教育する目的で執筆することもできます。調教されたビジターは、メンバーやユーザーになる可能性が高まります。
例えば、ウェブブラウザ上で簡単にメルマガ等の配信から管理、分析までが行えるメール配信プラットフォームであるMailChimpは、上記の全ての理由から様々な状況に合わせたユーザーマニュアルを公開しています。
テク4:インフォグラフィック(画像)の活用
インフォグラフィックとは、情報や説明を提供してくれる画像のことを指します。
例えば、EC専門のアパレルブランド会社Everlaneは、インフォグラフィックを効果的に活用することによって収益を爆発的に伸ばしました。
Everlaneは小売店を介さない流通形態をとっていますが、従来通り小売店を通す流通経路によって生じる余分なコストを画像で説明することによって、他のアパレル業者との差別化要因を意識づけることに成功しました。
インフォグラフィックの利点は、プロダクトに関してビジュアルを通して説明できるため、人々の注目を集めやすいことにあります。
情報を視覚化することは非常に有効なツールで、可視化されたツールはソーシャルメディアを通して拡散されやすいのです。
インフォグラフィックを閲覧するプラットフォームであるVisual.lyのAdam Brecklerは、インフォグラフィックを作成する際の注意点を以下のように述べています。
・良いトピックを選択する
斬新で、刺激的で、特筆すべき特徴を持っていたり、何らかの理由で周囲から突出しているトピックを選択することが、人々の注目を集めるためには必要です。
・必要なデータを見つける
可視化のためのデータを自分達で作成しなければならないと考える人もいますが、八割方、検索エンジンで検索をかけることによって既に誰かが編纂したデータが見つかるものです。
・データを分析する
データには誠実さを持って接しましょう。グロースのためにデータを歪曲して伝えたりすることは御法度です。
・ストーリー性を考える
データが伝えることのできる物語をブレストしましょう。人々の心に響くようにするためには、定量的データの数字をただ見せるのではなく、ストーリーを付ける必要があるのです。
・インフォグラフィックのデザインコンセプトを考える
どのようにストーリーを伝えたいのかを考えましょう。
・デザインを改善する
最後のテコ入れをして、人々の注目を集めるに足るデザイン性の良さがあるかを確認しましょう。
・インフォグラフィックを公開する
既に獲得したユーザーにメルマガやソーシャルメディアを通して配信してもいいでしょうし、Visual.lyなどのサービスを活用しても良いでしょう。
テク5:ウェビナー(オンラインセミナー)の開催
オフラインの世界にはセミナーがありますが、オンライン上にもセミナーはあります。
オンライン上のセミナーは、新規のトラフィックを呼び込む強力な武器になります。
日本では、株式会社スクーがschoo WEB-campusというプラットフォームオンライン上で授業を開設しています。
schoo WEB-campusでは生放送で授業が配信されており、録画された授業を後日見ることもできますが、生放送の時間に受講する最大のメリットは、受講生がチャットを通して講座を開設している先生とリアルタイムでやりとりできる点にあります。
・ 上記の例と同様、ウェビナーは通常生放送で配信されるため、受講したい人々は否応なしにそれをスケジュールに記入する必要性が出てきます。Youtubeの動画視聴とは異なり、ウェビナーに人々は「出席」するのです。人はスケジュールに書き込まれた予定を真剣に取り扱う傾向があり、ウェビナーで共有された情報も真剣に聞く傾向があるのです。
・ ウェビナーは通常、参加できる人数に上限が設けられており、この希少性がセミナーで共有される情報の価値を高めてくれます。あなたが提供した情報が重要であると考えている人程、コンバージョンしやすいのです。
・ ウェビナーは主催者側と受講者側との交流を可能にしてくれます。受講者とのつながりを作ることに成功したならば、あなたのプロダクトにその人を誘導しやすくなるのです。
