アジアで話題のアプリPaktorから学ぶA/Bテストの重要性

Translated by Takaya Uchida

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ビジネスを経営している人なら誰しも競合分析の重要性を認めるところだと思いますが、同時に「自社の競合企業はXXをして成功している。自社もXXを実行するべきだ!」という考えに陥りがちです。

しかしながら、競合他社にとって上手くいっていることも自社では上手くいかないことがあるのです。

アジアのユーザーをターゲットとした出会い系アプリPaktorがA/Bテストを必要としたのはまさにこの点です。

本記事はHIPMOBに掲載された記事(原題:A/B Test to Stay Ahead of the Competition)を参考に執筆したものとなります。

Paktorと他の出会い系アプリの比較

Paktorでは表示された異性の写真を気に入れば、親指を立てたアイコンを選択できる仕様になっています。

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しかしながら、他の出会い系アプリは表示された異性の写真を気に入ったことを意思表示するアイコンとしてハートマーク、チェックマーク及びメッセージのアイコンを使用しています。

Paktorの開発チームはユーザーのエンゲージメント率(アプリの使用率やいいね!アイコンを押す率)を高めるためのいろんな方法を議論した結果、彼らはある程度自信を持っていいね!アイコンをハートマークに変更することがエンゲージメント率の向上につながるだろうと考えていました。

ハートマークは出会いを求めているというメッセージをより反映しているのみならず、競合アプリはハートマークのアイコンの使用で成功を収めているようでした。

オリジナル      ハートマークの使用

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オンライン上での出会いが増えるにつれ、出会い系アプリの数も増えています。

どのアプリにも共通していることはコアコンセプトがオンライン上で良い出会いを提供することにあり、全てのアプリにはユーザーが何らかの形で「私はこの人が好みだ」や「私はこの人のことをもっとよく知りたい」という意思表示をできることになっています。

しかし、異性に興味を持っていることを伝えるためにクリックするアイコンはアプリ毎に異なります。

Coffee Meets Bagel  Tinder    Match.com

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このアイコンは出会い系アプリの中で最もシンプルかつ重要なアイコンと言えるでしょう。

ユーザーはこのアイコンをクリックすることによってしか相手と直接やり取りを始められません。裏を返せば、出会い系アプリに取ってはこのアイコンがクリックされなければ、存在意義がなくなってしまうのです。

出会い系アプリのマネタイズ戦略が何であろうと、アプリを定期的に使用して、相手に興味を持っていることを示すアイコンをクリックくれるユーザーが数多くいることが不可欠なのです。

PaktorのA/Bテスト

Paktorはどのアイコンが最もユーザーのエンゲージメントを高めるのかを考えました。

Paktorはハートマークの方が恋人を探すことを描写するのにより適しているだろうと考え、彼らは×マークとハートマークの組み合わせと親指を上に立てたマークと下に立てたマークの組み合わせとでA/Bテストを行いました。

オリジナルのアイコン 新しいA/Bテストのアイコン

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その結果、×とハートマークの組み合わせはオリジナルのアイコンと比べて6%もユーザーのエンゲージメントが下がることがわかりました。

これは月当たりに直すと、約26%の収益減を意味していたのでA/Bテストを実行して非常に良かったということになります。

×とハートのアイコンが他の出会い系アプリTinder, CloverやHingeでは上手く機能しているにもかかわらずこのような結果になったのは、アジア人にとってハートマークは露骨すぎる表現なのではないかとPaktorは結論づけました。

Clover       Hinge

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ハートマークのアイコンはさらにアプリのリピーターを2.3%も減少させました。年間に換算すると11%の収入減になると考えれば大きな損失だと言えるでしょう。

最後に

Paktorは始めはA/Bテストをすることなく×とハートマークのアイコンをアプリに導入するつもりでした。それくらいPaktorは自分たちの考えに自信を持っていました。

グロースハッカーに必要な素養とは?」や「海外の著名グロースハッカーが必ずおさえる6つのステップ」でも強調してきましたが、グロースハック施策の善し悪しを決めてくれるのはエンジニアやプロデューサーの勘ではなく、A/Bテストやデータ分析の結果なのです。

Paktorの事例から学べることはどんな些細なことでもA/Bテストする価値があるということでしょう。

Uberが競合Lyftを確実に潰すために実行した5つのエグすぎる戦術

活気を見せるオンデマンド配車サービスの数々。

世界各地で様々な類似サービスがローンチする中で、圧倒的な地位を確固たるものにしているのがUberです。

たった数年という短い期間の中で、Uberの時価総額は1兆8千億円に達し、毎週20億円もの収益を上げています。

一方で、同系サービスの中で唯一Uberと張り合いを見せているのが競合のLyft。

サンフランシスコを拠点にグロースに成功してきたLyftは、ニューヨークにも活動の拠点を拡大する動きを見せてきました。

しかし、ローンチ予定日の前日、ニューヨークのタクシー業界を管轄する各団体からローンチ差し止めの命令が下り、Lyftはローンチの延期を余儀なくされます。

同系のUberは既にニューヨークにおいてサービスを展開しているにもかかわらず、Lyftのみが苦境に追いやられている現状は何も偶然ではありません。

本日は、Uberが競合Lyftを確実に潰すために実行した5つの戦術を紹介します。

参考: Here Are Five Things Uber Did To Beat Lyft Before It Even Had A Chance To Compete

Lyftに対抗して1,500億円を調達

4月にLyftが250億の調達を決定したちょうど1ヶ月後、Uberは1,200億円の資金調達を決定しました。

関係者によれば、Uberのこの動きは決して偶然ではなく、Lyftやタクシー業界の追随を止めるための調達であったことが明らかになっています。

Uberの投資家には、Amzonのジェフ・ベゾス、Google Ventures、Menlo Venturesなど、潤沢な資金を持つ投資家が名を連ねており、目には目を、資金には資金をの姿勢で真っ向勝負を挑んだことが分かります。

タクシー業界の重鎮を採用

さかのぼること5月、Uberは、タクシー業界を規制管轄する組織TLCの重要人物であるAshwini Chhabra氏の採用に踏み切りました。

この動きに対してTLCや同系組織の幹部は危機感を表明し、同氏がTLCに属していた時期のUberとの関係に関して徹底的な調査を求める声も上がっているほどです。

しかし、Uberはその後もニューヨークの公的機関で職務経験のある人材を積極的に採用し続け、真っ向から規制組織と戦う姿勢を強めています。

Lyftの好機をしらみつぶし

Lyftのニューヨークにおけるサービス開始が予告されるや否や、Uberは、低価格帯サービスであるUberXの価格を下げたのみならず、その日から2週間の間、ドライバーに毎週最低10万円の賃金を保証するに至りました。

同日Lyftが24つの都市において何回でも無料でサービスを体験できる2週間分のチケットの提供を発表すると、Uberは全く同じプロモーション企画をコネチカット州限定で提供しています。

ここまでくると、もう偶然とは言いがたいですね。

Lyftユーザーとドライバーを「買収」

6月、UberはLyftのユーザーに対して、LyftのドライバーをUberXのドライバーになるように勧誘に成功した場合、2万5,000円分のクーポンを提供する企画を実施しました。

Uberは他にも、別の配車サービスに登録してるドライバーがUberに転職する場合や、Uberのドライバーが他社からドライバーの引き抜きに成功した場合にも5万円の特別報酬を与えています。

ビジネスモデルの変更

Lyftやその他のライドシェアリング系サービスとは異なり、Uberはニューヨークにおいて法的な運営が許されています。

もちろん規制組織がUberだけを贔屓に扱っているわけではなく、Uberは、誰もがパートタイムで働けるライドシェアリングモデルを破棄し、タクシー業務の運営ライセンスを所有する基地局と提携することで法的な運営を可能にしました。

実際にUberは、現時点でニューヨークにはライドシェアリング・プラットフォームを展開していないと表明しており、事実上ニューヨークにおけるUberは他のタクシーやリムジンサービスと何ら変わりないということになるわけです。

 最後に

これだけの対抗策を張るのも、Lyftをそれだけの脅威と見ているからと考えられるでしょう。

両者の今後の争いが、サービスクオリティの向上につながっていくことに期待です。

海外の成功事例から学ぶユーザー獲得のための5つの手引き

Translated by Takaya Uchida

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2006年当初、Twitterはマイクロブログを運営する小さなスタートアップとして始まりました。

1976年、当時Appleは数人の仲間内でコンピュータを製造するようなスタートアップでした。

2005年にはBoxはまだストレージを提供するサービスを提供し始めたばかりでした。

それから現在までの数年間で何が起こったでしょうか?

彼らは素晴らしいプロダクトを開発し、何百万人ものユーザーを獲得したのです。

汝まず世界の必要とするものとなれ。さすれば、たとえ森の中に住むといえども汝の戸口に人々が集まるであろう。

–  Ralph Waldo Emerson(日本語訳)

この格言は私の座右の銘でもありますが、プロダクトグロースに関して我々は一人の先駆的な開発者が最良のプロダクト開発に尽力することから起業家のサクセス・ストーリーが生まれると期待しがちです。しかし、そのようなことはおとぎ話の中でしか起こりえません。

現実世界では、素晴らしいプロダクトには素晴らしいユーザーが必要なのです。

そのため、ビジネス成功の核心部分にあるのはユーザーの獲得、すなわち、十分な数の良質な顧客を探して引っ張ってくることなのです。

合わせて読みたい記事:

トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック

注意:素晴らしいプロダクトがない状態で先に進むことは禁物

ユーザーの獲得に本腰を入れる前に、まず素晴らしいプロダクトが必要です。

具体的には、「グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方」でも述べましたが、プロダクトマーケットフィットの実現が必要なのです。

プロダクトマーケットフィットとは、簡単に説明するならば、あるプロダクトがなくなったらユーザーの内40%以上が「非常に残念」に思うような状態を指します。

プロダクトマーケットフィットを実現するまでは、プロダクトの改善を試すために十分なユーザー数のみを惹き付け、それ以外ユーザーを獲得しようとするべきではありません。

人々のニーズにきちんと応えられない内から多くのユーザーがいることは、ただ単により多くの苛立ちを生じさせることになります

1.  目標を定める

目的地をわかっていなければ、どの道を通ってもそこに辿り着けてしまうだろう。

–  Lewis Carroll(日本語訳)

「ユーザーを獲得する」ためには、手当たり次第に広告のキャンペーンやSEO対策を始める前に、自社にとっての成功の基準を定める必要性があります。

ウェブサイトへの新規の訪問者を10万人獲得したら、それはあなたにとって成功でしょうか?(プロダクトがオンライン上の出版物であった場合は成功でしょう。)

ホームページ上でのコンバージョン率が5%向上したら、それはあなたにとって目標を達成したことになるでしょうか?(トラフィックを既に沢山獲得できていて、訪問者からユーザーへのコンバージョン率が高いならば目標を達成したと言えるかもしれません。)

新規で10人がプロダクトを購入した場合、これはあなたにとって成功したことになるでしょうか?(あなたのビジネスが高いライフタイムバリューを持っているならば成功かもしれません。)

ユーザー獲得の施策を行う前に成功の定義を確立させなければ、失敗しているのか、成功を収めているのかの判断がつきません

・本当に考慮すべき測量基準を見定める

AARRRに出てくる5つの指標は今や誰もが知るものとなりましたが、それぞれの指標はデータから得られる数値や比率によってより詳細に分析することが可能です。

データから抽出される数値にはそれぞれ活用法がありますが、全ての数値を毎日追跡しようとすることはデータ量の膨大さから来るノイズのせいで、かえって分析を非効率化してしまいます。

この問題を避けるために、あなたのプロダクトにとっても最も追跡する必要がある指標をただ一つに定めましょう

Lean Analyticsで著者のAlistair CrollとBen Yoskovitzは、全てのスタートアップはその時々に応じて最も重視すべき指標を一つ見つけなければならないと述べています。

では、この一つの重要な指標とは一体どれなのでしょうか?

残念ながらそれは絶対的なものではなく、相対的なものです。重視すべき指標はプロダクトに依存し、またスタートアップがどの成長段階にあるかによっても変わります。

・目標は簡潔でわかりやすいもの(SMART)にすること

「ビジネスを成長させる」ことは目標ではありません。それは夢です。

「お金を支払ってくれるユーザーを増やす」ということも目標と呼ぶにはあまりにお粗末なものです。

海外の著名なグロースハッカーが必ずおさえる6つのステップ」でも強調しましたが、実現可能な目標を設定することが必要なのです。

効率的な目標を設定するためには、「SMART」のそれぞれの文字を頭に持った以下の5つの項目をおさえましょう。

Specific(具体性)

Measurable(測定可能)

Assignable(設定可能)

Realistic(現実的)

Time-related(時間的制約がある)

これらの項目に従うならば、新たな目標は「歳入を生み出す月当たりのユーザー数を50%増やすために期限付きのクーポンをユーザーに配信する」等となるでしょうか。

明確かつ具体的な目標があることによって初めて成功を測ることができるのです。

・効果測定ツールの導入

既に目標は設定しました。しかし、どのようにしてその目標の達成度合いを測定すればよいのでしょうか。

完全にオンラインのビジネスの場合は、Google AnalyticsやMixpanelを駆使したデータ追跡で手一杯のことでしょう。

一方、オンラインとオフラインの側面を兼ね備えているビジネスの場合は、コンバージョン率を追跡することはより面白いものとなります。

例えば、ユーザーをオンライン上でAdwordsから獲得し、実際にユーザーに支出させる段階では電話でやり取りをしている企業もあります。

ユーザーがネット上の広告から電話をかけるコンバージョン率を正確に追跡するツールとしてカスタムAPIと、アメリカのサービスではありますが、CallRailの組み合わせがあります。

ウェブサイトへの訪問者が広告をクリックするとCallRailは自動的にその人に広告に関連のある電話番号を表示します。

訪問者がその番号に電話をかけると、通話内容に応じてコールセンターのオペレーターは成功または失敗したコンバージョンとしての記録を取ります。

その後、APIスクリプトがコンバージョンのタグをGoogle Analyticsにプッシュすると、「成功」を示すタグはコンバージョン成功としてGoogle Analyticsに記録され、さらにその記録がAdwordsの広告に自動的に同期されるのです。

多くの効果測定や追跡ツールはそれ程込み入った作業を要しませんが、コンバージョン・プロセス全体に渡る確実な追跡を行うためにはできることは全て実行すべきでしょう。

2.  ターゲット層を絞る

目標を設定し、目標の達成度合いも測定できるようになりました。そこで今度はユーザーのターゲット層を定める必要があります。

1924年にPhillip Morrisは煙草のMarlboroを「5月のようにマイルド」というキャッチコピーと共に女性向けのブランドとして売り出しました。

最初の内は良く売れましたが、次第に需要は落ち込んでいき、最終的にMarlboroは市場から一時期姿を消しました。

しかし、1955年になり喫煙による肺ガンのリスクが社会的認知度を得ると、Morrisはこれは新たな市場機会だととらえました。

Marlboroを通常の煙草と同じ味を持ちながらも、より安全な代替品としてリブランドし、Marlboroを以前とは全く異なるターゲット層、アウトドア好きの男性、に向けて売り出しました。

