「行動と褒美の距離」を最小化してグロースハックするための手引きと6つのテクニック

食事、睡眠、買い物、SNSチェック。

毎日するであろうこれらの行動は、全てニーズ、ウォンツ、もしくは衝動を満たす為の行動です。

私たちはこれらの行動を取ることによって自らの欲望が満たされていることを認知しており、その認知に基づいて毎日同様の行動を繰り返すのです。

しかし、私たちが感じる「満足」は全て同等ではありません。

例えば食事とSNSチェックであれば、個人差はあれど通常生きていく上で欠かせない食事から得る満足の方が高い傾向にあることは明白です。

これは、欲求の緊急性がSNSチェックに比べて食事のそれの方が高いからだと考えられます。

そしてもう一点、満足を分類する上で欠かせない基準の1つが「行動と褒美の間に存在する時間的距離」です。

本日は、この「行動と褒美の間に存在する時間的距離」に焦点を当てて、マーケティングに活用する方法を紹介します。

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行動と褒美の間に存在する時間的距離とは

「行動と褒美の間に存在する時間的距離」とは、欲望を満たすためにとった行動が実際に満足感をもたらすまでの時間の長さを指します。

たとえばあなたが突然空腹に襲われ、近くのコンビニで弁当を買ったとしましょう。

食事を終えたあなたの空腹は当然のように満たされ、食事という行動と満足の間に存在する時間的距離は非常に短いことが分かります。

次は、あなたがデリバリーのピザを注文したと想定してみましょう。

調理にかかる時間に加えて配達にも時間がかかり、注文という行動と食事を終えた際の満足の間に存在する時間的距離は比較的長いことが分かります。

もし弁当とピザから得られる満足度の大きさが同等である時、便利に馴れ、忍耐強さを兼ね備えていない大半の現代人は行動と満足の間に存在する時間的距離が短い選択肢を好みます。

将来を見越して勉強するのと差し迫ったテストを前に勉強するのではやる気に大きな差が出るのも行動と褒美の間に存在する時間的距離の差が原因です。

Amazonの即日配達は、時間的距離を短くすることで商品の魅力を向上させた最たる例と言えるでしょう。

とはいえ提供するサービスによっては何でもかんでも即刻対応することが困難であることも事実。

そこで本日は、少しの工夫で行動と褒美の間に存在する距離を短くする、もしくは顧客にそう感じてもらうためのテクニックを紹介します。

キャッチコピーに時間的距離を挿入

行動と褒美の時間的距離の短さをアピールする最も簡単な方法が、キャッチコピーやその他文言に時間的距離を数値化して挿入することです。

たとえば「たった1ヶ月でウエスト10cmダウン」、「注文から10分で届く宅配ピザ」などがその例に挙げられます。

一方で注意しなければならないのは、持たせた期待にサービスが応えられなかったときの反動。

明らかに無理な数値を押し込むのではなく、しっかりとしたデータや実績に基づいた適切な数値を挿入することが大切です。

即効性の高い連絡手段を採用

見込み客がサービスに関して問い合わせたいと思い立った時、回答がすぐに返ってくるに越したことはありません。

メールアドレスのみを公開している企業も多く存在しますが、インスタント・チャット機能を採用したり電話番号を掲載することで、質問という行動と回答という褒美の時間的距離を縮小しましょう。

コストはかかりますが、電話での問い合わせが多い場合にはコールセンターに頼るなどの対応も必要です。

体験までのプロセスを最小化

ユーザーが「使いたい」や「買いたい」と感じたときの衝動を無駄なステップで不意にしてはいけません。

以下の項目を参考に、体験までのプロセスを最小化しましょう。

・ネットはカタログだけという企業はオンライン購入を可能にする

・ソフトウェア販売はSaaSに移行する

・無駄なユーザー登録を省く

・無料体験などのオファーを用意して、コストに関する懸念を一時的に取り除く

・配達までの時間を可能な限り縮小する

サイトスピードの最適化

時間的距離の最小化は、クリックやタップのような最小単位の行動1つを取っても同じことです。

クリックしてから8秒後に次ページが表示されるのと2秒後に表示されるのでは、同じコンテンツを表示してもユーザーの満足が変化して当然です。

体験までの経過を通知

体験までの経過を通知することで、感覚的な「行動と褒美の間に存在する距離」を縮小しましょう。

たとえばメールでお問い合せがあった場合には、自動返信機能を利用してメールを受け取ったことを通知しましょう。

ブラウザ上で送信完了を確認することも可能ではありますが、ユーザーとしては返信がくることで安心感が増します。

自動返信の有無にかかわらずちょうど24時間後に返信が来るとしても、この安心感によって感覚的な「行動と褒美の間に存在する距離」は縮小するのです。

オンラインショッピングの場合には、支払いや配達の経過を可視化してあげましょう。

満足を感じるまであとどのくらいかかるのかを知っているか否かで時間的な距離の感じ方は大きく変わります。

時間的距離∝期待値の関係を理解

時間的距離が長ければ長いほど期待値は高まります。

この関係を理解せずに自社よりも迅速なサービス提供を行う競合他社と張り合っても負けて当然です。

スピードで勝てないのであれば、プロダクトやカスタマーサポートの質で期待値に応える努力を怠ってはいけません。

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最後に

ニーズやウォンツとなるとその大きさばかりに目が行きますが、ニーズを満たす為の行動とその結果生まれる満足の間に存在する時間的距離もサービスを開発改善する上で重要な懸念事項の1つです。

本記事でも触れた通り、実際の時間的距離を短くする努力はもちろんのこと、感覚的な距離を縮める努力も忘れないように気をつけましょう。

トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック (グロースハックに関する最も確実な手引書「5/9」)

いよいよ計9回の連載記事も、後半に差し掛かりました。

ここまでお付き合いいただきました読者の皆様、誠にありがとうございます。

この章からは3章続けて如何にトラフィックを獲得していくのかということを重点的に述べていきたいと思います。

本章では、人々を惹き付けていくために必要なプル型グロースハックテクニックを12個ご紹介いたします。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書

Chapter 5:トラフィック獲得に欠かせない12のプル型テクニック

目次

・  ビジターを獲得するために必要な3つの「P」

・  テク1:ブログの活用

・  テク2:ポッドキャストの配信

・  テク3:ebookや資料のネット上への掲載

・  テク4:インフォグラフィック(画像)の活用

・  テク5:ウェビナー(オンラインセミナー)の開設

・  テク6:会合でのプレゼン

・  テク7:SEO対策の実行

・  テク8:ソーシャルメディアの活用

・  テク9:ハッカソンなどのコンテント開催

・  テク10:App Storeなどのオンラインアプリマーケットへの出品

・  テク11:Grouponのようなクーポンサイトの活用

・  テク12:他のプロダクトユーザーの誘導

・  まとめ

ビジターを獲得するために必要な3つの「P」

新たにトラフィックを獲得する方法は3つあります。それ以上でもそれ以下でもありません。

あなたはネット上の人々を惹き付ける(Pull)、彼らにプロダクトを押し付ける(Push)、あるいはプロダクト自体の特長を活かす(Product)ことができ、これらの頭文字を取ったものが3つの「P」です。

これらの手法の違いは何なのでしょうか?

・惹き付け(Pull)

一つ目の手法として、人々を自社サイトに引き込むことが挙げられます。

そのためにあなたは人々に自社サイトを訪れるインセンティブを与える必要があるのです。うまい話で釣るなどして、注目を惹き付けなければなりません。

この章では誘導の手法例を以下で述べていきます。

growth hack japanをご覧いただいている皆さんも、我々が皆様を見つけたわけではなく、当サイトに魅力を感じさせることによって惹き付けたのです 。

・押しつけ(Push)

項目名から察しが付くと思いますが、惹き付けることよりも積極的な行動を必要とします。

人々を勧誘するのではなく、あなた自身が見込みユーザーをオンライン上に探しに行き、自社サイトに押し込まなければなりません。

この一例として、YouTube上でユーザーが見たいと思っている動画を配信する前に、広告動画を押し付けることが挙げられます。

広告主がオンライン上に見込みユーザーを探しに行き、プロダクトを押し付けているのです

・プロダクトの特長を活用(Product)

3つ目は、プロダクト自体を活用することでトラフィックを呼び込む手法です。

もしあなたがSNSを利用していて、それを使うことを友人に勧めた経験がおありならば、プロダクト自体がトラフィックを呼び込むことの意味がわかると思います。

プロダクトに良さを感じているユーザーは、自主的にプロダクトを広めてくれるのです。

惹き付けと押しつけの手法は、流通経路の再定義によって可能になったグロースハック手法を顕著に表しています。

オンライン上で人々がどのように行動するかを把握している人は、彼らを効率良く、自社サイトに勧誘、あるいは多少強引に誘導することが可能となるのです。

逆を言えば、オンライン上での行動パターンを把握していなければ、効果的に人々を惹き付けたり、押し付けることができなくなってしまうのです。

3つめの「P」は、流通経路の改変よりも、プロダクトの再定義による影響をもろに受けています。

Chapter 1でも述べたように、インターネットが普及した今、プロダクト自身がトラフィックを呼び込むことが可能となり、歴史的に見てもこれはかなり劇的な変化だと言えるのです。

3つの「P」は、適切な人によって的確なタイミング・場所で実行されることによって非常に大きな効果を発揮します。

それぞれの手法の概要を読んでいて、1つの手法が他の手法よりも優れていそうだ、等と思われたかもしれませんが、3つの手法が威力を発揮する条件はそれぞれ異なるのです。

多くのグロースハッカーは、3つの手法を適宜駆使しながらプロダクトを成長させていきます。

惹き付ける手法の共通事項

人々を惹き付けようとする際、グロースハッカーが行うことには2点共通項があります。

・  実行する施策のコストは通常費やした時間と人材によって測定されます。ただし、顧客を獲得するために実際に出費をするわけではありません。

・  これらの手法は自社サイトに人々が魅力を感じさせることを軸に行われます。価値を提供することをやめてしまえば、人々を惹き付けることもできなくなってしまいます。

テク1:ブログの活用

自社プロダクトにトラフィックを呼び込む手法に、実際に試され有効であると実証されているものとして、ブログ、あるいはゲストブログの執筆があります。

(growth hack japanでも寄稿記事の募集を行っておりますので、是非ともご応募ください。)

ブログへの出稿は以下の点でトラフィックを呼び込む手法として優れています。

・  ブログの記事はプロダクトに関連したキーワードがふんだんに使われており、それらがGoogleの検索に引っかかることで、有効なSEO対策となるです。

・  継続的に更新されるブログの利点は、社会への影響が蓄積されていくことにもあります。多くの記事を執筆すればする程、人々を自社プロダクトに惹き付けられる可能性が増していくのです。

・  ブログの内容は通常、ニッチな領域に焦点を置いていることが多いため、ゲストブログを行うことによって、自社プロダクトに興味を持ってくれるニッチな市場に直接売り込みを行うことが可能となります。growth hack japanの場合はグロースハックですね。

・  ブログは、記事の配信をRSSで受け取っている読者によって拡散されることがほとんどです。そのため、自身の考えやプロダクトの特長を人々に届けるためのシステムが内在的に備わっていると言えます。

・  ブログの執筆は人々を自社プロダクトについて教育するのに非常に有効で、プロダクトに関する理解があったときの方が、コンバージョン率を上げやすくなるのです。

・  ブログへの掲載は、人々に執筆者が流行・技術の最先端を走っていると思わせる効果があり、それにより知名度を得ることができれば、全く世に知られていない人のプロダクトよりも自分のプロダクトへのユーザーを獲得しやすくなるのです。

ブログを執筆すること自体のハードルは低く、単純に自分のブログを始めるか、ゲストブログをするかの2択しかありません。

ゲストブログを行う最大の利点は、既に読者が存在するため、記事執筆のみに力を注げば良いということにあります。

一方、自身のブログを一から始める利点は、そのサイトに関して完全に主導権を握れることにあります。

さらに、0から読者を開拓していくことに成功したならば、ブログのコンテンツに幅を持たせることも可能となるのです。

例えば、将来的にブログからプロダクトにトラフィックを誘導するために、より積極的な広報活動を行いたいと思うことがあるかもしれませんが、ゲストブログの場合はこれを実行することができません。

自身のブログを立ち上げるか、ゲストブログを行うかの判断は、戦略に基づいて下される限り、どちらを選択しても正解なのです。

どちらの選択肢をとるにせよ、ブログに掲載する内容がプロダクトに関する露骨な宣伝となってしまっては読者への受けは良くないでしょう。

ブログを通してサイト来てもらうことを懇願するのではなく、軽く勧誘するといったイメージでしょうか。

文面や構成を少し工夫するだけでも、ブログを執筆した記事が読者に記事広告であると感じさせなくすることができます。

記事の最初は自社や執筆者の自己紹介からはじめ、ここにプロダクトのリンクを貼り(これは自己紹介の一貫なので誰も嫌がらないでしょう)、本文中でもプロダクトに関するリンクを貼るようにしましょう。

ただし、リンクを貼るのは直接的にプロダクトに関連している箇所のみに限定し、貼る回数は1回が望ましいでしょう。

ブログの内容に関しても、読者に読まれ拡散される記事は人々の感情に訴えかけるもの、流行を先取りしているもの、新着情報や驚きを含んでいるものである傾向があります。

自社のプロダクトと関連のある記事でバズっているものに関する分析を行い、自分の記事を書く際に活かすことが大事なのです。

日本語にも対応しているBuffer(プロダクトサイトは英語のみ)は、現在驚異的に成長しているソーシャルメディアへの投稿を管理するサービスですが、彼らはグロースの原動力としてゲストブログを活用しました。

テク2:ポッドキャストの配信

ポッドキャストもインバウンドの特徴を持っているという点で、素晴らしい手法です。

ブログのようにポッドキャストも拡散される性質を内在的に備えていますが(ポッドキャスト視聴アプリ)、トラフィック獲得という観点から見ると、ポッドキャストはブログと以下の点で異なっています。

・  ポッドキャストはあまり検索エンジンの検索に引っかかりません。

・  ブログの記事上ではリンクをクリックすることが簡単ですが、ポッドキャストで紹介されたサイトに行くことは多少困難を伴います。

・  ポッドキャストの配信数自体が少なく、ブログと比較して聴衆も少ないです。

そのため、何か独創的な施策を講じなければ、ポッドキャストがトラフィックの獲得源にはなりにくいのが現状です。そこで、以下のようなひねりを加えてみるのも面白いかもしれません。

・  とにかくニッチな聴衆に的を絞ってみる。一般的な情報を配信しているポッドキャストに対抗できるだけの経験も予算も持っていないであろうことを鑑みて、非常にニッチな領域を選択して、そこを席巻する方が効率的でしょう。

・  毎週配信することを目標にしない。毎週定期的に配信しようとするよりも、計10回の連載という形で、あなたが対象としているマーケットにいる人々が知りたいであろう特定の情報を配信することの方が効果的でしょう。

・  いくつかのメジャーなポッドキャストにゲストとして参加する。コンバージョン率を向上させるために、出演の際、オーディオを通して自社プロダクトに関する情報を配信しているメルマガの告知をはさむことも有効でしょう。もちろんこれはブログへの掲載でも行うことが可能です。

もちろん、従来のポッドキャスト同様、毎週定期的に配信するという選択肢もありますが、頭に入れておかなければいけない注意点があります。

ポッドキャストの作成は非常に時間を要する作業であり、クオリティーの低い配信を行っても十分なトラフィック獲得にはつながりません

そのため、独創性を発揮し、ポッドキャスターのようにではなく、グロースハッカーのように方策を考えましょう。

メディアは活用しても、ポッドキャスターの手法まで真似る必要はないのです。

テク3:ebookや資料のネット掲載

効果的に人々を惹き付ける施策を行う過程で、自社のグロースチームの特徴を把握していることも大切です。

人によっては定期的に小さなことの積み重ね(ブログの執筆やポッドキャストの配信)を行うことを好む人もいる一方で、一つ一つがブログとかよりもう少しインパクトのある施策を間隔をあけて行うことを好む人もいます。

後者も有効な手法で、本連載記事のようにまとまった書類もトラフィックを獲得するために有利な点が複数あります。

・  電子書籍、手引書や民間作成の白書は、それ自体が注目を惹き付ける力があります。単発で掲載されるブログは容易に無視できますが、読者が興味を持っているニッチな領域に関する体裁の整った書類は無視しづらい傾向にあります。