・ ウェビナーは人々を教育することを可能にします。より多くの教育的価値を提供すればする程、人々はいろんな形で報いようとしてくれるでしょう。
・ ウェビナーは自社プロダクトのプロモーションで終わらせることもでき、これはトラフィックを呼び込む上で有効でしょう。
・ ウェビナーは他社との共催によって開設することもできます。このことによって、共催相手の顧客に自社のプロダクトを告知することもできるのです。
テク6:会合でのプレゼン
会合とグロースハックはあまり相性が良くなさそうに思うかもしれませんが、その考え方は非常にもったいないのです。
確かに会合でのプレゼンは新規のトラフィックを沢山呼び込むことにはあまり貢献しないかもしれません。しかも、準備に費やす時間も馬鹿になりません。
しかしながら、会合でのプレゼンは多くの副産物をもたらし、それらはトラフィックを呼び込むために有効活用することができるのです。
・プレゼンのスライド
会合でプレゼンをするならば、PowerPointかKeynoteかにかかわらず、おそらくスライドを作成することでしょう。
プレゼンが終わったら、そのスライドをslideshare.comに載せることによって、人々が簡単にあなたの資料をシェアできるようになるのです。そのスライドを見た人々の内、数%は自社プロダクトに関心を持ってくれるかもしれません。
slideshare.comはそれ自体がSNSであり、これに投資しておくことに越したことはありません。
・プレゼンの録画動画
多くの会合は録画されていることが多いため、後々その動画を企業ホームページやYoutubeに掲載、あるいはメールの署名部分にURLを貼っておいたり、メルマガとして配信する選択肢が考えられます。
副産物の他に以下のことも頭に入れておくと良いかもしれません。
・会合参加者にリツイートさせる
本記事の原文執筆者であるNiel Patelは以前、会合に参加した際に、プレゼン終了時に「自分が一番最近したツイートをリツイートしてくれた人にはプロダクトの割引券を提供する」と発言したところ、一気にソーシャルメディア上でツイートの嵐が起きたそうです。
・説得力
日本人が大好きなスティーブ・ジョブスがあれ程プレゼンにこだわっていたのはなぜでしょうか。もしあなたが話術に長けており、聴衆の心を鷲掴みにすることができるならば、時として数回のプレゼンを行うだけで、プロダクトへのトラフィックを爆発的に伸ばすことができるのです。
Chapter 2でも述べたように、グロースハッカーは左脳タイプであると同時に右脳タイプでもあるのです。ROIが曖昧だからといって、その手法が全くもって無意味であるということはないのです。
インバウンドマーケティングのソリューションパッケージを提供するMozのCEO Rand Fishkinは、slideshare.comに60 を超えるスライドを掲載しており、実際にそこから大量のトラフィックを獲得しているのです。
テク7:SEOの実行
これまでこの章を通して述べてきたことは、ある意味狭義のSEO対策なのです。
様々なコンテンツ(ブログ、ポッドキャスト、電子書籍、手引書、白書、インフォグラフィック、ウェビナー、プレゼンのスライド、及びプレゼンの録画)を作成していく中で、検索エンジンはあなたが特定の領域の専門家であることに気付き始め、特定のキーワードを検索したときに、上位に引っかかるようになります。
しかしながら、SEOにも2種類の形態があり、この記事ではそれらを「コンテンツ」と「コード」と呼ぶことにします。
・コンテンツ
コンテンツを創り続けることによって、SEOがどのように行われるのかに関する知識が全くなくても、最適化を行えていることになります。ひたすら創り続けることによって、アルゴリズムを一切知らなくても、SEO対策を行っていることになるのです。
・コード
確実なSEO対策を行うため、プログラミングコードの段階から行える対策もあります。リンクはSEO対策の観点から最適なキーワードを含んでいるでしょうか? H1タグはきちんとラベル付けされているでしょうか? 最新の状態で更新されたサイトマップは用意しているでしょうか?