プロダクトやサービスと相性の良い層を選択することは時としてプロダクトグロースの命運を分けることがあるのです。

・ターゲット層とコミュニケーションをとる

自分のプロダクトを欲しがる人達がどのような人なのかがだいたいわかったならば、徹底的に彼らのニーズや嗜好を学ばなければいけません。

既に顧客やユーザーがいる場合、これは比較的容易いことでしょう。顧客一人一人と15分間程度話し合いの場を設ければ良いだけのことです。

顧客は喜んで話し合いに応じるでしょうし、あなたもターゲット層として考えている人々が直面している問題や彼らによって使われている言葉遣いを把握することができます。

まだ顧客がいない場合は、500円のギフトカードを携えて地元のカフェに足を運び、カフェにいる人々にプロダクトを見てもらい、どのように感じるかを聞くのも手でしょう。

どのような手法をとろうと、ユーザーの声に耳を傾けることが不可欠です。

ユーザーからのフィードバックはマーケティングやプロダクトデザインに大きく貢献することが往々にしてあるのです。

・まさに行動を起こしている最中のユーザーにフィードバックをもらう

SpeedyPrepは、オンライン上で任意の分野のビデオ授業と試験を受け、試験に合格した学生が自分の通っている大学の単位として認定してもらえるサービスを提供してますが、マーケティングの手法として、実際にSpeedyPrepのサービスを利用している最中の学生にフィードバックをお願いしました。

行動を起こしている最中のユーザーからフィードバックをもらえることは非常に貴重です。なぜなら、ユーザーが実際にザービスを利用しているときの生の声を聞けると共に、プロダクトやサービスに関する決断を下すときに何を考えているかを知ることができるからです。

そこで、SpeedyPrepはホームページ上にOlark Chat(ライブチャットを特定の顧客のみと可能にするとともに顧客情報管理も可能にするプラットフォーム)をインストールし、顧客になってくれそうな人々に向けて質問を投げかけました。

質問を投げかけたユーザーの内、多くは応対してくれ、すぐにユーザーの言葉遣いやサービスのどこに最も苛立ちを感じているかの傾向を掴めたそうです。

さらに、フィードバックから導きだした仮説を検証するためにSpeedyPrepはQualaroo(実際にサービスを利用中やウェブサイトに訪問中の人に質問を投げかけ、応えに応じて次の質問が変化するアンケートプラットフォーム)をインストールし、アンケート結果から得られた発見をその後のA/Bテストで試験的に実行したそうです。

Olark Chatのサービスのようにリアルタイムのチャットは質の高いフィードバックを提供してくれますが、Qualaroo等のアンケートへのほうがより多くの人が応えてくれる傾向があり、そこそこに良質なフィードバックも得られるのです。

直接ユーザーに会ってプロダクトに関する評価を聞いた方がより深い洞察得られることは間違いありませんが、ネットを介した調査は手早くフィードバックを得ることができ、大きなトレンド掴むには十分なのです。

・具体的なペルソナを想定する

アメリカの家電量販店最大手Best Buyは購買者に関して独創的なペルソナを想定することで知られています。

いくつか想定されたペルソナの例を挙げると:

・  Buzzは独身男性で、あらゆる電化製品において最新かつ最高品質のものを購入できるだけの収入を得ていました。

・  Jillは家族で使うデジカメと家庭向けの電化製品のみを購入するような人でした。

他のペルソナ達には一般大衆の購買傾向を代表させたそうです。

完全にBuzzやJillと購買行動が一致する人は明らかに現実世界にはいませんが、これらの極端な消費者を想定しておくことによって実際にBuy Bestの店舗で営業担当者が効果的に顧客対応を行うことができるようになったのです。

顧客が購入するまでのストーリーを作成し、デザインするためにペルソナを2, 3人以上想定しておくことは有効な手だてです。

きちんとしたペルソナを作成するためには、以下の8つの項目を含めると良いでしょう。

・  名前

・  人口統計学データ(デモグラフィック)

・  文化的 / 経済的背景

・  140字から成る略歴

・  IT / 情報リテラシー

・  最も良く使うウェブサイト

・  人生の目標

・  ニーズ / 欲求

3.  マーケティング手法を試す

ここまでくると目標を設定し、ターゲット層に関しても理解しているため、いよいよマーケティングのテクニックを試す段階です。

ユーザー獲得の早い段階で自分のプロダクトと最も相性が良いマーケティング手法にたまたま出くわすことは考えにくいので、数多くのアプローチを手早く試験的に行ってみることが重要なのです。

まだ色々と壁に向かって投げてみて、どれが壁にくっつくかを見極める段階にあると言えるでしょう。

いずれ、試したアプローチの中から1つか2つくらい目立った成果を生み出す手法を発見できるでしょうから、そのときに初めてそれら手法にさらに金銭的・時間的資源を割けばよいのです。

・様々な可能性をブレストする

「ブレームストーミング」はビジネスの専門用語として今日認知度を得ましたが、この単語の本来の意味を理解している人はどれほどいるでしょうか。

1939年にAlex Osbornがブレームストーミングという概念を初めて生み出した時、彼は広告キャンペーンに関して独創的な問題解決を活性化させる方法を模索していました。

自分自身の独創性の限界と社内のグループ討論の生産性の低さに苛立ちを覚えたOsbornは2つの原則に注目しました:善し悪しの判断を遅らせ、発想の質より量を重視する、というものでした。

マーケティングに関するアイディアを出そうとするときは、現実的にそんなことは無理だと早合点することなく、数多くの異なる可能性を列挙・生成することに集中するべきなのです

創造性を最大限引き出すためには、clarity.fmの創業者であるDan Martellはブレームストーミングとそこで出たアイディアや発想の現実的評価は別の日に行うべきだとまで述べています。

Dan Martell

・金融アナリストのマーケティング手法を活用する

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Noah KaganがMint.comでマーケティングを担当し始めた時、創業者はKaganにローンチから6ヶ月で10万人のユーザーを獲得するように、という非常に大きなタスクを課しました。

実際にはKaganは緻密な計画と実行により、目標の10万人の10倍、100万人のユーザーを獲得することに成功したのです。

如何にしてこれを実現したのでしょうか?

Kaganは目標を頭の片隅に入れておいて、どこに最も力を注ぐべきなのかということを逆算しました。

色々な可能性をブレームストーミングの後、彼は挙げられた全ての選択肢を金融アナリストがマーケティングに用いるスプレッドシートでランク付けし、ROIが最も低い施策を除外していったのです。

上も下もわからないような状態で最も効果がありそうなマーケティング手法を勘で選択するよりも、定量分析を活用して裏付けのある判断をしましょう。

・1度に行うマーケティング施策は2, 3つにとどめましょう

ブレームストーミングによって沢山素晴らしいアイディアを得ると、一度にそれらを全て実行したくなるのはわかります。しかし残念ながら、同時に沢山異なる施策を行うことは一般的に失敗に終わります。

30個の互いに関連のない施策を中途半端に行うよりも、一連の流れとして2, 3個の施策に集中する方が良いのです。

また、マーケティングにかける経費を最小限に抑えるためにも、新しいマーケティング施策を可能な限り手早くかつ安価で行える方法を見つけ、一旦特定の手法が効果的、もしくはそうでないことがわかった上で、新しい施策を試すか効果的だった施策を最適化していくことに注力するようにしましょう。

こうすることによってあまり効果的でない施策に資源を割いてしまう無駄を省けるようになります。

短期的に見れば、費用対効果を計算しながらちまちまと施策を行っていくことに苛立ちを覚えるかもしれませんが、最終的には最も早く、確実にグロースを遂げる道なのです。

グロースエンジンの確固たる基礎を創る段階に最も多くの資源を投資をしましょう。後々必ずや効いてきます。

4.  上手くいくことにより多くの資源を割く

上手くいくマーケティング手法を1つや2つ見つけたならば、その効果を最大化することに集中しましょう。

例えばSpeedyPrepでは、SEMが沢山のサインアップにつながったことを発見したため、SEMの最適化により多くの資源を投入し、LPOによるコンバージョン率向上やAdwords、ターゲティング広告の最適化によりCPAを59%も削減することに成功しました。

初期段階で比較的上手くいくマーケティング手法を見つけられたならば、後々の段階でもそれにさらなる改良を加えることによって歳入を生み出す可能性が高いのです。

・投資した分を回収できるまでの時間

アメリカの大学は学費が破格に高いことで有名ですが、一般的な学生は学位取得のために毎年何10万円もの金額を投資する(通常は学生ローン)ため、ローンを完済するまでに長い年月を要します。

卒業直後に給料が高いことで知られている金融業界等に就職したとしても、返済の開始は初期投資を行ってから既に4年後になります。

もし大学入学もマーケティングの手段の内の1つとして入っているならば、おそらく優先順位的に最も低いものとなるでしょう。収支がとんとんになるまで時間がかかりすぎるのです。

良いマーケティング手法とは最初の一年で投資分を回収し、収支をプラスにするものです。最良の場合、初回のコンバージョンで収支がプラスに転じることもあるかもしれません。

CPAが低ければ、初回の広告費を支払う前にSEMによって収支を黒にすることだって不可能ではないのです。

収支がとんとんになるのが早ければ早い程、回収した資金で新たに投資が行えるのです。

・コンバージョン率向上にはCROを活用する

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SmartWoolは服や靴下を販売している企業ですが、彼らはeコマースのウェブサイト改善をBlue Acornに委託しました。

プロダクトのカテゴリーページを再考し、Blue Acornは全ての商品を並列で展示するのではなく、特定のプロダクトを強調するようなデザイン性の優れたページを作成しました。

この新しいページを公開する前に、Blue Acornは従来eコマースのウェブページで採用されていた一般的なデザインを用いたカテゴリーページも作成しました。

この2つの新しいデザインを試したところ、SmartWoolとBlue Acornは従来から一般的だったデザインを使用したページの方が訪問者あたり17.1%も多く歳入を生んでいることを発見したのです。

後から見れば、より大胆で斬新なデザインを採用していたカテゴリーページは人々が持っていたeコマースサイトのイメージに反したため、商品の購入までのハードルを上げてしまったことが考えられますが、ここで言いたいことはそんなことではありません。

何年もマーケティング業界にいるベテランも含め、誰一人としてどのデザイン最もコンバージョン率を上げてくれるか事前にはわからないのです。

意味のない推測に時間を費やすのではなく、CRO(Conversion rate Optimization)、すなわちコンバージョン率の最適化の実行により顧客が欲していることを見つけるようにしましょう。

・測定可能なグロースソリューションを見つける

Go Dishというアプリがあります。

go dish

アメリカでしかサービスを展開していないアプリですが、毎朝9:30に職場や家の近くレストランが提供しているキャンペーンを決まった数だけお知らせしてくれます。アプリ内で料理と来店時間を選択し、実際に来店した段階でQRコードを店内で読み取らせることによって本人認証を行う仕組みになっています。後は自分の来店時間に合わせて作られた料理を楽しむだけ、と忙しくても美味しい食事はきちんと取りたい人にはかなり使い勝手の良さそうなアプリです。

Go Dishがローンチされた直後はサンフランシスコの駅構内や町中で、日本で言うビラ配り的なことをしてユーザーを獲得していたそうです。

ユーザー獲得の早い段階ではこれらの告知・宣伝方法は人々の注目を得て、ある程度の数初期ユーザーを確保するには非常に有効な手だてです。

しかし、グロースのエンジンを組み立てていくにつれ、より効果を測定しやすい方法を見つけたいものです。

Facebook広告やコンテンツマーケティング等のように、時間的投資は小さくても長期に渡り人々を呼び込んでくれる方法を活用しましょう。

5.  もっと多くのマーケティング手法を試す

狂気の定義とは毎度同じことを繰り返しているにもかかわらず、毎度違う結果が出ることを期待することだ。

–  Rita Mae Brown(日本語訳)

グロースハックでは同じことを繰り返せば、毎度同じ結果が出ることを期待することも等しく狂気じみています。

どのようなグロースハック手法も、その手法で獲得できるユーザー数に関する最大値(飽和状態)というものが存在します。この点に到達してしまうと、その手法にそれ以上時間やお金を投資しても収益を伸ばすことはできません。

そのため、現時点までに行っていたグロースハック施策を収益が生じる水準に保ちながらも、更なるグロースのために他の手法も試す必要性が出てきます。

・出費と歳入のバランスを取る

金融業界にはリバランシングという考え方があります。

例えば、民間投資会社が私人から投資を預かる場合、当時の投資家の目標とリスク許容度合いから株、固定資産や他の資産の組み合わせで投資プランを組み立てます。

その後、市場の変化や株価の変動により投資を開始した段階とは状況が一変してしまっていることが常です。

そのためその時々において、新しい市場状況や投資家のリスク許容度合い応じて有価証券の調整、リバランシングする必要があるのです。

グロースハックにも同じようにリバランシングが欠かせないのです。

ユーザー獲得のために最適な方法を取っているのかを出費と歳入のバランスや市場の状態と照らし合わせながら、柔軟に変化させていくことが重要となります。

・一つのことに集中することを恐れない

飽和状態にまだ達していないならば、その時点で行っている手法の効果を最大化することのみに集中することに対して億劫になってはいけません。

Facebook等にオンラインゲームを提供しているZyngaは、たった2つのグロースハック手法で会社を成長させました:Facebook広告とバイラルを引き起こすメカニズムです。

もしZyngaがSEMやコンテンツマーケティングに戦略をシフトさせていたならば、彼らは今日達成した驚異的な成長を遂げることはなかったでしょう。

常に最良の方法を模索し続けることは必要ですが、変化を起こすこと目的に戦略を変更することだけはやめましょう

・リファラルの可能性を探る

私たちは「バイラル」や「バイラル係数」に関して話すことが大好きですが、時としてこの手法の真の効力を過小評価してしまいます。

完全なバイラルを引き起こせるプロダクトは少ないですが、「海外のグロースハッカーが最重要視する9つのユーザー保持テクニック」でも述べたように、ほとんどのプロダクトはリファラルをグロースに活かすことができます。

例えば友人が新しい歯医者を探しているときに、自分のかかりつけの歯医者をその友人に紹介することをお願いされることがありますが、プロダクトの使用に関しても同じことが言えます。

新規ユーザーを獲得するにおいては、どんなに手の込んだ広告も、信頼している人からの自信を持った紹介の足元にも及びません。

それでは実際にどのようにリファラルを機能させれば良いのでしょうか?