・  電子書籍、手引書や白書に読者は高い価値を見出すため、それらをダウンロードする代わりにメールアドレスの登録をお願いすることも可能です。読者にとっては有益な情報を入手できるため、公正な取引であると感じる傾向があり、執筆者側も連絡先を入手できるという点で、その後ファネルの有効活用がしやすくなるのです。

・  電子書籍、手引書、白書は、上手に告知を行えば、ソーシャルメディア上で拡散されやすい特長があります。

・  執筆によって、読者はあなたやあなたの企業が書類で取り扱っている分野において指導的立場にあるのだと感じ、あなたのプロダクト使ってみたくなる可能性が増します。

・  電子書籍、手引書や白書はビジターを教育する目的で執筆することもできます。調教されたビジターは、メンバーやユーザーになる可能性が高まります。

例えば、ウェブブラウザ上で簡単にメルマガ等の配信から管理、分析までが行えるメール配信プラットフォームであるMailChimpは、上記の全ての理由から様々な状況に合わせたユーザーマニュアルを公開しています。

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テク4:インフォグラフィック(画像)の活用

インフォグラフィックとは、情報や説明を提供してくれる画像のことを指します。

例えば、EC専門のアパレルブランド会社Everlaneは、インフォグラフィックを効果的に活用することによって収益を爆発的に伸ばしました。

Everlaneは小売店を介さない流通形態をとっていますが、従来通り小売店を通す流通経路によって生じる余分なコストを画像で説明することによって、他のアパレル業者との差別化要因を意識づけることに成功しました。

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インフォグラフィックの利点は、プロダクトに関してビジュアルを通して説明できるため、人々の注目を集めやすいことにあります。

情報を視覚化することは非常に有効なツールで、可視化されたツールはソーシャルメディアを通して拡散されやすいのです。

インフォグラフィックを閲覧するプラットフォームであるVisual.lyのAdam Brecklerは、インフォグラフィックを作成する際の注意点を以下のように述べています。

・良いトピックを選択する

斬新で、刺激的で、特筆すべき特徴を持っていたり、何らかの理由で周囲から突出しているトピックを選択することが、人々の注目を集めるためには必要です。

・必要なデータを見つける

可視化のためのデータを自分達で作成しなければならないと考える人もいますが、八割方、検索エンジンで検索をかけることによって既に誰かが編纂したデータが見つかるものです。

・データを分析する

データには誠実さを持って接しましょう。グロースのためにデータを歪曲して伝えたりすることは御法度です。

・ストーリー性を考える

データが伝えることのできる物語をブレストしましょう。人々の心に響くようにするためには、定量的データの数字をただ見せるのではなく、ストーリーを付ける必要があるのです。

・インフォグラフィックのデザインコンセプトを考える

どのようにストーリーを伝えたいのかを考えましょう。

・デザインを改善する

最後のテコ入れをして、人々の注目を集めるに足るデザイン性の良さがあるかを確認しましょう。

・インフォグラフィックを公開する

既に獲得したユーザーにメルマガやソーシャルメディアを通して配信してもいいでしょうし、Visual.lyなどのサービスを活用しても良いでしょう。

テク5:ウェビナー(オンラインセミナー)の開催

オフラインの世界にはセミナーがありますが、オンライン上にもセミナーはあります。

オンライン上のセミナーは、新規のトラフィックを呼び込む強力な武器になります。

日本では、株式会社スクーがschoo WEB-campusというプラットフォームオンライン上で授業を開設しています。

schoo WEB-campusでは生放送で授業が配信されており、録画された授業を後日見ることもできますが、生放送の時間に受講する最大のメリットは、受講生がチャットを通して講座を開設している先生とリアルタイムでやりとりできる点にあります。

・  上記の例と同様、ウェビナーは通常生放送で配信されるため、受講したい人々は否応なしにそれをスケジュールに記入する必要性が出てきます。Youtubeの動画視聴とは異なり、ウェビナーに人々は「出席」するのです。人はスケジュールに書き込まれた予定を真剣に取り扱う傾向があり、ウェビナーで共有された情報も真剣に聞く傾向があるのです。

・  ウェビナーは通常、参加できる人数に上限が設けられており、この希少性がセミナーで共有される情報の価値を高めてくれます。あなたが提供した情報が重要であると考えている人程、コンバージョンしやすいのです。

・  ウェビナーは主催者側と受講者側との交流を可能にしてくれます。受講者とのつながりを作ることに成功したならば、あなたのプロダクトにその人を誘導しやすくなるのです。

・  ウェビナーは人々を教育することを可能にします。より多くの教育的価値を提供すればする程、人々はいろんな形で報いようとしてくれるでしょう。

・  ウェビナーは自社プロダクトのプロモーションで終わらせることもでき、これはトラフィックを呼び込む上で有効でしょう。

・  ウェビナーは他社との共催によって開設することもできます。このことによって、共催相手の顧客に自社のプロダクトを告知することもできるのです。

テク6:会合でのプレゼン

会合とグロースハックはあまり相性が良くなさそうに思うかもしれませんが、その考え方は非常にもったいないのです。

確かに会合でのプレゼンは新規のトラフィックを沢山呼び込むことにはあまり貢献しないかもしれません。しかも、準備に費やす時間も馬鹿になりません。

しかしながら、会合でのプレゼンは多くの副産物をもたらし、それらはトラフィックを呼び込むために有効活用することができるのです。

・プレゼンのスライド

会合でプレゼンをするならば、PowerPointかKeynoteかにかかわらず、おそらくスライドを作成することでしょう。

プレゼンが終わったら、そのスライドをslideshare.comに載せることによって、人々が簡単にあなたの資料をシェアできるようになるのです。そのスライドを見た人々の内、数%は自社プロダクトに関心を持ってくれるかもしれません。

slideshare.comはそれ自体がSNSであり、これに投資しておくことに越したことはありません。

・プレゼンの録画動画

多くの会合は録画されていることが多いため、後々その動画を企業ホームページやYoutubeに掲載、あるいはメールの署名部分にURLを貼っておいたり、メルマガとして配信する選択肢が考えられます。

副産物の他に以下のことも頭に入れておくと良いかもしれません。

・会合参加者にリツイートさせる

本記事の原文執筆者であるNiel Patelは以前、会合に参加した際に、プレゼン終了時に「自分が一番最近したツイートをリツイートしてくれた人にはプロダクトの割引券を提供する」と発言したところ、一気にソーシャルメディア上でツイートの嵐が起きたそうです。

・説得力

日本人が大好きなスティーブ・ジョブスがあれ程プレゼンにこだわっていたのはなぜでしょうか。もしあなたが話術に長けており、聴衆の心を鷲掴みにすることができるならば、時として数回のプレゼンを行うだけで、プロダクトへのトラフィックを爆発的に伸ばすことができるのです。

Chapter 2でも述べたように、グロースハッカーは左脳タイプであると同時に右脳タイプでもあるのです。ROIが曖昧だからといって、その手法が全くもって無意味であるということはないのです。

インバウンドマーケティングのソリューションパッケージを提供するMozのCEO Rand Fishkinは、slideshare.comに60 を超えるスライドを掲載しており、実際にそこから大量のトラフィックを獲得しているのです。

テク7:SEOの実行

これまでこの章を通して述べてきたことは、ある意味狭義のSEO対策なのです。

様々なコンテンツ(ブログ、ポッドキャスト、電子書籍、手引書、白書、インフォグラフィック、ウェビナー、プレゼンのスライド、及びプレゼンの録画)を作成していく中で、検索エンジンはあなたが特定の領域の専門家であることに気付き始め、特定のキーワードを検索したときに、上位に引っかかるようになります。

しかしながら、SEOにも2種類の形態があり、この記事ではそれらを「コンテンツ」と「コード」と呼ぶことにします。

・コンテンツ

コンテンツを創り続けることによって、SEOがどのように行われるのかに関する知識が全くなくても、最適化を行えていることになります。ひたすら創り続けることによって、アルゴリズムを一切知らなくても、SEO対策を行っていることになるのです。

・コード

確実なSEO対策を行うため、プログラミングコードの段階から行える対策もあります。リンクはSEO対策の観点から最適なキーワードを含んでいるでしょうか? H1タグはきちんとラベル付けされているでしょうか? 最新の状態で更新されたサイトマップは用意しているでしょうか?

もしあなたがコンテンツ作成とコーディングの両方ができるならば、おそらくSEO対策が最も有効な手だてだと言えるでしょう。

しかしながら、両方はできないとしても、少なくとも一方は行うべきでしょう。検索エンジンは今なお人々がネットサーフィンをする際に活用されており、この事実を無視することは賢明とは言えません

SEO対策は重要であり、多くの企業はファネルの一番上の階層にトラフィックを呼び込むための施策として実行しています。

オンラインで授業を提供するUdemyは、SEO対策のためだけに講座の台本の公開を検討している程です。

Udemyの多くの講座が有料であることを鑑みると、SEO対策の一貫として授業の内容を文字に起こした形で無償で提供することが重要なのでしょう。

テク8:ソーシャルメディアの活用

ファネルの一番上の階層にトラフィックを獲得する手法として、言うまでもなく、ソーシャルメディア(Twitter、Facebook、Tumbler etc.)の活用が挙げられます。

ソーシャルメディアの活用法に関しては、多くのスパムに近い手法があるので、まずすべきではないことを述べたいと思います。

・  人々の注目を集めるためだけにSNS上にいる人をフォローしたり、フォローを解除すべきではありません。彼らと本気でプロダクトと何らかの関係性をつくる意図がないならば、やめておきましょう。

・  お金でフォロワーを釣るようなことはやめましょう。そうやって釣られたユーザーはあなたのプロダクト自体には魅力を感じておらず、あなたの伝えたいコアバリューを増幅させることに寄与しません。

・  人々の邪魔をすることはやめましょう。相手の立場になってみて、自分だったらどのような応対をしてもらえたら喜ぶかをまず考えましょう。

次に、ソーシャルメディアを活用してファネルの一番上の階層のトラフィックを呼び込む方法をご紹介します。

・  実際に自社のプロダクトを使用してくれそうな人々と交流しましょう。ターゲットとしているペルソナがいる層を見つけましょう。

・  機会があるたびに、価値を提供しましょう。質問に応えたり、アドバイスをあげることは有効な手だてです。単純に人々から搾取するのではなく、価値を提供することを忘れてはいけません。

・  自分が作成しているにせよ、いないにせよ、面白いコンテンツのハブになるようにしましょう。面白いコンテンツを配信するサイトの管理人としての認知度を得ることができれば、人々はあなたの投稿やツイートに注目するようになるのです。

・  ソーシャルメディアの活用は短距離走ではなく、マラソンなのです。ソーシャルメディアを活用したからといって、すぐにトラフィックが増えるようなことはありません。実のところ、フォロワー数やいいね!数は過小評価すべきでしょう。もし10万人のフォロワーがいるような人があなたのツイートをリツイートしたとしても、その人のフォロワーがプロダクトのターゲット層にいなければ、効果は限定的なのです。

・  ソーシャルメディアをカスタマーサポートに活用するのも有効な手だてです。良いカスタマーサポートがSNS上で可視化すれば、それを見たSNSユーザーがあなたのプロダクトを使いたくなる傾向が増すのです。

・  テク1 ~ 7を活用して作成したコンテンツを増幅させるためにも、ソーシャルメディアを活用しましょう。ソーシャルメディアの活用は、他のテクとの合わせ技で最も効力を発揮するのです。

・  毎度ながら、独創性は新たな可能性を見出してくれます。アメリカでは知らない人はいないだろう、という程有名な駄菓子Skittlesの製造会社は、自社ホームページ画面にSkittlesという語句が入ったツイートを自動で取得するTwitterのフィード画面を表示したことがありました。その期間中はSkittlesに関するツイートが数えきれない程なされ、人々の注目を集めたのです。

以下がSkittlesがホームページ全体をTwitterのフィードにしたときのスクリーンショットです。

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テク9:ハッカソン等のコンテスト開催

コンテストの開催は自、社プロダクトにトラフィックを呼び込むには素晴らしい方法です。

しかし、多くの人はコンテスト開催による真の恩恵をわかっていないのが現状です。

AppSumoというデジタルプロダクト(ソフトウェア、電子書籍 etc.)に特化したクーポンサイトをご存知でしょうか。

日本ではまだまだ認知度が低いですが、この企業はメルマガ会員を70万人にまで伸ばすことに成功し、この成功への道はコンテスト開催から始まりました。

あのAirbnbも、プロダクトに新規のトラフィックを呼び込むためにコンテストを開催したことで知られています。

コンテストの開催により得られるメリットが企業の大きさに比例することはありません。

以下にコンテストを開催する上で気をつけるべき点を述べていきます。

・  コンテストの参加者が貰って有意義なものを景品に選びましょう。全てのコンテストの景品がiPadである必要はありません。むしろ、自社プロダクトに関係のあるものが良いでしょう。

例えば、Airbnbは優勝者に無料宿泊券を景品として贈呈しています。プロダクトに関係のあるものを景品にすることは意外に重要で、コンテストに出場する人々の大半が自社プロダクトのターゲット層でなければ、開催する意味がありません。

人を集めやすいからという理由で単純にiPadを景品として、自社プロダクトに興味のない人まで呼び込んでしまっては、トラフィック獲得の向上にはつながりません。

・  景品として物ではなく、経験を提供することも非常に有意義です

iPadをもらうのと、大好きなバンドの海外公演に参加できるチケットのどちらがもらった人の記憶に残るでしょうか。両方とも贈呈する側のコストは同じかもしれませんが、もらう側のインパクトは格段に違うでしょう。

例えば今話題の配車サービスUberに勤めているならば、Uberで手配した車に著名人と同乗できることを景品としたってよいのです。この経験は記憶に残ることでしょう。

・  1位だけではなく、2位、3位にも景品を用意しておきましょう。人は自分にも景品をもらえる望みがあると感じないと、最後まで真剣に参加しなくなってしまいます。

・  自社へのコミットメント度合いに応じてコンテストで勝てる確率を増やすような仕組みにしてみることもありでしょう。

メールアドレスを登録することによって1回の出場権を得られるようにしたり、知人のメールアドレスも登録してくれたら、さらに2回分出場機会を与えてみるなどの仕組みが当てはまります。他にも自社ツイートのリツイートしてくれたら3回分の出場権を贈呈するなど、選択肢は多数存在します。

とにかく、プロダクトのプロモーションや成長に寄与してくれたユーザーには特典を与えることが重要であり、AKB48がCDジャケットの中に総選挙の投票券を入れている手法が似たような例として挙げられるでしょう。

・  コンテストへの応募期間は、なんらかの社会的認知度が得られるくらいには長く取りましょう。目安としては少なくとも1ヶ月は必要でしょう。それよりも短いと、参加者が少なすぎてROIを向上させることが困難となる可能性があります。

・  優勝者を発表するときは大々的に行いましょう。これ自体を一つのイベントとして取り扱うことによって、新たにトラフィックの獲得につなげることができるのです。

AppSumoは今日までコンテストを開催し続けています。トラフィック獲得に有効な方法だとわかった以上、やめる理由が特にありません。

下にAppSumoがコンテストの景品として提供した一例を載せますが、優勝すればAppSumoの創業者Noah Kaganと5日間1対1で仕事ができるなんて、イカしてますよね!