もしあなたがコンテンツ作成とコーディングの両方ができるならば、おそらくSEO対策が最も有効な手だてだと言えるでしょう。
しかしながら、両方はできないとしても、少なくとも一方は行うべきでしょう。検索エンジンは今なお人々がネットサーフィンをする際に活用されており、この事実を無視することは賢明とは言えません。
SEO対策は重要であり、多くの企業はファネルの一番上の階層にトラフィックを呼び込むための施策として実行しています。
オンラインで授業を提供するUdemyは、SEO対策のためだけに講座の台本の公開を検討している程です。
Udemyの多くの講座が有料であることを鑑みると、SEO対策の一貫として授業の内容を文字に起こした形で無償で提供することが重要なのでしょう。
テク8:ソーシャルメディアの活用
ファネルの一番上の階層にトラフィックを獲得する手法として、言うまでもなく、ソーシャルメディア(Twitter、Facebook、Tumbler etc.)の活用が挙げられます。
ソーシャルメディアの活用法に関しては、多くのスパムに近い手法があるので、まずすべきではないことを述べたいと思います。
・ 人々の注目を集めるためだけにSNS上にいる人をフォローしたり、フォローを解除すべきではありません。彼らと本気でプロダクトと何らかの関係性をつくる意図がないならば、やめておきましょう。
・ お金でフォロワーを釣るようなことはやめましょう。そうやって釣られたユーザーはあなたのプロダクト自体には魅力を感じておらず、あなたの伝えたいコアバリューを増幅させることに寄与しません。
・ 人々の邪魔をすることはやめましょう。相手の立場になってみて、自分だったらどのような応対をしてもらえたら喜ぶかをまず考えましょう。
次に、ソーシャルメディアを活用してファネルの一番上の階層のトラフィックを呼び込む方法をご紹介します。
・ 実際に自社のプロダクトを使用してくれそうな人々と交流しましょう。ターゲットとしているペルソナがいる層を見つけましょう。
・ 機会があるたびに、価値を提供しましょう。質問に応えたり、アドバイスをあげることは有効な手だてです。単純に人々から搾取するのではなく、価値を提供することを忘れてはいけません。
・ 自分が作成しているにせよ、いないにせよ、面白いコンテンツのハブになるようにしましょう。面白いコンテンツを配信するサイトの管理人としての認知度を得ることができれば、人々はあなたの投稿やツイートに注目するようになるのです。
・ ソーシャルメディアの活用は短距離走ではなく、マラソンなのです。ソーシャルメディアを活用したからといって、すぐにトラフィックが増えるようなことはありません。実のところ、フォロワー数やいいね!数は過小評価すべきでしょう。もし10万人のフォロワーがいるような人があなたのツイートをリツイートしたとしても、その人のフォロワーがプロダクトのターゲット層にいなければ、効果は限定的なのです。
・ ソーシャルメディアをカスタマーサポートに活用するのも有効な手だてです。良いカスタマーサポートがSNS上で可視化すれば、それを見たSNSユーザーがあなたのプロダクトを使いたくなる傾向が増すのです。
・ テク1 ~ 7を活用して作成したコンテンツを増幅させるためにも、ソーシャルメディアを活用しましょう。ソーシャルメディアの活用は、他のテクとの合わせ技で最も効力を発揮するのです。
・ 毎度ながら、独創性は新たな可能性を見出してくれます。アメリカでは知らない人はいないだろう、という程有名な駄菓子Skittlesの製造会社は、自社ホームページ画面にSkittlesという語句が入ったツイートを自動で取得するTwitterのフィード画面を表示したことがありました。その期間中はSkittlesに関するツイートが数えきれない程なされ、人々の注目を集めたのです。
以下がSkittlesがホームページ全体をTwitterのフィードにしたときのスクリーンショットです。
テク9:ハッカソン等のコンテスト開催
コンテストの開催は自、社プロダクトにトラフィックを呼び込むには素晴らしい方法です。
しかし、多くの人はコンテスト開催による真の恩恵をわかっていないのが現状です。
AppSumoというデジタルプロダクト(ソフトウェア、電子書籍 etc.)に特化したクーポンサイトをご存知でしょうか。
日本ではまだまだ認知度が低いですが、この企業はメルマガ会員を70万人にまで伸ばすことに成功し、この成功への道はコンテスト開催から始まりました。
あのAirbnbも、プロダクトに新規のトラフィックを呼び込むためにコンテストを開催したことで知られています。