・  プロダクト内に仕込む

・  オーガニックな口コミによる流入

・  ユーザーにプロダクトを推薦してもらう

例えばあなたのプロダクトがLinkedInでユーザーが友人を招待することを可能にしているならば、これをリファラルの方法として活用しない手はないでしょう。

このような直接的な手法が可能でなくとも、素晴らしいUXを提供することによってバイラルを引き起こすことはできるのです。

ユーザーが自発的にリファラルを行ってくれないことがわかったならば、彼らに友人を招待または友人にプロダクトを紹介することをお願いすることはもちろんできますが、これは最も効力が薄い方法です。この場合はUXを向上させ、熱狂的なファンを作ることに注力した方が良いでしょう。

つまるところ、ユーザーを幸せにすれば、ユーザーがあなたも幸せにしてくれるのです

合わせて読みたい記事:

トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック

最後に

ユーザーの獲得をグロースエンジンに組み込むことは一朝一夕で実現することではありません。

TwitterやAppleのように輝かしい成功を収めている企業も試作や最適化を行う長い下積み時代を経てグロースを達成しました。

払った代償がすぐに報われるはずだとは考えずに、粘り強く色々なことを試すように心がけましょう

本記事は原題:Becoming Twitter: A Beginner’s Guide to User Acquisitionを著者が翻訳したものとなります。

GoogleがUX改善に活用するHEARTフレームワークの使い方

UXを改善したいけど、どの指標をトラッキングすればいいのか分からない。

本日は、多くのサービスが抱えるこの悩みを、グーグルが採用する「HEARTフレームワーク」と「Goals-Signals-Metricsプロセス」を利用して解決する方法を紹介します。

参考: How to Choose the Right UX Metrics for Your Product

HEARTフレームワーク

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グーグルのHEARTフレームワークは、ユーザー体験(UX)の品質を計測する上で役立ちます。

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プロダクト全体に当てはめることも、一部の機能に当てはめることも可能です。

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HEARTのHは、Happiness(幸福)を指します。

ユーザーの満足度、UIの使いやすさ、ネットプロモータースコア(カスタマー・ロイヤルティを計測する指標)など、顧客調査を通じて得られたデータがHappinessの構成要素にあたります。

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HEARTのEは、Engagement(エンゲージメント)を指します。

ユーザーが一週間にサービスを利用した数の平均、一日にアップロードした写真の数の平均、シェアの数など、ユーザーがサービスに深く関わりを見せた際のデータがEngagementの構成要素にあたります。

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HEARTのAは、Adoption(採用)を指します。

ユーザーが最新版にアップグレードした数、新たにユーザー登録した数、新規顧客の購入回数や金額など、プロダクト全体や一部の機能に初めてかかわったユーザーに関するデータがAdoptionの構成要素にあたります。

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HEARTのRは、Retention(継続)を指します。

獲得機関別の継続ユーザーの数、解約率、リピート率など、プロダクトの継続利用に関するデータがRetentionの構成要素にあたります。

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HEARTのTは、Task Success(タスクの成功)を指します。

サイト内検索の正確さ、写真のアップロードにかかる時間、プロフィール完成率など、具体的なタスクの成功に関するデータがTask Successの構成要素にあたります。

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HEARTフレームワークの各要素を理解したら、あなたのプロダクトにとって最も重要な1つもしくは2つのカテゴリを選択してください。

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次は、「Goals-Signals-Metricsプロセス」を活用して、トラッキングするべき指標を見つけ出しましょう。

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まずはGoalsから始めます。

ゴールを確認することは、適切なメトリックスを発見する上でとても重要な意味を持ちます。

チームメンバーがゴールに関して別々の考えを持つなんてことを避けるためにも、このプロセスを通じてゴールに関する認識を一致させておくことが重要です。

ここでやりがちなのは、「トラフィックを増やすこと」といったように、既存の無意味な指標を基にゴールを定義してしまうことです。

トラフィックを増やすために新規ユーザーを増やしたいのか、それとも各ユーザーのエンゲージメントを高めたいのか、明確にゴールを定義することを心がけましょう。

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ゴールが達成出来たか否かは、いくつかのシグナルをトラッキングすることで判断が可能になります。

たとえばあなたが設定したゴールが「ユーザーがコンテンツを満喫し、他にも面白いコンテンツがないか積極的にコンテンツを追求する」ことであれば、ユーザーがあなたのサイトに滞在した時間や消費したコンテンツの量がシグナルにあたります。

シグナルが複数存在する場合は、トラッキングのしやすさ、ゴールとの関連性、UIの変更に伴う指標変化の弾力性などを基準に正しいシグナルを設定しましょう。

Screen Shot 2014-07-14 at 20.34.31

シグナルが決まれば、次はより洗練されたメトリックスに落とし込みましょう。

先ほどの例を使えば、ユーザーが1日にサービスに滞在する分数の平均や、1日に閲覧したページ数の平均などがメトリックスにあたります。

本当に大切な、ゴールに明確に関係のあるメトリックスだけを選択しましょう。

最後に

今回参考にした「How to Choose the Right UX Metrics for Your Product」は、UXの改善にフォーカスしたデザイン会社「Digital Telepathy」とGoogle Venturesの共作です。

元のプレゼンもDigital Telepathyのコーポレートサイトも、かなりかっこ良く、一見の価値ありです!

【必見!】グロースハックに関する最も確実な手引書

edited by Takaya Uchida

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グロースハックという単語は最近よく耳にするけど、イマイチ意味がわからない!でも、今更グロースハックが何なのかなんて恥ずかしくて他人に聞けない(泣)

そんなあなたのために、「グロースハックに関する最も確実な手引書」と題して計9回連載してきた記事に関するまとめ記事を執筆いたしました。

この記事を読んでいただくことによって、今までグロースハックに関してもやもやしていた箇所も霧が晴れたようにスカッとご理解いただけること間違いなしです!

それでは、Chapter 1から順番に振り返ってみることにしましょう。

目次

・   Chapter 1:グロースハックとは何か?

・   Chapter 2:グロースハッカーに必要な素養とは?

・   Chapter 3:海外の著名なグロースハッカーが必ずおさえる6つのステップ

・   Chapter 4:グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方

・   Chapter 5:トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック(Pull tactics)

・   Chapter 6:トラフィック獲得に欠かせない4つのプッシュ型テクニック(Push tactics)

・   Chapter 7:プロダクトに「売れる仕組みを埋め込む」6つのテクニック(Product tactics)

・   Chapter 8:訪問者に訪問以上の行動を取らせる6つのアクティベーションテクニック

・   Chapter 9:海外のグロースハッカーが最重要視するユーザー保持のための9つのテクニック

・   最後に

Chapter 1:グロースハックとは何か?

1

Chapter 1ではグロースハックの定義から振り返りました。

インターネット/ソフトウェアの発達により、実際に手に取ることができる従来プロダクトとは一線を画す、オンライン上のプロダクトを創ることが可能になりました。

この新しい、オンライン上プロダクトはシャンプー等の従来のプロダクトとは異なり、ユーザーがプロダクト体験の向上に寄与できるという最大の特長を持っています。

Facebookのタグ付け機能や追加ストレージを無償提供する代わりにユーザーにプロダクトを広めてもらうDropboxの手法などがまさにこの典型例なのです。

また、インターネット上にプロダクトがあることより、SEOや広告掲載を通じてインターネットユーザーを能動的に自社プロダクトに誘導することも可能になりました。

このことにより、プロダクトのあり方及びプロダクトの流通経路に革新が起こったため、これらの新たな特長を活かしてプロダクトと企業が共に持続的発展を遂げていこうとする戦略が誕生し、これがグロースハックと呼ばれるようになったのです。

グロースハッカー誕生に関する小話とグロースハックの定義に関する詳細はこちら

Chapter 2:グロースハッカーに必要な素養とは?

2

他の職業と同じように、グロースハッカーにも求められる素養があります。

本章では、グロースハッカーに関する間違った固定観念を3つ、及び真相を4つご紹介しました

それらは

通説1:グロースハッカーになるためにはコーディングが必要

通説2:マーケターはグロースハッカーにはなれない

通説3:グロースハッカーになるためには非道義的でなければならない

真相1:グロースハッカーは非常に分析力に長けている

真相2:グロースハッカーの能力はT字型である

真相3:グロースハッカーは右脳タイプである

真相4:グロースハッカーは偏執狂である

というものでした。

グロースハッカーにまつわる通説と真相に関する詳細はこちら

Chapter 3:海外の著名グロースハッカーが必ず押さえる6つのステップ

3

優秀なグロースハッカーの頭の中には、意識的にか無意識的にかは知りませんが、プロダクトを成長させようとするときに必ず通る6つのステップが用意されています

それは

ステップ1:実現可能な目標設定をする

ステップ2:目標達成度合いを確認するためにデータ分析を用いる

ステップ3:自社の強みを把握して活かす

ステップ4:実験を行う

ステップ5:実験を最適化する

ステップ6:ステップ4、5をひたすら繰り返す

というものでした。

グロースハックとはひとっ飛びで成しうるものではなく、必要な作業を一つ一つ確実に積み重ねて初めて実現できることなのです。

グロースハック達成までの6つのステップに関する詳細はこちら

Chapter 4:グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方

4

コンバージョンファネルには階層が3つあることをお伝えしました。

それは

・  ビジターを獲得する  –  人々を自社のサイト・プロダクトを訪問させる

・  メンバーをアクティベートする  –  人々に所定の行動を取ってもらえるよう誘導する

・  ユーザーを保持する  –  人々に自社プロダクトを常習的に利用してもらえるよう、施策を講じる

というものです。

また、それぞれプロダクト毎に最適なコンバージョン率は異なるため、自社プロダクトにとって最適な率を見極めることは常に困難を伴いますが、以下のことを頭に入れておくと助かるかもしれません。

・  正しい施策を行っている場合、過去のデータと比べて常に今のデータが向上している必要がある

・  互いにグロースに関するデータを共有できる良き友を見つける

・  ファネル内ではコンバージョン率の各階層が互いに干渉し合うため、ファネルの全体像を常に把握していること

コンバージョンファネルの使い方に関する詳細はこちら

Chapter 5:トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック

5

Chapter 5, 6, 7では3章続けてトラフィックを獲得するためのテクニックを見ていきました。

その中でも、Chapter 5ではプル型テクニック、すなわち人々をプロダクトに惹き付けるためのテクニックをご紹介しました。

12のテクニックとは、

テク1:ブログの活用

テク2:ポッドキャストの配信

テク3:電子書籍や資料のネット上への掲載

テク4:インフォグラフィック(画像)の活用

テク5:ウェビナー(オンラインセミナー)の開設

テク6:会合でのプレゼン

テク7:SEO対策の実行

テク8:ソーシャルメディアの活用

テク9:ハッカソンなどのコンテント開催

テク10:App Storeなどのオンラインアプリマーケットへの出品

テク11:Grouponのようなクーポンサイトの活用

テク12:他のプロダクトユーザーの誘導

というものでした。

12のプル型グロースハックテクニックに関する詳細はこちら

Chapter 6:トラフィック獲得に欠かせない4つのプッシュ型テクニック

6

Chapter 6では前章に引き続き、トラフィックを獲得する手法としてプッシュ型、すなわちプロダクトを人々に押し付けるテクニックをご紹介しました。

プッシュ型テクニックは多くの場合、人々が消費しているものを途中で遮ることを必要とします。

あなたが提供するのは人々が読みたがるツイートではなく、そのツイートを読む前に表示されるTwitterの広告なのです。

あなたが提供するのは人々が見ようと思っている動画そのものではなく、動画が配信される前にYoutube等の画面に表示される広告なのです。

4つのテクニックとは、

テク1:広告掲載

テク2:クロスプロモーション

テク3:アフィリエイトの活用

テク4:直販

でした。

4つのプッシュ型グロースハックテクニックに関する詳細はこちら

Chapter 7:プロダクトに「売れる仕組みを埋め込む」6つのテクニック

7

トラフィック獲得のためにプロダクト自体を活用できることこそ、グロースハックの最もエキサイティングな側面の一つです。

プロダクトそのものを活用する6つのテクニックとは、

テク1:オンライン上での友人紹介制度を活用する

テク2:SNS上でのシェアを活用する

テク3:APIの統合を行う

テク4:バックリンクの活用

テク5:ユーザーにインセンティブを与える

テク6:オーガニックの流入を増やす

でした。

6つのプロダクト型グロースハックテクニックに関する詳細はこちら

 Chapter 8:訪問者に訪問以上の行動を取らせる6つのアクティベーションテクニック

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トラフィックを増やすことに成功しても、そこからユーザーを獲得できなければそれまでの努力に何の意味がありません。

皆さんの目標はトラフィック獲得ではなく、ユーザーの獲得にあるはずなのです。

訪問者をユーザーへとアクティベートするための6つのテクニックとは、

テク1:LPO対策の実行

テク2:コピーライティングを洗練させる

テク3:特定の行動を呼びかける

テク4:オンボーディングの活用

テク5:ゲーミフィケーションの活用

テク6:プロダクトの価格設定

でした。

訪問者をアクティベートするための6つのテクニックに関する詳細はこちら

 Chapter 9:海外のグロースハッカーが最重要視するユーザー保持のための9つのテクニック

9

せっかく獲得したユーザーもコンバージョンファネルの最終段階でプロダクトから去ってしまっては元も子もありません

穴の開いたバケツにいくら水を汲んでも意味がありません。

まずバケツの穴を閉じる必要があるのと同様、ユーザーを逃さないためにもコンバージョンファネルの底を閉じる必要があるのです。

ユーザーを保持するための9つのテクニックとは、

テク1:段階的にトラフィックを増やすこと

テク2:アハ体験まではスピーディーに

テク3:メールの配信に億劫にならないこと

テク4:アプリの通知機能の活用

テク5:エグジット・インタビューの実行

テク6:レッドカーペットを敷くこと

テク7:プロダクトの価値を高めること

テク8:プロダクト周りのコミュニティ形成

テク9:ユーザーを幸せにすること

でした。

ユーザー保持のための9つのテクニックに関する詳細はこちら

最後に

グロースハックとは新しいプロダクトの見方であり、これを無視してしまうことはプロダクトの成長に自ら障壁を課してしまっているも同然と言えます。

もちろんすぐには成果が得られないかもしれませんが、グロースハックのマインドセットを持った企業とそうでない企業とでは10年後、20年後に差が歴然としてくることでしょう。