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テク10:App Store等オンラインアプリマーケットへの出品

新規のビジターを獲得する経路の一つとして、近年オンラインアプリマーケットが注目されています。

AppleのApp StoreやGoogle Play Storeがその一例です。実のところ、オンラインアプリマーケットには2種類あり、それぞれ違った特徴を持っています。

・BtoCオンラインアプリマーケット

個人消費向けのアプリを開発している場合は、App StoreなどのBtoC向けのオンラインアプリマーケットが適しているでしょう。

新規のユーザーをこのマーケットで獲得したいとお考えならば、以下の点に注意が必要です。

・  レビューの重要性は強調してもしきれません。第一に評価の悪いレビューを書かれないことが大事ですが、悪いレビューを書かれた後も、その人が評価を変えてくれるように努力することが大切です。

・  アプリ画面のスクリーンショットはアプリの特徴を人々に垣間見せるため、完璧に整えましょう。人々の視覚に訴えることができなければ、彼らを惹き付けることはできないのです。

・  アプリ名はきちんと考えましょう。簡単に検索したり、名前を想起できることが重要です。

・  新規のトラフィック獲得を、オンラインアプリマーケットのみに頼ることは禁物です。今となっては単純にアプリの総数が多すぎて、その中からあなたのアプリを見つけてもらえる確率は、干し草の山の中にある針を見つけるようなものと同じほどです。この連載記事で紹介した他の手法との合わせ技が必要です。

・BtoBオンラインアプリマーケット

もしあなたが開発したアプリがビジネス向けならば、BtoB向けのマーケットの方が相性がいいでしょう。

例えば、SalesforceやMailChimpは自社プロダクトとの統合を可能とするアプリのオンラインマーケットを展開しています。

BtoBオンラインアプリマーケットを活用する上での特徴を述べると:

・  これらのマーケットはまだまだアプリ数が少なく、他のアプリから自社アプリを目立たせることが比較的容易なのです。

・  BtoBマーケットでは、マーケットを運営している企業にお願いすれば、あなたのプロダクトを彼らのブログで取り上げてもらえることが往々にしてあります。

・  BtoBマーケットでは、マーケットを運営している企業が、あなたのプロダクトを運営側のプロダクトとシステムを統合させるために、あなたに資金援助してくれることだってあるのです。

・  BtoC向けのマーケット同様、レビューとアプリの説明に用いるスクリーンショットは重要なので、手を抜かないようにしましょう。

・  これらのマーケットでは、アプリの説明部分に近日中にシステムの統合を行う他のプロダクトのリストを「近日公開」の文言と共に記載しておくこともできます。これは自社プロダクトの説明に様々なプロダクト名を入れておくことにより、検索にひっかかりやすくするという点で、非常に優れた方法です。

BtoBのオンラインアプリマーケットの例として、SalesforceのAppExchangeがあります。

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テク11:Grouponなどのクーポンサイトを活用

Grouponの成長(そして緩やかな業績悪化)後、数多くのクーポンサイトが開設されました。

ニッチな市場の多くでは、十分な会員数がいるメールリストを所有しており、他の企業のプロダクトを告知することに前向きなクーポンサイトが存在しています。

これらのクーポンサイトとの提携の手順は往々にして明瞭で、通常、サイト運営側に割引のクーポンを提供することによって、サイト運営側はあなたのプロダクトを告知してくれるのです。

この手法はトラフィックを容易に獲得させてくれるため、試してみる価値は多いにあるでしょう。

これらのクーポンサイトの意外な付随効果は、クーポンサイトから来た人であっても、プロダクトを定価で購入する人が多いということなのです。

インターネットとは不思議な所で、この現象は想像以上に頻繁に起こります。

Mighty Dealsはウェブデザイナーとディベロッパー向けのクーポンに特化したニッチなサイトであり、英語が読める方ならば、自分のニーズに合ったクーポンを見つけることができるかもしれません。

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テク12:他プロダクトのユーザーを誘導(LOPA:Leverage Other Peoples Audience)

この手法は既にこの章で述べた他の手法に含まれていることですが、ここで今一度強調しておいて損はないでしょう。

0の状態から観衆を獲得することは非常に困難です。そのため、他の誰かの観衆を自分の向きに誘導することができれば、トラフィック獲得に大きく前進することになります。

ゲストブログ、ゲストポッドキャスト、オンラインマーケットの活用もLOPAの一例なのです。

他にLOPAを実行する方法として:

・  自分のターゲット層が読者としているブログに無料サンプルや特典に関する掲載を行う。

・  自社プロダクトに興味を持ちそうな人々がいるFacebookのグループの管理人に、プロダクトに関する告知をお願いする。

・  対象としているマーケットで影響力のある人に無料のアカウントを提供する。そうすることによって自社プロダクトをその人が良いと感じてもらえたときに、評判を広めてくれる可能性があるのです。

LOPAを行う方法は無数にあり、目の付け所次第では、必ずや自分のプロダクトに合った手法を見つけられるはずです。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書

 

まとめ

・  トラフィックの獲得がグロースハックの全てではないのです。

・  自社サイトにトラフィックを獲得する方法は3つあります。

*惹き付ける(Pull):人々に来てもらえるよう上手い話で釣るのです

*告知/宣伝する(Push):人々に来てもらうことを強要するのです

*プロダクト自体の特長を活かす(Product):プロダクトを使って人々を呼び込むのです

・  惹き付ける手法として12個ご紹介しました。

ブログやポッドキャストの活用・電子書籍、手引書の執筆、オンラインマーケットの活用・インフォグラフィックの活用・ウェビナーやコンテストの開催・会合でのプレゼン・クーポンサイトの活用・SEO対策・ソーシャルメディアの活用・LOPA

自ら築いた超有名IT企業を追い出された創業者10人のストーリーとその後

edited by Ryutaro Mori

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6月27日更新記事:

トラフィック獲得に欠かせない12のプッシュ型テクニック

自ら立ち上げた会社を追い出される。

一体どんな気持ちなのか、想像に絶します。

しかし、アメリカにおける全創業者の約半分は第3投資ラウンドまでにCEOをクビになっているという調査結果も出ており、起業を志す以上決して他人事ではないことであると考えるのが賢明でしょう。

本日は、自ら会社を立ち上げながら、最終的に会社やその地位を追い出されるハメになったIT起業家のストーリーと現在の様子をお伝えします。

何故創業者が追い出されるのか

そもそも何故最も辛い時期を乗り越えた起業家が会社を追い出されなければならないのでしょうか。

直感的に思い浮かぶのは、業績の悪化でしょう。

たとえ創業者だとしても、利益を生み続けることが最大の目的の1つである企業の持続的成長を支えられなければ、投資家やコンサルタントの判断によりそのクビが飛んでもおかしくはありません。

一方で、創業期の業績が極めて良好な場合こそ創業者のクビが飛ぶ可能性が高まるとの意見も存在します。

ハーバード・ビジネススクールのNoam Wasserman教授はこの現象を「アントレプレナーシップの逆説」と呼び、「創業期の成功に必要とされるスキルセットと急激に拡大する組織の成長を管理するためのスキルセットのギャップ」が投資家やコンサルタントの間に懸念を引き起こすことに由来していると説明します。

業績が良すぎてもダメ、悪くても勿論ダメとなかなか難しいのが現実ですが、会社の実権を握り続けたいのであれば、ボードメンバーの構成やシード・アーリー投資を最小限に押さえるなどの事前対策が必要不可欠です。

定説はほどほどに、以下では実際に超有名IT企業やCEOの地位から追放された創業者10人のストーリーとその後を見ていきたいと思います。

Eduardo Saverin(Facebook)

saverin

映画「ソーシャル・ネットワーク」をご覧になった方であれば、Saverinのおおよその経歴をご存知でしょう。

ザッカーバーグのハーバード時代のクラスメートだったSaverin。

Facebook創業期にはビジネスマネージャー兼CFOとしてその手腕をふるい、Facebookの初期投資を集める上で大きな役割を果たしました。

しかし、Facebookの成長とともに、よりビジネス経験の豊富なPayPal協働創業者のPeter ThielやNapsterの発明者Sean Parkerが経営に関する実権を握り始めることになります。

結果としてSaverinの地位は揺らぎ、自ら立ち上げに関わったFacebookを追い出されるハメになったのです。

その後SaverinはFacebookを相手に泥沼の法廷と嘘を繰り広げ、詳細こそ明かされていませんが、最終的には共同創業者としての地位を認められ、巨額の富を獲得したと言われています。

Saverinは2009年にシンガポールに移住し、2011年にはアメリカの市民権を放棄。

この動きは、数ヶ月後に控えたFacebookのIPOによって巨額の税金を支払わなければいけないためだったとメディアは伝えています。

現在は33億ドルの個人資産を抱え、シンガポールに居を構えているそうです。

Martin Eberhard(Tesla)

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Teslaの創業者と言えばイーロン・マスクを想像する方がほとんどですが、創業者が2人いたことはあまり知られていません。

そもそもイーロン・マスクは2003年の創業時の創業者に名を連ねてはおらず、彼がボードメンバーに加入したのは2004年のシリーズA投資からだったのです。

シリーズA投資以降はイーロン・マスクが事実上Teslaの実権を握り、以降の投資ラウンドはもちろん電気自動車のデザイン細部にまで関与。

そして2007年、Teslaは突然創業者の1人であるMartin Eberhardがボードメンバーから退くことを明らかにします。

Teslaはメディアに対してEberhardがボードメンバーの決定によりCEOの座を退くことになったと説明しますが、その理由について明かすことはありませんでした。

事態が急変したのは2009年。EberhardはTeslaとマスクに対して誹謗中傷や契約違反を理由に裁判を起こします。

これに対してイーロン・マスクは関連文書などの証拠を記した長文のブログを執筆する徹底抗戦の構えを見せ、Eberhardがボードメンバー全体の合意によって追放されたと主張。

結局両者は示談での和解に至り、Eberhardもマスクの貢献を認める文書を公開して事態は鎮静しました。

Eberhardはその後ヴォルクスワーゲンに参画し、現在も自動車系スタートアップに関与しているとされています。

Noah Glass(Twitter)

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ほとんどの人はNoah Glassを知らないかもしれません。

Glassは、Twitterの前身であるOdeoを共同創業者であるEvan Williamsと共に立ち上げた人物。

元々ポッドキャストサービスとして立ち上がったOdeoでしたが、直後にAppleがiTunesをローンチしたことにより、Odeoの創業メンバーは新規事業を生み出す必要に迫られました。

そこで登場したのが、今や知らない人はいないであろうTwitter。

日本でも有名なJack Dorseyもその創業者に名を連ねました。

Twitterのアイディア構想段階から中心人物として活躍し、そのサービス名も考案したGlassでしたが、当時財政的な実権を握っていたのは共同創業者であるWilliams。

WilliamsはTwitterを当時のエンジェル投資家から買収し、その後Glassを解雇するに至りました。

その理由は諸説語られていますが、①「WilliamsはTwitterのポテンシャルを知りながら当時はあえてこのサービスを過小評価することで時価総額を下げ、実権を握ろうとした」という話や、②「当時結婚生活が上手く行っていなかったGlassの精神不安定状態を懸念したDorseyがWilliamsにGlassの解雇を迫った」という説が濃厚です。

その真相は定かではありませんが、共同創業者に裏切られた形で自らの会社を追放された形に終わり、現在はソフトウェアデベロッパーとしてのキャリアを歩んでいるそうです。

Jack Dorsey(Twitter)

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Glassの追放ストーリーにも登場したJack Dorseyは、当時Odeoの実権を握っていたWilliamsがTwitterを会社として独立させた際に、CEOに就任しました。

順調にグロースしていたTwitterでしたが、CEO就任からたった2年後にWilliamsはDorseyを解雇。

Glassと同じ運命を辿りました。

Dorseyの解雇理由は未だ謎に包まれていますが、最も有力な説はWilliamsとのプロダクトに対する考えの違い。

Williamsは言論の自由の思想に基づいた自由にどんな情報でも発信出来るサービスを理想に挙げていたのに対し、Dorseyは「今なにしているか」というタイムリーな情報をつぶやくサービス観を推進し、この対立が主な原因だったとされています。

事実上共同創業者2人を解雇することになったWilliamsでしたが、ボードメンバーの総意によって本人もDorseyの追放から2年後にTwitterを退陣。

その後CEOに就任したDick CostoloはDorseyを会長として呼び戻しました。

万事順調に見えるTwitterの成長も、裏では泥沼の戦いが繰り広げられていたのかもしれません。

Andrew Mason(Groupon)

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2006年、当時ソフトウェアエンジニアとして働いていたAndrew Masonは、とあるウェブプラットフォーム立ち上げに向けて1億円を調達。

結果としてそのプラットフォームは実現に至りませんでしたが、構想は徐々に変化し、現在のGrouponの基となるサービスが誕生しました。

Grouponは2010年までに年間収益が800億円を超えるサービスに成長。

一時はGoogleが6,000億円で買収しようとも試みましたが、Masonはそのオファーを断り、2011年に上場を果たしました。

しかし、Grouponのビジネスモデルの限界とMasonのとっぴな行動は大幅な株価の下落を招き、マスメディアからはその年最低のCEOに選出されるほどに。

2013年にはとうとう会社を追放されただけでなく、Masonが報酬の大半をストックオプションで受け取っていたことから、解雇手当はたった4万円だったと言われています。

驚くことにMasonは会社から追放され後に「Hard Workin’」という7曲が収録されたアルバムをiTunesとSpotifyで発売。

アルバムのカバーによると、このアルバムは新たに社会人になる若者に向けたアルバムだそうです。

Rob Kalin(Etsy)

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Rob Kalinは、手芸品のオンラインマーケットプレイス Etsyの共同創業者。

彼のストーリーで特筆すべき点は、2回も同じ会社のCEOの立場から追放されている点です。

彼が最初にCEOの座を譲ったのは創業から3年後の2008年。

投資家の強い圧力により、元国営ラジオのエグゼクティブのMaria ThomasがKalinの後を引き継ぎました。

しかしその1年後、ThomasがCEOの座を降りると、Kalinは再度その座に就任。

2年にわたってCEOを務めましたが、2011年にはより早いペースでの成長を臨むボードメンバーに迫られ、当時CTOであったChad Dickersonにその座を譲ることになりました。

Steve Job(Apple)

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Appleのシンボルとも言える共同創業者Steve Jobsは1985年、当時のCEOであり対立関係にあったJohn Sculleyをクビにしようと試みた結果、その方針に反対を唱えられ会社を去りました。

しかしその後Appleの業績は急速に悪化。

その一方でコンピューター製造スタートアップNeXTを立ち上げたJobsは、スケールに成功したわけではないものの、製品のイノベーションが評価され、1996年にAppleはNeXTを買収。

NeXTの創業者であったJobsはそのままAppleのCEOに就任し、2011年に惜しまれながらもこの世を後にするまでの活躍は皆様ご存知の通りでしょう。

Jerry Yang(Yahoo!)

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1995年当時スタンフォード大学の学生だったJerry Yangは、クラスメートのDavid Filoと後のYahoo!となる「Jerry and Dave’s Guide to the World Wide Web」を共に立ち上げました。

主にプロダクト開発に取り組んでいたYangは2007年になって初めてCEOに就任することになりますが、Microsoftからの4兆8,000億円にも登る買収オファーを断ったこと、そして業績の悪化に伴ってたった1年半でCEOの座から後退。

2012年までYahoo!にボードメンバーとして残り、一時はCiscoのボードメンバーにも就任しましたが、現在ではその全ての役職を退き、エンジェル投資家として活躍しています。

Jakob Lodwick(Vimeo)

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2004年、Jakob Lodwickは動画共有サービスVimeoを共同創業者の Zach Kleinと共に創業。

2006年にはその可能性目をつけたIAC/InterActiveCorpによって買収されますが、経営陣はLodwickのブログを通じた挑発的な発言の数々を懸念し、2007年に突然の解雇通知を突きつけたとされています。

Lodwickは現在ソフトウェアエンジニアリング会社のCEOを務める他に、Tumblr.への投資を含む投資家としての一面も見せています。

Sandy Lerner(Cisco Systems)

Sandy_Lerner

Cisco Systemsの共同創業者であるSandy Lernerは、1984年、当時のボーイフレンドLeonard Bosackと共にCisco Systemsを立ち上げました。

順調な成長を遂げていたCiscoでしたが、セコイアキャピタルによる30%の株式を取得した資金調達を境に状況は一変。

セコイアキャピタルはLernerの許可無くJohn Morgridgeを新たなCEOに就任させ、サポーターであるはずのVCに会社を乗っ取られる形で会社を去りました。

その後Lernerはスタートアップへの投資活動の他に動物愛護団体の代表やオーガニック養鶏場のオーナーとして活躍しています。

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6月27日更新記事:

トラフィック獲得に欠かせない12のプッシュ型テクニック

最後に

自ら立ち上げた企業もしくはCEOの座を追放された10人の実例を見てみると、その理由は投資家との軋轢、共同創業者間の不和、業績の悪化、求められるスキルセットとの不一致など、実に多様であることが分かります。

傍から見るだけではもちろんその真相の全てを把握することは出来ませんが、投資家選びや共同創業者の選択は慎重かつ計画的に行う必要があると改めて認識出来るのではないでしょうか。

参考:

7 Founders Pushed Out of Their Companies

10 founders who got the boot

Founding CEOs Fired By Their Own Companies

10 Incredibly Successful Founders Fired By Their Own Companies

グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方 (グロースハックに関する最も確実な手引書「4/9」)