コンテストの開催により得られるメリットが企業の大きさに比例することはありません。
以下にコンテストを開催する上で気をつけるべき点を述べていきます。
・ コンテストの参加者が貰って有意義なものを景品に選びましょう。全てのコンテストの景品がiPadである必要はありません。むしろ、自社プロダクトに関係のあるものが良いでしょう。
例えば、Airbnbは優勝者に無料宿泊券を景品として贈呈しています。プロダクトに関係のあるものを景品にすることは意外に重要で、コンテストに出場する人々の大半が自社プロダクトのターゲット層でなければ、開催する意味がありません。
人を集めやすいからという理由で単純にiPadを景品として、自社プロダクトに興味のない人まで呼び込んでしまっては、トラフィック獲得の向上にはつながりません。
・ 景品として物ではなく、経験を提供することも非常に有意義です。
iPadをもらうのと、大好きなバンドの海外公演に参加できるチケットのどちらがもらった人の記憶に残るでしょうか。両方とも贈呈する側のコストは同じかもしれませんが、もらう側のインパクトは格段に違うでしょう。
例えば今話題の配車サービスUberに勤めているならば、Uberで手配した車に著名人と同乗できることを景品としたってよいのです。この経験は記憶に残ることでしょう。
・ 1位だけではなく、2位、3位にも景品を用意しておきましょう。人は自分にも景品をもらえる望みがあると感じないと、最後まで真剣に参加しなくなってしまいます。
・ 自社へのコミットメント度合いに応じてコンテストで勝てる確率を増やすような仕組みにしてみることもありでしょう。
メールアドレスを登録することによって1回の出場権を得られるようにしたり、知人のメールアドレスも登録してくれたら、さらに2回分出場機会を与えてみるなどの仕組みが当てはまります。他にも自社ツイートのリツイートしてくれたら3回分の出場権を贈呈するなど、選択肢は多数存在します。
とにかく、プロダクトのプロモーションや成長に寄与してくれたユーザーには特典を与えることが重要であり、AKB48がCDジャケットの中に総選挙の投票券を入れている手法が似たような例として挙げられるでしょう。
・ コンテストへの応募期間は、なんらかの社会的認知度が得られるくらいには長く取りましょう。目安としては少なくとも1ヶ月は必要でしょう。それよりも短いと、参加者が少なすぎてROIを向上させることが困難となる可能性があります。
・ 優勝者を発表するときは大々的に行いましょう。これ自体を一つのイベントとして取り扱うことによって、新たにトラフィックの獲得につなげることができるのです。
AppSumoは今日までコンテストを開催し続けています。トラフィック獲得に有効な方法だとわかった以上、やめる理由が特にありません。
下にAppSumoがコンテストの景品として提供した一例を載せますが、優勝すればAppSumoの創業者Noah Kaganと5日間1対1で仕事ができるなんて、イカしてますよね!
テク10:App Store等オンラインアプリマーケットへの出品
新規のビジターを獲得する経路の一つとして、近年オンラインアプリマーケットが注目されています。
AppleのApp StoreやGoogle Play Storeがその一例です。実のところ、オンラインアプリマーケットには2種類あり、それぞれ違った特徴を持っています。
・BtoCオンラインアプリマーケット
個人消費向けのアプリを開発している場合は、App StoreなどのBtoC向けのオンラインアプリマーケットが適しているでしょう。
新規のユーザーをこのマーケットで獲得したいとお考えならば、以下の点に注意が必要です。
・ レビューの重要性は強調してもしきれません。第一に評価の悪いレビューを書かれないことが大事ですが、悪いレビューを書かれた後も、その人が評価を変えてくれるように努力することが大切です。
・ アプリ画面のスクリーンショットはアプリの特徴を人々に垣間見せるため、完璧に整えましょう。人々の視覚に訴えることができなければ、彼らを惹き付けることはできないのです。
・ アプリ名はきちんと考えましょう。簡単に検索したり、名前を想起できることが重要です。
・ 新規のトラフィック獲得を、オンラインアプリマーケットのみに頼ることは禁物です。今となっては単純にアプリの総数が多すぎて、その中からあなたのアプリを見つけてもらえる確率は、干し草の山の中にある針を見つけるようなものと同じほどです。この連載記事で紹介した他の手法との合わせ技が必要です。