プロダクトのグロースのために何が必要なのかということをとことん突き詰めていくことは時として苦しい作業ではありますが、その中から如何に楽しかったり、興奮するような発見をしていくかがグロースハックの真髄と言えるでしょう。

聴衆を惹き付け、投資を呼び込む7種類のキラー・プレゼンの始め方

「 はじまり」こそ労働の最も重要な部分である

−プラトン

哲学者プラトンがそう語るように、プレゼンテーションで聴衆を惹き付けられるかどうかは最初の60秒で決まると言われています。

そこで本日は、ビズコンや投資家に対するピッチなど、スタートアップの生死を分けると言っても過言ではないプレゼンテーションの正しい始め方を7つ紹介します。

キャッチーなショート・ストーリー

寓話、歴史、小話、パーソナルストーリー。

ストーリーの種類に縛りはありません。

また、紹介するプロダクトと直接関係がある必要もありません。

「なぜこのスピーカーはその話題でプレゼンを切り出したのか」という疑問を聴衆の頭に植え付けた時点で、スピーカーはプレゼンの出来を決める最初の60秒を制したと言って過言ではないのです。

たとえばスティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式で披露したあの有名なスピーチを、「率直に言ってしまうと、私は大学を卒業していません。今この状況が、私が最も大学の卒業に近づいた瞬間なんです。」という発言から始めています。

「卒業式のスピーチを卒業してない人がする」というギャップで巧みに聴衆の心を惹き付けた素晴らしい例です。

特にパーソナルストーリーを構築する際には、以下の点を意識すると良いでしょう。

・あなたもしくは第三者が今までに直面した課題や問題

・課題や問題に対してあなたもしくは第三者が編み出した解決法

・誰、もしくは何があなたに害/利益を与えたか

・どんなレッスンを学んだか

・そのストーリーから聴衆に何を感じ取ってほしいのか

聴衆をの心を動かす質問を投げかける

プレゼンを質問で始めることで、最初から聴衆のプレゼンに対するエンゲージメントを高め、基本的には一方的であるはずのプレゼンに双方向性を加えることが可能になります。

しかし、何も考えずにただ質問するだけではもちろん聴衆の心は掴めません。

プレゼンを質問で始める最大の理由は聴衆の考えや注意をスピーカーが持っていきたい方向に動かすことであり、その目的に沿った質問を投げかけることが必要です。

たとえばあなたがポータブルWiFi機器に関してプレゼンをするのであれば、「WiFiはよく利用されますか?」という質問よりも、「外出先でWiFiが使えず、困った経験はありませんか?」と、聴衆にポータブルWiFi危機の必要性を意識させるYes/NOクエスチョンが有効でしょう。

「子供の頃何になりたかったですか?」、「このマーケットは昨年から300%の成長を見せています。なぜだか分かりますか?」といったような回答にばらつきがある質問も、内容によっては聴衆の思考を刺激し、前向きな効果を表すかもしれません。

ショッキングな統計や数字

定量的なデータは、内容が各所に分散するプレゼンにアクセントと具体性を与えるという点で、プレゼンを開始する手段として非常に有効です。

例えばスティーブ・ジョブズは、iPad発表の際に、「iPodの販売台数が2億5千万台を突破」、「アップルストアの数が284店舗に到達」、「四半期の来客数が5千万人を突破」という驚くべき数字を連発することで観客の注意を惹き付けました。

印象に残る名言や名台詞

私が本記事をプラトンの名言で始めたのは、気まぐれでも偶然でもありません。

偉人の言葉が持つ重みは聴衆の心をつかむには持ってこいの材料であり、スピーチはもちろん文章の始まりに活用することは非常に有効な手段なのです。

たとえば禁煙グッズに関するプレゼンが、トムソーヤの冒険の作者マーク・トウェインによる名言「 煙草をやめるなんてとても簡単なことだ。私は百回以上も禁煙している」というウィットに富んだジョークで始まったら、思わず食いついてしまいますよね?

驚きや感動を与える画像

プレゼンにおける武器は、あなたの言葉だけではありません。

人間が視力から最も多くの情報を知覚することは様々な実験などから明らかであり、スライドを巧みに使うことでプレゼンの要となる最初の60秒を制する可能性が向上します。

社会問題や病気の解決法を提案するプレゼンではインパクトのある画像が見つかりやすく、特にこの手法は効果的でしょう。

簡潔でインパクトのある動画

画像と並んで、よりダイナミックにインパクトを伝えられる動画を披露することも、プレゼンを始める手段として非常に効果的です。

たとえば5月に開催されたIVS(インフニティ・ベンチャーズ・サミット)の最後を飾った特定非営利活動法人ジャパンハート 代表 吉岡 秀人氏によるプレゼンは、同氏が情熱大陸に出演された際の動画から始まりました。

同IVS札幌のLaunch Padで優勝したWHILLも、プレゼンの最初に動画を披露していますね。

低クオリティの動画はかえって聴衆の心を離してしまうため、動画のクオリティには最大限の注意を払いましょう。

デモンストレーション

プロダクトの魅力を伝えるには、プロダクトを実際に見てもらうことが一番。

多くの場合はもったいぶって途中までデモンストレーションをひっぱるスピーカーが多いですが、プレゼンの冒頭部分にプロダクト・デモンストレーションを持ってくることで、聴衆の心を一気に掴むことも出来るのです。

ソフトウェア系のサービスよりも実際に手元に用意できるハードウェア系プロダクトに向いている印象もありますが、スクリーンシェアリングなどを使えばソフトウェアでも十分メリットを引き出せるでしょう。

最後に

もちろん良いプレゼンは最初の60秒だけで決まるものではありません。

しかし、最初の60秒で観客の心を掴めば、その後の内容をより効率的かつ効果的に聴衆に届けることが可能になります。

本記事で紹介したテクニックを活用して、スタートアップが避けては通れないプレゼンのハードルを乗り越えていきましょう!

ローンチからわずか2週間でユーザーを150万人獲得したQuizUpのグロースハック手法

7/11最新記事  聴衆を惹き付け、投資を呼び込む7種類のキラー・プレゼンの始め方

Translated by Takaya Uchida

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もしローンチからわずか2週間という短期間で150万人ものユーザーを獲得したアプリがあったならば、そのグロースの裏には必ず何かからくりがあるはずで、アプリに関する周到な分析を行う価値もあるでしょう。

まさにそれを体現したアプリがQuizUpなのです。

QuizUpは2013年11月7日にローンチされ、11月20日時点で既にTechCrunchが

この10日間で70万回以上勝負を行っているユーザーを150万人以上獲得している。その結果、QuizUpは過去一週間ずっとApple App Storeのランキングで1位に輝き、4500人以上のユーザーの平均的評価として星が4.5個あるという、熱狂的なレビューを得ている。

と掲載しました。

本記事はinc42.comに掲載された記事(原題:How QuizUp Growth Hacked to 1.5 Mn Downloads in Just 2 Weeks)を参考に執筆したものとなります

QuizUpとはどのようなアプリなのか?

QuizUpは自身を「世界で最大規模のトリビアゲーム」と称しています。

ここでのトリビアとは数年前テレビで放送されていた「トリビアの泉」と同じで、様々な分野に関する豆知識という意味です。

要するに、QuizUpとは対戦者と任意の分野に関するクイズの勝負をするアプリで、対戦相手は友人に限らず、全く知らない赤の他人であることもあります。

QuizUp_1

(QuizUpの使い方に関する一連の流れを示しています)

アプリをダウンロードした後、ユーザー登録することを要求されます。この過程で、FacebookまたはGoogle +のアカウントでサインアップすることができ、もちろんメールアドレスの登録でサインアップすることも可能です。

アプリの使用手順は:

・ステップ1

ログインするとクイズのトピックを選択することを要求されます。

初回はトピックの選択肢として約12個リストアップされます。選択できるトピックは多岐にわたり、芸術から教育まで、ゲームに関する知識から歴史まで、や文学から科学までとまちまちです。

一旦トピックを選択すると、さらにより細分化されたトピックを選択することを要求されます。

例えば文学を選択したならば、文学の中でもさらにニッチな領域、例えば夏目漱石を選択することによって夏目漱石に関するクイズのみが出題されるようになります。

QuizUp_2

(QuizUpで選択できるトピックの選択肢を示しています)

・ステップ2

トピックを選択し終わると、対戦相手を友人にするか、はたまた赤の他人にするかを選択でき、QuizUp内のユーザー検索欄に名前を入力することによって、それと同一の名前のユーザーをリストアップしてくれます。

Facebook、Google +やTwitterのアカウントと連携させている人なら、既にQuizUp上にいる友人をSNS経由で探すことも可能です。

・ステップ3

ここまでの手順が済むと、ようやく対戦することができます。

上のスクリーンショットの3つめのiPhoneの画面から見て取れるよう、質問は画面の中央に表示され、回答としての4択が下に表示されます。

また、自分と対戦相手の名前と点数は左上と右上に表示されます。

点数に関しては回答までの時間も響いてきます。クイズに正解するだけでなく、回答を選択する時間も点数に加算されるので、クイズのタイムトライアルと考えればわかりやすいかもしれません。

両者とも各設問を応えるのに10秒間与えられ、その間に回答を選択しなければその設問に関しては0点となります。

ここまで読んできて、QuizUpの何がそんなに人々の心を掴んだのかピンと来ないかもしれません。

他にもApp Storeには豆知識を競うアプリは存在します。なぜQuizUpだけこれほどまでに人気なのでしょうか?

一つの理由はアプリのデザイン性にあります。

QuizUpはどの端末でも滞りなく使用することができ、グラフィックスも他のアプリとは一線を画します。

しかし、最大の理由はクイズの設問量の多さにあるのかもしれません。

初めは合計で160,000個あったクイズが今は220,000個を越えており、クイズの豊富さ故に、同じ質問を出題されることがほとんどなく、ユーザーは飽きることなく何度でも対戦を楽しむことができるのです。

QuizUpを開発したVanilla GamesのCEOであるThor Fridrikssonは自社のアプリに関する取材に応えており、アプリ開発の舞台裏や如何にアプリから収益を得ているかに関して述べています。

興味がある方はインタビューがこちらこちらにアップロードされているため、見てみるといいかもしれません。

お時間のない方のために、ここではインタビューの要点(QuizUpのグロースハック手法と収入を得ている方法)を述べていきます。

QuizUp流のグロースハック

Fridrikssonはオーガニックな口コミがユーザー数増加の最大の牽引力だと述べていますが、インタビューの中で2点程QuizUpが実行したグロースハック手法に気付きました。

ユーザーが自慢をすることができる

Fridrikksonは人々は自身の知識をひけらかすことを好むと述べています。

例えば夕飯時に家族でクイズ番組をテレビを観ていたとき、答えを知っている家族のメンバーは番組に登場している芸能人達よりも先に解答を言いたがることをFridrikssonは指摘しました。

これと同様に人々はSNS上で友人に自分自身を良く見せたがっており、QuizUpはユーザーに自身の結果をSNS上でシェアできるようにしています。

これらの結果は通常対戦した両者の写真や、「私は花子に物理のクイズで勝利したよ」という文言と共に、それぞれの点数とアプリのロゴが表示されます。

QuizUp_3

(SNS上での結果の表示のされ方を示しています)

この手法はQuizUpのアプリにとっては福音とも言えるものでした。

Nymag.comでFridrikksonは

人々はアプリ内の友人招待制度を使っていないことに気付いたんだ。ほとんどの新規ユーザーはFacebookやTwitter上でのシェアから流入しており、彼らは何らかの分野に関する豆知識で1位の地位にいることを誇りに思っている。

と述べています。

クイズの作成にライターを募集している

QuizUpのデータベースに用意されている質問はほとんどフリーランスのライターによって作成されました。

質問を作成するために誰かをフルタイムジョブとして正規に雇用するよりも、Fridrikksonは様々な分野のファンサイトと接触はかり、その中で特定のトピックに関して特に興味を持っている人と直接やり取りをし、その人達にクイズを作成してくれるよう依頼しました。

アプリの人気を続かせ、ユーザーに繰り返し使用してもらえるようにQuizUpはクイズを絶えず増やしていく必要がありました。

そのため、彼らは全ての分野においてユーザーにも新しいクイズを運営側に提出することも可能にしました。

ユーザーによって作成されたクイズはQuizUpが抱えている専門家によってチェックされ、採用されたときはユーザーに貢献の証しとしてバッジが授与される仕組みになっています。

特定の行動を起こしてくれたユーザーに報奨を与えることは「海外のグロースハッカーが最重要視する9つのユーザー保持テクニック」でもご紹介したレッドカーペットを敷くテクニックの良い例です。

QuizUpの手法には2つの効果があります。

1.  運営側はライターを雇う必要性がなくなるため、お金の節約になる

2.  ユーザーはアプリの作成に貢献できたことによる特権意識を感じることができる

QuizUpが如何に収益を得ているのか?

これは非常に興味深い疑問で、アプリ内に広告は一切掲載されていません。

実はQuizUpはネイティブ広告を使っているのです。

彼らは他の企業とタイアップすることによって、提携企業に関するクイズをその企業と作成しているのです。

例えば、QuizUpの最初のスポンサーはGoogleでしたが、GoogleはGoogle Mapsの告知をしたがっていました。

そこでQuizUpとGoogleはGoogle Mapに関するクイズをアプリ用に作成したのです。

スクリーンショット 2014-07-10 14.37.17

この種の広告はアプリのユーザーにとって目障りになることもなく、QuizUpとGoogleにとってまさにwin-winの方法でした。

QuizUpは資金を、Googleは欲しかった認知度を、ユーザーは新しく遊べるクイズを得たのです。

QuizUpには他にも方法がありますが、Fridrikksonはこの手法によって最も収入を得ていると述べています。

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最後に

豆知識に自信がある人はQuizUpで世界を相手に挑戦してみてはいかがでしょうか?