自動車のオイル交換を行ったことがある人なら、ファネルが何であるのかはおわかりいただけると思います。

ファネルとは、日本語に直すとじょうごであり、エンジンにオイルをさしやすいように、大きく開いた上部から下に行く程開きが狭くなっていく器具です。

Kitchen_Funnel

ファネルは流体のように取り扱いにくいものを目標の場所に流入させる際に、非常に使い勝手の良いものなのです。

プロダクトのグロースに携わっている読者の方々は、アカウント作成・レベニューの発生等といった目標達成のために、流入を増やすことを自らに課していることでしょう。

しかし、そこで問題となってくるのは、ネット上にいる人々が自由意志に基づいて行動しており、行動を予測することが不可能であるということです。

もし、あなたが人々に自分が望んでいる行動を取ってもらいたいのならば、コンバージョンファネルを用いる他ないのです。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書

Chapter 4:グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方

目次

・  コンバージョンファネルには3段階ある

・  ファネルの導入による最適なコンバージョン率

・  ファネルがタスクの優先順位を決定してくれる

・  コンバージョンの見方

・  まとめ

コンバージョンファネルには3段階ある

ファネルの第1段階は、まずプロダクトへの流入を増やすことから始まります。

つまり、自社のウェブサイトやアプリへの新規訪問者(ビジター)を増やすということです。(この段階ではまだ自社プロダクトの成長に寄与してくれるかどうか未知数である為、「ビジター」と呼んでいます)

新規のビジターはまだ何かアクションを起こしたわけではなく、メンバーでもユーザーでもありません。

まだあなたのプロダクトとは何も結びつきがないのです。

自社サイトを訪問してもらうための方法は3つ、そしてこの3つしかありません。

ネット上の人々を誘導(プル・タクティクス)、彼らの目にとまる形で告知を行う(プッシュ・タクティクス)、あるいはプロダクト自身の特長を活かす(プロダクト・タクティクス)の3つです。

この3つの「プ」は、後日掲載する3つの章で詳しく述べていきます。

funnel

・自社サイト・プロダクトを初めて訪問した人は、目隠し状態に等しい

自社サイトにビジターを誘導することに成功したとき、新人は自分がグロースハッカーとしての任務を完遂したと勘違いしがちです。

しかし、ここで終わってしまっては元も子もないですね。

厳しいことを言うようですが、ビジターをメンバーにしなければ意味がありません。

彼らが大なり小なり行動を起こし、あなたのプロダクトと何らかの結びつきが形成されたとき、初めてメンバーとなるのです。

自社プロダクトとの関係性は、ビジターがメーリングリストに登録、アカウントの作成、またはプロダクトを購入する等の行動によって形成されます。

このように何らかの形でプロダクトと関わっている人を、メンバーと呼んでいます。

後日公開するChapter 8では、ビジターをメンバーに移行させるためにグロースハッカーが行う施策を紹介していきます。

・ビジターをメンバーに、ビジターをユーザーに移行させるのは、非常に困難である

メンバーをアクティベートさせることは想像以上に困難なことであり、メンバーをユーザーにすることはさらに難しいことです。

ユーザーとはメンバーよりもさらに自社プロダクトへのコミットメント度合いが高く、常習的にプロダクトを利用している人のことを指します。

AARRRで言うところのリテンション(retention)を達成した人だけが晴れてユーザーになるのです。

ユーザーをリピートさせることに成功したならば、あなたはグロースハックの究極的目標をほぼ達成したとも言えるのです。

Chapter 9では、グロースハッカーがリテンションを高めるために行う施策に関して述べます。

参考記事:

イケてるサービスがAARRRのAA改善で意識している21のこと

「AARRR」 今更だけど絶対抑えておくべきグロースハッカーのコンバージョンの見方

ファネル導入による最適なコンバージョン率

自社プロダクトにとって最適なコンバージョン率を把握せずに、企業収益を向上させることはできません。

当然ながら、ファネルの下の階層に行く程、メンバーの数は減っていきます。

一月の間に10万人のビジターが流入したかもしれませんが、その内メンバーになるのは1000人(コンバージョン率1%)で、継続利用したユーザーはわずか700人(コンバージョン率70%)だったとします。

これらのコンバージョン率は果たして高いのでしょうか?

ここまでに与えられた情報だけでは、複数の理由で判断できません。

・自社サイトへのトラフィックは自社プロダクトに魅力を感じてくれる流入源から来ているのでしょうか?、それとも自社サイトの最初の行を読んだだけで、他のサイトに行ってしまう人々でしょうか? 的確なトラフィックは、確実にユーザーへのコンバージョン率を高めてくれます。

・ユーザー獲得をどのように定義していますか? レベニューが生じた時点でユーザーを獲得したとするのか、メールアドレスを入手した時点でユーザーを獲得したとするのとでは、自ずとコンバージョン率の善し悪しの判断は変わってきます。ビジターにより多くのお願いをする程、必然的にコンバージョン率は下がります。

・あなたが提供するプロダクトのペルソナがいる市場は、リテンション率が高い市場でしょうか?、それとも定期的に使うユーザーがいることは、その市場では例外的なことなのでしょうか? 同様に、あなたのウェブプロダクトは生き残っていくためには、高いリテンション率をそもそも必要としているのでしょうか?

ファネルによるコンバージョン率を判断するのに必要な変数が全て揃ったとして、決断を下す上で頭にとどめておくべき点が3点あります。

 成長のために行っている施策が正しければ、データが示す定量的情報は常に向上しているはずです。もしそうでないならば、何か間違ったことを行っている可能性があります。不確定な要素を考慮したとしても、過去と比べて月間PV数やUU数は向上していくはずなのです。

・バディーを作ることで、より効果的なファネルの利用が可能になります。自分のプロダクトとは競合しませんが、性質の似ているプロダクトを扱っているグロースハッカーが身近にいる場合は、互いに数値データを共有することも1つの選択肢です。自社のファネルの成功率を測る指標として、これ以上の手法はないでしょう。

・ ファネルの各階層はそれぞれ独立して存在しているわけではありません。例えば、ビジターを1000%増加させることに成功したとしても、その施策によりリテンション率が0.05%下がったとします。この結果を受けて、リテンション率が下がったことを嘆いていたとしたら、視野が狭いですね。確かにリテンション率は下がったかもしれませんが、実際のユーザー数は増えたのです。グロースハッカーの目標はファネルの各階層を通して、最もユーザー数が増えるようなコンバージョン率を成し遂げることにあるのです。木を見て森を見ないことのないようにしましょう。

ファネルがタスクの優先順位を決定してくれる

ユーザーを獲得していく段階で、どこにグロースチームとして力を注ごうか悩んでいる時、ファネル自体がこの決断を代わりに下してくれることがあります。

もしあなたがビジターの内50%をメンバーに、メンバーの内50%の人をユーザーにコンバージョンすることに成功しても、一日あたり200人しか自社プロダクトに興味を持ってくれるユニークビジターしか獲得できていないのならば、自ずとビジターの数を増やすことに尽力した方がいいでしょう。

当然、他の状況下ではビジターを増やすことよりも、ファネルの下の階層へのコンバージョン率向上に力を注いだ方がいい場合もあるかもしれません。

これと関連した話として、Chapter 1でもご紹介したSean Ellisは、ファネルを活用したタスクの優先順位決めを行う上で、プロダクト・マーケット・フィットという概念を社会に広めました。

Seanは普段から、

もし既にいるユーザーの内少なくとも40%以上の人が自分のプロダクトが無くなったとした時、「非常に残念に思う」と答えなければ、まだプロダクト・マーケット・フィットを実現できたことにはなっていない

と述べています。

これが意味するところは、プロダクトがなくなったことにより残念に思う既存ユーザーが全体の40%を下回るとしたら、十分に人々のニーズに応えきれていないということなのです。

この場合はプロダクトがユーザーに愛されていないということであり、グロースよりもプロダクト自体の改善に注力する必要があるでしょう。

Seanが言おうとしていることはつまり、人々が絶対に欲しいというようなプロダクトを創る前に、ビジターを増やしたり、ファネルの最適化は行うべきではない、ということなのです。

しかし、この議論は一見、鶏と卵の話に陥りそうな感があります。

そもそもトラフィックがなければ、自身のプロダクトがなくなることによる人々の落胆ぶりを知る方法がありません。

一方で、プロダクトがユーザーに提供するコアバリューが人々のニーズにドンピシャでない場合、ファネルの最適化のために行う努力も空振りに終わってしまう可能性があります。

そこで、本記事で推奨することは次の方法です。

ファネルを実際に適用し、Chapter 1 ~ 3で述べたこと、Chapter 5 ~ 9でこれから紹介していく手法を、十分なユーザー数を獲得するために活用し、その後各プロセスに戻って、人々のニーズにどの程度プロダクトがフィットしているのかをまず検証してから、同じサイクルを回すことです。

自分の行っていることがプロダクトの成長のために正しいことなのかを判断するためには、事前にある程度のグロースを実現している必要があるのです。

ただ一つ言えることは、人々が欲しがってもいないプロダクトのグロースハックに身も精神も削るのは無駄であるということです。

コンバージョンの見方

growth hack japanでも度々取り上げているAARRRというコンバージョンの見方ですが、これはDave McClureによって初めて提唱されました。

ここではAARRRより少し簡略化した見方をご紹介します。

それは、「ビジターを獲得する、メンバーをアクティベートする、ユーザーを保持する」の3段階です。

この見方の利点は:

・  ビジター、メンバー、ユーザーとファネル内の別の階層にある人々の異なる状態が意識されている点。

・  リファラル(AARRRでの最初の「R」)はトラフィックを得る手法の内の一つに過ぎません。そのため、この項ではリファラルをビジターの獲得の下の階層に置くことによってファネルを簡略化できる点。

・  レベニュー(AARRRでの2つ目の「R」)もアクティベーション(AARRRでの2つ目の「A」)の一形態なのです。もし、ユーザーが何かを購入することをプロダクトのアクティベーションとするならば、レベニューを新たな項目としてファネルに加える必要はないのです。

・  簡略化されてはいますが、AARRRに含まれているエッセンスを全て包含できている点。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書 

まとめ

・  ファネルは流体や市民等のように、自分の思い通りに扱いづらい対象を目的地に流入させる際、非常に有効である。

・  グロースハッカーのファネルには3つの階層がある

*ビジターを獲得する – 人々を自社のサイト・プロダクトに着地させる

*メンバーをアクティベートする – 人々に所定の行動を取ってもらえるよう補佐する

*ユーザーを保持する – 人々に自社プロダクトを常習的に利用してもらえるよう、施策を講じる

・  自社プロダクトにとっての最適なコンバージョン率を見極めることは非常に困難ですが、以下のことを頭に入れておくと助かるかもしれません:

*過去のデータからは常に今のデータが向上している必要がある

*互いにグロースに関するデータを共有できる良き友を見つける

*ファネル内ではコンバージョン率の各階層は互いに干渉し合うため、ファネルの全体像を常に把握していること

・  コンバージョン率が最も低い箇所に力を注ぐべきである。

・  プロダクト・マーケット・フィットを実現するためにはある程度のグロースが必要だが、プロダクト・マーケット・フィットを見つけるまでは、プロダクトのグロースにとらわれすぎないすぎないことが重要である。

WEBユーザーがサイト利用時にマジでイラつく9つのタイミングと改善術

直帰率や離脱率の高さにイラついているのはあなただけではありません。

ユーザーも同じように、もしかしたらあなた以上に酷いUXに対していらだちを覚えているのです。

本日は、WEBユーザーが思わずイラッとしてしまうタイミングとその改善術を9つ紹介します。

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グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方(グロースハックに関する最も確実な手引書「4/9」)

【追記】突然のダウン(6/19 17:00現在)

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フェイスブックのような大規模ウェブサービスになんの前触れもなくダウンされては、ユーザーもイライラが止まりません。

ブラウジング前のユーザー登録

ウェブサイトの会員登録は、障害物競走にとってのハードルと同じです。

ゴールが見えるからハードルを越えていくのと同じように、ビジターに何も見せることなくサイトを開いたと同時に会員登録を求めれば、ユーザーが直帰しても何も文句は言えません。

これではAARRRの最初のA、アクイジションの段階で自らファネルの入り口を狭めていることと同じなのです。

情報過多、そしてセキュリティに関する懸念がいっそう高まっているのこの時代に、ユーザーが自らの個人情報を提供するまでのハードルは確実に上がっています。

提供するサービスやプロダクトに自信があるならば、少なくともサイトのクオリティが伝わる程度の情報は公開するのが当然と言えるでしょう。

高級ブランド商品を扱う急成長サービスThe RealRealのように、入り口を狭めることでプレミア感を演出する施策も今では一般的となっていますが、急成長企業はこうした施策をデータに基づいて行っています。

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皆様もプレミア感の演出を目的にブラウジング前のユーザー登録を求める場合には、必ずテストを行った上で全体向けに公開しましょう。

モバイル未対応

絶対値はサービスの種類にもよりますが、スマホやタブレットを含むモバイルデバイスからの訪問率はどの分野でも高まりを見せています。

スマホ、タブレットへの対応に加えて、iOSとアンドロイド両方に対応することが真のモバイル最適化であることも忘れてはいけません。

モバイル最適化に関しては、以前グロースハックジャパンで紹介した「Googleが明かすスマホサイト最適化25の最新ルール」が参考になるでしょう。

不必要なエントリーフィールド

本当にその個人情報は必要でしょうか。

ユーザーにとってみれば、エントリーフォームの入力情報が少なければ少ないほど助かるのは当然です。

核となる情報以外は求めないことを心がけましょう。

単純なフォームの数だけではなく、情報の「重さ」も気にかけるのがEFO(エントリーフォーム最適化)です。

「Eメールアドレス+パスワード」の組み合わせに比べて、「ユーザーネーム+パスワード」の方がユーザーからすると入力する際の心理的負担が軽減されることは自明でしょう。

姓名を分けずに一度にフルネームを入力させるなど、省略出来る箇所は皆様が想像している以上に多いはずです。

気が利かないエントリーフォーム

「一カ所記入ミスをしたままエントリーフォームを送信したことにより、はじめから入力しなおさなければならない」

スタートアップ系のサービスにおいてこのような初歩的な過ちは見受けられなくなりましたが、未だに通販サイトや大手企業が運営するサイトでは上記のような過ちがはびこっています。

記入ミスをした部分以外は復元される事後対策も良いですが、記入中にミスに気づかせて挙げるプロアクティブな施策の方がより効果的と言えるでしょう。

以下はTumblr.のエントリーフォームになりますが、Emailアドレス記入欄に「@」を記載しないと記入ミスを通告するメッセージがフォーム下に現れます。

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驚くべきは、「growthhackjapan@gmailcom」と「.」を記入しなかった場合にも、以下のように「もしかしてあなたのメールアドレスは『growthhackjapan@gmail.com』ですか?」というメッセージが現れるケアの充実さです!