・BtoBオンラインアプリマーケット
もしあなたが開発したアプリがビジネス向けならば、BtoB向けのマーケットの方が相性がいいでしょう。
例えば、SalesforceやMailChimpは自社プロダクトとの統合を可能とするアプリのオンラインマーケットを展開しています。
BtoBオンラインアプリマーケットを活用する上での特徴を述べると:
・ これらのマーケットはまだまだアプリ数が少なく、他のアプリから自社アプリを目立たせることが比較的容易なのです。
・ BtoBマーケットでは、マーケットを運営している企業にお願いすれば、あなたのプロダクトを彼らのブログで取り上げてもらえることが往々にしてあります。
・ BtoBマーケットでは、マーケットを運営している企業が、あなたのプロダクトを運営側のプロダクトとシステムを統合させるために、あなたに資金援助してくれることだってあるのです。
・ BtoC向けのマーケット同様、レビューとアプリの説明に用いるスクリーンショットは重要なので、手を抜かないようにしましょう。
・ これらのマーケットでは、アプリの説明部分に近日中にシステムの統合を行う他のプロダクトのリストを「近日公開」の文言と共に記載しておくこともできます。これは自社プロダクトの説明に様々なプロダクト名を入れておくことにより、検索にひっかかりやすくするという点で、非常に優れた方法です。
BtoBのオンラインアプリマーケットの例として、SalesforceのAppExchangeがあります。
テク11:Grouponなどのクーポンサイトを活用
Grouponの成長(そして緩やかな業績悪化)後、数多くのクーポンサイトが開設されました。
ニッチな市場の多くでは、十分な会員数がいるメールリストを所有しており、他の企業のプロダクトを告知することに前向きなクーポンサイトが存在しています。
これらのクーポンサイトとの提携の手順は往々にして明瞭で、通常、サイト運営側に割引のクーポンを提供することによって、サイト運営側はあなたのプロダクトを告知してくれるのです。
この手法はトラフィックを容易に獲得させてくれるため、試してみる価値は多いにあるでしょう。
これらのクーポンサイトの意外な付随効果は、クーポンサイトから来た人であっても、プロダクトを定価で購入する人が多いということなのです。
インターネットとは不思議な所で、この現象は想像以上に頻繁に起こります。
Mighty Dealsはウェブデザイナーとディベロッパー向けのクーポンに特化したニッチなサイトであり、英語が読める方ならば、自分のニーズに合ったクーポンを見つけることができるかもしれません。
テク12:他プロダクトのユーザーを誘導(LOPA:Leverage Other Peoples Audience)
この手法は既にこの章で述べた他の手法に含まれていることですが、ここで今一度強調しておいて損はないでしょう。
0の状態から観衆を獲得することは非常に困難です。そのため、他の誰かの観衆を自分の向きに誘導することができれば、トラフィック獲得に大きく前進することになります。
ゲストブログ、ゲストポッドキャスト、オンラインマーケットの活用もLOPAの一例なのです。
他にLOPAを実行する方法として:
・ 自分のターゲット層が読者としているブログに無料サンプルや特典に関する掲載を行う。
・ 自社プロダクトに興味を持ちそうな人々がいるFacebookのグループの管理人に、プロダクトに関する告知をお願いする。
・ 対象としているマーケットで影響力のある人に無料のアカウントを提供する。そうすることによって自社プロダクトをその人が良いと感じてもらえたときに、評判を広めてくれる可能性があるのです。
LOPAを行う方法は無数にあり、目の付け所次第では、必ずや自分のプロダクトに合った手法を見つけられるはずです。
本連載の目次:
まとめ
・ トラフィックの獲得がグロースハックの全てではないのです。
・ 自社サイトにトラフィックを獲得する方法は3つあります。
*惹き付ける(Pull):人々に来てもらえるよう上手い話で釣るのです
*告知/宣伝する(Push):人々に来てもらうことを強要するのです
*プロダクト自体の特長を活かす(Product):プロダクトを使って人々を呼び込むのです
・ 惹き付ける手法として12個ご紹介しました。
ブログやポッドキャストの活用・電子書籍、手引書の執筆、オンラインマーケットの活用・インフォグラフィックの活用・ウェビナーやコンテストの開催・会合でのプレゼン・クーポンサイトの活用・SEO対策・ソーシャルメディアの活用・LOPA