参加者をプロダクトグロースの戦力にするハッカソンの開催術

Translated by Takaya Uchida

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トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック」では、ハッカソンの開催を通してトラフィックを獲得する方法をご紹介しました。

今回は、ハッカソンを開催する上での注意点と、開催することが企業の大小にかかわらず有益である理由を述べていきます。

本記事はEntreprenuer.comに掲載された記事(原題:Why and How to Host a Hackthon)を参考に著者が執筆したものとなります。

ハッカソン開催の利点

ハッカソンは、新しいアイディアを試したり、協働経験のないプログラマーと交流したり、と景品が無くともボランティアで参加する意義をプログラマーに与えます。

そしてそれと同様に、もしくはそれ以上の利益を享受するのが開催企業です。

想像してみてください。

例えばあなたのスタートアップは社内に少人数の開発チームしか抱えておらず、プロダクトのローンチにはもっと多くのプログラマーの馬力を必要としているかもしれません。

それとももしかしたら、あなたはWikipediaのように確立された組織に所属し、既に持っているプロダクトが新しい方法でテコ入れされる様子を見てみたいという立場かもしれません。

どちらの場合に置いても、ハッカソンはあなたが求めていたことや自分では思いつかなったであろう発想を持つ独創的なプログラマーを一同に会することができる絶好の機会になりうるのです。

電子化された楽譜をタッチスクリーンを介して操作できるサービスを提供するIMUZIKは、2012年のローンチ以来、コードを改善させるために複数回ハッカソンを開催してきました。

主催のIMUZIKはこれらのイベントを「音楽のためのハック」と称し、「音楽をテクノロジーと統合する」というキャッチコピーとともに、プログラマーやソフトウェア・ディベロッパーを呼び込んでいます。

ディベロッパーがハッカソン向けのチームを組織したり、ハッカソンの運営側がハッカソンの告知を行えるソーシャルプラットフォームを提供するHackatopia.comの創業者兼ソフトウェア・ディベロッパーであるPeter Morano氏は、元々ボランティアで数々のハッカソンに参加していました。

ハッカソンでの経験から、Peterはスタートアップのためにハッカソンの企画・運営を行うようになり、ついにはハッカソン開催前に必要な参加者の登録や優勝者に提供する景品の調達等の裏方の作業を引き受ける会社を持つまでになったのです。

ハッカソンを企画・運営する上でのテクニック

では、実際に自社主催でハッカソンを開催したいとき、どうすればよいのでしょうか?

以下では、IMUZIKのCessnaやHackatopia.comのMoranoから学べるレッスンを紹介します。

ハッカソンの管理運営を徹底する

ハッカソン開催中は、ハッカソン本番のオペレーション以外にも、会場で提供する食べ物や景品の調達を含む様々なタスクが発生します。

十分な予算を準備し、イベントが滞りなく実行されるように注力しましょう。

開催するハッカソンが簡易なものか入念に準備されたものにするかの選択は早めに行う

簡易なハッカソンでは、ボランティアで参加するプログラマー達が週末を通してコーディングする形式となり、あまり準備も求められないでしょう。

一方、入念に準備されたハッカソンでは、①共催企業の公募、②景品の決定、③広報、④審査基準の明確化、⑤チーム編成、⑥ルールの決定などの準備に大きな時間と工数を割く必要性があるため、十分な計画性が必要です。

ハッカソンの開催を通して何を成し遂げたいのかを明示する

ハッカソン開催に関する告知を始める時点から、ハッカソン開催の目的を自社の社員や外部のプログラマーやデザイナーに丁寧に伝えることを心がけましょう。

例えばWikipediaの場合は、ハッカソンの開催によりWikipedia自体に新しい風を吹かせ、Wikipediaを活用したプロダクトの開発が活発化することを目的に掲げていました。

ハッカソン開催中の休憩時間はきちんと確保する

プログラマー達がストレスを感じることなく作業に取りかかれるように、片手でも食べやすい食料(ピザ etc.)や飲み物を豊富に用意することが重要です。

参加者全てに契約書にサインさせる

ハッカソン開催後に参加者と揉めないためにも、事前にハッカソン開催中に創り上げられたプロダクトの知的所有権がどこに属するのか、参加者に理解してもらうことが必要です。

最後に

ハッカソンはトラフィックを獲得する手段としても非常に有効ですが、開催の仕方によっては、IMUZIKのように開催企業のエンジニアリング・パワーとして活用することも可能です。

才能あふれたプログラマーやエンジニアが一つの屋根の下に集うハッカソンを、今後より多くの企業が活用していくことに期待しましょう。

「本当にこのアイディアで起業すべきか」すぐに分かる起業前確認テスト

起業の準備は整っていますか?

本日は、大学でエンジニア向けにアントレプレナーシップを教えるEdmond Dougherty氏がEntrepreneurに公開した、12のYes/No問題で構成される「起業前準備確認テスト」をご紹介します。

「本当にこのアイディアで起業すべきか」

そんな迷いや疑問の解消に役立つかもしれません。

7月10日更新記事:

ローンチからわずか2週間でユーザー数を150万人獲得したQuizUpのグロースハック手法

*Yesの数を数えてください。テストの結果は本記事の最後に掲載されています。

①フルタイムでコミットする気がある

もし、今の仕事や学業を捨てて、ビジネスアイディアに100パーセントコミットする気になれないのであれば、あなたはそのアイディアを信じきれていないということです。

成功には、必ずフルタイムのコミットが必要です。

その気がないということは、ビジネスアイディアを信じきれていない、もしくは成功を信じれるほどその業界やサービスに関する見識が足りていない証拠です。

②スタートアップ以外何も考えられない

成功するためには、仕事を愛する必要があります。

自分が楽しめることを発見すれば、自然と競争力のあるビジネスアイディアを思いつくことでしょう。

③自身のスキルと興味関心を最大限活かせる

数年後、過去を後悔と共に振り返って、違う道を歩むべきだったと悔やみたくはないでしょう。

他にもやりたいことがあるようだったら、起業していない今のうちにその分野もリサーチしてみましょう。

どの道にもリスクはつきものですが、適切なリサーチを行えば適切な進路を選ぶことが出来ます。

どんな進路を選ぼうとも、十分な情報を得たうえで決断を出せば後悔することもないでしょう。

④家族や友人に投資を募れる

もし家族や友人に対して「素晴らしい投資の機会」を提供する気になれないのであれば、他の誰に対してもピッチなど行うべきではありません。

他の誰に投資話を持ちかけるよりも、まずは自身のおばあちゃんに投資ばなしを持ちかけましょう。

⑤サービスをグロースさせる願望と自信がある

サービスの成長を請け負う最適な人材である必要はありませんが、少なくともそうした人材になりたいという願望とそのための努力は必要です。

単純にアイディアをライセンス化するのではなく、サービスをしっかりと市場に届け、受け入れてもらうプロセスの一員としての自覚を持ちましょう。

⑥サービスは技術的に実現可能である

もしコンセプトが実現するか不安なら、プロトタイプを作ったり、パイロット版を作ったりして、大きな動きをした後に失敗していますリスクを最小化しましょう。

もしあなたのアイディアがどう考えても実現不可能であれば、もはやこのステップも飛ばして次のアイディアに移ることが懸命です。

⑦既に50人以上の見込みユーザーに直接インタビューを行っている

いくらプロダクトに深い愛情を持っていても、見込みユーザー、理想としては全く面識のない人々にインタビューを行わずに話は進みません。

過半数は絶対に共感してくれなくてはいけませんし、ユーザーになったときにしっかりと対価を払ってくれることを確証する必要があるのです。

プロダクトへの共感とサービスに対価を払うことは全くもって別のことであることは理解しておくべきでしょう。

⑧もし考えてるプロダクトが今発売されたら、我先に購入する自信がある

(プロダクトの種類にもよりますが、)もしあなた自身がお金をはらってプロダクトを買う自身がないのであれば、あなたはおそらくそのアイディアでスタートアップするにはまだ準備が足りない状態です。

⑨競合を知り尽くしている

あなたのビジネスアイディアを実践している人がいなくても、それは「競合がいない」ということにはなりません。

例えばあなたがタケコプターを作ろうとしている場合、誰もまだ特許をとっていなかったとしても、競合には飛行機、電車、乗用車などが含まれます。

あなたの競合を決めるのは、顧客が受け取るベネフィットであることをふまえて競合分析を行いましょう。

⑩サービスがユニークである、もしくは競合に比べて突出している

あっと驚く発明をする必要はありません。

人々がお金もしくはそれに通じる対価を払えば問題はないのです。

たとえばスターバックスはコーヒーを発明した訳ではもちろんありませんが、彼らは店舗の中で高いクオリティのコーヒーを提供したことが成功の決め手となりました。

⑪あなた以外の人間に長期的な雇用を提供できる

バランスシートに現れる事柄ではありませんが、あなたが作り出した雇用で従業員やその家族が幸せな生活を送れるということほどモチベーションになることはありません。

⑫社会に対してベネフィットを与えられる

社会に害を与えなくても、環境に優しいことをしていても、それは社会に対して利益を与えていることとはまた違います。

この問題にYesをつけるには、あなたのアイディアが社会を昨日よりもより良い場所に変える必要があるのです。

成績

【A】

もし11~12個の項目にYesをつけたのであれば、あなたの成績は5段階評価最高のAです。

時価総額数兆円の起企業になるかは別として、あなたは起業に向けた準備が出来ており、あなたにとっても社会にとっても素晴らしいことが出来るはずです。

【B】

7~10個の項目にYesをつけたのであれば、あなたの成績はBです。

時価総額数兆円の企業になる可能性も秘めていますが、あなた自身長続きするかは微妙なところです。

【C(平均点)】

このテストにC(平均点)はありません。

平均的なビジネスアイディアなどトライする価値もないのです。

【D】

4~6個の項目にYesをつけたのであれば、あなたの成績はDです。

運があれば成功の可能性がないとは言えませんが、人の何倍も働く必要はあるでしょう。

起業を楽しめはしないかもしれません。

【留年】

4個未満の項目にしかYesがつかなかった場合には、満足感を得ることも、社会にいいことも出来ないということであり、そのアイディアでの起業にやや悲観的になったほうがいいかもしれません。

もう一度ブレストからやりなおしましょう。

7月10日更新記事:

ローンチからわずか2週間でユーザー数を150万人獲得したQuizUpのグロースハック手法

海外のグロースハッカーが最重要視する9つのユーザー保持テクニック (グロースハックに関する最も確実な手引書「9/9」)

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計9回の連載もいよいよ最終章です。

前章までに、グロースハックの定義、グロースハッカーに必要な素養、トラフィックを獲得するためのテクニック、及びユーザーを獲得していく術を述べてきました。

ユーザーを獲得できたらグロースハックを達成したと言ってしまいたくなる気持ちはよくわかりますが、まだ最後の仕上げが残されています。

本章では、グロースハックにおける最後の、それでいて最重要のステップである、獲得したユーザーを保持(リテンション)していくためのテクニックをご紹介していきます。

ユーザーを保持するとは、一度プロダクトを使用してくれた人に、その後も普段からそのプロダクトを常習的に利用させることを言います。

定期的にプロダクトを使ってもらって初めてユーザーと呼べるのです。

もしあなたの会社がeコマースのサイトを運営しているならば、ユーザーの保持は定期的にそのサイトから商品を購入してもらうことを意味します。

コンテンツを配信している企業ならば、ユーザーにコンテンツを定期的に購入してもらうことを意味します。

海外の著名なグロースハッカーの多くは、コンバージョンファネルの中でもユーザーの保持が最重要であると考えます。

その理由は、以下の通りです。:

・   ユーザーのリテンション(保持率)が低かった場合、それまでグロースハックのために実行してきたあなたの独創的な施策は全て無駄となってしまいます。せっかく獲得したユーザーはコンバージョンファネルの最終段階でプロダクトから去ってしまうのです。穴の開いたバケツにはいくら水を汲んでも意味がありません。先にバケツの穴を閉じる必要があるのです。

・   サイトに訪問してくれた人があなたのプロダクトを使用してくれた(アクティベートした)ということは、その人はあなたのプロダクトにとても大きな興味を抱いていることを意味します。これは、プロダクトを成長させてくれるのにもってこいの人達であり、この手のユーザーの保持に力を入れなかった場合、最も価値あるグロースへの糸口をみすみす逃していることになるのです。

・   コンバージョンファネルの各段階は連動しているため、グロースハックの実現に新規ユーザーの獲得よりも既存ユーザーの保持の方が大きく寄与する場合があります。ユーザーの保持率を20%向上できたことは、トラフィックを20%多く獲得することと同等なのです。トラフィック獲得を20%増やすことは、ユーザーの保持率を20%向上させることよりも時間やマンパワーの資源を必要とすることもあるのです。

・   ユーザーの保持率の向上は、ユーザー一人一人のライフタイム・バリュー(LTV)が向上することを意味します。LTVの向上により実質的な歳入が増えるため、Chapter 6でもご紹介したプッシュ型グロースハック手法をより多く試すことが可能となるのです。つまり、ユーザーの保持はコンバージョンファネル全体の改良を可能とするわけです

・   あなたのプロダクトを長い間使ってくれたユーザーは、プロダクトに関して福音を流布してくれることがあります。彼らの生活にプロダクトの利用が溶け込んでいるならば、プロダクトに関して友人に話したり、仕事場に持っていったりと、何かとあなたのプロダクトの成長に寄与してくれるのです。

リテンションを高く保つことは、これまでに本連載の中でご紹介してきたグロースハック・テクニックと同様、学ぶことができるスキルなのです。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書

Chapter 6:海外の著名グロースハッカーが最重要視する9つのユーザー保持テクニック

目次

・   テク1:段階的にトラフィックを増やすこと

・   テク2:アハ体験まではスピーディーに

・   テク3:メールの配信に億劫にならないこと

・   テク4:アプリの通知機能の活用

・   テク5:エグジット・インタビューの実行

・   テク6:レッドカーペットを敷くこと

・   テク7:プロダクトの価値を高めること

・   テク8:プロダクト周りのコミュニティ形成

・   テク9:ユーザーを幸せにすること

・   まとめ

・   本連載の総括

テク1:段階的にトラフィックを増やすこと

Chapter 4でも紹介したグロースハッカーが活用するコンバージョンファネルを見ると、まず始めにトラフィックを獲得して、それが完了したらユーザーをアクティベートし、最後にそれらユーザーを保持していく、といった具合で各ステップをそれぞれ完了させてから次のステップに進んだ方が良いように映るかもしれません。

しかし、このようなファネルの見方では、コンバージョン率の最適化を最も効率的に行っているとは言えません。

各ステップをそれぞれ完了させてから次のステップに進むのではなく、まずはトラフィック獲得にある程度のリソースを割き、獲得したビジターに対してアクティベーションやリテンション施策を試し、その結果に応じて残りのリソースをトラフィック獲得に割くべきかを決定すべきなのです。

たとえば、グロースチームに割り当てられた予算が40万円で、このチームは割り当てられた予算を数週間の内に使い切る予定だとしましょう。

使用用途の内訳はインバウンドでトラフィックを獲得するためのホワイトペーパー作成に10万円、Googleの広告に20万円、そしてハッカソン等のコンテストの開催に10万円とします。

これら全ての施策を行ったことによりあなたは達成感を感じるかもしれませんが、その後一ヶ月経ってからトラフィックは順調に獲得できている一方で、ユーザーをアクティベートし、更には保持することが全く上手くいっていないことに気付いたとしたらどうでしょう。

予算を使い切ってしまったにもかかわらず、成果として披露できることは微々たるものとなってしまいます。

上記の思考実験のような事態を避けるためにも、ファネルでの各工程が上手く行っているかを確認するために、まずはトラフィック獲得のための施策を1つだけ試してみることをお勧めします。

こうすることによって、ファネル内で改良の必要がある箇所を明確にすることができるのです。

その後に再度トラフィック獲得のための施策を講じれば、より効率的に資源を使えることになります。

ユーザーの保持も含め、まだ実験によるロスが小さいうちにファネルに試行錯誤を加えてみることによって、いざプロダクトの成長を加速させる段階になったとき、必要な下積み作業を全て終わらせておくことが出来るのです

開発の速い段階では、ユーザーの保持まで結びつけられるよう、トラフィック獲得の施策は段階的に行うようにしましょう。

テク2:アハ体験を届けるまではスピーディーに

人々は、プロダクトの運営側であるあなたが提供すると約束したものを信じてあなたのプロダクトにやってきます。

自社のプロダクトはXの消費を抑え、さらにYという価値を提供し、Zをより簡単に行えるようにします、等といったように。

あなたの約束に嘘はないと訪問者や初回ユーザーが感じ、プロダクトを使用することによる便益を理解することを「アハ体験」と呼びます。

ユーザーを保持したいならば、人々になるべく早めにアハ体験をさせてあげることが必要なのです。

プロダクトを初めて見た人は、あなたの約束を素直に受け入れています。プロダクトが提供してくれる新たな価値にわくわくしながら心躍らせているのです。

しかし、アハ体験まで到達するのにもたついてしまっては訪問者は興味を失ってしまうでしょう。

そこで、プロダクト開発者が自分に問うべきこととして以下を十分に意識しましょう:

・   自分自身がプロダクトのアハ体験を100%理解しているのか。ユーザーの保持率を最も端的に示す指標として、ユーザーが自社のプロダクト内でとる行動はなんなのでしょうか?