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読みづらい文章や文字の配列

ウェブコンテンツは書いたらそれで終わりではありません。

ユーザーがしっかりとコンテンツに目を通して、内容を理解して、購入や利用の動機を覚えることがゴールであることに誰も反論は出来ないでしょう。

にもかかわらず、今でも「読みづらいコンテンツ」はウェブ上に数多く存在しています。

ここで言う読みづらさとは、大きく分けて①文章の拙さと②視覚的な読みづらさの2種類に分類出来ます。

①文章の拙さに関してはライティング経験が豊富なライターを雇ったり、不必要にSEOを意識しないことで改善が可能です。

一方で、②視覚的な読みづらさはフォントの種類や文字の大小及び間隔に依存します。

日本語フォントで極端に読みづらいというものは少ないですが、文字の大小及び間隔に関しては、目をよほど凝らさないと頭に入ってこなかったり、改善の余地が大きいウェブサイトがまだまだ多いのが現状です。

以下の画像はアフィリエイトサイトに多く見られる比較的極端な例ではありますが、これではどれがヘッダーなのかもどこが要点なのかも分からないだけでなく、そもそも読む気が失せてしまいますよね

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オススメ機能が酷すぎる

どうでもいい商品を紹介してサイトスピードを鈍化させたり、閲覧中のページからユーザーの気をそらすくらいなら、オススメ機能は取り払ったほうが懸命です。

カスタム化が2014年のトレンドにあるように、「同じカテゴリにあるからオススメする」といった考えは通用しません。

ユーザーの利用データを基に、趣味趣向を最大限考慮したオススメ機能を提供しましょう。

サイトスピードが遅い

サイトスピードは、コンバージョンを押し下げる最大の要因の1つ。

直帰や離脱の主な理由には、必ずと言っていいほどサイトスピードの遅さが挙げられるほどです。

SEO HACKSさんの「Webサイト高速化・表示速度改善のために知っておきたい基礎知識」やグロースハックジャパンの「レベニューに直結!サイトスピード改善に不可欠な6つの知識」を参考に、サイトスピードの改善に努めましょう。

画像のパターン及びクオリティが酷い

オンライン及びモバイルショッピングの定着により活況を見せるeコマース市場ですが、いくら流入が増えても商品の魅力が伝わらずにサイト内から逃げられては意味がありません。

特にアパレル系のブランドや家具等は、画像ひとつでコンバージョン率が大きく変化するため、画像選びは実際の商品ラインナップと同じくらい重要であると言えるでしょう。

画像を選定する際には、高画質であることはもちろん、角度や色のバリエーションを最大限考慮することが大切です。

広告の量と位置

「私は広告を見に来たのか…」

皮肉混じりにそう感じてしまうウェブサイトが多く存在します。

画面の小さいモバイルデバイスからウェブコンテンツを閲覧する際は、特にその感覚が顕著に現れると言えるでしょう。

多くのウェブサイトが主な収入源として広告に依存していることを考えれば致し方ないことではありますが、クリック率を高める為にわざと誤って押しやすい位置に設定したり、スクロールダウンする度に追いかけてくる広告を設置したりすることはUXの観点から褒められる施策ではありません。

サブスクリプションモデルに変更する、コンテンツを充実させることでサイトの広告価値を高めて単価の高い純広告や記事型広告を設置する、サイトと広告の関連性の高さでアドネットワークを選ぶなど、広告収入を減らさずとも出来ることは存在すること忘れてはいけません。

最後に

growth hack japanもたまにイラッとします。 (。・ ω<)ゞ

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グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方(グロースハックに関する最も確実な手引書「4/9」)

海外の著名グロースハッカーが必ず押さえる6つのステップ (グロースハックに関する最も確実な手引書「3/9」)

edited by Takaya Uchida

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【本記事の続編が公開されました!】

グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方

第3章では、いよいよグロースハックを達成していく過程を述べます。

優秀なグロースハッカーは頭の中には、意識的にか無意識的にかは知りませんが、自社プロダクトを成長させようとするときに必ず通る6つのステップが用意されています。

この章は実際にハックに取りかかる前に、グロースハッカーが確認すべきチェックリストとしてご活用いただければ幸いです。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書

Chapter 3:海外の著名グロースハッカーが必ず押さえる6つのステップ

目次

・ステップ1:実現可能な目標設定をする

・ステップ2:目標達成度合いを確認するためにデータ分析を用いる

・ステップ3:自社の強みを活かす

・ステップ4:実験を行う

・ステップ5:実験を最適化する

・ステップ6:ステップ4、5をひたすら繰り返す

・まとめ

ステップ1:実現可能な目標設定をする

全ては的を絞った、実現可能な目標設定から始まるべきです。

そんなこと当たり前じゃないか、と言われるかもしれませんが、概してグロースハッカーは漠然としすぎていて意味をなさない目標を掲げてしまう傾向があります。

確かにグロースが至上目標ではありますが、グロースハックと聞いて連想するようなグロースのイメージは、より細分化された作業を全てこなした上での話なのです。

例えば、あなたはプロダクトを持っていて、1日あたりのアクティブユーザー(DAU)を増やしたいとします。

しかし、この目標はまだ曖昧すぎます。

その後、あなたはDAUの向上のため、既存ユーザーのリテンション(retention)を向上させることに注目することにします。

しかし、リテンションの向上に目標を絞ったとしてもまだ幅がありすぎます。

そこで、あなたはさらにウェブプロダクト上におけるユーザーのコンテンツ作成を補佐をする機能をサイトに付加することにします。

なぜなら、あなたはコンテンツを自身で作成するユーザーの方が、閲覧のみに従事するユーザーよりもサイトの利用率が高いことを知っていたからです。

ユーザーのコンテンツ作成はリテンションにつながり、結果的にDAUを伸ばすことに成功することになります。

そのため、このグロースハッカーは、ユーザー作成のコンテンツ量を2倍にすることを目標に掲げました。

曖昧な目標設定:DAUの数を向上する

適切な目標設定:ユーザー作成のコンテンツ量を2倍にする

多くの人は、自分が十分に目標を明確化できたかどうかを判断できずにいます。

この場合、次のように考えてみましょう。

あなたが達成すべきゴールは階層化されており、階層の一番下に存在しているタスクをそれぞれ個別に完全に処理することが可能なとき、目標を十分細分化できたと言えるでしょう。

グラフ化すると以下のような感じです。

graph3_1

To-doリストから「スタートアップを成長させる」という項目を完了済みとして消せる日は来るでしょうか。

そんな日がやってくることは一生ありません。目標設定が曖昧すぎるのです。

「DAUを増加させる」ことを実現したといずれ言えるようになるでしょうか 。これも、解釈の幅が広すぎて、実現性が極めて低いですね。

一方、「ダイレクトメールを介してユーザーにコンテンツ作成方法を教育する」ことは比較的たやすく実現できそうです。

繰り返しのようですが、自分が作成した階層の最下層のタスクと一対一に対応策が容易に見つかるとき、初めて目標を十分に細分化できたと言えるのです。

ステップ2:目標達成度合いを確認するためにデータ分析を用いる

さて、あなたはユーザーが作成したコンテンツ量を2倍にする、と決めました。

次に確認すべき点は、果たして自社にそれを実現できるだけの資源があるのか、ということです。適切な分析は行われているでしょうか?

自社に投げかける質問例としては:

・   コンテンツ作成量に関する追跡調査を行っているのか?

・   作成されたコンテンツを全て一まとまりとして追跡しているのか、それとも項目毎に分けているのか?

・   作成されたコンテンツ自体の分析を行っているのか?(大きさ、リーチ数、シェア数 etc.)

・   コンテンツを使用・消費するのに用いられているデバイスに関する分析を行っているのか?

・   コンテンツを使用・作成しているユーザーの多くが参照しているリンクを追跡しているのか?

等が挙げられます。

本連載記事では度々データ分析の重要性を強調していますが、分析なしではどんなに立派な目標も砂上の楼閣なのです。

各段階での目標が達成されたか否かを定量的に判断しないまま、次の段階に進むようなことをしてはいけません。

さらに、Chapter 2でも述べましたように、分析結果によっては目標自体が変わることもありえます。

データ分析と目標設定は互いに持ちつ持たれつの相乗関係にあるのです。

相乗効果の例として、先ほどリテンションを向上させる施策としてユーザーが作成のコンテンツ量を倍増することに決めました。

しかし、データ分析の結果が、長さが3分以上のコンテンツしかリテンション向上に寄与していないことを示唆していたならば、単純にコンテンツ量を増やそうとするのではなく、コンテンツの性質に関しても何らかの制約を加える必要性が出てくるかもしれないのです。

また、進捗状況を知るためにデータ分析を行う利点は、データの蓄積に伴い、分析の威力が増していくことにもあります。

起業してからの数年間、一つ一つ着実に目標を達成していく中で、それまでに蓄積されたデータが強力は武器になっていることに気付くことでしょう。

新たなゴールを設定したとき、既に必要なデータを追跡してあることもあるでしょう。その場合、起業時から蓄積されたデータの中から未来への道しるべを発見できる可能性があるのです。

全てのグロースハッカーは、始めは切れ味の悪い斧しか持っていませんが、データの蓄積と共に鋭さが増していくのです。

ステップ3:自社の強みを活かす

古代ギリシャの数学者、アルキメデスはかつて

十分な長さのてこ棒と適切な位置に置かれた支点があれば、世界を動かすことだってたやすい。

と言ったとされています。

これは単純に詩的なだけではなく、実際に、十分に長いてこ棒を用いれば、巨大な物体も軽い力で動かすことができるのです。

leverage

どのスタートアップも潜在的にてこ棒として活用できる強み、ツールを持ち合わせているものです。

少しの努力で大きな効果が得られそうな領域を発見したとき、そこが自社特有の「てこ」になるのです。

ステップ1、2で行った思考実験を引き継ぐならば、あなたはユーザーを教育するためのダイレクトメールを送ることと、「新着情報」のカテゴリーをウェブサイトに加えることのどちらを先に行うべきかを悩むかもしれません。

既に連絡先情報を20万件取得しており、確固たるメール配信システムを持っている場合、おそらくメールの文面は1日もあれば作成できることを鑑みると、こちらの選択があなたの企業の「てこ」になりそうだと考えられます。

一方、「新着情報」のカテゴリーをサイトに加えるために、プランニングの段階からデザインの作成、そしてサイトにそれを実装するために数日間を必要とし、既に自社のエンジニアが他のタスクに追われている状況だったら、他の選択肢がある中で、こちらを選択することはあまり賢そうではありませんね。

てこの原理が、言ってしまえばこの場合、選択を決定してくれるのです。

あなたのスタートアップ特有の「てこ」はエンジニアチームの馬力ではなく、連絡先情報の多さとメール配信システムになるのです。

もちろん他のスタートアップには別の選択が最適解であることもありますが、それはあくまで「てこ」の形態に依存します。

計画、目標、及び実務の優先順位は、往々にして「てこの原理」を忘れてしまうがために、非合理的になりがちです。

自社の強みに応じてグロースプランを柔軟に変更していきましょう

参考記事:

継続ユーザーを増やしたいのなら、まずは「ユーザー」を調教しよう

ステップ4:実験を行う

あなたは既にユーザー作成のコンテンツ量を倍増させる目標を設定することによってステップ1は完了しています。

ステップ2もクリアして、設定した目標の達成度合いを知るために必要なデータを取得しています。

さらに、自社の「てこ」に気付き、メルマガを配信することことによってユーザーを教育することにし、ステップ3も完了しました。

そこで、いよいよ実験を行う、つまり実際にメールを配信する段階に来ました。

ただ、実験(メールを配信した結果、まだ何が起こるかわからないので実験と呼んでいます)を行う上で、留意すべき点が複数あります。

・実験を行う前に必ず仮説を立てること

理系出身の方であれば、大学1、2年時に必修として実験の授業があったことを思い出すかもしれません。

多くの場合、実際に実験を行う前に、仮説をたてることが要求されたと思いますが、グロースハックでも同じです。

実験を行った結果、どのような影響がありそうか、ということを事前に書きとめておきましょう

これから送るメールは既にこれまで配信してきたメルマガよりもクリック率が上がるだろうか? 上がると考えるならばそれはなぜか? メルマガ配信により、次の1ヶ月間でユーザー作成のコンテンツはどの程度増えるだろうか?

目標として掲げているユーザー作成のコンテンツ量倍増を完全に達成できるだろうか、それとも1.5倍に留まるだろうか?

すぐにメールを配信し、実際にその効果を測定できる状況下でこのような疑問を立てることは滑稽に思えるかもしれません。

しかし、この考え方は重要な点を見落としています。

実験後では後日談としていくらでも言い訳をできますが、実験前に仮説を立てることは自身の期待値を表明した証拠になるのです。

例えば、既に毎週ユーザーに1通メルマガを配信しているとします。そのため、2通目のメールはユーザーに疎んじられ、クリック率がそれまで配信していたメルマガよりも下がると仮説を立てたとします。

しかし、実際に2通目のメールを送ってみたところ、従来のメルマガよりもクリック率が高いことに気付きました。

この場合、事前に仮説を立てたという事実がなければ、おそらくあなたは元からクリック率の高さを予想しており、自身の能力の高さを周囲に自慢したい衝動に駆られることでしょう。

仮説を事前立てることは人を正直にするのです。

この場合議論は、あなたがどれだけ優れているのかという空虚なものではなく、なぜ仮説が外れたのかという実り多きものになるのです。

実験の結果、自分が思っていたよりも多くのユーザーがプロダクトの運営側とコンタクトを取りたがっていることに気付いたとしたら、今後のプロダクトの成長にとってこれほど有益なことはありません。

実験のために必要な資源を出し惜しみしないこと

実験を行うことは、通常の業務に何かしらの影響を与えます。

一点目として、不測の事態に対応できるよう、グロースハックチーム全員に実験の内容を周知させておく必要があります。

二点目として、資源が限られている日時を把握した上で、実験を計画する必要があるということです。

例えば、火曜日は毎週アクセス数が集中してサーバーへの負荷が大きいことがわかっていたならば、火曜日にトラフィックを30%も増やすような施策は行うべきではないでしょう。

三点目として、実験の準備に数日を要する場合、きちんと時間的資源を確保しましょう。

手の込んだ実験を行う場合、実験のために必要な各構成要素を作成するのには予想以上の時間を要するものです。

・最初に入ってきたデータを見て気を落とさないこと

多くの場合、グロースハッカーは自分が行う実験は必ず良い方向に物事を運んでくれるに違いないという過信を持っています。

自分が行おうとしている実験こそが企業が抱えている問題の最適解だ、と。

もはやアントレプレナー病とでも命名したくなる現象です。

しかし、Chapter 2でも述べたように、ほとんどの施策は失敗に終わります。

次こそは上手くいくさ、という楽観さを持ち合わせていることは重要ですが、実験の結果が不作に終わる度に気を落としていたのではきりがありません

・成功体験、失敗体験両方から学ぶこと

データは知名度に似ています。

知名度に善し悪しがないのと同様、データ自体にも善し悪しはありません

実験が失敗に終わったとしても、プロダクトはユーザーに関する膨大なデータを新たに得られたことには間違いなく、それを次の実験に活用できるのです。

トーマス・エジソンは電球を作る過程で、1000回以上失敗したと言われています。

このことを指摘されたエジソンは

私は1000回失敗したのではない。私は1000通りもの電球を作れない方法を発見したのだ。

と豪語したそうです。なんだか屁理屈のようにも聞こえてきますが、言っていることは正しく、成功体験から学べるとの同じように、失敗体験からも学べることは多いのです。

ステップ5:実験を最適化する

実験は一度実行したらそれっきり、というものではなく、必ず改善した上で繰り返し行うべきものなのです。

これ以上詰められる要素がないという段階に至るまでは、諦めずに何度も挑戦しましょう。

対照群を持っておく

対照群とは統計学の用語で、要は恣意的に加える条件を一定に保っておくことによって指標となるサンプル母体のことを指します。

実世界では自分ではどうにも制御できない環境要因が無数にあります。

もし、ユーザーの内80%の人のみにコンテンツ作成方法に関するメールを配信した場合、残りの20%のユーザー(対照群)とコンテンツ作成量がどのように変化するかを比較できることになります。

例えば、自分が認知していない外的要因によって、自社サイトでのコンテンツ作成量が減ったとします。

この場合、対照群の存在なしでは、新たにメールを配信したことがコンテンツ作成量の現象につながったのだと誤った判断をしてしまうことでしょう。

下の表をご覧ください。対照群がなければ、本来メールの配信によってコンテンツ作成量は5%上昇にもかかわらず、10%減少したと判断してしまう可能性があるのです。

graph3_2

・A/Bテストを活用する

A/Bテストがグロースハッカーによって重宝されるのには訳があります。効果が絶大なのです。

たとえあなたが配信するメールのクリック率が上がるタイトルの付け方をわかっているつもりでも、A/Bテストが真実を伝えてくれます。

メールを開いたユーザーが実際にコンテンツ作成を開始してくれるようなランディングページのデザインをわかっているつもりでも、A/Bテストが真実を伝えてくれます。

ここで大切なことは、A/Bテストを行うかどうかは実験を行う前に決めなければいけないということです。

上の例でも、A/Bテストの概要を決めずに、ユーザー全員にメールを配信してしまっては、データから学べたはずであろう情報も失いかねないのです。

・実験の諦め時

通常、実験は諦めるべきものではないですが、想定していたより「てこ」が弱かったり、期待していた効果を得るためには膨大な資源を投資しなければならないとわかったときは引き際だと言えるでしょう。

ステップ6:ステップ4、5をひたすら繰り返す

新しい実験、または以前行った実験を改善したものを選択し、ステップ4、5で述べた内容を繰り返す段階に来ました。

これまで強調してきたチェックポイントを全てこなしていったならば、グロースハックを成し遂げることは偶然ではなく、必然と言えるでしょう。

本連載の目次:

グロースハッカーに関する最も確実な手引書

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まとめ

・   実現可能な目標設定をする

・   目標の達成度合いを測定するためにデータ分析を行う

・   自社の強みを把握する

・   実験を行う

・   実験を最適化する

・   成功するまで実験をひたすら繰り返す

デザインの支柱ジョナサン・アイブが語るAppleのデザインとプロダクトの哲学

edited by Ryutaro Mori

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素晴らしいプロダクトを作ることだけにフォーカスし続けろ

スティーブ・ジョブズがAppleを率いていた時代、彼はAppleのデザイナーやエンジニアにとって核となる指針を示した。

Appleのデザインチームを統率し、滅多に公で発言することの無いジョナサン・アイブは、新しいCEOであるティム・クックの下でもこの指針はAppleのデザインを導く哲学であり続けている、とクック統率下のAppleについて書かれたインタビュー記事の中で話している。

アイブによれば、Appleのデザインプロセスはトップの変更後も変わらず力強く、健全な状態にあるという。

本記事では、NYTによって執り行われたインタビュー「Tim Cook, Making Apple His Own」の一部をお伝えしたい。

growth hack japanではアプリやウェブサービスの成長にまつわる情報を配信することが多いが、グロースハックの基礎にあるのはプロダクトであると予てよりお伝えしてきた。

ハードウェア・デザインの印象が強いジョナサン・アイブ氏だが、Appleのデザインを司る彼のプロダクトに対するフォーカスは、制作物の形態にかかわらず多くの読者の心を打つはずだ。

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WEBユーザーがサイト利用時にマジでイラつく9つのタイミング

Appleのデザインとイノベーション

—ティム・クックがAppleのCEOに就任してからのイノベーション文化についてお聞かせください。(ジョブズの時代に比べて、)どのように変化しましたか?