・   仮にアハ体験を人々に実感してもらえるまで丸2日かかるとしたら、それを2時間に短縮することは可能でしょうか?

・   現状ではプロダクトの価値を体験するためにユーザー登録を必要としているならば、アカウント作成前にアハ体験を可能とするようなサービスを提供できるでしょうか?

・   プロダクトの特徴として押し出しているものの中で、アハ体験に結びつかないものはあるでしょうか? それが原因で訪問者にとって雑音が増えてしまい、彼らがアハ体験まで辿り着けていない可能性はあるでしょうか?

・   プロダクトのアハ体験が何であるかを新規ユーザーにメールで説明することはできるでしょうか? アハ体験に直結するような行動を呼びかけることは可能でしょうか?

Twitterはある程度他のアカウントをフォローしているユーザーの方が、その後の使用率も高いことをつきとめていました。

そのため現在は、新規ユーザーにアカウントの作成過程で他のユーザーをフォローすることを手助けしています。

彼らはアハ体験までの到達スピードが重要であることをわかっているため、ユーザー保持のための施策はサインアップの段階から組み込まれているのです。

twitter follow

テク4:メールの配信に億劫にならないこと

エンジニアやプロダクト至高主義者はメルマガを毛嫌いする傾向があります。

彼らはメルマガは世界共通で嫌がられ、大概スパムとして扱われると考えているのです。

しかし、この認識は明らかに間違っています。

人々は自分の意思で企業から配信されるメールを受け取り、必要がなくなったら自ら配信停止の設定を行います。

勝手にメールの配信が嫌がられるだろうという判断をし、始めからプロダクトの成長に寄与する方法を自ら一つ消してしまうのではなく、人々にメールを受け取るか否かの判断をさせましょう。

メールの配信は、ユーザーを保持する上で非常に大きな効果を発揮します。このことを無視しては、自らプロダクトに足かせを課してしまうことになるのです。

プロダクトに関して配信できるメールにも何種類かあり、用途に応じて使い分けることが大切です。

ドリップ・キャンペーン

ドリップ・キャンペーンとは、既に作成されているメールを決まった間隔を空けて複数回にわたり配信することを指します。

たとえば、新規ユーザーはプロダクト使用開始日初日、7日目、14日目そして21日目にメールを受け取るようなメルマガの仕組みがこの手のメールキャンペーンにあたります。

ドリップ・キャンペーンでは、あなたのプロダクトの紹介、プロダクト使用による実績や実例、あるいはプロダクトを使用することのメリット等、様々なことを伝えることができます。

新規にアカウントを作成した直後、ユーザーのプロダクトに対する期待値が最も大きいときに、彼らにプロダクトの素晴らしさを印象づけることをドリップ・キャンペーンは可能としてくれるのです。

また、複数配信することで、メールを配信する度にユーザーをプロダクトに呼び戻し、リテンションを高める機会もこの施策を通じて得ることが可能です。

イベントのお知らせ

イベントやキャンペーンを告知するためにメールを配信することもできます。

この種類のメールでもっとも馴染みがあるものとしては、Facebookから送られてくるメールが挙げられるでしょう。

友人の誕生日のお知らせ、自分に関して誰かがコメントしたこと関するお知らせ等々、友人がFacebook上で私たちに関連がある行動を実行した際、私たちにはそれに関する通知のメールが送られてきます。

Facebookはこのイベントをお知らせするメールを巧妙に使っていることは皆さんもご存知だと思いますが、ユーザーに配信されるメールのほとんどはメールにあるリンクをクリックさせる目的で作成されており、これは再びFacebookの世界に人々を引きずり込める点で、非常に優れた施策です。

皆さんのプロダクトにも、ユーザーがとる行動の内、それをメールでお知らせできるようなものはあるでしょうか?

アップデートに関するお知らせ

3つ目の種類には、プロダクトに関するアップデートをお知らせするメールが挙げられます。

この種類のメールは、新たにプロダクトに加えられた機能、新規スタッフの紹介等、ドリップ・キャンペーンには内容的にそぐわず、特定のイベントとも関連づけられない情報をユーザーに提供するために活用されます。

人々は他人が働いている様子や他の企業の職場環境に関して興味を抱くため、企業ロゴを背景に撮った開発チームの集合写真を配信するなど、この種のメールを使ってプロダクトの開発・運営現場の様子を写真と共に配信することも考えられます。

プロダクト提供側に親近感を覚えているユーザーの方が保持しやすいからです。

この種の施策を有効的に行っているサービスはおそらくEvernoteでしょう。以下にEvernoteから配信されてきたメールのスクリーンショットを掲載します。

evernote update

evernote ambassador

テク4:アプリの通知機能

モバイル端末向けのアプリを開発している企業の場合、メールの配信以外にもう一つユーザーをプロダクトに引き戻せる方法を持っていることになります。

それはアプリの通知機能です。

あなたのモバイルアプリではプッシュ通知を使っているでしょうか? それとも新たな機能の追加、アップデート、及びその他の通知を行うためにバッジを使っているのでしょうか?

メールは大概ユーザーに毛嫌いされるのだという先入観と同様の先入観を、アプリの通知機能に関しても抱いている人がいます。

しかし、通知機能に関してもユーザー自身がオン/オフの設定を行えるため、彼らにその部分はゆだねてお知らせする必要があるアップデート等は必ず通知しましょう

テク5:エグジット・インタビューの実行

ユーザーの声を直接聞くことは困難を伴います。

人々はプロダクトに関する率直な感想を述べることに対して全く引け目を感じていないため、時としてそれがあなたの自尊心を傷つけることもあるかもしれません。

しかし、そこは乗り越える他ありません。なぜなら、自分のプロダクトに関して最も学べるのはユーザーとの対話を通してであるからです。

近年、スタートアップ界隈ではカスタマー・ディベロップメント(顧客の声にプロダクト使用の早い段階で耳を傾けること)をしばしば聞くようになりましたが、これとは別に顧客との有益な対話方法があります。

ここではそれを「エグジット・インタビュー(出口調査)」と呼ぶことにします。

ユーザーがあなたのサービスの利用をキャンセルしたり、長い間プロダクトを放置して、保持されていない素振りを見せたときこそ、あなたは彼らからプロダクトに関して何かを学べる絶好の機会なのです。

彼らに直接メールを送って、自分のプロダクトで最も嫌いだった点を聞くことは非常に有効でしょう。

単純に言ってしまえば、何が最もイラついたのかを聞いてしまいましょう。

図太くいくことが大切です。このエグジット・インタビューを通して得られた意見を今後のプロダクトのロードマップ作成、及び将来的なユーザー保持率向上に活かそうと思えばすこし図太くなることも容易いはずです

また、この段階でアンケートに応えてくれるようお願いすることを試してみてもいいかもしれませんが、その際は状況を冷静に把握してみることが大切です。

彼らは既にあなたに背を向けているような状態なのです。自分の時間の内、おそらく10分すらも割いてくれないでしょう。

ユーザーに送ったメールが短い1文のメールだったら、まだ手短な返答が返ってくる可能性があります。この段階では、ユーザーにお願いする分量を慎重に考えましょう。

このようなエグジット・インタビューは、ユーザーを引き戻すために使うこともできます。

去り行くユーザーには破格の割引券を提示したり、通常サイト上では告知されていない安価なパッケージを提供してみるのも有効かもしれません。

ここまで来てしまったら、既にユーザーを失ってしまったも同然なので、呼び戻すために大胆な施策に出てみるのもありでしょう。

テク6:レッドカーペットを敷いてあげる

ユーザーがプロダクトから去ることを防ぐ方法として、最もコアなユーザーにはレッドカーペットを敷いてあげることが考えられます。

エグジット・インタビューは最悪の状況の中から何かを得るために行うものでしたが、レッドカーペットは最悪のシナリオを回避するために行います。

あなたのプロダクトを最も使ってくれるユーザーにレッドカーペットを敷いてあげる方法をここでは5つご紹介します。

・   ユーザーとなってくれた最初の100人にTシャツを贈呈する

・   配信するメルマガで、最も使用率が高いユーザーに意見を発信させてあげる

・   普段からプロダクトを多用してくれているユーザーのTwitterアカウントのリストを作成して、彼らのツイートを頻繁にリツイートしてあげる

・   VIPユーザーには特典を付けてあげる

・   プロダクトの成長に寄与してくれているユーザー限定で、ユーザーにとって関連のある会合等に無料で参加できる抽選券を配布する

全てのプロダクトはそれぞれ異なりますが、ここで言いたいことは要するに最も重要なユーザーには感謝の意を表することが大切だ、ということです。

これは彼らをユーザーとして保持することにもつながりますが、それ以外にも、人は自分が注目されていると感じたり、特別・重要な存在だと感じたとき、ソーシャルメディア上でそれを拡散したがります。

プロダクトのコアユーザーには御礼をすると共に、彼らがさらにあなたのプロダクトを宣伝してくれるような動機付けをしちゃいましょう

テク7:プロダクトの価値を高める

プロダクトの根底にあるのは、そのプロダクトユーザーに提供する価値。

つまり、プロダクトの価値を常に意識しておくことが、ユーザー保持率向上には欠かせないのです。

利用開始日にプロダクトに価値を感じていたユーザーが、プロダクトの使用を開始してから100日目にも価値を見出してくれている保障はどこにもありません。

ユーザーを保持するためには、常に需要曲線を先読みする必要があるのです。

価値を提供するための方法として:

機能を増やす

もしあなたのプロダクトが特徴的な機能を備えていないならば、新たな機能を付け加えることはユーザーの保持に有効かもしれません。

もしエグジット・インタビューを行った人の内、3人に2人が同じようなこと言い、それがプロダクトが提供できていない価値に起因していた場合、単純に彼らが欲しているものを提供することは合理的な判断かもしれないのです。

これはフィーチャー・クリープ(ソフトウェアの機能の追加が何度も行われた結果、複雑で使いづらいものになってしまうこと)に陥るということではなく、ユーザーを保持するために人々が実際に欲している価値を提供する、ということなのです。

機能を減らす

この連載記事の中で機能の削減に言及するのは少し奇妙なことかもしれません。

しかし、時と場合によっては機能を減らすことも価値の向上につながります。

ユーザーにとって使い勝手の良くない、あるいは使われない機能は、プロダクトにとって負の影響しかもたらしません。

それら機能は人々がプロダクトの素晴らしい点を発見することを妨げてしまうのです。

人々はプロダクトのコンテンツの多さに惹かれてユーザーになるわけではありません。

プロダクトが提供する価値に魅力を感じてユーザーになるのです。

テク8:コミュニティの形成

何かに帰属意識を感じている人の方が、ただ形式上会員登録している人よりも長くコミュニティにいる傾向があります。

ここでは、プロダクト周りでコミュニティを形成する方法をご紹介いたします。

カスタマーサポートを充実させること

プロダクトを長期的に使ってくれる人とプロダクトに関する悪い評判を流布する人とを分けるのは、カスタマーサポートの充実度であることがしばしばです。

アメリカのアパレル関連通販サイトZapposほど良心的なことはできないかもしれませんが、それでもカスタマーサポートをよりユーザーに親身なものとすることによって、彼らが何らかのコミュニティに属しているように感じさせることができるのです。

下の図はZapposのカスタマーサポートの様子を示しています。リアルタイムのチャットでカスタマーサポートをするあたりが斬新ですよね。

zappos

説明書の提供

もしあなたのプロダクトが説明書を必要とするならば、それを可能な限りわかりやすい形で提供するのはあなたがコミュニティに対して行うべき奉仕です。

ソフトウェアのインストールや使用に必要な説明書きがなかったら、ユーザーを保持することは不可能に近いでしょう。

SNS的側面を持たせる

プロダクト内でユーザー同士が交流を持てる機能は付いているでしょうか?

ユーザーを保持するのに非常に効果的な方法は、ユーザー同士がつながることを可能にすることです。

プロダクトが提供する価値のみでは去ってしまうようなユーザーも、プロダクト上での関係性を維持するためにプロダクトを使い続けるといったこともあるのです。

テク9:ユーザーを幸せにすること

ユーザー保持の核を成すのは、つまるところ喜びなのです。

プロダクトを使っていてハッピーになれるならば、人々は常習的にあなたのプロダクトを使ってくれます。

逆に、プロダクトを使っていて不快な思いをさせてしまったら、人々はユーザーにはなってくれません。

あまり固く考えすぎずに、プロダクトを通して人々を喜ばせることを考えてみては如何でしょうか?

まとめ

・   ユーザーの保持はもしかしたらコンバージョンファネルの中でも最も重要なステップかもしれません

・   ユーザーを保持する8つのテクニックとは:

>   段階的にトラフィックを増やす
>   アハ体験まではスピーディーに
>   メールの配信を恐れない
>   アプリの通知機能の活用
>   エグジット・インタビューの実行
>   レッドカーペットを敷く
>   プロダクトの価値を高める
>   プロダクト周りのコミュニティ形成
>   ユーザーを幸せにする

連載記事の総括

4週間をかけて計9回の連載記事を掲載してきました。

記事を執筆する側の私も大変でしたが、それぞれ分量的に多めの記事に目を通していただいた読者の皆様も大変だったことと思います。

ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。わずかながらでもグロースハックに関して皆様に有益な情報をご提供できたならば、仕事冥利に尽きます。

Chapter 1 ~ 8にまだ目を通されていない方は、今からでも結構ですので、是非ご一読いただければ幸いです。

さて、第9章までご覧になっていただいた方は、おそらくグロースハックに非常に興味を持たれていることと思いますので、私自身もグロースハック業界においてはまだまだ新参者ではありますが、最後に数点アドバイスをさせていただきたいと思います。

グロースハックは学ぶことのできるスキルセットであり、本連載が読者にとってグロースハックを学ぶための手助けとなることを心より望んでいますが、他のスキルと同様、グロースハックも修得するためには実際に手を動かして色々と練習してみる他ありません。

本を読んで理解することと、グロースハックを自分の肌で感じ、体得することはやはり違うのです。

グロースハッカーとしての能力を磨きたいと思うならば、なんでもいいので一つプロジェクトを見つけ、グロースハック手法を実践してみることが大切なのです。

他人の成功・失敗体験からよりも、自身の成功・失敗体験からの方がより多くのことを学べることは間違いありません。

自身の成功体験は甘い体験として忘れることがない一方、自分で犯した失敗はいつまでもチクチクと痛むため、二度と同じ失敗は繰り返さないことでしょう。

本連載記事でご紹介したスキルの数々を身につけたならば、あなたは将来をも見据えた能力を修得したことになるのです。

グロースハックを一時的な流行りに過ぎないと言う人もいますが、廃れてしまうにはあまりに強力なツール及びマインドセットです。

もちろん、グロースハックという呼び名自体が変わることはあるかもしれませんが、中身が変わることはないでしょう。

グロースハックとは新しいプロダクトの見方であり、この存在を無視してしまうことは自ら成長の障害を課してしまっているも同然とも言えます。

最後に一つ小話をご紹介して締めくくりたいと思います。

Atlassian

Atlassianは今日、世界で最も急成長を遂げているソフトウェア企業の内の一つで、私が知る限りにおいて、最も洗練されたグロースハックチームを抱えています。

彼らはコンバージョンファネルの向上のための試行錯誤を科学的見地に基づいて行い、機械学習によってその都度ファネルの制度を向上させているのです。

新規のユーザー獲得に専念したグロースチームと、一度プロダクト内に入ってきた人をコンバージョンすることに焦点を絞っているグロースチームの両方を抱えており、非常に整った企業であると言えるでしょう。

しかしAltassianにとって難しいのは、彼らのプロダクトがBtoB向けのソフトウェア会社であり、一般大衆が耳にしたことすらないようなプロダクトを売っているという事実なのです。

彼らが提供しているプロダクトはコミュニケーションとソフトウェア環境の連携を可能とするだけであって、何ら面白みはありません。

しかし、それでいてAtlassianが今日のような急成長を遂げられているのも、全てはグロースハックによってと言って過言ではないでしょう。

グロースハックのマインドセットを持っている企業とそうでない企業とでは、10年後、20年後に差が歴然とついているはずです。

Uber、Snapchat、Evernoteなど急成長サービスが兼ね備える11の特徴

「急成長サービスはなぜ急成長しているのか?」

誰もが回答を望む質問でしょう。

そこで本日は、海外でグロースハックに関する情報を数多く配信しているgrowthhackers.comの運営者が、Uber、Snapchat、Yelp、LinkedIn、HubSpot、Evernoteを含む急成長サービスのリサーチに基づいて執筆した「グロース企業から学べる10の教訓」を参考に、急成長サービスの秘密を探りたいと思います。

①魅力的なプロダクト体験なしにグロース無し

急成長サービスはそれぞれユニークな成長エンジンを持っている一方で、1つだけ共通点を持っています。

そのサービスにしか提供できない素晴らしいプロダクト体験です。

このプロダクト体験こそが、サービスの成長と成功の基盤となる満足度と忠誠心の高いユーザーを育みます。

LinkedInのように規模が伴わないと「素晴らしいプロダクト体験」を提供出来ないサービスも存在する一方で、全ての急成長サービスは必ずユーザーの前に立ちはだかるギャップを素晴らしいプロダクト体験をもって解消しているのです。

グロースハックとなると必ずプロダクト・マーケット・フィットを耳にするのも、プロダクト体験が非常に重要であるが故のことと言えるでしょう。

②成長への飽くなき追求心

全ての急成長サービスは、グロースに情け容赦なくフォーカスしています。

彼らは文字通りありとあらゆるリソースをグロースに割いているのです。

LinkedInはその最たる例で、彼らの10年にも及ぶ継続的なグロースに対するフォーカスは、成長に終わりがないことを物語っています。

10年の間に幾度も失敗を経験したことも事実ですが、LinkedInの成長エンジンを追求する姿勢は目を見張るものがあります。

③マーケティングはグロースを支える数ある要素の1つでしかない

急成長サービスが伝統的なマーケティングの教科書に頼ることはありません。

急成長サービスはたしかにリスティング広告やメール・マーケティングなども実践する一方で、これらの伝統的マーケティング手法は彼らの持続的な成長のきっかけを作ったエンジンではないのです。

彼ら独自のグロースの教科書にはもちろん伝統的なマーケティング手法も含まれてはいるものの、急成長サービスの大半はプロダクトそのものに成長の機会を埋め込んだ結果と言えます。

たとえば黒のiPhoneに映えるように真っ白のデザインが施されたSquareのカードリーダーや、新たなApp Storeの誕生を境にプロダクト全体の改革を行ったEvernoteの例が従来のマーケティングの教科書に載ることはないでしょう。

そしてこうした施策を行うには、マーケターのみならずエンジニアやデザイナーの力を要します。

SquareやLinkedInのグロースと、グロースを単純な広告のバラマキに依存し、結果的にそのグロースは持続不可能であることが判明したGrouponを比較すればその違いは明白です。

④他と違う道を選ぶ

急成長サービスはどこも既存サービスとは全く異なる道筋をたどっています。

マーケティングプラットフォームのHubSpotがサービス料金に加えて追加料金を強制的に徴収する施策を取ったときには誰もがそれを過ちだと考えましたが、結果としてこの施策はリテンションの向上に大きく貢献しました。

Yelpだって当時は当たり前だったお金を払ってレビューを書いてもらう習慣と決別し、コミュニティを醸成することを第一に考えた結果今があると言えるのです。

⑤ニッチ市場にフォーカスする

今でこそ多くの層に愛される急成長サービスも、最初はニッチな市場にこれでもかというほどフォーカスしていました。

たとえばスナップチャットは大学生や高校生の子供を狙ったし、Squareは零細企業に絞って拡大の礎を築いたのです。

どんなに市場が小さくとも、まずはその枠で1番になることに注力しましょう。

⑥グロースハックは短期的な戦術じゃない

「グロースハック」という言葉がバズワード化したことにより、ほとんど全てのオンラインマーケティング手法がグロースハックと捉えられるようになったことは否定しようのない事実です。

しかし、Airbnbがcraigslistをハックしたように、急成長サービスは独自のチャネルや発想で持続的なグロースを達成しているのであって、リンクスパムで成長した(そしてGoogleから罰則を受けた)歌詞サイトのRapGeniusのそれと混同してはいけません。

⑦スケールしないことをして、スケールするための準備をする

急成長サービスは、ポール・グラハムの金言である「スケールしないことをやれ」というアドバイスをそれぞれの形で実践しています。

いきなり何万ものユーザーを相手にサービスを提供しようと試みるのではなく、少数のコアユーザーのニーズにコツコツと対応し、耳を傾けることでサービスの根幹を築いたのです。

たとえばEvernoteはApp Storeの開設を絶好の好機と捉え、新機能をローンチするたびにApp Storeで新機能をフィーチャーしてもらえるように努めました。

これは決してスケーラブルと呼べる戦術ではありませんが、Evernoteのグロースに貢献したことは言うまでもないでしょう。

これらの急成長サービスは、時同じくしてスケールするために必要な準備を整えていることも言及に値します。

例えばUberは新たな都市に参入する際に利用するプレイブックを保有していますが、これは単にPRのノウハウを集めた教本とは違います。

このプレイブックには、テスト市場で何度でも繰り返し使えるベストプラクティスが結集しているのです。

⑧大切なのは数字ではなく、数字から何を抽出するか

急成長サービスも、そうでないサービスも、分析は必ずと言って良いほど行っています。

しかし、後者は数字からほとんど洞察を得ておらず、結果として成長を実現する原動力を探し当てられず終わっているのです。

たとえば急成長を見せるUpworthyは、全ての投稿に対して最低25のヘッドラインを考案し、それらをテストすることを習慣としています。

急成長サービスはどこも似たようなテスト文化を築いていますが、彼らは皆単に数字を報告し合っているのではなく、数字から成長の原動力をあぶり出し、その洞察を実践に当てはめて成長を遂げているのです。

⑨複数のグロースエンジンを持つ

成長の原動力を複数持つことで、より速い成長を達成できることがGitHubなどの例から分かります。

GitHubは、①ソーシャルネットワーク機能、②コードのマーケットプレイスとしての機能、③投稿プラットフォームとしての機能、④ワークフローを改善する機能など複数の原動力を持ち合わせており、これらがうまく融合した結果として急速な成長を遂げたのです。

Yelpも、強固なコミュニティと豊富なレビューという 2つのエンジンを通じて成長した良い例であると言えるでしょう。

⑩「マジック」に頼らない

持続的な成長を遂げるどんなサービスも、一度に何百万人のユーザーを手にしたわけではありません。

パッと見れば単純に口コミやバイラル効果で拡散したサービスも、その裏には綿密に練られた戦略や仕組みが隠されているのです。

持続的な成長は運によってもたらされるものではないことを十分に理解し、一攫千金のバズを狙ったりすることはもう止めにしましょう。

⑪グロースはチーム・スポーツである

急成長サービスの裏にあるのはグロースチームであり、超天才グロースハッカー1人がいるケースなど全くと言っていいほどありません。

優秀なグロースチームのメンバーはそれぞれがサービスの成長に貢献できることを確信しており、その確信はより使いやすい契約書の作成からSEO施策に及ぶ、サービスを構成するあらゆる側面に表れているのです。

訪問者に訪問以上の行動を取らせる6つのアクティベーションテクニック (グロースハックに関する最も確実な手引書「8/9」)

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Chapter 1 ~ 7で述べてきた手法を実践されてきた読者の皆様は、既に多くのトラフィックを獲得できていることと思います。

しかし、皆さんのサイトやプロダクトに来た人は、まだ訪問者に過ぎません。

ここで手を止めては、多くの人々はあなたのプロダクトを素通りし、これまでの努力が水の泡となってしまいます。

皆様の目標は訪問者をアクティベートすることにあるはずです。

アクティベーションとは、訪問者に実際にあなたのプロダクトを使用してもらう、もしくはプロダクト内でプロダクト提供側が望んでいる何かしらの行動を起こしてもらうことを指します。

アクティベーションとは、ただ人々にランダムに広告やリンクをクリックさせるだけではなく、事前に想定してある行動を人々にとらせたり、プロダクトの成長に寄与してもらうことを指すのです。

アクティベーションのゴールには、例えば以下が挙げられます:

1. メールアドレスを登録させる

2. 新規のユーザーアカウントを作成させる

3. 何かを読んでもらう

4. 何かにコメントを残してもらう

5. 何かをシェアしてもらう

6. 何かを購入してもらう

7. 何かを記入させる

8. 何かを観てもらう

9. 誰かとやり取りをしてもらう

10. 誰かに友達申請・承認をさせる

ここで挙げたゴールの内、どの目標を設定するかはあなたのプロダクトに依存します。

もしあなたのプロダクトが広告掲載によって収益をあげているブログならば、上で紹介した1, 3, 4, 5番目の目標を達成することで、以下のように更なるグロースの礎を築くことが出来るのです。

1.   読者のメールアドレスを獲得したならば、新しいブログ記事を出稿した際、読者に知らせることができます。

3.   記事を読んでくれた人ならば、あなたのブログに掲載される内容や記事の品質を理解し、もっとあなたの記事を読みたくなるかもしれません。

4.   コメントを残してくれた読者はまたあなたのブログページに戻ってくる傾向があります。そのコメントに対して他の人からもコメントが寄せられた場合は特にその傾向が高まるでしょう。

5.   読者が記事に関してツイートしてくれたなら、さらに多くの読者を獲得することにつながります。

これらのゴールを達成することによってより多くの人への露出機会を増やすことに成功すれば、収益源である広告が人々の目に留まる機会も自然と増加します。

もう一点大事なのは、達成すべき目標は少なければ少ない程、それらの実現性が高まるということです。

5つもアクティベーションの目標があるような状態では、この章で紹介する手法を使っても、全ての目標達成度合いが中途半端なものとなってしまうことでしょう。

プロダクト全体では複数の目標があるかもしれませんが、自分が担当しているセクションではなるべくアクティベーションの目標は1つに絞ることが大切です。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実は手引書

Chapter 8:訪問者に訪問以上の行動を取らせる6つのアクティベーションテクニック

目次

・   テク1:LPO対策の実行

・   テク2:コピーライティングを洗練させる

・   テク3:特定の行動を呼びかける

・   テク4:オンボーディングの活用

・   テク5:ゲーミフィケーションの活用

・   テク6:プロダクトの価格設定

・   まとめ

テク1:LPO対策

ランディングページのデザインは、アクティベーションの確率を左右する最も大きな要因の1つです。

ランディングページとは、訪問した人をプロダクトに関連した特定のキャンペーンに目を向けさせるページのことを指します。

ランディングページはホームページと異なり、ホームページに記載されている情報の全てが掲載されているわけではないのです。

以下にランディングページの特徴と、何故有効に活用すべきなのかに関して述べていきます。

・ウェブページに記載する情報を制限できる

特定のキャンペーンに釣られてランディングページに来た場合、その訪問者は既に特定のプロダクトに興味を持っていることになるため、他に注意をそらしてしまうような広告や情報の掲載を制限できます。

あなたが売り込みたいプロダクトに人々が集中できるようなランディングページのデザインを心がけましょう。

・訪問者が行動を起こすまでのハードルが低い

人々の気をそらしてしまうような他のプロダクトに関する情報を掲載する必要がないという点で、人々に行動を起こさせるためのハードルが低いと言えます。

ランディングページにいる人は特定のキャンペーンに釣られて来た人々のみであるため、彼らはアクティベートするのにもってこいの状態にあると言えるでしょう。

例えるならば、まさに熟したリンゴの収穫時期、と言った感じでしょうか。

・ニッチな表現も通用する

ランディングページにくるユーザーは、どのような経歴や興味を持っているのかをトラフィック元から想定することができるため、オーダーメイドの体験を提供することが可能です。