Appleにおけるイノベーションは、いつもチームププレイの賜物です。いつだってAppleではいくつもの小さなチームが協働しています。

インダストリアル・デザインチームはとても小さく、私たちはかれこれ15~20年共に働いています。

Appleのクリエイティブ・チームは、少人数で、集中的であることに特徴付けられ、探究心と好奇心が旺盛であるといった点は、ずっと変わっていないですね。

私たちはただモノを製造しているのではありません。私たちのものづくりはかなりの定義と努力を要し、デザインと製造を分けて考えることは出来ません。

この考え方は、スティーブ・ジョブズの遺産なんです。

Appleの文化の根底には、デザイン、開発、そして製造に対する深い理解が存在しています。プロダクトのフォーム、原料、そしてプロセスが美しく結びついているのがAppleのプロダクトです。

メタルだろうと、樹脂だろうと、プラスチックだろうと、私たちはその原料を理解し、その原料がどのプロセスを辿って今ある形に至ったのかを理解せずには、適切なプロダクトのフォームを定義し、開発することは出来ないのです。

スティーブ・ジョブズは、Appleにおいて不朽の価値、トーン、そして観念を築き上げました。彼はこの哲学を少人数のチームで築き上げ、私はその中の一人であったことをとてつもなく幸運だったと感じています。

その点ではクックだってほとんど変わりません。彼もそのチームの中で15~20年を共にしてきました。

私は今でもプラスチック製のポータブル・コンピューターを作ったときのことを明瞭に覚えています。

スティーブとティムと私は椅子に腰掛け、驚くほど薄くて軽いポータブル・コンピューターを作りたいと口を揃えたのです。

チタンという新しい原料を利用することから、エンジニアリングサイドにはとにかく多くの課題が待ち構えていました。デザインを一新する必要もあれば、新たなパートナーを探し、あらたな人材を一括して雇う必要があったのです。

過去15年から20年にかけて、私はAppleの最も困難で、最もクリエイティブな仕事に携わってきました。未来について話せば、今私たちは今までに使ったことの無い原料を使って製品を作ろうと試みています。私はこれらの新しい原料を使った製造に2~3年既に取り組んでおり、クックも新たな分野や原料を開拓する流れの中核を担っています。

私たちが長きにわたって発展させてきたプロセスは、今も変わらず力強く健全であり、今後も成長と進化を続けていくでしょう。

プロダクトに対するフォーカス

—アイブ氏は、最近ソフトウェア・インターフェース・デザインのリーダーシップを担うことが発表されました。これにより、Appleのデザインプロセスに変化は見られましたか?

私は、現在いくつかのソフトウェアのユーザー・インターフェースのディレクションを担当していますが、働き方は今までとなんら変わりありません。

Appleのクリエイティブ・チームは、少人数であり、地理的にも密接して働いています。いくつかの変化はあったかもしれませんが、皆様が想像しているような劇的な変化は何も起こっていませんよ。

私がスティーブ・ジョブズから直接学んだことの1つに、フォーカスすることの重要性が挙げられます。プロダクトに対するフォーカスです。

もっと上手くこの真実を伝えられればいいのですが、プロダクトにフォーカスすると言うことは、決して陳腐なことではありません。

プロダクトにフォーカスすることが制作スタジオに足を運ぶ唯一の理由になるとき、最善のプロダクトを作ろうと試みる時、そしてそれ以外のことを全て排除した時、驚くまでに他の多くのことが些細で取るに足らないことに変わるのです。

地位や組織の構成をレンズに、私たちがAppleで働く仲間を見ることはありません。

—ティム・クックと働く気分はいかがですか? 彼のリーダーシップを象徴するような例や小話はありますか?

私たちは、平均して週に3回顔を合わせます。場所は彼のオフィスだったり、時にはデザインスタジオであったりですね。

私たちは皆、全く同じ物理的な物体を目にしています。客観的に目に映る物体と物体に対する知覚の間に何かが起こり、私たちの物体の見方に何が起こっているのかをどうにか明確に表そうと試みることがデザイナーの定義です。

20年ほど彼と仕事を共にしてきて、いつも私が感心するのは、物体に対する知覚を理解しようと試みるときに彼が見せる落ち着いた姿勢です。

彼がそうする時はいつもじっくりと時間をかけるのですが、これは彼がその時間の重要性を理解していることを立証しています。

—投資家やファンが次のプロダクトを待ちわびる中、忍耐強くプロダクト制作に取り組むことはやはり大変ですか?

Appleで働く全ての人にとってそれは大変なことです。スティーブ・ジョブズにとっても、ティム・クックにとっても同じです。

どんな時であれ、ただプロダクトにフォーカスし続けることは簡単なことではありません。競合他社との違いの1つは、私たちはプロダクト、そして良いプロダクトを作ることにフォーカス出来るという点でしょう。

正直に言って、(ティム・クックがCEOに就任した以降も)何も変わったことはありません。

私たちがiPhoneの制作に取り組んでいた時、iPhoneのアイディアは世間にはねつけられました。iPodの時も同じだし、iPadに至っては大きいiPodだともっと酷くはねつけられました。

ただ、私のフォーカスは、驚くまでに狭いのです。プロダクトのデザインと開発以外の権威と会話することはありません。

この20年を振り返ってみると、信じられないほどの困難に挑戦しているんだなという感覚を覚えます。実際に制作している時は、そのプロダクトが実際に成功するのかどうか検討もついていません。

終わってしまえばいいことばかりを話してしまいますが、信じられないほどの困難に挑戦する時には、決意を頼りにただ挑戦し続けるしかないのです。

何か新しいことにチャレンジするときも、変えることの出来ない物理学の法則に直面するような、克服出来ないほどの困難を目の前にすることには慣れっこです。

これが日常になると頭はプロダクトやそれにまつわる問題や課題でいっぱいになり、そんな状況ではどうしても心がはやってしまいますよね。

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「決心こそが偉大な起業家を構成する最大の要素」拒絶され続けたAirbnb創業者が語る起業家論

edited by Ryutaro Mori

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5年前。

Airbnbが投資家向けにそのアイディアを披露したとき、多くの投資家は懐疑的な反応しか示さなかった。

そして時価総額が1兆円に達した今日でさえも、Airbnbは否定派との戦いを続けている。

レンタルアパート内で起こった乱交騒ぎに関して、Airbnbはニューヨーク州と法廷闘争を繰り広げているのだ。

しかし、もしAirbnbの共同創始者が見知らぬ人同士が家を貸し借りすることで起こるあらゆるシナリオを予測していたら、彼らはビールを半分空ける前にこのビジネスアイディアを放棄していたのではないだろうか。

本記事は、Entrepreneurに掲載された「Airbnb Co-Founder: If Rejection Slows You Down, Entrepreneurship Isn’t For You」を翻訳して紹介しています。

拒絶され続けた創業期

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(Airbnb創業者の3人/画像:Entrepreneur)

決心の強さこそが偉大な起業家を構成する最大の要素であり、完璧を求めれば重要な機会をみすみす逃すことになる。起業家としての成功はビジネスアイディアそのものよりも、その人自身にかかっているのだ。

ニューヨーク大学の経営大学院におけるシェアリング・エコノミーの授業の中でそう語ったのは、Airbnb共同創始者のNathan Blecharczyk氏だ。

創業期、Blecharczyk氏が共同創業者のChesky氏とGebbia氏とともに有名投資家にピッチを行った際には、「こんなサービス機能するワケがない。やめたほうがいい。」、「Airbnbが君たちが提供する唯一のサービスじゃないことを祈るよ。」といった辛辣な言葉を投資家から浴びたこともあったそうだ。

しかし、5年の月日が経過した今、投資家はAirbnbを逃した好機だと捉えている。

米国有数のVCであり、ニューヨークに拠点を構えるUnion Square Venturesもその1つだ。

Airbnbの共同創始者である3人は、Yコンビネーターのプログラムを卒業した後、Union Aquare Venturesに資金調達の話を持ちかけた。

当時Airbnbは資金をショートしており、投資家集めに必死だったのである。

結局どのファンドからも資金を調達出来なかったAirbnbは、どこにでも売っているシリアルフレークを大量に購入し、当時佳境を迎えていた大統領選挙をネタに「Obama-Os」と「Cap’n McCains」という2種類のパッケージに詰め替えて1箱40ドルで販売。

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オバマブランドのシリアルフレークの方が比較的人気が高く、共同創始者の3人はマケインブランドのシリアルで食費を削減していたという。

Union Square Venturesの共同創始者Fred Wilson氏は、未だにオバマブランドのシリアルを彼の会議室に飾り、Airbnbに投資しなかったことを以下のように振り返っている。

「私たちは当時、リビングルームに置かれたマットレスを宿泊先とは捉えられず、ディールを成立させなかった。一方で、他の投資家は共同創始者3人に可能性を見出し、投資を行った。その後については言うまでもないだろう。私たちも彼ら3人には可能性を見出していたが、結局投資を見送ってしまった。大きな間違いだった。会議室に置いてあるシリアルの箱は、もうこんな間違いを二度と犯しはしないという、戒めのサインなんだ。

Airbnbを逃した好機と捉えているのは、Wilson氏だけではない。

ニューヨーク大学経営大学院にあるBerkeley Center for Entrepreneurship and Innovationでエグゼクティブ・ディレクターを務めるLuke Williams氏は、15人の超一流投資家がAirbnbのピッチに耳を傾けたが、誰一人として投資に踏み切らなかったと懐古している。

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拒絶に打ち勝つ強い決心

絶えず投資家からの拒絶に直面していた創業期以来、Airbnbは幾何学的な成長を遂げてきた。

創業から4年で400万人のゲストをもてなし、5年目は単独で700万人のゲストをもてなしてきたのである。

これだけの国際的な成功にもかかわらず、Airbnbに対する懐疑的な姿勢やビジネスへの障害は今も数多い。

たとえば規制機関は、Airbnbを通じて得た収入に課される税金の扱い方を未だに定義出来ていない。

共同創始者のBlecharczyk氏はまだまだ問題が山積みであることを理解している一方で、「もしローンチまでに全ての落とし穴に橋がかかるのを待っていたら、莫大なベネフィットが水の泡になっていただろう。こうした問題や障害は今すぐにでも解決されるべきだという期待もあるが、1度に全て解決出来るものではない。言うまでもなく、これらの課題をいち早く解決しようと僕たちは必死だけどね。」と語っている。

「起業家はもちろんのこと、規制機関や行政機関は、『ダメ、絶対やらないほうがいい』といった姿勢ではなく、『やろう、でもまずはソリューションを見つけ出そう』という姿勢で臨むべきだ。私たちは常に前を向いて、どんな未来を創り出したいのか、自身に問いかけるべきなんだ。」

そう語るBlecharczyk氏からは、彼自身が住みたい未来を作る強い決心がうかがえる。

「今年はほとんどの夜をAirbnbで借りたアパートで過ごした」と語るように、1兆円企業の共同創始者になった今でさえ、彼がホテルに滞在することはないのだ。

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UX重視!予約率を2倍にした、予約システム「クービック」のグロースハック

自社サービスのランディングページもしくは登録フローをどうにかしたいと思っている方は多いのではないでしょうか。我々も同じです。

どんなサービスやビジネスにおいても、集客は大きな課題です。特にインターネットサービスにおいては、登録フローの少しの違いだけで、コンバージョン率が大幅に変わり、見込み客をみすみす逃してしまう事になりかねません。逆に言えば、ランディングページや登録フローを改善することで、集客の最大化に大きく貢献することができます。

例えば、月 1,000 人の新規登録があるサービスで、コンバージョン率が 10 % 改善すれば、それだけで 100 人のベースアップになります (当たり前の話ですが) 。つまり、早く対策すればするほど、それだけ多くの恩恵を受けることになります。

今回は、予約システム & 顧客管理「 Coubic (クービック) 」において、コンバージョン率を改善するために行った具体的な方法について、実績を交えてご紹介します。

なお、Coubic (クービック) は 2014 年 4 月 10 日に一般公開しましたが、今回ご紹介する内容は、一般公開に至るまでの、ベータテスターを対象にした試験運用中に行ってきたものになります。

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メッセを読むなら代償を払え!? ローンチ直後のFacebookアプリ「Slingshot」を徹底解剖

改善前の登録フロー

ユーザーに会員登録を促すサービスは多いと思います。特に、Facebook の普及により、Facebook ログインを使ったサービスは年々増えています。

スモールビジネス向けに、予約システムを提供しているクービックでも、ユーザーがビジネスオーナーに予約を入れる際に、会員登録を求めていました。

coubic1

これは、もともとは空き会議室スペースの予約サービスを想定していたというのもあり、空き家貸出サービスとして有名な Airbnb の登録フローをベンチマークしていたというのが背景としてあります。

そのため、ユーザーが予約する際には、Airbnb 同様、最初に「 Facebook ログイン」もしくはメールアドレスによるアカウントの新規登録を促していました。

coubic2

その際、我々は重要な指標の一つとして以下のような「予約コンバージョン率」を定義しました。

予約コンバージョン率 = 予約完了数 / 予約ページ訪問数」

これは、ECサイトを運営されている場合は購入コンバージョン率、ゲームなどのサービスを運営されている場合はゲーム開始コンバージョン率 (アクティベーション率) に相当するものになります。

この後、最初の予約コンバージョン率に対して、後の施策によってこの数値が相対的にどこまで変化したのかについてご説明します。

① 登録フローの順番を逆転して、コンバージョン率を約 30 %アップ

当初は予約コンバージョン率としてベンチマークするものがなかったため、最初の数値が高いのか低いのか、明確にはわからなかったのですが、以下の理由により、予約時における登録フローを見直すことにしました。

  • 当初想定していた Airbnb のようなポータルサイトを作るのではなく、よりビジネス向けツールにフォーカスするようになったことで、アカウントの捉え方が変わってきた
  • ユーザーの本来の目的である「予約をすること」にフォーカスし、まずは予約情報を入力してもらった方がユーザーエクスペリエンス的に良いのではないかという仮説

具体的な施策としては、ユーザーにとって高い心理的ハードルになるであろう「会員登録」を予約フローの後ろに持っていくことにしました。

その結果、当初の予約コンバージョン率と比べて、28 %改善させることができました。

ユーザーに入力を求めている情報量は同じですが、「予約する」という行動の前に、会員登録を促すことの機会損失についてはじめて認識することができ、さらなる改善プランを考えるようになりました。

② 会員登録を後回し、かつ、任意にすることでコンバージョン率を 100 %以上アップ

当初、予約時における登録フローを再検討する理由でもありましたが、クービックとして、よりビジネス向けツールを目指すようになった結果、そもそもアカウント登録を求めることすら不必要なのではないか、と考えるようになりました。

ユーザーからすると、「自分はクービック上のネイルサロンの予約をしている」という認識はないにもかかわらず、クービックのアカウント登録を求められるのは、不自然と感じるでしょう。

当然、最初から把握しておく事だったかもしれませんが、サービスをピボットする前は、アカウント登録を求めるのはそれなりに合理的な理由がありました。

そこで実施したのが、予約情報を入力した後に求めていた会員登録を任意にしたことでした。ただし、「パスワードを入れるだけで2回目以降の予約がスムーズになります」というメリットを明確にして、予約後に会員登録することのメリットも同時に明示しました。

coubic3

会員登録を任意にしたところ、予約コンバージョン率が大幅に上がり、結果として、改善前に対して 100% 以上の上昇になりました。

会員登録を任意にすれば、予約コンバージョン率が上がるのは当然だと思われるかもしれませんが、ここで指摘しておきたいのは、ユーザーは、もともと会員登録時に必須項目としていた氏名とメールアドレスを、新たな予約フローでも入力している (クービック会員登録ではありません)、という点です。さらに、当時ビジネスオーナーからの要望としてあった電話番号入力もあわせて要求するようにしました。

そういう意味では、予約時に、ユーザーに入力を求めている情報量は、会員登録を必須にしていた改善前や①の時に比べて多いわけです。それにも関わらず、改善前の予約コンバージョン率に対して 2 倍以上も改善できたのを見て、改めて、ユーザーの会員登録に対する敷居の高さを認識させられました。

coubic4

最後に

今回我々が行った改善プランが、我々自身にとって本当にベストなものかどうかはまだ分かりませんし、この改善プラン自体を他社におすすめするものでもありません。

例えば、Amazon や楽天などのように、「そのサイト内」で買い物をするという明確な目的意識がユーザーにある場合は、会員登録の敷居はたとえ高くても、より買い物をしやすくなるというメリットが明確にあるため、購入時に会員登録を必須にすることには意味があります。サービスによっては、会員登録を前提として、どうすればよりコンバージョン率を上げることができるのか、ということが重要である場合もあるわけです。

クービックの場合は、当初はそういったポータルサイトを目指している部分が少なからずありましたが、よりビジネス向けツールを作ることに方針転換したため、それに即した改善をする必要がありました。

今回の改善結果として、クービックのサービスを使っていただいているビジネスオーナーから、「何より、お客様が予約しやすいのは良いですね」とサービスを使い続けている理由を聞くことができたのは、自分たちの改善がビジネスに即した形で行うことができたのだと実感できる出来事でした。

最終的には、自分たちのビジネスやサービスが何なのか、何のためにあるのかということを自問自答し続け、それに即した形で意味のある改善をする、ということがグロースハックの本質なのだと改めて感じています。

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アクティベーションに見るツイッターがグロース出来ない3つの理由

停滞する成長。会社を後にするエグゼクティブ。

グロースハックの代名詞としてもおなじみのツイッターが、今大きな苦境を迎えています。

なぜ世界有数のユーザー数を誇るソーシャルメディアがユーザー獲得に苦戦しているのか。

本日は、TheNextWebに掲載された記事「Signing up for a new Twitter account shows why the company is struggling to grow」を参考に、ツイッターが停滞する真の理由をアクティベーションに結びつけて紹介します。

バリュー・プロポジションとの相違

ツイッターの新規登録を完了すると、新規ユーザーは既存ユーザーをフォローするように推奨されます。

試しに新規登録プロセスを辿ってみると、その瞬間にアクティベーション施策に欠陥が存在することが分かります。

Screen Shot 2014-06-15 at 20.24.29

まずはじめに紹介されたのが、首相官邸、防衛省などのオフィシャルアカウントや天気予報といったライフライン系のアカウント。

特に天気予報などは有用である一方で、ライフラインを何よりも先に紹介するのは、ツイッターがトップページで掲げる「会話をはじめましょう。興味を探求しましょう。そして、見識を広めましょう。」というバリュー・プロポジションに相反していると言われてもおかしくはありません。

「会話」の欠如

Screen Shot 2014-06-15 at 20.25.19

次にフォローを推奨されるのは、芸能人や文化人を含む、ツイッターを利用する著名人のアカウント。

音楽やお笑いなど、カテゴリ別に著名人を検索することができ、趣味や趣向に合わせてフォローするアカウントを決められる点では、ライフラインの推奨よりもツイッターが掲げるバリュー・プロポジションに即していると言えるでしょう。

しかし、フォロワーの数が多く、交信よりも発信に重き置く著名人のアカウントをフォローするだけでは、ツイッターが提案する「会話」が生まれることはありません。

ほとんどの場合有名人からフォロー返しを受けることはなく、一方的なフォローで完結してしまうのです。

ソーシャルメディアの魅力は人との交わりであるにもかかわらず、ツイッターはウォークスルーを通じて自らアンチ・ソーシャルな利用方法をユーザーに強いているといっても過言ではないでしょう。

もちろんこれでは情報を発信するという楽しみが失われ、ユーザーがツイッターから得るメリットは減少します。

実際に、近年ツイッターのユーザーの大半はツイートの閲覧のみに従事し、情報を発信するユーザーはごく一部に限られているというリサーチ結果も出ているのが現状です。

非効率な友人検索

Screen Shot 2014-06-15 at 20.25.49

とはいえツイッターもバカではありません。

対等な目線で会話が出来る友人とのフォロー関係構築もしっかりとウォークスルーに組み込んでいます。

しかし、コンタクトを取り込めるのは、なんとメールアドレスからのみ。

実際に親しい友人と接点を持つFacebookなどの媒体からコンタクトを抽出することは出来ず、ユーザーのメリットを最大限に考えた施策であるとは言い難いのが事実です。

最後に

文中でも述べましたが、ソーシャルメディアの魅力はなんと言っても人との交わり。

特に右も左も分からない新規ユーザーにとっては「コミュニティに属しているという感覚」を感じることが継続利用のモチベーションになり、人との交わりが重要になります。

グロースの基本はあくまで継続的な利用であり、そのきっかけを作るアクティベーション施策に今後改善が加えられるか否かが、ツイッターの更なる発展を左右するでしょう。

最新の情報によると、ツイッターの新規ユーザーは益々東南アジアを中心とした途上国市場に集中していると言います。

現状のプレゼンスを考慮すればこのままFacebookと同様に途上国市場のユーザーをある程度は順調に取り込んでいくことが予想されますが、本記事で紹介した欠点の数々を見れば楽観的にばかりはなれないことも事実です。

グロースハッカーに必要な素養とは?(グロースハックに関する最も確実な手引書「2/9」)

さて、計9回の連載記事の内、今日は第2章目です。

グロースハックという概念が市民権を得て、仕事の場が広がっていくにつれ、グロースハッカーになろうと意気込んでいる人は、果たして自分のその素質があるのかどうか、ということに不安を覚えることもあるかもしれません。

グロースハックに限らず、どの分野においても頭角を表す人材はいるものですが、ここではひとまず、グロースハッカーにまつわる通説の信憑性と実情を見ていくことにしましょう。

本連載の目次:

グロースハッカーに関する最も確実な手引書

Chapter 2:グロースハッカーに必要な素養とは?

目次

通説1:グロースハッカーになるためにはコーディングが必要

通説2:マーケターはグロースハッカーにはなれない

通説3:グロースハッカーになるためには非道義的でなければならない

真相1:グロースハッカーは非常に分析力に長けている

真相2:グロースハッカーの能力はT字型である

真相3:グロースハッカーは右脳タイプである

真相4:グロースハッカーは偏執狂である

まとめ

通説1:グロースハッカーになるためにはコーディング能力が必要

Udemyの共同創業者であり、自分自身もグロースハッカーであるGagan Biyaniは、

多くのグロースハックに関する記述は限定的過ぎである。著名なグロースハッカーの多くは日頃からコードを書いていないことからも、グロースハッカーが正統なエンジニアである必要ではない、と私は考えている。

と述べています。

グロースハッカーにはコーディング技術が不可欠である、という固定観念は、今日のグロースハック手法がコーディングに大きく依拠していることを鑑みれば当然かもしれません。

しかし、実際のところグロースハッカー自身がプログラマーである必要はないのです。

グロースチームにプログラマーが必要であることに間違いはありませんですが、全員が全員プログラマーである必要はありません。

実際にありうる以下の条件で思考実験を行ってみましょう。

とあるグロースハッカーは構成メンバーが3人のスタートアップを起業しました。自分自身、フロントエンド・ディベロッパー、そしてバックエンド・ディベロッパーの3人です。

起業したばかりでまだグロースハックの「グ」の字も見えておらず、2人のディベロッパーはそれまであまりグロースに関して考えたことがありません。

もちろん彼らはグロースが重要であることは重々わかっており、グロースに関して学べるということに心躍らせていますが、それまでに一度もプロダクトのグロースに関わったことがありません。

起業後、会社としての初日、グロースハッカーは残りの2人に、ユーザーの行動変化に関する分析(イベント・ベースト分析)の概要とその重要性を説きます。

その後、グロースハッカーは自社プロダクトに関して追跡してほしい顧客動向の項目(アカウントの新規作成・既存ユーザーの新規ユーザーへの自社コンテンツの紹介具合(referral)・トラフィック等々)のリストを作成し、グロースハッカーが活用すると決めたツール、ここではKISSmetricsとしておきましょう、を提示します。

彼は2人のディベロッパーに、自社プロダクトの顧客動向を追跡する際、技術的に困ったことがあったときに参照すべき資料の在処を教えた後、グロースハッカーはその2人に追跡プログラムを実装するよう指示し、彼らに一任します。

数週間後、グロースハッカーは再び社員全員に招集をかけ、ファネル分析を用いて各コンバージョン・プロセスにおける目標設定を行います。

ここで、スタートアップチームは自社プロダクトへの訪問者の新規ユーザーへのコンバージョン率に着目することに決めました。

グロースハッカーの仮説は、自社プロダクトにオンライン上で訪問した人々がユーザー登録をすることなく、リンク先や他のウェブページに行ってしまうのはプロダクトの広告・宣伝文句の意味合いがわかりにくいからだ、というものでした。

そこで、彼は広告を新たに考え、フロントエンド・ディベロッパーがそれをサイト上で綺麗に表示されるようにコーディングしたところ、新規ユーザー登録の月間コンバージョン率は7%も上昇しました。

つまり、チームが全体としてグロースハックを成し遂げたのです。しかし、ここで3人の内の誰がグロースハックを可能にしたのか、ということを問うたならば、必ずしもグロースハッカーはエンジニアである必要はないということが見えてくると思います。

参考記事:

知らなきゃまずいグロースハック/スタートアップのカタカナ専門用語26選

「AARRR」今更だけど絶対抑えておくべきグロースハックのコンバージョンの見方

通説2:マーケターはグロースハッカーにはなれない

どのようなわけか、マーケターはグロースハッカーの良きパートナーではなく、対極に位置する人材だと見られるようになってしまいました。

しかし、むしろどちらかと言えば、グロースハッカーとはグロースのみに焦点を絞ったマーケターと称すべき存在なのです。

マーケターはコピーライティングに関する優れた能力をしばしば持ち合わせており、既に他の人より一歩抜きに出ていると言えます。

ここで再度、上で行ったグロースハッカーと2人のエンジニアに関する思考実験を振り返ってみましょう。

もしマーケターがコピーライターとしての能力を活用して、自身の目的をグロースに集中させて、コピーライティングによるユーザー獲得への影響を測定するためにイベント・ベースト分析を行ったのならば、これぞまさにグロースハックを実行したことになります。

つまり、データの分析力とWeb技術に関するノウハウを兼ね備えたマーケターこそが最もグロースハッカーに近いと言えるでしょう。

実のところ、「グロースハック」の生みの親、Sean Ellisも自身のことをDropboxに勤めた最初のマーケターだと呼んでいます。

Sean Ellis Twitter

グロースハッカーという表現が誕生する前まではSeanは自分の役職をマーケターだと言っていたのです。

グロースハッカーの祖先はマーケターだということは忘れないようにしましょう。

通説3:グロースハッカーになるためには非道義的でなければならない

人は誰しも、目標を唯一つに設定してしまうと(今回のケースでは「グロース」)自分以外の人々にとっては有益ではない選択をしがちになる、というリスクがあります。

どのグロースハッカーもどこかで自分の目標と周囲のニーズとの間で線引きをする必要がありますが、この線引きが上手くいかないこともあります。

例えば、Facebookによる人々のソーシャル疲れを解消しようと始まったSNS「Path」は、既存ユーザーの電話帳に入っている連絡先情報を獲得するために度の過ぎた連絡先獲得施策を行い、不評を買ったことはまだ記憶に新しいと思います。これはまさに自社プロダクトの成長のみに囚われてしまったが故の帰結と言えるでしょう。

一方、Airbnbの例をとると、彼らは自分たちの成長に復すと共にユーザーのニーズにも応えていたという点においても非常に優れていました。

Airbnbは新規ユーザーを獲得するためにChapter 1でも述べた通り、Craigslistを活用しましたが、Craigslist上にAirbnb経由で掲載されたユーザーの投稿は、いつでもCraigslistの経営方針次第で、削除される可能性がありました。しかしPathでは、ユーザー自身の名前でばらまかれたスパムメール(Pathの告知)をユーザーが取り消すことは不可能でした。

しかし、ここで言いたいのは、ほとんどのグロースハッカーはそもそも倫理観に関して考えていないということです。

彼らは、ただコンバージョン率を上げてくれる無害なプロダクトを創造し、知りうる全ての流通経路を活用することによってプロダクト普及させているに過ぎないからです。

グロースハッカーの行動は非道儀的なのではなく、純粋に合理的なのです。

スターウォーズに例えるならば、どのグロースハッカーもダークサイドの魅惑的な力に取り憑かれるのか、それとも誘惑を振り切ってジェダイになるのかを選択しなければなりません。

ここまでグロースハッカーにまつわる通説とそれらが必ずしも正しくないことを見てきました。そこで以下では、グロースハッカーとは実際にどのような種族なのかを見ていきます。

真相1:グロースハッカーは非常に分析力に長けている

まず、言えることは、どのようなバックグラウンドを持っていようと、全てのグロースハッカーはデータ分析をこよなく愛しているということです。

彼らがなすこと全てにデータ分析は関わってきます。それがフロントエンドであろうとバックエンドであろうと。

・データの分析結果が真実を語っている

グロースハッカーのデータに対する接し方は上のクロポチの通りです。

従来、マーケティングはひどく情緒的な側面を孕んでいました。

タイムズスクエアの広告用掲示板に掲載された広告のROIはなんだ?、知っている人はいないけど、見栄えがいいからいいんじゃない?といった感じで。

しかし、時代は変化し、今や一個人がどれほどカリスマ性があるかや、ひとつの発想が如何にすばらしく見えるかなどといった情緒面に訴えかける施策は無意味であり、データの解析結果がプロダクトの善し悪しに関する全てを物語っているのです。

Etsyの主任エンジニアであるDan McKinleyが語った、無限スクロール導入に関する彼らの実体験が実例を良く表していると言えます。

手芸品を扱うEtsyは5ヶ月もの歳月を費やし、プロダクトを掲載するためのウェブサイトに無限スクロールを新たに導入しました。もちろん、最初は彼らもその見栄えの良さに歓喜しました。

しかし、実際にAARRRで言うレベニュー(revenue)に関するデータが入ってきたところ、導入以前に比べてユーザーの購買量が減っていること気付ました。これを受け、彼らは即座に無限スクロールを廃止したそうです。

以下がDanが自身の説明の際、用いる画像ですが、確かに見栄えはいいですね。しかし、見栄えの良さだけでは不十分なのです。

scrollscroll_sample

この教訓から学べることは沢山ありますが、ここではデータ分析に関してのみ取り上げると、もし彼らがデータの分析結果を重視していなければ、この過ちに気付くことはなかっただろう、ということです。

データ分析はグロースハッカーに客観的事実を伝えてくれるのです。

・データ分析はグロースハッカーに視点を変えるきっかけを提供する

自社のプロダクトや活動に関するデータを蓄積してくれるシステムがあるとき、それらのデータによりグロースハッカーの視点が変わることが往々にしてあります。

例えばある時までは、リファラル(referral)ループにより多くの資金を割くことは全く頭になかったかもしれません。もしかしたら、ユーザーがどのように反応するのかを見るためだけの施策として試しに導入したに過ぎない機能だったかもしれません。

しかし、いざユーザーデータをじっくりと解析してみると新規ユーザーの獲得の内20%はこのリファラルループから来ており、この経路から来たユーザーのライフタイムバリューがユーザーの全体平均よりも高いことに気付きます。

さらに、そのリファラルループをさらに効率化できることも知っていたため、そこからの2週間はこの部分にグロースハックチームとして注力することにしました。

データの分析結果はグロースハッカーにすべきことの優先順位をつけるうえで、必要な指標なのです。

・データ分析は成功体験を他の事例にも応用可能にする

データ分析を念入りに行わないと、成功体験を効率的に活かせないことになりかねません。

もし自社の収益が3期目よりも4期目の方がよかったということがわかっていたとしても、なぜ収益が向上したのかがわかっていなければ、何もわかっていないことに等しいのです。

自社のプロダクト自体が魅力的だったから新規ユーザーを獲得できたのでしょうか? 既存ユーザーのレベニューへのコンバージョン率が向上したのでしょうか?それとも、数日前にウェブサイトデザインをリニューアルしたことによって今まで使われてこなかった機能がユーザーに浸透し始めたからなのでしょうか?