大多数の人々にはうけないような言葉遣いでも、プロダクトに興味を持ってくれそうな人々が好印象を持つような表現を使用すべきなのです。

ランディングページで使われる言葉遣いやバナー画像は、彼らの期待値と調和するように作成することを心がけるべきでしょう。

ランディングページの中でも特に人々の注目を集めるものが、近日公開予定のプロダクトに関する告知を行うローンチページ(launch page)です。

ローンチページとは、まだプロダクトが公に出ていない時期から公開するランディングページの一種で、この種のウェブページの目的は、実際にプロダクトが発表された際に人々にその知らせが届くよう、メールアドレス等の連絡先情報を獲得することにあります。

ローンチページに関して理解しておくべき点は、以下の通りです:

・ユーザーを獲得するためだけではなく、トラフィック獲得のためにも活用すべき

実際にプロダクトを公開する前の期間は、最もトラフィックを獲得しやすいタイミングの1つです。

①ローンチページをシェアしてくれたら優先的にサービスを提供する、②ツイートしてくれたらβ版への事前予約を受け付ける、等の謳い文句をローンチページに記載することにより、効率的にトラフィックを獲得することが可能になります。

他にも色々と方法は存在するため、独創性を発揮した施策の考案に注力しましょう。

大見出しと小見出しに記載されている情報が全て

まだ実際にプロダクトを市場に出していないため、おそらくローンチページに記載できる情報は限られているでしょう。

それだけにローンチページの大見出しと小見出しの内容は非常に重要となり、見出しで人々を惹き付けることができなければ、ビジターはあなたのプロダクトから去ってしまうことを肝に銘じましょう。

感情に訴えかける画像は必要不可欠

見出し以外に、人々の感情を呼び覚ますような画像を使用することは非常に効果的です。

Spotifyのように、フルスクリーンで背景画像を使用することはしばしば用いられる手法です。

Spotify top

まだコンテンツがない中で、如何に人々の感情に訴えかけることができるかがキーポイントと言えるでしょう。

得た連絡先情報を放置しない

プロダクトのローンチに関心を寄せている人の連絡先情報を獲得していく一方、既に獲得した連絡先リストを長期間放置してはいけません。

ローンチまでの数ヶ月間彼らに何もお知らせせずに急にローンチをメールで通知しても、クリック率は悪くて当然です。

彼らがあなたのプロダクトローンチに興味を持ち続けるよう、継続的にプロダクト開発に進捗状況を通知するか、実際にプロダクトローンチを1ヶ月先に控えるまではメールアドレスの登録を人々にさせない方が良いでしょう。

・ローンチページ紹介プラットフォームを活用する

新しいプロダクトを探し求めている人は世界中にあふれています。

アメリカのサービスではありますが、良いローンチページが既にあるならば、betali.stやerlibird.comを活用することによって、メーリングリストを飛躍的に増やすことが可能です。

betalist

erlibird

ランディングページを早く作りたいならunbounce.com等のサービスがあり、ローンチページの作成に関してはlaunchrock.co等もあります。

unbounce

launchrock

テク2:コピーライティングを洗練させる

人々がサイトを一目で去ることなく、何か行動を起こして欲しいのであれば、あなたが思っている以上に使用する言葉遣いが重要であることを忘れてはいけません。

画像や視覚的効果に時間的労力を割くあまり、コピーライティングが疎かとなってしまうことが往々にしてあります。

視覚的効果は重要ではありますが、もし誰かに何かを知ってもらいたい、理解してもらいたい、あるいは何かをしてもらいたい場合は、言葉の力が非常に重要な意味を持つのです

コピーライティングに関する注意点は、以下の通りです。:

・大見出しがプロダクトのコアバリューを説明している

何故あなたのプロダクトは独創的なのでしょうか? 競合他社がやらないこと、あるいはできないことであなたの企業が実行することはなんでしょうか?

サイトを訪問した人々にあなたのプロダクトが独創的であることをアピールしなければ、彼らは勝手にそうではないと判断して、行動を起こさないまま去ってしまうことでしょう。

小見出しは独創的価値の説明を補強している

小見出しは大見出しの下にあって、コアバリューに関する補足説明を行っている短めの文章です。

内容としては、大見出しの内容が何故正しいのか説明する役割を果たします。

大見出しに関する疑念の払拭や内容を、よりはっきりとさせるように活用しましょう。

高価なプロダクトには長めのキャッチコピーが効果的である

もしあなたが5万円もするようなプロダクトを売ろうとしている場合は、長めのキャッチコピーが必要でしょう。

長めの広告文を用いることによって、人々の価格に対する負の印象を取払い、ユーザーとなってくれるよう説得できる可能性が高まるのです。

・安価なプロダクトには短めのキャッチコピーが効果的である

もしあなたが2000円くらいのプロダクトを売ろうとしている場合は、長めのキャッチコピーを用いることは人々の疑問に応えるよりも多くの反感を呼び起こしてしまうことでしょう。

下手に混乱を招く長いメッセージを挿入するよりも、比較的安価なプロダクトには短めで、端的なキャッチコピーが最適です。

人が変われば反応する言葉も変わる

他社のキャッチコピーをそのままパクるのはやめましょう。

あなたが届けたい言葉は、あなたがターゲットとしている人々とマッチしなければなりません。

お医者さんと話している場合は専門用語を用いるべきでしょうが、皆さんが相手とするのは専門家ではない方達です。

若年層を対象としている場合は度を過ぎない程度に俗語・スラングを用いることも効果的ですが、年配の方々に向かってそのような言葉遣いをしてしまうことは逆効果でしょう。

マーケティング分析の結果を活用する

プロダクトが対象としているユーザー層に関してリサーチを行い、彼らが実際に使っている言葉を知りましょう。

キャッチコピーに想定ユーザーが使う言葉を入れることによって、ユーザーの間に共感を生み、ユーザー獲得の確率が向上します

growth hack japanでも掲載させていただいている広告に「グロースハッカー」の文言を入れてからクリック率が上がった実例があります。

 

leverage

 

(growth hack japanへの広告掲載に関するお問い合わせはこちら)

ソーシャルプルーフもコピーライティングの一つ

プロダクト内にソーシャルメディアでの拡散状態を保障(ソーシャルプルーフ)として用いることは非常に有効です。

「周りがやってるなら私も…」という衝動はほとんどの人間につきものであり、ソーシャルプルーフはユーザー獲得に大きく寄与してくれるのです。

マイクロコピーも手を抜かないこと

マイクロコピーとは、プロダクトの横に小さく書かれている説明書きや、人々をインターフェース上で誘導するための手短な文章を指します。

初めて使うプロダクトに困惑した訪問者は大概プロダクト提供側が想定していた行動をとってくれないため、ヒントを適材適所におくことで、きちんと訪問者を導くことが重要です。

テク3:特定の行動を呼びかける

人々に自分の望んでいる行動を起こしてもらうために最も効果的な方法は、その行いを直接呼びかけることです。

人々が勝手に色々と想像してしまう余地を残さないようにしましょう。

どこをクリックすれば良いのかを教え、ボタンを目立たせましょう。

どこに電話をかければよいのかを示し、電話番号をはっきりと明示しましょう。

可能な限り明快に取ってほしい行動を認識させることがアクティベーションには不可欠です。

以下にある実例は、非常に良い参考となるでしょう。

Hulu

airbnb

udemy

テク4:オンボーディングを活用する

人々があなたのサイトに到達したとき、それはいきなりマンハッタンの中心街に地図も持たされずに放り出される状況と似ています。

あなたの仕事は訪問者をサイト内の環境に順応させ、行ってほしいところに彼らを誘導することであり、人々を誘導するのに最も効果的であるのがオンボーディングなのです。

オンボーディングは、プロダクトの説明動画を掲載したり、スクリーンの一番上に訪問者がとるべきステップを画像で説明したり、実際にプロダクトの使い方を説明するために複数のウェブページに訪問者を誘導する施策を指します。

つまりオンボーディングとは、オンライン上でのガイド付きツアーと捉えることが出来るのです。

Twitterは、オンボーディング施策最良の例としてしばしばその名前が挙がります。

Twitterが取り入れる数あるオンボーディング施策の1つとして、利用価値を高めるために、サインアップの過程で他のユーザーをフォローさせるようにしていることはあまりに有名です。

開発前に欠かせない超ハイレベルな無料プロトタイプ制作アプリ5選」でもご紹介したInVisionもオンボーディングを効果的に使っている良い例でしょう。

初めてプロダクトを体験するユーザーに対し、ポップアップを活用して使い方を親切丁寧に説明してくれる様子が下のスクリーンショットから見て取れると思います。

invision

訪問者は根気強くありません。

あなたのプロダクトの使い方を自発的に発見しようとする程、あなたのプロダクトに思い入れもありません。

訪問者をユーザーとしてアクティベートしたいのならば、彼らに特定のアクションを起こしてもらい、彼らがオンボーディングを通して得られる経験を念入りに考えることが重要です。

参考記事:

グロースの源、リテンション改善に活用したい15項目のチェックリスト

テク5:ゲーミフィケーション(gamification)

ゲーミフィケーションとは、プロダクト内にゲーム的要素を取り入れることを指し、この手法はユーザー獲得に大きな効果を発揮します。

ゲーミフィケーションは、通常であれば最後までこなさないような手順も最後まで行わせる力を持っているのです。

以下に実例を述べていきます。

進捗状況の表示

プロダクト内でユーザーにその人のプロフィールの完成度をお知らせすることは、今となってはありふれた手法です。

これは人々の中途半端な作業が残っていることを嫌う心理に働きかけ、ユーザーに100%プロフィールを完成させることをそそのかします。

進捗状況に関するパーセンテージのグラフを表示するだけで、プロダクトにゲーム要素を取り込むことが出来るのです。

報償

私たちは少年野球のチームに所属していた頃からなんら変わっていません。

たとえ大した意味がなくとも、トロフィーには価値があるのです。

プロダクト内において特定の行動をユーザーが取った場合、実際に価値は無くとも何か報償を与えてみてください。

その報償はあなたがユーザーにその行動をとらせるために与えたゲーム的インセンティブであり、ユーザーは思わぬ食いつきを見せるかもしれません。

ランキング表

ユーザーに利用状況を反映したランキングを表示するだけで、彼らが一連の作業を最後まで行う可能性が高まります 。

例えばメッセージの件数に関して3番目に多いユーザーがいたとして、そのユーザーに3位であることを知らせたならば、その人は2位になれるよう何かしらの行動を起こすことが期待されます。

下は将棋アプリを提供している将棋ウォーズのユーザーページのスクリーンショットですが、あらゆるところに階級の達成度や順位が表示されていることが見て取れます。

将棋wars

プロダクトにゲーム要素を取り入れる方法は無数にありますが、まずプロダクト開発に携わっている皆様が自身のプロダクトをゲームとして見れるかどうかが鍵となります。

参考記事:

パズルゲームがコワいくらいの中毒症状をもたらす5つの心理学的理由

テク6:価格設定

誰かに支出を求めることは、アクティベーションの一形態に過ぎません。

もとからあなたは何かしらの行動を起こさせるために訪問者を獲得しているのであり、たまたまその行動がプロダクトの購入であったに過ぎないのです。

購入という行動を促す施策は様々である一方、特に注目したいのが価格設定。

ここで述べること全てが皆さんのプロダクトと相性が良いわけではないかもしれませんが、いくつかは適用することができるでしょう。

パーフェクト・プライス・デスクリミネーション

価格設定は人々に支出を行わせる上で重要な要素です。

消費者の支払い能力に応じて価格とともにプロダクトプランを変化させることを英語ではパーフェクト・プライス・デスクリミネーション(perfect price discrimination)と言い、日本語に直すならば「完全な価格差別」といったところでしょうか。

アメリカではユーザー情報をクラウド上で管理してくれるサービスを提供しているEcquireが、このパーフェクト・プライス・デスクリミネーション施策を有効に使っています。

Ecquire

日本では、以前「UX重視!予約率を2倍にした、予約管理システム「クービック」のグロースハック」でもご紹介しました予約管理をクラウド上で行うシステムCoubicがこの手法を活用していますね。

coubic

ユーザーはより高価な価格プランがあることを知っているだけでも、お金を無駄にしていない印象を覚え、良い買い物をしたと感じる傾向があります

一方で、自分が選択したプランより安価なプランがあるという事実は、選択する人に自分が安い人間ではないと自信を持たせてくれる効果があり、複数の価格プラン(大概3択)を用意しておくことは心理学的も合理的な手法なのです。

・価格プランのネーミングを示唆的なものにする

もし価格プランのネーミングを「ゴールド」、「シルバー」、「ブロンズ」などのように意味合いが不明瞭なものにしてしまっては、どの料金プランが自分にとって最適なのか判断することが困難になってしまいます。

一方、料金プランを「スターター」、「プロ」、あるいは「チーム」などと命名することにより、ユーザー自身が正しい選択をしやすくなります。

無料トライアル期間を設ける

人はお金が絡むと、後戻りの効かない選択に対して億劫になりがちです。

その対策として、ユーザーがプロダクトに満足しなかった場合は全額返済することを保障したり、無料トライアル期間を設けることが有効な手だてとして活用されています。

まずはユーザーのリスクを肩代わりすることで、信頼を醸成することが重要というわけです。

割引券の発布

割引券も、ただばらまいただけでは賢くありません。

たとえば割引券を使用できる時間制限を設けた場合、その期間内で人々に選択を迫ることが出来るのです。

Udemyはこのアクティベーション・テクニックを活用している良い事例です。

彼らは定期的に有限期間しか有効でない割引券を添付したメールを配信し、ユーザーに対して早期の選択を迫ることに成功しています。

udemy coupon

・他のプロダクトとセットで販売する

あなたのプロダクトを他の企業のプロダクトとセットで通常の合計金額よりも安く提供することも有効です。

お得感を演出することはもちろん、タッグを組むことでマーケティングに割くリソースも増え、まさに一石二鳥の手段と言えるのです。

アメリカではHacker Bundleがこの手法を上手く活用している事例と言えるでしょう。

hack bundle

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実は手引書

まとめ

・   プロダクトに人々を訪問させるだけでは不十分であり、彼らをアクティベートすることこそが真の目的である

・   プロダクトの成長に必要だと考えていた行動を訪問者がとったとき、その人をアクティベートできたと初めて言える

・   プロダクト内の各項目において、アクティベーションの目標は1つに定めておくべきである

・   アクティベーションの目標はプロダクトによりけりである

・   6つのアクティベーション・テクニックとは

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