もしあなたが収益向上につながった原因を突き止めることができたのならば、それを繰り返すことができるとともに、収益向上に結びついていないこと突き止め、止めることも可能になるのです。

・データの分析結果はグロースハッカーに未来を予測することを可能にする

企業は日々賭けに出ています。彼らは競合分野、マーケットのニーズ、時代の潮流に会わせた経営方針とは何かを常に推測しています。

クロポチで予測と言っていますが、企業の未来像とはどこまでいっても憶測に過ぎません。

しかし、データ分析に基づいた帰納的理由付けは、明日に関する判断を昨日のデータを基に行うことを可能にしてくれます。

翌朝、太陽は東から上るでしょうか?これに対する答えを論理的・演繹的に導くことはできませんが、帰納的にはこれまでもずっとそうであったから明日も太陽は東から上るだろうと答えることができます。

自社の経営状況に関するグラフから、ある一定した傾向があることを見て取れた場合、その傾向が未来永劫続くかどうかの保障はありませんが、構成しているファクターが全て同じに保たれたのならば、おそらく続くことでしょう。

この手法はあまり科学的ではありませんが、0から推測するよりはよっぽどマシだと言えます。

未来を分析結果から予測する上で、相関関係と因果関係の違いも重要になってきます。

もし、分析結果がAとBに同じ傾向があることを示しているならば、その傾向に関する情報を用いて、ユーザーの動向に変更を加えることが可能になります。

AとBがたまたま同じカテゴリーに属していて互いに相関があるのか、それとも一方が他方を引き起こしている原因なのかを、A、Bのどちらかに変更を加えてみることによって判断できることがあります。

データ分析によって因果関係を発見したとき、グロースハッカーはグロースのための施策を行う上で強力な武器を手に入れたことになるのです。

真相2:グロースハッカーの能力はT字型である

グロースハッカーの能力はT字型であることが要求されます。つまり、Tの横棒はグロースハッカーなら誰しもが修得しておくべき、一般的な能力や教養を表しています。

グロースハッカーになるためには広範な領域にわたる基礎的な知識は不可欠です。これにはWeb・ソフトウェアに関する基礎的な背景知識に加え、心理学などと実に多岐にわたります。

しかしながら、一般教養のみを修得していたのではまだグロースハッカーにはなれません。所謂、自分の専門領域、自分が特化したスキルが必要なのであり、T字の縦棒がこれを表しています。

例えば、あなたはユーザー心理に関するノウハウを全てわかっていて、ユーザーの内85%がプロダクトのコアバリューを実感できたとします。

ファネル(funnel)の一部分でも非常に効率的に設計できたのならば、グロースのための核が形成されたことになり、その周囲をハックしていきやすくなるのです。

ここまでT字型の能力を身につける重要性を強調してきましたが、なんと一流のグロースハッカーはT字型でもまだ飽き足りません。

彼らはさらに▼字型の能力(V字型と呼ぶことにします)を身につけようとします。

より多くの領域を習得していくにつれ、いくつもの専門領域が形成されていくことになり、結果的に横棒の下に何本も縦棒があるV字型の能力を身につけていくことになるのです。

グロースハックの過程を外部から見た人にとっては、グロースの仕方・速さが不可解に写るかもしれません。しかし、実際にはグロースハッカーとは奇術師というよりは、マラソン走者に近い存在なのです。

特別な仕掛けがあるわけではなく、むしろグロースを維持するに必要な能力を習得するための泥臭い努力が下積みとしてあるのです。

フルマラソンを完走したいならば、事前に入念かつ的確な準備が必要となります。それと同じように、プロダクトを成長させたいのならば、あなた自身がT字型、V字型、ひいてはU字型の能力を修得しなければなりません。

マラソンにもグロースハックにも近道はないのです。

参考記事:

グロースハッカーが操る6つの心理学テクと活用事例

真相3:グロースハッカーは右脳タイプである

グロースハッカーがデータ分析を重んじるあまり、彼らが右脳タイプの人間であることが忘れられがちです。

分析も非常に重要ですが、それとともに好奇心、創造性、そして事例証拠や定性的な事実に対して興味を持っていることも負けず劣らず重要なのです。

プロダクトとは斬新さと科学的根拠に基づいた判断の絶妙なバランスのもと、爆発的に普及するものです。どちらか一方に偏ってしまわないようにしましょう。

・好奇心の重要性

好奇心の欠如はプロダクトの失敗を招きます。グロースハッカーは新しい発想をしてみたり、新たな施策を行ってみたりと、常に好奇心に旺盛なのです。

もしマニュアル通りのことしかしたくないのであれば、中間管理職がお似合いでしょう。指図を受けたいのならば、自衛隊に入隊すべきでしょう。グロースが欲しいのなら、好奇心が絶対必要なのです。

今まで試されてこなかったアイディアの内、確かに馬鹿げたものもあるでしょうが、もしかしたら単純にそのアイディアが上手くいくかどうかを見てみたい、という好奇心を持った人がそれまでにいなかっただけかもしれません。

好奇心から出てくる質問例を何個か載せますと…

  • ・   β版のみではなく、正規のプロダクトでも新規ユーザーの獲得方法を紹介制のみにしてみたらどうだろうか?
  • ・   アカウントの使用をやめさせないように、毎週ユーザーに何かしらの作業を行わせたらどうだろうか?
  • ・   プロダクトの利用料金を無料も選択肢としてユーザーに決めさせたらどうだろうか?
  • ・   私たちの会社が昼食として注文した中華料理の宅配料金を支払ってくれたユーザーにプロダクトのアップグレードを無償で提供してみたらどうだろうか?しかもそれを私たちがTwitterで呟いてみたらどうなるだろうか?
  • ・   もし毎月、初日だけ自社ホームページ全体を業界のスーパースターのオマージュに作成し直してみたらどのような効果があるだろうか?
  • ・   ウェブサイト上に出てくるエラー表示の文言として、熱狂的な人気を誇った古典的な映画内の有名なフレーズを引用したらどうだろうか?
  • ・   カスタマーサービスセンターに寄せられた要望・苦情に対して、その事項に関連する面白おかしいYoutube動画のURLを提示したらどうなるだろうか?

もちろんこれらのアイディアの内、大半は馬鹿げているでしょうが、現に私はこうやって何万人が見ることができるサイトにこれらを掲載していることになります。

これと比べたら、皆さんが自分しか見ることができないノートに阿呆らしいアイディアを書き記すことなんて恐れるに足らずです。

好奇心が不安を克服できる唯一の材料なのです。自分の選択が間違っているかもしれない不安。周囲と自分が違うことによる不安。

本当に馬鹿げたアイディアを考える根性がなかったら、素晴らしいアイディアを実行する機会も見逃してしまうことでしょう。

・曖昧さは敵ではない

論理学者や数学者は全てが二進数で記述される世界を切望しています。全てが「はい」か「いいえ」で決まる世界。計画の隅から隅まで明瞭な世界。

しかしながら、このような世界は現実にはありえません。

私たちが住む世界では、疑問に対する答えに「なんとなく」や「もしかしたら」などといったグレーな領域で溢れ返っています。

グロースハッカーはこのことを常に念頭に置いておかなければなりません。

データ分析結果がレベニュー発生までのフローの中で、ユーザーがクレジットカード決済のページでプロセスを中断して二度とそのページに戻ってきていないことを示しているとします。

この対策として、あなたはデータとずっとにらめっこしたまま疑問を抱えているか、それともStarbucksに行って、見知らぬ人に自分のクレジットカードを使って支払わせてその行動パターンを観察することが考えられます。

後者を実行することによって必ずや何か得られることでしょう。もちろん、一人だけのサンプルでは統計的に有意な判断を行うことはできませんが、全ての問題解決に大きな標本母体が必要なわけではありません。

Starbucksで花子さんが自分のクレジットカードで支払いをしているのを見て、あなたはクレジットカード決済のページにクレジットカードのセキュリティーコードに関する説明を記載しておらず、ユーザーがセキュリティーコードが何なのかをわかっていなかった可能性があることに気付きます。

統計的に有意でなくとも、時には一つの事例で十分なのです。

真相4:グロースハッカーは偏執狂である

四六時中グロースに関して考えを巡らせるだけの根性を皆さんは持ち合わせているでしょうか。

もちろんはじめの1週間は楽しいでしょう。しかし、それが6ヶ月続いたとしても楽しいと言えるでしょうか。全てを二の次にしてまで、グロースに必要な目標達成に固執できるだけの器を備えているでしょうか。

以下になぜグロースという強迫観念に取り憑かれる必要がある理由を述べます。

・上手くいく施策は7つ目ではなく、213個目である

もしグロースハックがたった5 ~ 10個の施策を行った結果として、それがユーザー獲得につながり、歳入に結びついたとしたら、これほど楽で美味しい話はありません。

真実は、グロースハックが簡単に見えるのは、自社プロダクトのグロースに最適な手法を発見してからに過ぎません。それを見つけるまでは、何百もの失敗を繰り返す他ないのです。

・小さな工夫の積み重ねによって、初めて競合プロダクトを打ち負かすことができる

時に、グロースハックに必要なのは一つ大きな革新である、と言われたりもします。

確かにそのような手法で成功した事例もあるでしょうが、多くの場合、小さな工夫・ハックの積み重ねが競合相手に勝ることにつながります。

塵も積もれば山です。毎日確実にユーザー数の獲得を増やしていき、収益を向上させていくことができれば、一年過ぎたところで振り返ったとき、大きなブレイクスルーがなかったとしても、プロダクトが驚く程成長したことに気付くでしょう。

Pando Dailyの取材に応えたBryan Goldbergは以下のように述べています。

VCに売り込みを行うとき、いつも投げかけられる質問は「Bleacher Reportはいつを契機に爆発的に認知度を得たのか?」である。その答えは、そのような時期は一度もない、ということだ。今日までBleacher Reportはアメリカ合衆国内で、規模においてトップ50サイトの内の一つであるという地位を誇っているが、何より素晴らしいのは今日までの道のである。我々は一度もユーザー数が急速的に伸びた時期はなく、ただ着実に地道にユーザー数を増やしてきただけなのだ。

本連載の目次:

グロースハッカーに関する最も確実な手引書

まとめ

・   グロースハッカーになるためにはプログラマーである必要はない。

・   マーケターも焦点をグロースに絞り、持ち合わせているスキルを掘り下げていきさえすれば、グロースハッカーになれる。

・   ほとんどのグロースハッカーは倫理的である。

・   グロースハッカーは様々な領域において専門的知識を備えているが、仕事を効率的に行うためにはその内いずれかの領域で他人よりも秀でている必要がある。

・   データ分析を非常に重要視するが、それと同時にグロースハッカーは好奇心が旺盛で独創性に溢れ、時に定性的な調査を好む、右脳型の人間である。

・   グロースハッカーはグロースに取り憑かれており、これが成功する手法を発見するまで努力を続け、プロダクトの成長を前進させるような小さな成功の積み重ねを可能にする。

Eコマース関係者必見!!メルマガのCROに絶対活用したいRebelMail

6月12日更新「グロースハックとは何か?(グロースハックに関する最も確実な手引書①)

まずはこちらのGIF画像をご覧下さい。


Screen Shot 2014-05-27 at 17.16.12

鋭い読者の皆様ならお気づきかもしれません。

一見するとオンラインショッピングの様子をGIF化したなんてことない画像ですが、実はこのプロセス、全てGmailの本文中で行われているのです。

RebelMailとは

Screen Shot 2014-06-12 at 16.23.24

RebelMailは、一昨日シードラウンドで2億円の調達を発表した今期待のサービス。

元々EngageInboxという名前でBeta版後悔されていたRebelMailは、メルマガにインタラクティブ要素を加え、費用対効果を高める効果がeコマース関係者を中心に期待されています。

当初は2~3,000万円のシード投資を目論んでいたと語る2人の創業者ですが、RebelMailのテストを通じて多くのeコマースサイトのエンゲージメント及びコンバージョン率に大幅な改善が見受けられたことから採用プランなどを急遽変更し、大型資金調達に踏み切ったとBusiness Insiderに語っています。

残念ながらRebelMailはまだローンチに至っておらず、APIも公開されていません。

様々なソースを辿ってみましたが、ウェブサイトに加えて2記事ほどしか有用な情報ソースが見つからなかったため、本記事では今分かる情報基にその魅力を紹介したいと思います。

ユーザーを逃がさない

RebelMail最大の魅力は、メール本文内でショッピングプロセスが全て完了するということ。

先ほどご覧頂いたGIF画像でも分かる通り、RebelMailを使うことで色やサイズの選択もメール本文中で可能になり、ブラウザを開いたり、ウェブサイト内でページを移動したりする際に出来るユーザーの抜け道が減少します。

どれほどコンバージョン率が向上したのか定かではありませんが、調達額を見ても、大幅な改善が見受けられたと想像出来ます。

エンゲージメントを高める

GIF画像を見る限り、かなり直感的なUIである様子が伺えます。

APIを公開していない手前、どの程度のカスタマイズが可能になるかは想像の域を脱しませんが、共同創業者のTeplow氏は「(RebelMailを使ったことに夜)エンゲージメントの向上にぶったまげた」と語っており、メール本文内でショッピングを楽しめる斬新な体験はユーザーの好奇心をそそり、結果的にエンゲージメントの改善に寄与している様子です。

多種多様なフォームフィールドのカスタマイズが可能になれば、アパレルの他にも家具のカスタマイズ等、様々な応用が期待出来そうです。

クイック決済

元々共同創業者のFaden氏は、クイック決済の仕組みを利用したチャリティーサービスを提供していました。

この経験はRebelMailにも活かされており、2回目以降の利用は郵便番号を入力するだけでOKという仕組みを取っているようです。

決済が完了するとブラウザに画面が移行し、完了を伝えるメッセージが消えるとウェブサイトのトップページに移行する様子がGIF画像から伺えます。

トップページに移行した際にキラーコンテンツを表示させれば、更なる購入に繋がる効果も期待出来るかもしれません。

アプリいらず

この数年でスマホ化が急速に進んだ結果、一般的なユーザーの多くはメールチェックを含むオンライン行動の大半をアプリ上で過ごす傾向が顕著になっています。

一方で、商品選びから決済までを一括で行うアプリを制作するには工数がかかり、中小のeコマースサイトには敷居が高いことも現実。

その点RebelMailを使えばブラウザに飛ぶこと無くメールアプリ内でそのままショッピングを楽しめるため、迅速なモバイル対応が可能になります。

今後RebelMailがどのような形でマネタイズしていくかは不明ですが、たとえコミッション制だとしても、ショッピングモールアプリに登録するよりも高いコンバージョン及びエンゲージメントが期待出来るのであれば妥当な選択肢のひとつになりうるでしょう。

最後に

ローンチもしていないサービスを先走って紹介しちゃったわけですが、RebelMailはメールと言う既存のチャネルにイノベーションを起こすことでショッピング体験を豊かにするとても楽しみなサービスです。

日本語に対応するのは先かもしれませんが、Eコマースに関わる人ならぜひとも使ってみたいのでは?

既に事前サインアップを行っているようなので、興味がある方はウェブサイトまで!